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11p15微小重複症候群とは?原因・症状・診断を解説|東京・ミネルバクリニック

11p15微小重複症候群とは?原因・症状・診断を解説|東京・ミネルバクリニック

11p15微小重複症候群とは?
原因・症状・診断・治療を臨床遺伝専門医が解説

この記事でわかること
📖 読了時間:約20分
🧬 インプリンティング疾患・成長異常
臨床遺伝専門医監修

Q. 11p15微小重複症候群とはどのような病気ですか?

A. 11番染色体短腕15領域(11p15.5)が重複することで生じるインプリンティング疾患です。
最大の特徴は「親由来効果」です。父親由来の重複ではベックウィズ・ウィーデマン症候群(BWS)様の過成長を、母親由来の重複ではシルバー・ラッセル症候群(SRS)様の発育不全を呈します。


  • 原因11p15.5領域のインプリンティング遺伝子群の微小重複

  • 父親由来重複BWS様(過成長・巨舌・臓器肥大・腫瘍リスク)

  • 母親由来重複SRS様(発育不全・低身長・三角顔貌)

  • 診断方法MS-MLPA、染色体マイクロアレイ検査(CMA)で確定

  • 頻度 → BWS/SRS全体の5%未満(非常に稀)

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1. 11p15微小重複症候群とは|基本情報

【結論】 11p15微小重複症候群は、11番染色体短腕15.5領域(11p15.5)に存在するインプリンティング遺伝子群が重複することで発症する染色体微細構造異常です。この領域には成長を促進する遺伝子と抑制する遺伝子が隣り合って存在しており、どちらの親から重複を受け継いだかによって全く正反対の症状を呈します。

「検査で11p15の重複が見つかった」「BWSやSRSと診断されたが原因が重複だった」という方にとって、この症候群の正確な理解は非常に重要です。同じ重複でも親由来によって症状が180度異なるという特徴を持つため、遺伝カウンセリングでは親由来の判定が不可欠となります。

💡 用語解説:「ゲノムインプリンティング」とは?

通常、遺伝子は父母から1コピーずつ受け継ぎ、両方が働きます。しかし一部の遺伝子は「親由来に応じてどちらか一方だけが発現する」という特殊な制御を受けています。これをゲノムインプリンティング(刷り込み)と呼びます。11p15領域にはこのインプリンティング遺伝子が集中しており、重複や欠失が起きると親由来に応じた特徴的な症状が現れます。

11p15微小重複症候群の概要

項目 内容
疾患名 11p15微小重複症候群(11p15 microduplication syndrome)
関連疾患 父親由来:ベックウィズ・ウィーデマン症候群(BWS)様
母親由来:シルバー・ラッセル症候群(SRS)様
原因 11p15.5領域(ICR1および/またはICR2)の微小重複
頻度 BWS患者の5%未満、SRS患者の約1%
遺伝形式 常染色体優性(顕性)遺伝(インプリンティングの影響下)
主要遺伝子 IGF2、H19、CDKN1C、KCNQ1OT1

⚠️ 11p15.4微小重複症候群との違い

「11p15微小重複」には注意が必要です。本記事で解説する11p15.5領域の重複は成長異常(BWS/SRS)を引き起こしますが、より近位(セントロメア側)の11p15.4領域の重複は全く異なる疾患で、肥満・知的障害・特異的顔貌を特徴とします。インプリンティングの影響を受けないため、親由来による表現型の違いはありません。

11p15領域の2つのインプリンティング制御領域

11p15.5領域にはICR1(H19/IGF2ドメイン)ICR2(KCNQ1OT1/CDKN1Cドメイン)という2つのインプリンティング制御領域が存在します。これらは成長を正反対に制御する遺伝子群のスイッチとして働いています。

ICR1(テロメア側)

  • IGF2:父親由来で発現、成長促進因子
  • H19:母親由来で発現、非コードRNA
  • 父性重複 → IGF2過剰 → 過成長

ICR2(セントロメア側)

  • CDKN1C:母親由来で発現、成長抑制因子
  • KCNQ1OT1:父親由来で発現、制御RNA
  • 母性重複 → CDKN1C過剰 → 発育不全

💡 成長制御の「シーソー」のイメージ

正常な発育は、成長促進因子(IGF2)成長抑制因子(CDKN1C)のバランスによって維持されています。父性重複ではIGF2が増えてシーソーが「過成長」側に傾き、母性重複ではCDKN1Cが増えて「発育不全」側に傾く、というイメージで理解できます。

