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上皮性

上皮性

上皮性(じょうひせい)とは上皮由来のという意味である。上皮(じょうひ)とは、体の組織の一つで、体の内外のあらゆる表面の被覆を形成し、体腔や中空臓器(消化管などの中が空の臓器)の表面に並んでいる腺の主要組織でもある。上皮組織は、保護、分泌、吸収など、さまざまな機能をもっている。

体内の臓器は、以下の4つの基本的なタイプの組織で構成されている。

  • 上皮
  • 結合組織(ある組織と別の組織をつなぐ組織)
  • 筋肉
  • 神経系

上皮の種類

体には、以下のようなさまざまな種類の上皮組織がある。

  • 皮膚の外側の層(表皮)
  • 腸の内壁
  • 呼吸器の内壁
  • 腹腔の内壁
  • 汗腺

上皮、内皮、中皮の違い

上皮、内皮、中皮は3種類の上皮細胞層で、内臓や体腔を覆い、皮膚の外層を形成している。上皮は一般的に、呼吸器系や消化器系など、外部環境に開かれた経路を覆っている。内皮は、血管のような、外界と通じていない完全に内部の経路を覆っている。中皮は、腹膜(腹腔)、胸膜(胸腔)、心膜(心腔)など、主要な体腔を覆っていて、漿液と呼ばれる潤滑性のある膜を分泌している。

上皮細胞とは

生物学では、細胞はそれ自体で生きることができる最小の単位である。ヒトは30兆個以上の細胞で構成されている。上皮組織は、上皮細胞で構成されている。上皮細胞の形は様々で、体のどこにあるか、どのような機能を持っているかによって、単層または多層に配列されている。

一般的に細胞は3つの主要な部分を持っている。

細胞膜
細胞膜は細胞を取り囲み、細胞の内外を出入りする物質を制御する。
細胞内の構造物で、細胞のDNA遺伝物質)の大部分が含まれている。細胞質とは核膜で隔てられる。
細胞質
細胞質は、細胞内の液体です。細胞質には、特定の機能を持つ細胞内小器官が含まれている。

上皮細胞を含むいくつかの種類の細胞は、特定の機能を果たすのに役立つ特徴を細胞の表面に持つ。

微絨毛(びじゅうもう)Microvilli
微絨毛は、上皮細胞の表面にある非運動性の指のような突き出た構造で、細胞の表面積を増やして物質の吸収をよくする働きをする。小腸の上皮細胞には数千本の微絨毛があり、栄養を吸収し、腸内細菌が入ってこないように体を守る。
繊毛(せんもう)Cilia
繊毛は、細胞表面にある小さな毛のような運動性の(みずから動くことのできる)構造で、細胞全体を動かすのに役立ち、また細胞の外表面に沿って物質を移動させることができる。繊毛を持つ細胞は通常、表面に数百本の繊毛を持っている。呼吸器を覆う上皮細胞には繊毛があり、吸い込んだほこりやその他の物質を捕らえ、肺に入らないように気道の入り口のほうに移動させる。卵巣から子宮に卵子を運ぶ卵管の上皮細胞も繊毛を持ち、線毛の動きにより卵子が運ばれる。イメージとしては運動会でチーム全員で両手をあげて大玉を転がしてゴールさせる動きで、手が線毛だと思えば丁度よい。
定位繊毛Stereocilia
定位繊毛は繊毛に似た特殊な微絨毛で、特定の上皮細胞の表面にあり、長いのが特徴である。内耳の上皮組織では、聴覚と平衡感覚を保つために立体繊毛が必要とされている。

上皮細胞の種類

上皮組織は、体のどこにあるかによって様々な機能を持つため、上皮細胞にはいくつかの種類がある。

形による上皮細胞の種類

上皮細胞の細胞自体の形状による種類には、以下がある。

  • 扁平上皮(へんぺいじょうひ):扁平でシート状の上皮細胞。
  • 立方上皮:立方体のような形をしており、幅、高さ、奥行きが均等である。
  • 円柱上皮:柱状の上皮細胞で、幅よりも高さがある。

