InstagramInstagram

Super elongation complex

スーパーエロンゲーションコンプレックス(Super elongation complex;SEC)は、転写の制御、特にRNA合成の伸長期において重要な役割を果たす多タンパク質複合体である。SECはRNAポリメラーゼII(RNAPII)の転写伸長を促進し、発生や分化を含む様々な細胞内プロセスに関与する遺伝子の発現を制御している。

SECはいくつかのタンパク質サブユニットで構成されており、その主要な構成要素の一つが正転写伸長因子b(P-TEFb)である。P-TEFbはサイクリン依存性キナーゼ(CDK)で、RNAPIIの最大サブユニットのC末端ドメイン(CTD)をリン酸化し、RNAPIIの転写開始期から伸長期への移行を促進する。このリン酸化イベントは、完全長RNA転写産物の効率的な合成に不可欠である。

SECに関連するタンパク質には以下のようなものがある。

  • サイクリンT1(CycT1): CDK9と複合体を形成するP-TEFbの制御サブユニット。
  • サイクリンT2(CycT2): CDK9と複合体を形成するサイクリンTの別のアイソフォーム。
  • AFF(AF4/FMR2ファミリー)タンパク質(AF4など): これらのタンパク質はSECの重要な構成要素であり、その機能的多様性に寄与している。
  • ENL(Eleven Nineteen Lysine-rich Leukemia): ENLはSECのもう一つの構成要素であり、遺伝子発現の制御に関与している。
  • EAF(ELL関連因子)タンパク質(EAF1、EAF2など): これらのタンパク質は、伸長因子ELL(Eleven Nineteen Lysine-rich Leukemia)と相互作用し、SECの一部となっている。

SECは、細胞の分化と発生に重要な遺伝子の発現を制御することが知られている。SEC構成因子の調節異常は、ある種の白血病を含む様々な疾患と関連している。スーパーエロンゲーションコンプレックスの分子メカニズムを理解することで、遺伝子発現の制御に関する洞察が得られ、転写調節不全に関連する疾患の治療標的となりうる。

Super elongation complexに属する遺伝子

AFF1
AFF2
AFF3
AFF4
ELL
ELL2
ELL3
MLLT1
MLLT3

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

プロフィール

さらに詳しいプロフィールはこちら

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

お電話での受付可能
診療時間
午前 10:00~14:00
(最終受付13:30)
午後 16:00~20:00
(最終受付19:30)
休診 火曜・水曜

休診日・不定休について

クレジットカードのご利用について

publicブログバナー
 
medicalブログバナー
 
NIPTトップページへ遷移