2. 親由来による表現型の違い|BWS様とSRS様

【結論】 11p15微小重複症候群の最大の特徴は「親由来効果」です。同じ重複でも、父親から受け継いだ場合はベックウィズ・ウィーデマン症候群(BWS)様の過成長を、母親から受け継いだ場合はシルバー・ラッセル症候群(SRS)様の発育不全を呈します。

父親由来重複:BWS様(過成長型)

父親由来アレルに11p15重複が生じた場合、成長促進因子IGF2が過剰発現し、ベックウィズ・ウィーデマン症候群(BWS)に類似した過成長症状を呈します。

🔴 BWS様(過成長型)の主な症状
  • 巨大児(Macrosomia):出生体重が大きく、胎児期からの過成長
  • 巨舌症(Macroglossia):舌が大きく、呼吸・哺乳困難の原因に
  • 臍帯ヘルニア/臍帯腫:腹壁の異常
  • 内臓肥大(Visceromegaly):腎臓・肝臓・脾臓・膵臓の腫大
  • 半側肥大(Hemihypertrophy):体の片側が大きい
  • 新生児低血糖:高インスリン血症による
  • 腫瘍リスク:ウィルムス腫瘍(腎芽腫)・肝芽腫のリスク(約5〜10%)

⚠️ 腫瘍サーベイランスの重要性:BWS様の表現型を呈する場合、8歳頃まで3か月ごとの腹部超音波検査血清AFP測定による腫瘍監視が推奨されます。早期発見により予後は良好です。

母親由来重複:SRS様(発育不全型)

母親由来アレルに11p15重複が生じた場合、成長抑制因子CDKN1Cが過剰発現し、シルバー・ラッセル症候群(SRS)に類似した発育不全を呈します。

🔵 SRS様(発育不全型)の主な症状
  • 子宮内発育不全(IUGR):出生体重・身長が著しく低い
  • 出生後の成長不全:キャッチアップせず低身長が持続
  • 相対的巨頭:体格に比して頭囲が大きい(Brain sparing)
  • 三角顔貌:突出した額、尖った下顎、口角下制
  • 身体の左右非対称:片側の四肢や体幹が小さい
  • 摂食困難:哺乳障害、低血糖リスク
  • その他:第5指内側湾曲(クリノダクティリー)、脊柱側弯

表現型比較表

特徴 父親由来重複(BWS様) 母親由来重複(SRS様)
出生時体重 大きい(巨大児) 小さい(IUGR)
出生後の成長 過成長傾向 成長不全(低身長)
顔貌 巨舌、特徴的顔貌少ない 三角顔貌、突出額
内臓 臓器肥大 正常〜小さめ
腫瘍リスク 上昇(5〜10%) なし
知的発達 多くは正常 多くは正常〜軽度遅滞
過剰になる遺伝子 IGF2(成長促進) CDKN1C(成長抑制)
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【同じ家系内でBWSとSRSが生まれることも】

11p15微小重複症候群の興味深い点は、同じ家系内で全く異なる症候群の子どもが生まれる可能性があることです。

例えば、11p15重複を持つ無症状の女性が母親として重複を子に伝えるとSRS様の子どもが生まれます。しかし同じ女性から生まれた男の子が重複を持ち、将来その男性が父親になった場合、BWS様の孫が生まれる可能性があります。

このような「親の性別によって次世代の表現型が変わる」という現象は、インプリンティング疾患特有のものであり、遺伝カウンセリングで丁寧に説明する必要があります。

3. 原因と遺伝的背景|主要遺伝子の機能

【結論】 本症候群の原因は、11p15.5領域に存在するインプリンティング遺伝子群(IGF2、H19、CDKN1C、KCNQ1OT1など)の重複による遺伝子量の異常です。これらの遺伝子は親由来特異的に発現するため、重複がどちらの親から伝わったかで過剰発現する遺伝子が異なり、結果として正反対の表現型を呈します。

主要遺伝子の機能と役割

遺伝子 発現アレル 機能 過剰発現時の影響
IGF2 父親由来 インスリン様成長因子2、強力な成長促進 過成長、臓器肥大、腫瘍素因
H19 母親由来 長鎖非コードRNA、腫瘍抑制的 IGF2の発現抑制に関与
CDKN1C 母親由来 細胞周期抑制因子(p57KIP2)、成長抑制 発育不全、低身長
KCNQ1OT1 父親由来 長鎖非コードRNA、CDKN1Cをサイレンシング CDKN1C発現低下(間接的に過成長)

💡 用語解説:「遺伝子量効果」とは?

