DNA鎖間架橋 interstrand crosslink(ICL)
DNA鎖間架橋(interstrand crosslink;ICL)は、2つの反応基を持つ様々な内因性代謝物、環境曝露(紫外線など)、がん化学療法剤、放射線治療などによって引き起こされる。これらの多様な病変の共通の特徴は、反対側の鎖上の2つのヌクレオチドが共有結合していることである。ICLは2本のDNA鎖の分離を妨げるため、DNAの複製や転写などの重要な細胞内プロセスを阻害する。ICLは、主にS期において、DNA複製フォークがICLで停止した際に検出される。ICLの損傷シグナルと修復は、ファンコニー貧血経路とDNA修復タンパク質およびクロマチン構造タンパク質の多数の翻訳後修飾によって促進される。ICLは非複製細胞でも検出され、修復されるが、その機構はあまり明らかではない。ICL修復の特徴は、病変を完全に除去するためにDNAの両鎖を切開する必要があることである。これは、二本鎖切断を複数作らないようにするために、連続した手順で行われる。片方の鎖からICLを外すと、その隙間を埋めるように損傷乗り越えDNA合成(translesion synthesis)が行われ、ICLの残骸を持つ無傷の二本鎖DNAが作られる。2本目の鎖からの傷の除去は、ヌクレオチド切除修復によって行われると考えられる。ICLの修復が不十分な場合、特に分裂の早い細胞にとって有害であり、ファンコニー貧血に特徴的な骨髄不全や、架橋剤が癌治療に有効である理由が説明できる。ICLを引き起こす抗腫瘍薬はアルキル化薬、プラチナ薬が代表的である。
この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号
この記事の監修・執筆者:仲田 洋美
(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)
ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。
出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。
ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。
また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。
出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。
日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。