目次
この記事では、家族歴がなぜ重要であるのかを詳しく解説します。特にがんや遺伝性疾患のリスク評価において、家族歴がどのように活用されるのか、また、その情報が個人の健康管理や予防対策にどのように役立つのかを掘り下げます。
第1章: 家族歴とは
家族歴の定義とその重要性
家族歴(かぞくれき)は、医療の文脈で使用される用語で、個人の親族や同居者の過去および現在の健康状態、特に治療中の病気や既往歴(過去に罹患した病気)に関する情報を指します[1]。この情報は、遺伝性疾患や感染症など、家族間で伝わる可能性のある健康問題を理解するために重要です。また、患者の医療背景を把握し、適切な治療方針を立てる際にも参考にされます[1]。
● 家族歴の重要性
1. 遺伝性疾患のリスク評価:
家族歴は、特定の遺伝性疾患のリスクを評価する上で重要な手がかりとなります。例えば、特定のがんや心臓病、糖尿病などが家族に多い場合、遺伝的要因が関与している可能性があります[9]。
2. 疾患の早期発見と予防:
家族歴を知ることで、未発症の個人が高リスクであると識別され、早期のスクリーニングや予防措置を講じることが可能になります。これにより、疾患の早期発見や予防が容易になり、治療成績の向上に寄与することが期待されます[9][12]。
3. 治療計画の最適化:
患者の家族歴を考慮することで、個々の患者に最適な治療計画を立てることができます。遺伝的要因や家族内での疾患の傾向を理解することは、治療の選択肢を適切に絞り込むのに役立ちます[4]。
4. 遺伝カウンセリングの提供:
家族歴の詳細な把握は、遺伝カウンセリングの過程で重要です。遺伝カウンセラーや医師は、家族歴を基に個人やその家族が将来的に直面するかもしれない健康リスクを評価し、遺伝的検査の適用やその他の予防策についてアドバイスを提供します[4][9]。
● 家族歴の記録方法
家族歴の記録には、国際標準となっている家系図記載法が用いられることが望ましいです。これにより、記載者以外の医療関係者も家系情報を正確に理解しやすくなり、包括的な医療提供に役立ちます[4]。家系図では、生物学的な両親、子ども、孫などを記載し、世代ごとに詳細な健康情報を加えることが一般的です。
家族歴は、個人の健康管理だけでなく、公衆衛生の観点からも重要な情報源です。遺伝的要因と環境要因の両方を考慮に入れた疾病予防策の策定には、正確な家族歴の把握が不可欠です[9][12]。
- 参考文献・出典
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[6] www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-repairing-history/
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[8] www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2012/PA02989_04
[9] www.ilacy.jp/healthcare/post_200124.html
[10] www.jstage.jst.go.jp/article/jsft/1/2/1_48/_pdf/-char/en
[11] gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/20/120400009/031800045/?ST=m_bodycare
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家族歴情報の収集方法と記載の詳細
家族歴情報の収集と記載は、医療分野において重要な役割を果たします。家族歴は、患者の健康状態や遺伝的リスクを理解するための重要な情報源であり、適切な診断、治療計画の立案、予防策の提案に役立ちます。
● 家族歴情報の収集方法
1. 問診による収集:
– 患者や家族から直接、遺伝的な疾患や慢性病に関する情報を聞き取ります。これには、特定の疾患に罹患している家族成員の特定、疾患の種類、発症年齢などが含まれます[1][3][15].
2. 家系図の作成:
– 家族の健康状態や遺伝的なつながりを視覚的に表現するために家系図を作成します。これには、性別、生年月日、疾患の有無、死亡年齢などの情報が記載されます[4][5].
3. 遺伝カウンセリング:
– 遺伝カウンセラーが患者や家族との面談を通じて、遺伝的リスクや家族歴に基づいたリスク評価を行います。このプロセスでは、家族歴の詳細な聴取が行われ、必要に応じて遺伝子検査が提案されることもあります[15].
● 家族歴の記載方法
1. 標準化された記載法:
– 家族歴の記載には、国際標準の記載法を用いることが推奨されています。これにより、記載者以外の医療従事者も情報を正確に理解しやすくなります[5].