遺伝子の数(コピー数)が通常の2コピーから増減すると、その遺伝子が作るタンパク質の量も比例して変化します。これを「遺伝子量効果」と呼びます。11p15微小重複では、重複により特定の遺伝子が3コピーとなり、通常の1.5倍のタンパク質が産生されることで症状が生じます。

発症メカニズムの詳細

父性重複のメカニズム

父性アレルに重複 → IGF2が2コピー発現(通常1コピー)

IGF2タンパク質が過剰

胎児・出生後の過成長
+腫瘍発生リスク上昇

母性重複のメカニズム

母性アレルに重複 → CDKN1Cが2コピー発現(通常1コピー)

CDKN1Cタンパク質が過剰

細胞増殖が過度に抑制

胎児発育不全・低身長

重複の発生機序と遺伝形式

11p15.5領域には低コピー反復配列(LCR)が存在し、減数分裂時に非対立遺伝子間相同組換え(NAHR)を誘発しやすい構造となっています。

発生パターン 頻度 特徴
新生突然変異(de novo) 多数 両親は正常、配偶子形成時に発生
家族性継承 約15%(BWSで) 親から重複を受け継ぐ、親が無症状の場合も
均衡型転座由来 親が均衡型転座保因者、不均衡型として発症

⚠️ 重複の大きさと症状の関係

11p15微小重複では、重複の大きさや含まれる遺伝子によって症状の重症度が変わります。例えば、ICR1領域(IGF2/H19)のみの重複と、ICR2領域(CDKN1C/KCNQ1OT1)を含む大きな重複では、表現型が異なる場合があります。詳細な分子カリオタイピングにより重複の範囲を特定することが、予後予測に重要です。

4. 11p15微小重複症候群の診断方法

【結論】 本症候群の診断にはメチル化特異的MLPA(MS-MLPA)または染色体マイクロアレイ検査(CMA)が必要です。従来のG分染法では微小重複は検出できません。さらに、重複の親由来の判定が表現型予測と遺伝カウンセリングに不可欠です。

診断のきっかけ

以下のような臨床所見がある場合に、11p15領域の検査が行われます。

🔍 検査を行う場面
  • BWS様の所見:巨大児、巨舌、臍帯ヘルニア、内臓肥大、新生児低血糖
  • SRS様の所見:IUGR、低身長、三角顔貌、相対的巨頭、身体非対称
  • 原因不明の成長異常:出生時低体重+キャッチアップ不良
  • 家族歴:家系内にBWSまたはSRS様の症例がある

遺伝学的検査の種類

検査方法 検出できるもの 11p15重複の検出
MS-MLPA メチル化異常+コピー数異常を同時検出 ◎ 第一選択
染色体マイクロアレイ(CMA) 微小重複・欠失を高解像度で検出、親由来判定可能 ◎ 確定診断
G分染法(核型分析) 大きな転座・数的異常(解像度5〜10Mb) ✕ 検出困難
FISH法 特定領域のプローブによる確認 △ 補助的

💡 用語解説:MS-MLPAとは?

メチル化特異的MLPA(Methylation-Specific MLPA)は、11p15領域のICR1・ICR2のメチル化状態コピー数を同時に評価できる検査です。BWS/SRSの診断において第一選択となる検査で、メチル化異常(エピ変異)と構造異常(重複・欠失)の両方を検出できます。

診断のステップ

📋 診断フロー
  • 臨床評価:BWSまたはSRSの診断基準に基づく臨床的疑い
  • MS-MLPA:メチル化異常+コピー数異常のスクリーニング
  • CMA(SNPアレイ):重複の範囲・ブレークポイントの詳細な特定
  • 親由来の判定:患者・両親のDNA解析で重複の親由来を同定
  • 両親の検査:保因者の有無を確認し、再発リスクを評価

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5. 治療と長期管理

【結論】 11p15微小重複症候群には根本的な治療法は存在しません。治療は表現型(BWS様またはSRS様)に応じた対症療法・管理が中心です。BWS様では腫瘍サーベイランスが、SRS様では成長管理と栄養サポートが重要です。

BWS様(過成長型)の管理

🏥 新生児期〜乳児期

  • 低血糖管理:ブドウ糖投与、脳障害予防
  • 巨舌への対応:気道確保、授乳補助
  • 臍帯ヘルニア:小児外科での手術
  • 心エコー:心肥大のスクリーニング

