早期胎児リンパ管拡張症
早期胎児リンパ管拡張症とは妊娠9~10週における後頚部の超音波画像診断装置でみられる透亮像(浮腫)をいう。
早期リンパ管拡張症は、胎児頭殿長CRLが28~44mmでNT>95パーセンタイルであること、または>2.2mmと定義されている。
早期胎児リンパ管拡張症の病的意義
妊娠11週13週でのNTの肥大とは対照的に、妊娠9~10週でのリンパ管拡張症(胎児水腫)または後頚部肥厚(頭殿長CRL<45mm)の意義は明確に確立されていない。一般的な常染色体トリソミーやモノソミーXのマーカーとなることが報告されているが、そのリスクの大きさは不明である。患者は通常、NIPTを提供することで管理される。超音波検査としては11~14週目に再スキャンを行うべきである。NTが拡大した場合、診断的検査(絨毛検査または羊水検査)を行うべきである。
早期胎児浮腫104例のレトロスペクティブコホート研究において、CRL28~44mmで2.2mm以上の後頚部透亮像は38.5%の症例に認められ、全身性浮腫は61.5%に認められた。染色体異常、重大な構造的異常、または遺伝学的検査なしの流産と定義される有害な妊娠転帰は、24%の症例で発生した。全体として、染色体異常は19.2パーセントの症例で確認された。10%は後頚部、25%は全身性であった。
11週から13週で超音波検査の再スキャンに至った胎児では、81.9%で浮腫が消失(<3.5mm)していた。NT <3.5mmの胎児は、NT≥3.5mmが持続する胎児よりも10.9対76.5パーセントと有害な転帰が少なかった。
参考文献
この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号