2. 記号の使用:
– 家系図においては、男性を四角(□)、女性を円(○)、性別不明を菱形(◇)で表し、各個人の下に生年月日や疾患情報を記載します。疾患がある場合は、該当する記号を塗りつぶし、詳細は欄外に記載します[4][5].
3. デジタルツールの利用:
– 電子健康記録(EHR)システム内で家族歴を管理し、更新することで、情報の正確性を保ち、容易にアクセス可能にします[1].
4. プライバシーの保護:
– 家族歴の収集と記載の際には、患者および家族のプライバシーを尊重し、倫理的なガイドラインに従うことが重要です[1].
家族歴の収集と記載は、患者の健康管理と疾病予防において不可欠です。これにより、遺伝的なリスクが高い患者に対して早期の介入や予防策を提供することが可能になります。
- 参考文献・出典
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[10] www.ilacy.jp/healthcare/post_200124.html
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[14] capsychnurs.jp/gl/qa/cq04/
[15] johboc.jp/guidebook_g2022/q13/
第2章: 家族歴の臨床での利用
疾患リスクの評価における家族歴の役割
家族歴は、多くの疾患のリスク評価において重要な要素です。特定の病気が家族内で発生している場合、その病気を発症する遺伝的な傾向がある可能性が高まります。以下に、家族歴が疾患リスク評価にどのように役立つかについて詳しく説明します。
● 家族歴の重要性
1. 遺伝的リスクの識別:
家族歴は、特定の遺伝性疾患のリスクを識別するのに役立ちます。例えば、家族内に特定のがんや心疾患の既往がある場合、遺伝的要因が関与している可能性があります[1][7][13][15].
2. リスク評価の精度向上:
家族歴を考慮することで、個人の疾患リスクをより正確に評価することが可能になります。これは、遺伝的要因だけでなく、共有される生活環境や習慣も考慮に入れるためです[1][7][19].
3. 予防策とスクリーニングの最適化:
家族歴がある個人は、疾患の早期発見と予防のために、より積極的なスクリーニングや予防策を取ることが推奨されます。例えば、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)のリスクがある場合、定期的なスクリーニングが有効です[17][18].
● 家族歴の具体的な例
– 心疾患:
家族内で心疾患の既往がある場合、その家族メンバーは心疾患を発症するリスクが高まります。特に、若年で心疾患を発症した家族がいる場合、リスクはさらに高くなります[13].
– がん:
特定のがんが家族内で報告されている場合、同じ種類のがんを発症するリスクが高まることが知られています。例えば、乳がんや卵巣がんの家族歴がある女性は、これらのがんを発症する可能性が高くなります[17][18].
– 認知症:
アルツハイマー病のような認知症の家族歴がある場合、同様の疾患を発症するリスクが増加します。家族内に複数の患者がいる場合、リスクはさらに高くなります[16].
● 結論
家族歴は、遺伝的リスクの評価、リスク管理、予防策の計画において重要な役割を果たします。遺伝カウンセリングや遺伝子検査と組み合わせることで、個々のリスクをより正確に把握し、適切な予防策を講じることが可能になります[14].