⚠️ 腫瘍サーベイランス

  • 腹部超音波:8歳まで3か月ごと
  • 血清AFP測定:4歳まで3か月ごと
  • 早期発見で予後良好

SRS様(発育不全型)の管理

🍼 栄養管理

  • 哺乳支援:高カロリー哺乳、経管栄養
  • 低血糖予防:少量頻回授乳
  • 消化器症状:胃食道逆流への対応

📈 成長管理

  • 成長ホルモン療法:4歳頃から検討
  • 定期的な成長評価
  • 成人期:代謝管理(糖尿病予防)
🏥 多職種連携チーム
  • 臨床遺伝科:遺伝カウンセリング、診断、家族へのサポート
  • 小児科・内分泌科:成長評価、ホルモン治療
  • 小児外科:臍帯ヘルニア、舌縮小術
  • 小児腫瘍科:腫瘍サーベイランス、治療
  • 栄養士・言語聴覚士:摂食支援

6. 遺伝カウンセリングの重要性

【結論】 11p15微小重複症候群の遺伝カウンセリングでは、親由来による表現型の違い家族性継承のパターンを丁寧に説明することが重要です。同じ重複が異なる世代で全く異なる症候群として現れる可能性があり、複雑なカウンセリングが求められます。

遺伝カウンセリングで伝えるべきポイント

📋 カウンセリングの要点
  • 親由来効果:同じ重複でも父親由来=BWS様、母親由来=SRS様
  • 世代を超えた表現型の変化:親の性別により次世代の症状が異なる
  • 重複の範囲と予後:含まれる遺伝子により症状の重症度が異なる
  • 両親の検査:保因者の有無を確認し再発リスクを評価
  • 無症状保因者の可能性:親が重複を持っていても無症状のことがある

再発リスク

状況 次子への再発リスク 備考
両親とも正常(de novo) 低い(1%未満) 生殖細胞モザイクの可能性はあり
片親が保因者 50% 表現型は親の性別により異なる
均衡型転座由来 高い 不均衡型の割合による
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【インプリンティング疾患の遺伝カウンセリング】

11p15微小重複症候群の遺伝カウンセリングで最も重要なのは、「同じ重複でも親の性別によって次世代の症状が変わる」という概念を正確に伝えることです。

例えば、母親が重複を持っていて本人は無症状だとします。その女性が娘に重複を伝えた場合、娘も無症状か軽度のSRS様症状かもしれません。しかし、その娘が将来母親になり、息子に重複を伝えた場合、孫の代ではBWS様の過成長として現れる可能性があります。

このような複雑な遺伝パターンは、臨床遺伝専門医による丁寧なカウンセリングなしには理解が困難です。のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた経験をもとに、ご家族の状況に応じたサポートを提供いたします。

7. 出生前診断について|NIPTと羊水検査

【結論】 11p15微小重複は出生前診断で検出可能です。ただし、ミネルバクリニックのNIPT(12種類の微小欠失)では11p15は検査対象外です。確定診断には羊水検査での染色体マイクロアレイ検査(CMA)が必要です。

出生前検査での検出

検査 11p15重複の検出 備考
NIPT(ミネルバ) 対象外 12種類の微小欠失に11p15は含まれない
羊水検査+CMA ◎ 確定診断 Gバンド法では検出できない微小欠失を確定診断可能
※学会指針では、原則として超音波での構造異常がある場合などが対象
絨毛検査+CMA ◎ 確定診断 妊娠初期(11〜14週)に実施可能

⚠️ 重要:出生前診断で11p15重複が見つかった場合、親由来の判定が表現型予測に不可欠です。両親のDNA検査により重複がどちらの親から来たかを特定し、BWS様(父性)かSRS様(母性)かを予測します。ただし、重複の大きさや位置によっては予後が典型例と異なる場合もあり、慎重な遺伝カウンセリングが必要です。

出生前診断で見つかった場合の対応

🔍 出生前診断後の対応
  • 遺伝カウンセリング:重複の意味、親由来効果、予後について説明
  • 両親のDNA検査:重複の親由来を判定し、表現型を予測
  • 詳細超音波:胎児の成長パターン、構造異常の有無を評価
  • 出生後管理の準備:小児科・多職種との連携体制構築

8. ミネルバクリニックのサポート体制

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の専門性を活かした診療体制を整えています。インプリンティング疾患を含む染色体異常の検査から、結果説明、フォローまで一貫してサポートいたします。

🔬 高精度な検査技術

COATE法を採用した高精度なNIPT。トリソミー・性染色体・微小欠失まで幅広く検査可能です。

🏥 院内で確定検査まで対応

2025年6月より産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査も院内で実施可能に。転院の必要がなく安心です。

👩‍⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐

遺伝カウンセリングを担当。結果の説明から今後の選択肢まで、専門家が寄り添います。

💰 互助会で費用面も安心

互助会制度(8,000円)により、陽性時の確定検査(羊水検査)費用を全額補助。NIPT受検者全員に適用されます。

一人で悩まず、専門医を頼ってください

11p15微小重複症候群について詳しく知りたい方、
出生前検査を検討している方は臨床遺伝専門医にご相談ください


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よくある質問(FAQ)

Q1. 11p15微小重複症候群はどのくらいの頻度で発生しますか?