上皮細胞の配列による種類

上皮組織には、細胞の並び方による違いもあり、以下のように分類される。

  • 単層:単層上皮とは、細胞の層が1つしかないものをさす。
  • 重層:重層上皮は、2層以上の細胞から構成される。
  • 偽重層上皮:細胞が密に並んでいて、大きさが違うので層になっているように見えるが、実際は1層の細胞で構成されている上皮。

体内の上皮細胞の以上の組み合わせによる分類

上皮細胞の形や層の種類が異なることから、上皮組織には以下のようないくつかの種類が考えられる。

  • 単層扁平上皮:血管や体腔を覆っている上皮で、下層の組織への物質の通過を制御している。
  • 単層立方上皮:腺(分泌)組織や腎臓の尿細管に多く存在する。
  • 単層柱状上皮:吸収に特化した上皮で、管腔側に繊毛や微絨毛を持つことが多い。胃や腸を覆う消化管細胞がこれに当たる。
  • 層状扁平上皮:通常、下層組織への微生物の侵入を防いだり、水分を損失することから保護するなどの保護機能を持っている。皮膚の外側の層(表皮)は、層状扁平上皮細胞である。
  • 層状立方上皮:あまり一般的ではなく、唾液腺や汗腺の排泄管に存在する。
  • 層状円柱上皮:あまり一般的ではなく、まぶたを覆う粘膜(結膜)に見られ、保護と粘液分泌の両方の機能をもつ。
  • 偽層状柱状上皮(Pseudostratified columnar epithelium):上気道を覆う上皮で、外界から侵入した異物を繊毛が多いのが特徴である。

上皮細胞の機能別分類

上皮細胞は、機能によっても分類される。

移行上皮(transitional epithelium)
移行上皮は尿路上皮とも呼ばれ、何層もの細胞から成り、引き伸ばされると平らになる。尿路の大部分を覆っており、膀胱の拡張を可能にしている。
腺上皮
物質の生成と分泌(放出)に特化しているのが腺上皮である。ホルモン、タンパク質などの物質を作り、貯蔵、放出することができる特殊な器官である腺に存在する。
嗅上皮
鼻腔内にある嗅上皮には、嗅覚受容体細胞があり、特殊な繊毛がある。この繊毛は、嗅いだにおいの分子が上皮の表面を通過する際に捕捉し、その情報が受容体から脳の嗅球に伝わることで脳がその匂いを解釈する。

上皮の役割

上皮組織には、生命維持に欠かせない重要な機能がいくつかある。上皮細胞は全身に存在するため、場所によってその機能と目的が変わる。上皮組織は、以下のいくつかの機能を1つまたは組み合わせて持つことができる。

保護
上皮組織は、体を保護する。例えば、皮膚は上皮組織でできており、血管、筋肉、骨、内臓など体の中の組織を保護する。腸管上皮細胞には繊毛があり、腸内細菌が侵入しないように体を守っている。
分泌
腺の上皮組織(腺上皮)は、酵素、ホルモン、体液を分泌(放出)することができる。
吸収
肝臓や肺などの内臓の上皮は、特定の物質の吸収を可能にすることができます。腸管管腔側上皮は食べたものから栄養を吸収する。
排泄
排泄とは、体内の老廃物を体外に排出することである。腎臓の上皮組織は血液中の老廃物や電解質、水を排泄する。皮膚にある汗腺の上皮組織は汗を排泄する。
濾過
呼吸器管の上皮は、吸い込んだ大気の汚れや粒子をろ過し、異物を除去するフィルター機能があり、肺胞に汚れが届かないようにしている。腎臓の上皮組織は、血液をろ過する。
拡散
拡散とは、分子または粒子が濃度の高い領域から濃度の低い領域へ受動的に移動することをいう。単層扁平上皮細胞は膜を形成し、主に低分子物質の選択的な拡散を可能とする。
感覚受容
上皮組織に埋め込まれた感覚神経終末により、脳は外部の感覚刺激を受け取ることができる。耳の上皮組織の表面にある定位繊毛は、聴覚と平衡感覚に不可欠である。味蕾は舌の層状扁平上皮に埋め込まれていて甘い、しょっぱいなどそれぞれの味覚刺激に応じて脳に伝える。

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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