- 参考文献・出典
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[10] epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/340.html
[11] www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/heredity/relationship.html
[12] www.bangkokhearthospital.com/ja/content/polygenic-risk-score-in-cardiovascular-diseases
[13] diamond.jp/articles/-/170509
[14] johboc.jp/guidebook_g2022/q13/
[15] cancerinfo.tri-kobe.org/summary/detail_view?pdqID=CDR0000062865
家族歴を利用した個別化医療の例
家族歴を利用した個別化医療は、個人の遺伝的背景と家族内での疾患の発生パターンを考慮に入れた医療アプローチです。以下に、家族歴を活用した個別化医療の具体的な例を挙げます。
● 遺伝性がんのリスク評価
遺伝性がんのリスク評価では、個人の病歴や家族歴を基に、がんの早期発見や予防に役立つ個別化がん検診プランを検討します。例えば、コニカミノルタのAmbry CARE Program®は、遺伝性腫瘍のリスク評価を行い、個別化がん検診プランの検討に役立てるサービスです。このプログラムでは、問診や遺伝学的検査から遺伝性がんのリスクを評価し、病歴や家族歴、遺伝子の情報をもとにがん検診プランを提案します[6]。
● がんゲノム医療
がんゲノム医療では、がんの原因となる遺伝子の変化に基づいて診断・治療を行います。家族歴を含む患者の遺伝子情報を解析し、個々のがんに対応した治療方針を決定するためのエキスパートパネルによる総合的な検討が行われます。このアプローチにより、遺伝子の変化に対応する薬剤を選択し、個別化された治療を提供することが可能になります[5]。
● 家族性高コレステロール血症の遺伝情報提供
東北メディカル・メガバンク機構では、家族性高コレステロール血症に関する遺伝情報を提供し、その追跡調査を実施しています。この事業では、家族歴をもとにした遺伝情報を活用し、脂質異常症の既往歴がある個人に対して、個別化された予防策や治療計画を提案しています[7]。
● 単一遺伝子異常による糖尿病の個別化医療
単一遺伝子異常による糖尿病(MODY)は、3世代以上にわたる糖尿病家族歴を有することが多いですが、家族歴がない孤発例も報告されています。このような症例では、家族歴を含む遺伝的情報を基にした個別化医療が行われます[8]。
これらの例からわかるように、家族歴は個別化医療において重要な役割を果たし、遺伝的リスクの評価や治療計画の策定において有用な情報となります。
第3章: 家族歴と遺伝性疾患
遺伝性が疑われる疾患と家族歴の関連
遺伝性が疑われる疾患と家族歴の関連については、多くの研究が示しています。家族歴は、特定の疾患が家族内で共有される遺伝的要因や生活環境の影響を反映しており、疾患のリスク評価において重要な情報源となります。
● 遺伝性疾患のリスクと家族歴
遺伝性疾患は、家族内での疾患の発生パターンからリスクを評価することができます。例えば、家族内で複数の人が特定の疾患に罹患している場合、その疾患の発症に関連した「家系」と表現されることがあります[4]。遺伝子の変異によって引き起こされる疾患は家族の複数の人に影響を与える場合があり、これは遺伝する可能性があります。しかし、疾患によってはある家系で発症が見られたとしても、それが単一の遺伝子の変異を原因としているわけではないこともあります。食生活や汚染物質などの環境要因によって引き起こされている場合や、遺伝要因と環境要因を含めた複合的な要因によって引き起こされている場合もあります[4]。
● 家族歴の重要性
家族歴は、心臓病や高血圧、脳卒中、特定のがん、2型糖尿病などの一般的な疾患の発症リスクが通常よりも高いかを特定する手がかりにもなります[12]。これらの疾患は、遺伝的要因・環境要因・生活スタイルの組み合わせに影響を受けて発症することがわかっています。家族歴は、嚢胞性線維症や鎌状赤血球症など、単一遺伝子の変異によって引き起こされるまれな疾患のリスクについても知ることができます[12]。
● 特定のがんと家族歴
特定のがんに関しては、家族歴がその後のがん罹患リスクの上昇と関連していることが示されています。例えば、非喫煙者でのみ、膵臓がん家族歴のある人で膵臓がん罹患リスクの上昇がみられることが報告されています[15]。これは、喫煙の影響よりも、家族性膵臓がんの影響が強いことを反映している可能性があります[15]。
● 遺伝カウンセリングと家族歴