11p15微小重複症候群は非常に稀な疾患です。BWS患者全体の5%未満、SRS患者の約1%がこの重複によるものと報告されています。BWS自体が約1/13,000〜1/15,000出生、SRSが約1/50,000〜1/100,000出生であることを考えると、11p15微小重複による症例はごく稀です。

Q2. なぜ同じ重複なのに父親由来と母親由来で症状が正反対になるのですか?

ゲノムインプリンティング(刷り込み)という現象のためです。11p15領域の遺伝子は、父親から受け継いだアレルと母親から受け継いだアレルで「どちらが発現するか」が決まっています。父性重複では成長促進遺伝子(IGF2)が過剰に、母性重複では成長抑制遺伝子(CDKN1C)が過剰になるため、正反対の症状が現れます。

Q3. 11p15.4微小重複症候群との違いは何ですか?

全く異なる疾患です。11p15.5領域の重複は本記事で解説しているインプリンティング疾患(BWS/SRS様)を引き起こしますが、11p15.4領域の重複はインプリンティングの影響を受けず、肥満・知的障害・特異的顔貌を特徴とする別の症候群です。重複の位置が異なるため、症状も全く異なります。

Q4. NIPTで11p15微小重複は検出できますか?

ミネルバクリニックのNIPTでは検査対象外です。当院のNIPTで検出できる12種類の微小欠失(1p36 del, 2q33 del, 4p16 del, 5p15 del, 8q23q24 del, 9p del, 11q23q25 del, 15q11.2-q13 del, 17p11.2 del, 18p del, 18q22q23 del, 22q11.2 del)に11p15は含まれていません。確定診断には羊水検査での染色体マイクロアレイ検査(CMA)が必要です。

Q5. 子どもがこの重複を持っています。次の子にも遺伝しますか?

まず両親の検査が必要です。両親とも正常(新生突然変異)なら次子への再発リスクは1%未満です。片親が保因者なら50%の確率で重複が遺伝しますが、重要なのは親の性別によって次世代の表現型が変わることです。詳しくは遺伝カウンセリングでご相談ください。

Q6. BWS様の場合、腫瘍のリスクはどのくらいですか?

BWS全体では小児期の腫瘍発生率は約5〜10%です。最も多いのはウィルムス腫瘍(腎芽腫)肝芽腫です。11p15重複によるBWSでは、原因遺伝子型によってリスクが変動する可能性があります。8歳頃まで3か月ごとの腹部超音波検査と血清AFP測定による定期的なスクリーニングが推奨されます。

Q7. SRS様の場合、成長ホルモン治療は効果がありますか?

はい、効果が期待できます。SRS様の低身長に対しては、成長ホルモン分泌不全がなくても成長ホルモン療法による身長改善効果が報告されています。通常4歳頃から開始が検討されます。筋肉量の増加により低血糖リスクの軽減も期待できます。小児内分泌専門医と相談の上、治療方針を決定します。

Q8. 出生前診断で11p15重複が見つかりました。どう考えればいいですか?

まず両親のDNA検査で重複の親由来を特定することが重要です。父性重複ならBWS様(過成長)、母性重複ならSRS様(発育不全)の可能性が高くなります。ただし、重複の大きさや範囲によって症状の程度は様々であり、個別の予後予測には限界があります遺伝カウンセリングで詳しく情報を得た上で、ご家族で判断されることをお勧めします。

🏥 一人で悩まないでください

11p15微小重複症候群について心配なこと、検査を受けるかどうか迷っていること、
どんなことでもお気軽にご相談ください。
臨床遺伝専門医があなたとご家族に寄り添います。

参考文献



プロフィール

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科・腫瘍学を軸に、 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。 出生前診断・遺伝学的検査においては、検査結果そのものだけでなく 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年、国際誌『Global Woman Leader』および『Medical Care Review APAC』の2誌で立て続けに表紙(Cover Story)に抜擢。 「日本のヘルスケア女性リーダー10名」や「アジア太平洋地域のトップ出生前検査サービス」として、世界的な評価を確立しています。

▶ 仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

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