分子シャトル
分子シャトルとは、大環状リングが連動した分子集合体で、分子やイオンをある場所から別の場所に移動させることができる特殊な分子機械である。1991年にロタキサンと呼ばれる分子が初めて報告された。分子シャトルは典型的な分子機械である。
(引用)
ロタキサンは、ダンベル型分子が大環状分子に通された機械的に連動した分子構造をしている。ロタキサンは、ラテン語で車輪(rota)と車軸(axis)を意味する造語に由来して命名された。ロタキサンの2つの成分は、ダンベルの両端(しばしばストッパーと呼ばれる)が環の内径よりも大きいため、大環状化合物がより大きなストッパーの共役により、線状単位に沿って捕捉されている。
天然の生体分子機械を模倣して、合成分子機械が明確に定義された測定可能な仕事を行うことが証明されている。チャネルタンパク質の機能を模倣するために、脂質二重膜に挿入することができ、シャトリング運動によって受動的なイオン輸送を行う単分子伝達装置として、合成分子シャトルを開発したと報告する論文では、合成ロタキサン分子シャトルは、3つの結合ステーションを持つ両親媒性分子糸と、K+キャリアを繋ぎ止める大環状ホイール部品から構成されている。この構造特性により、ロタキサンはケーブルカーと同様に脂質二重膜を越えてイオンを輸送し、EC50値1.0μM(脂質に対して3.0mol %)でK+を輸送することができる。
この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号