遺伝カウンセリングでは、遺伝性のがんの可能性があるかどうかを評価するために、家族の病歴(「家族歴」と呼ばれる)を専門家と共有し整理することが大切です[11]。血縁者に遺伝性のがんに特徴的な傾向がみられる場合を「家族歴がある」と表現し、遺伝カウンセリングで家族の病歴を尋ねられることは、遺伝性のがんの診断や家族の健康管理に役立てるための情報を提供する目的があります[11]。
● 総合的なリスク評価
遺伝性疾患のリスク評価においては、家族歴だけでなく、個人の生活習慣や環境要因も考慮する必要があります。家族歴を知ることは、自分自身の将来の病気の予防策につながり、特定のがんのリスクが高い人に対しては、より早い年齢からのより頻繁な検診を勧めることがあります[12]。また、健康的な食生活、定期的な運動、禁煙などライフスタイルの改善は、心臓病やその他の一般的な病気にかかるリスクの低下につながります[12]。
- 参考文献・出典
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[5] ganjoho.jp/public/cancer/hereditary_tumors/index.html
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[15] epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8402.html
家族歴に基づく遺伝カウンセリングとスクリーニング
遺伝カウンセリングは、個人や家族が遺伝的リスクを理解し、それに対処するための専門的な支援を受けるプロセスです。家族歴は、遺伝的リスクの評価において重要な要素であり、遺伝カウンセリングの中核的な部分を成しています。家族歴に基づく遺伝カウンセリングでは、家族内での疾患の発生パターンを詳細に調査し、遺伝的なリスクを評価します[1][6][10][16][17][18][19][20]。
遺伝カウンセリングのプロセスには、以下のステップが含まれます:
1. 家族歴と情報収集:
– 家族歴の収集は、遺伝的リスクのパターンを理解し、個人や家族のリスクを評価するために使用されます。
– カウンセラーは患者の病歴や家族歴に基づいて、遺伝的リスクの詳細な評価を行います[6].
2. 遺伝的リスクの評価:
– 遺伝カウンセリングでは、疾患の遺伝学的関与についての教育、インフォームド・チョイス(十分な情報を得た上での自律的選択)、およびリスクや状況への適応を促進するためのカウンセリングが含まれます[1][10].
3. 教育とサポート:
– 遺伝カウンセリングでは、遺伝現象、検査、マネージメント、予防、資源および研究についての教育が行われます[1][10].
– クライエントが本来持ち合わせている自己実現の潜在的な成長力を引き出す手助けをすることも目的の一つです[1].
4. スクリーニング:
– 遺伝カウンセリングの一環として、遺伝子検査やスクリーニングが提案されることがあります。
– これにより、特定の遺伝的変異やリスク因子が特定され、遺伝的リスクの評価や特定の遺伝的条件に対する診断に不可欠です[6].
遺伝カウンセリングは、遺伝子に関連する健康問題に対処するために重要なサービスであり、遺伝学と医学の進歩によりますます重要性が増しています[6]. また、遺伝カウンセリングは、遺伝子スクリーニングと遺伝情報のプライバシーに関する問題にも対応しており、個人の遺伝情報を知る権利、知らない権利、知らせない権利を尊重します[7].
遺伝カウンセリングの担い手は、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー、遺伝専門看護師などが含まれ、クライエントの真の主訴を理解し、共感的な態度で理解し寄り添うことが重要です[1][16][17][18][19][20].
- 参考文献・出典
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第4章: 家族歴の記録の重要性
正確な家族歴の記録のためのガイドライン
家族歴の記録は、遺伝性疾患や感染症などのリスク評価、患者の健康管理、適切な治療方針の立案において重要な役割を果たします。正確な家族歴の記録に関するガイドラインを以下に示します。
● 家族歴の収集
1. 家族歴の定義と範囲の明確化:
– 家族歴は、患者の直系親族および同居者の既往症、治療中の病気、健康状態に関する情報を含みます。
– 記録する範囲は、通常、両親、兄弟姉妹、子供に限定されますが、疾患によっては祖父母や叔父叔母などの遠縁の親族の情報も必要になる場合があります。
2. 詳細な情報の収集:
– 疾患の種類、発症年齢、治療の有無、疾患の進行状況、死亡した場合は死因など、具体的な情報を収集します。
3. 遺伝的要因の考慮:
– 遺伝性疾患の可能性がある場合は、家族内での疾患の発生パターンや遺伝子検査の結果なども記録します。
● 家族歴の記録
1. 標準化された記録方法:
– 家族歴は、標準化されたフォーマットやチェックリストを使用して記録することが推奨されます。
2. プライバシーの保護:
– 家族の健康情報は個人情報にあたるため、プライバシー保護のための適切な措置を講じます。
3. 定期的な更新:
– 家族歴は、患者の状態の変化や新たな情報が得られた場合には、定期的に更新する必要があります。
● 家族歴の活用
1. リスク評価:
– 収集した家族歴をもとに、患者の遺伝的リスクや家族内での疾患の発生傾向を評価します。
2. 治療方針の決定:
– 家族歴は、予防策や治療方針の決定において重要な情報源となります。
3. 患者および家族への教育:
– 家族歴をもとに、患者およびその家族に対して、遺伝的リスクや健康管理に関する教育を行います。
● ガイドラインの遵守
「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」においては、医療・介護関係事業者が個人情報を適切に取り扱うための基本的な考え方や具体的な措置を定めており、厚生労働省によって制定されています。
このガイドラインは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)を踏まえ、医療・介護関係事業者が実務に当たる際の留意点や事例をまとめたものであり、個人情報の取得、利用、保管、第三者提供などに関する具体的な指針を提供しています。また、医療・介護関係事業者には、患者や利用者から提供される個人情報を良質かつ適切な医療・介護サービスの提供のために最善の努力を行うことが求められています。
ガイドラインは、医療・介護関係事業者に対して、個人情報の適切な取扱いに関する法令上の義務を負う事業者が遵守しない場合には、厚生労働大臣が「勧告」や「命令」を行うことができると規定しています。また、個人情報取扱事業者としての義務を負わない小規模事業者にも、本ガイドラインを遵守する努力を求めています。ガイドラインの対象となる個人情報は、生存する個人に関する情報に限定されており、医療・介護関係事業者が保有する生存する個人に関する情報のうち、医療・介護サービスの提供に関連する情報が含まれます。患者や利用者が死亡した後も、医療・介護関係事業者が情報を保存している場合には、漏えい、滅失、または毀損の防止のために個人情報と同等の安全管理措置を講じることが求められています。
- 参考文献・出典
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家系図の作成とその活用方法
遺伝性疾患の診療および遺伝カウンセリングでは、家族歴の聴取が非常に重要です。この情報は正確な診断や治療の助けとなり、患者だけでなくその家族の発症や予後を推定する手がかりとなることから、発症前診断や発症予防につながる場合があります。また、どの家族メンバーにどのような情報を提供し、心理社会的サポートをどう実施するかを検討することも可能です。
遺伝性疾患の記録には、国際ルールに従った家系図記載法を用いることが推奨されます。[1] これにより、関連職種間での正確な情報共有が可能となり、共通の理解が促進されます。特に遺伝性疾患を扱う場合には、少なくとも3世代にわたる詳細な家系図が求められます。これには、各個人の症状の発症年齢やその特徴が含まれます。
家族の状況は経年と共に変化するため、家系図の内容の確認と更新も定期的に行う必要があります。また、正確で有用な情報収集を促進するために、患者や家族が答えやすい方法で症状や歴史を尋ねる工夫が必要です。クライエントの遺伝的疾患の歴史や遺伝的関連性についての知識や認識を確認しながらカウンセリングを進めることも重要です。
現代の遺伝学的検査に基づく治療選択の文脈では、特定の遺伝性疾患に関する留意点を提供することが求められます。これにより、患者および家族は、適切な予防策や治療オプションを選択するための情報に基づいた意思決定が可能となります。
家系図は遺伝学的評価や遺伝カウンセリングにおいて非常に重要なツールです。家系図は、家族内の遺伝的関係を視覚的に表現することで、特定の遺伝性疾患のパターンを識別しやすくします。以下に、家系図の作成方法と記号の意味を具体的に説明します。
● 家系図の基本的な記号とその意味
1. 性別の記号
– 男性: 正方形(□)
– 女性: 円(○)
– 性別不明: 菱形(◇)
2. その他の記載
– 生年または年齢は、記号の下に記載。
– 罹患者は記号を黒く塗りつぶし、疾患の詳細は欄外に記載。
– 既死亡者は記号の右上から左下へ斜線を引き、死亡年齢は「d.」として記号下に記載。
– 妊娠中の胎児は対応する性別の記号に「P」と記入し、在胎週数や最終月経日を記載。
– 発端者(proband)は記号左下に「P↗」を記載。
– 来談者(クライエント)は記号左下に矢印「↗」を記載。
– 流産や妊娠中絶は小さな三角形(△)で示し、中絶は記号に斜線を引く。
3. 家族関係の記号
– 配偶者間は横線で結び、同胞間も横線で結ぶ。
– 血族婚は配偶者間を二重線で結ぶ。
– 離婚は配偶者間の線を「//」で区切る。
– 男性を女性の左に、同胞は出生順に左から右に記載。
このような記載法により、遺伝性疾患のパターン、家族内の関連性、リスクが発症する可能性がある家族メンバーを識別することが可能になります。遺伝カウンセリングや医療の文脈でこの情報は、疾患の予防、管理、治療戦略の計画に不可欠です。
- 参考文献・出典
- [1] pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18792771/
第5章: 家族歴に基づく予防戦略
家族歴から見る生活習慣病の予防
家族歴は、生活習慣病のリスクを評価する上で重要な情報源です。心筋梗塞や脳卒中などの心疾患、高血圧、糖尿病、特定のがんなど、多くの疾患は遺伝的要因と環境要因の両方が関与して発症します[1][3][5][6][7][8][10][11][12][13][14][16][17][18][19][20]。
家族にこれらの疾患の既往がある場合、本人も同様の疾患を発症するリスクが高まる可能性があります。例えば、心筋梗塞や脳卒中には家族歴があると、本人が脳・心疾患を起こす確率が2~4倍に上昇し、近親者が45歳以下で発症している場合は、本人が55歳までに心疾患を発症する確率が6.7~11.4倍にもなると報告されています[1]。
遺伝的リスクがある場合でも、運動は脳・心疾患リスクを下げる効果があるとされ、特に心肺持久力が高い人は、心肺持久力が低い人より冠動脈疾患リスクが49%、心房細動リスクが60%低下するとの研究結果があります[1]。また、高血圧は生活習慣の修正によって予防できるだけでなく、降圧作用や降圧薬の増強効果も証明されています[2]。
脳卒中においても、遺伝的素因と生活習慣の両方が関与しており、遺伝的素因が強い人が喫煙や運動不足などの生活習慣病を持っている場合、脳卒中リスクがより高くなると考えられます[3]。家族歴が脳卒中発症のリスクに与える影響は、家族に脳卒中の人がいる場合、自身も脳卒中を発症する可能性が高くなるとされています[3]。
生活習慣病の予防には、生活習慣の改善が重要です。具体的には、適切な食習慣、定期的な運動、禁煙、適正な体重の維持などが挙げられます[3][5][6][7][8][10][11][12][13][14][16][17][18][19][20]。家族歴を知ることで、自分自身の将来の病気の予防策につながり、医療者は特定のがんのリスクが高い人に対しては、より早い年齢からのより頻繁な検診を勧めることがあります[16]。
したがって、家族歴を把握し、それに基づいた生活習慣の改善と定期的な健康診断を行うことが、生活習慣病の予防には不可欠です。
- 参考文献・出典
-
[1] diamond.jp/articles/-/170509
[2] kai-clinic.net/explanation/high06/
[3] noureha-nagoya.jp/stroke-cause-genetics/
[4] www.chcrr.org/ja/health-topic/heart-diseases/
[5] www.tyojyu.or.jp/net/byouki/kyoketsuseisinsikkan/yobou.html
[6] www.keiro.org/jp/fact-sheet/heart-health-j
[7] epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/340.html
[8] www.takeda.co.jp/patients/hypertension/qa106.html
[9] www.healthcare.omron.co.jp/cardiovascular-health/hypertension/column/reduce-stress-and-control-hypertension.html
[10] cureapp.co.jp/productsite/ht/media/tips/heredity.html
[11] sph.med.kyoto-u.ac.jp/gccrc/pdf/manga_kazokureki_201608.pdf
[12] www.jpnsh.jp/data/jsh2014/jsh2014_gen.pdf
[13] www.kokuho-kumamoto.or.jp/kiji003156/3_156_shiryou1_3k6r37p2.pdf
[14] www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/55/3/55_3_185/_pdf/-char/ja
[15] www.kateigaho.com/article/detail/164846
[16] genetics.qlife.jp/tutorials/Inheriting-Genetic-Conditions/Why-is-it-important-to-know-my-family-medical-history
[17] www.tsukuba.ac.jp/journal/images/pdf/20200731sugiyama-1.pdf
[18] dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/080/080/01.html
[19] www.nhk.or.jp/kenko/special/stroke/sp_1.html
[20] gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/20/120400009/031800045/?ST=m_bodycare
家族歴を考慮した健康管理と生活習慣の改善
家族歴は、遺伝的な要因や共有される生活環境の影響を反映しており、個人の健康管理や生活習慣の改善において重要な役割を果たします。家族内で特定の疾患が多く見られる場合、それは遺伝的なリスクの可能性を示唆していることがあります。このため、家族歴を考慮に入れた健康管理と生活習慣の改善は、疾患の予防及び早期発見に寄与することができます。
● 家族歴の重要性
家族歴は、がん、心疾患、糖尿病、認知症などの疾患のリスクを評価する際に考慮されるべき重要な要素です。例えば、膵臓がんや乳がん、脳卒中などは家族歴がリスク因子として知られています[4][5][17][18]。家族内でこれらの疾患が複数回発生している場合、遺伝的な要因が関与している可能性が高いため、遺伝カウンセリングや遺伝子検査を受けることが推奨されることがあります[20]。
● 生活習慣の改善
家族歴を踏まえた生活習慣の改善は、疾患の予防に直接的に寄与します。例えば、心疾患の家族歴がある場合、食生活の改善、定期的な運動、ストレス管理が特に重要です。また、糖尿病の家族歴がある場合は、体重管理と健康的な食事が予防に効果的です[1][14]。
● 定期的な健康診断
家族歴がある疾患に対しては、定期的な健康診断を受けることが推奨されます。特定のがんのスクリーニングや、心疾患、糖尿病のリスクを評価する検査が含まれることが多いです[14]。これにより、疾患の早期発見と早期治療が可能となり、予後の改善につながります。
● 教育と啓発
家族歴を理解することは、自己管理能力を高めるためにも重要です。医療提供者は、患者及びその家族に対して、遺伝的リスクや生活習慣の改善方法について教育と啓発を行うべきです[14][20]。これにより、患者自身が積極的に健康管理を行う意識が高まります。
● まとめ
家族歴を考慮に入れた健康管理と生活習慣の改善は、遺伝的リスクが高い個人にとって特に重要です。適切なスクリーニング、予防策の実施、そして生活習慣の見直しにより、疾患の予防及び早期発見が可能となり、健康な生活を送るための大きな一歩となります。
- 参考文献・出典
-
[1] www.mhlw.go.jp/content/12400000/000847379.pdf
[2] www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ksqi-att/2r9852000002kswh.pdf
[3] www.niph.go.jp/soshiki/jinzai/koroshoshiryo/tokutei30/S2-2-1.pdf
[4] www.m-satellite.jp/suizou_hp/risk/kazokureki.html
[5] noureha-nagoya.jp/stroke-cause-genetics/
[6] www.jspho.org/pdf/journal/li-fraumeni/li-fraumeni_2.pdf
[7] www.mhlw.go.jp/content/12000000/000809908.pdf
[8] kenko.sawai.co.jp/theme/202207.html
[9] www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat420/r36/
[10] www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf
[11] jbcs.xsrv.jp/guideline/2022/e_index/s5/
[12] www.mhlw.go.jp/content/12300000/001149870.pdf
[13] kcmc.kanagawa-pho.jp/department/genetics.html
[14] www.ijyu-kenpo.jp/health/h06.html
[15] www.ilacy.jp/healthcare/post_200124.html
[16] www.kokansetu.or.jp/personal/hpjclumn.php?no=69
[17] epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/289.html
[18] jbcs.xsrv.jp/guideline/2022/e_index/bq13/
[19] terasaki-nsc.com/blog/514/
[20] johboc.jp/guidebook_g2022/q13/