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3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症 NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック

3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症 NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック

3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症とは

3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症(3-MCC deficiency)は、アミノ酸の一種であるロイシンの分解過程に障害が生じる先天性代謝異常症です。ロイシンはタンパク質を構成する必須アミノ酸の一つで、通常は体内で段階的に分解されてエネルギーとして利用されますが、この疾患では3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼという酵素が欠損しているため、ロイシンの代謝が正常に行われません。

本疾患は、有機酸代謝異常症の一つに分類され、常染色体劣性(潜性)遺伝形式をとります。出生時から疾患を持っていますが、症状は乳児期、小児期、あるいは成人期になって初めて現れることがあります。また、新生児マススクリーニングで発見された人の中には、生涯にわたって無症状のまま過ごす方も多くいらっしゃいます。

日本では約15万出生に1人と推定されており、欧米では3.6~8.5万人に1人の頻度で発症します。重要なのは、新生児マススクリーニングで発見された人のうち、実際に症状を呈するのは全体の約10%程度で、さらに重症な患者さんは1~2%のみと考えられています。多くの方は無症状、または軽症であることが特徴です。

症状と病態

3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症の症状は、個人によって大きく異なります。無症状の方から重症の方まで、症状の程度には幅があります。症状が現れる場合、多くは感染症や発熱、長期間の絶食などをきっかけに急性発作として発症します。

主要症状

  • 疲労感、倦怠感
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 哺乳不良、食欲不振
  • 筋緊張低下(筋肉の力が弱い状態)
  • 発達遅滞
  • けいれん発作
  • 意識障害
  • 肝機能障害

急性代謝不全発作

感染症や発熱時に急性代謝不全発作を起こすことがあり、以下のような症状が現れます:

  • 代謝性アシドーシス:血液が酸性に傾き、呼吸が荒くなることがあります
  • ケトーシス:尿中や血中にケトン体が増加します
  • 低血糖:血糖値が低下し、意識障害の原因となることがあります
  • 高アンモニア血症:血中のアンモニア濃度が上昇し、脳に影響を及ぼす可能性があります
  • 肝障害:肝機能が低下し、肝腫大を認めることがあります

検査所見

診断においては、特徴的な検査所見が重要な手がかりとなります:

  • 尿中有機酸分析:3-ヒドロキシイソ吉草酸、3-メチルクロトニルグリシンの排泄増加が認められ、診断的価値が高い所見です
  • 血中アシルカルニチン分析:ヒドロキシイソバレリルカルニチン(C5-OH)が上昇し、タンデムマススクリーニングの指標として使用されます
  • 血中遊離カルニチン:低下していることが多いです

臨床的多様性

本疾患の臨床像は非常に多様です。新生児マススクリーニングで発見された方の多くは無症状のまま経過し、一生涯にわたって健康上の問題を経験しないこともあります。一方で、乳幼児期に重篤な代謝不全発作を起こし、適切な治療が行われなければ、けいれんや発達遅滞などの後遺症を残すことがあります。

発症時期も様々で、新生児期から乳児期に発症する方もいれば、小児期や成人期になって初めて症状が現れる方もいらっしゃいます。症状の重症度と発症年齢には明確な相関関係がないことも、この疾患の特徴の一つです。

Reye症候群との鑑別

3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症の症状は、Reye症候群(ライ症候群)と類似していることがあります。Reye症候群は、ウイルス感染後に急激に発症する脳症と肝障害を特徴とする疾患で、嘔吐、意識障害、けいれんなどの症状が現れます。鑑別診断のためには、遺伝子検査や詳細な生化学的検査が有用です。

遺伝形式と原因遺伝子

3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症は、常染色体劣性(潜性)遺伝形式をとる疾患です。これは、両親がそれぞれ1つずつ変異遺伝子を持つ保因者である場合、子どもが本疾患を発症する確率が25%(4分の1)であることを意味します。

3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ(MCC)の構造

3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ(MCC)は、ミトコンドリア内に存在するビオチンを補酵素とする酵素です。この酵素は、α鎖とβ鎖という2つの異なるサブユニットから構成されています。

  • α鎖:ビオチンを含有し、MCCC1(MCCA)遺伝子によってコードされています
  • β鎖:MCCC2(MCCB)遺伝子によってコードされています

本症は、α鎖またはβ鎖のいずれかが欠損することにより発症します。どちらのサブユニットに異常があっても、酵素全体の機能が損なわれるため、ロイシンの正常な代謝が行われなくなります。

原因遺伝子

MCCC1遺伝子(染色体3q27):
3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼのα鎖をコードする遺伝子です。ビオチンを含有するサブユニットで、酵素活性の中心的な役割を果たします。

MCCC2遺伝子(染色体5q13):
3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼのβ鎖をコードする遺伝子です。α鎖と結合して機能的な酵素複合体を形成します。

遺伝カウンセリングの重要性

常染色体劣性遺伝形式の場合、以下の点が重要です:

  • 保因者の両親は通常無症状です
  • 兄弟姉妹が発症するリスクは25%です
  • 兄弟姉妹が保因者となるリスクは50%です
  • 保因者診断により、家族の将来の妊娠計画に役立つ情報が得られます
  • 患者さんが将来子どもを持つ場合、配偶者も保因者である確率は一般集団では低いですが、血族婚の場合はリスクが高くなります

ミネルバクリニックの3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症遺伝子パネル検査の特徴

「3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症 NGSパネル検査」とは、3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症の原因として報告されている2つの遺伝子(MCCC1、MCCC2)に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、MCCC1遺伝子の検査をして異常がなければ次にMCCC2遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症に関連する2遺伝子を一度に調べられる「3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症に関係するとされる2つの遺伝子を一度に調べられる「3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症 NGSパネル検査」の場合、2つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症 NGSパネル検査」ならば、2つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症 NGSパネル検査」では、3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症に関係するとされる2種類の遺伝子(MCCC1、MCCC2)をまとめて検査します。

「3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症 NGSパネル検査」は、3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症の個人歴または家族歴のある方】に
「3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・新生児マススクリーニングで3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症を疑われた方
・原因不明の嘔吐、倦怠感、筋緊張低下がある乳幼児
・感染症や発熱時に急性代謝不全発作を起こした方
・尿中有機酸分析で3-ヒドロキシイソ吉草酸や3-メチルクロトニルグリシンの増加が認められた方
・血中アシルカルニチン分析でC5-OHの上昇が認められた方
・原因不明のけいれん発作や発達遅滞がある方
・Reye症候群様の症状を示した方
・3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症の家族歴がある方
・保因者診断を希望される方(患者さんのご家族)
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。診断が確定することで、症状出現の初期段階で適切な治療介入を行うことができ、重篤な合併症を予防することが可能になります。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・Reye症候群や他の代謝性疾患との鑑別
・急性発作時の適切な治療方針の決定
・タンパク質制限食などの食事療法の必要性の判断
・カルニチン補充療法の適応判断
・感染症や発熱時の早期対応による急性発作の予防
・代謝不全の早期発見と治療による後遺症の予防
・追加の関連症状のリスクの特定
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・兄弟姉妹やその他の家族への保因者診断の提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
・関連リソースやサポートへの患者の接続

患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体劣性遺伝形式であるため、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。また、患者さんが将来子どもを持つ場合、配偶者の保因者診断により、子どもが発症するリスクを評価できます。

対象遺伝子

詳しくはこちら

MCCC1, MCCC2 ( 2遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・MCCC1遺伝子(MCCA遺伝子とも呼ばれる):
3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼのα鎖をコードする遺伝子で、染色体3q27に位置しています。α鎖はビオチンを含有するサブユニットであり、酵素活性の中心的な役割を担っています。この遺伝子の変異により、酵素のビオチン結合部位が障害されることがあります。MCCC1遺伝子変異は、日本人患者さんにおける3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症の原因として報告されています。

・MCCC2遺伝子(MCCB遺伝子とも呼ばれる):
3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼのβ鎖をコードする遺伝子で、染色体5q13に位置しています。β鎖はα鎖と結合して機能的な酵素複合体を形成します。この遺伝子の変異により、酵素の安定性や基質結合能が障害されることがあります。MCCC2遺伝子変異も、日本人患者さんにおいて複数報告されています。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状や生化学的検査所見と合わせた総合的な判断が必要です。また、まれに新規の遺伝子変異や、まだ病的意義が確立されていない変異が見つかる場合があります。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
新生児マススクリーニングで3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症を疑われた方、原因不明の嘔吐・倦怠感・筋緊張低下がある乳幼児、感染症や発熱時に急性代謝不全発作を起こした方などにおすすめします。また、尿中有機酸分析や血中アシルカルニチン分析で異常が認められた方、家族に本疾患の方がいらっしゃる場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
新生児マススクリーニングで陽性と言われました。必ず発症するのでしょうか?
新生児マススクリーニングで発見された方の多く(約90%)は、一生涯にわたって無症状のまま過ごします。症状を呈するのは全体の約10%程度で、さらに重症な方は1~2%のみです。しかし、感染症や発熱時に急性発作を起こす可能性があるため、診断を確定し、適切な管理を行うことが重要です。
家族も検査を受ける必要がありますか?
常染色体劣性遺伝形式のため、患者さんの兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。特に、患者さんが将来子どもを持つ場合、配偶者の保因者診断が重要になります。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と生化学的検査所見に基づいた診断と管理が引き続き重要です。まれに、まだ発見されていない新しい遺伝子変異が原因となっている可能性もあります。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
常染色体劣性遺伝のため、患者さんのお子さんは必ず保因者となりますが、配偶者が保因者でない限り発症することはありません。配偶者も保因者である場合、子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症の治療はどのように行われますか?
多くの方は特別な治療を必要としません。症状のある方には、タンパク質(特にロイシン)を制限した食事療法、カルニチン補充療法が行われることがあります。感染症や発熱時には、早期の補液や糖質の投与により、急性代謝不全発作を予防します。症状出現の初期段階で適切な治療を行うことで、重篤な合併症を予防できます。
予後はどうですか?
多くの方は無症状または軽症で、通常の生活を送ることができます。適切な管理が行われれば、生命予後は一般的に良好です。ただし、乳幼児期に重篤な代謝不全発作を起こした場合、発達遅滞などの後遺症を残すことがあるため、早期診断と適切な管理が重要です。
Reye症候群との違いは何ですか?
症状が類似しているため、鑑別が重要です。Reye症候群は通常、ウイルス感染後に急激に発症する一過性の疾患ですが、3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症は遺伝性の疾患で、反復性の発作を起こす可能性があります。遺伝子検査や詳細な生化学的検査により鑑別診断が可能です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では2つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら