InstagramInstagram

奇形(きけい) deformity, malformation

内反尖足と呼ばれる足の奇形をもつ新生児

奇形(きけい)とは、生物が先天的に外表上の異常、つまり「目で見てわかる異常」(形態異常)を持っていることをいい、英語ではdistortion, deformity, anomaly, deformation, monstrosity, abnormality, malformationなどがこれに該当します。

奇形とは、生物の発生過程で遺伝的あるいは非遺伝的要因によって、器官、器官の一部、または器官系に生じる形態的異常を指します[5]。これには、後天的な外傷による欠損は含まれませんが、再生時の異常などが含まれることがあります。奇形は、生まれたときから存在する身体的な異常、つまり先天的な異常としても理解されています[8]。

日本では、奇形という用語について、学術的に定義が曖昧もしくは不正確である、または患者や家族の尊厳を傷つける可能性があるため、用語の置き換えが検討されています[2]。例えば、「先天性心血管奇形」は「先天性心血管疾患」に、「Arnold-Chiari奇形」は「Arnold-Chiari病」に置き換える提案がされています。このような置き換えは、医学的な正確さを保ちつつ、患者や家族の心情に配慮するためのものです。

先天奇形は、乳児死亡の主要な原因であり、特に診断未定の多発奇形や発達遅滞症例は、医療や家族にとって大きな負担となっています[3]。奇形の原因は多岐にわたり、遺伝的要因が関与していることが多いですが、環境因子や催奇形因子による影響もあります[1]。診断技術の向上により、新たな検査方法が開発されており、例えばNIPT(新型出生前診断)は、妊娠10週以降から実施可能な高感度の非確定的検査として注目されています[1]。

奇形の治療には、対象療法が中心となり、包括的な医療管理や療育が必要です。また、遺伝カウンセリングによる次子での再発可能性の評価も重要な要素となっています[3]。

奇形を持って生まれる子供の割合については、一般的には新生児の約3%から5%が何らかの先天異常を持って生まれるとされています。

distortion, deformity, anomaly, deformation, monstrosity, abnormality, malformationの違い

「distortion」、「deformity」、「anomaly」、「deformation」、「monstrosity」、「abnormality」、「malformation」という用語は、それぞれ異なる医学的または一般的な意味合いを持っています。これらの用語は、特に医学分野で使われる際には、異なる状態や症状を指し示すために用いられます。

1. distortion (歪み)
一般的には「歪み」や「ねじれ」と訳され、本来の形や構造が正常から逸脱して変形している状態を指します。

2. deformity (変形)
「変形」と訳され、身体の一部が通常とは異なる形状をしていることを指します。この用語は先天的なものや事故によるものなど、多様な原因による身体の形状の変化を含みます[1][4][5].

3. anomaly (異常)
「異常」と訳され、通常とは異なる状態を指し、特に先天的な異常を指すことが多いです。これには身体的な特徴だけでなく、機能的な側面も含まれることがあります[1][2][4].

4. deformation (変形)
これも「変形」と訳されますが、こちらは特に外力による物理的な変形や、成長過程での異常などが原因で起こる変形を指すことがあります[1][5].

5. monstrosity (奇形)
「奇形」と訳され、非常に異常または極端な変形を伴う状態を指します。この用語は過去には使われていましたが、現在では差別的な響きがあるため使用を避ける動きがあります[1][4].

6. abnormality (異常)
「異常」と訳され、何らかの標準や期待からの逸脱を指します。これは身体的な特徴だけでなく、生理的、遺伝的な特徴にも用いられることがあります[1][5].

7. malformation (形成異常)
「形成異常」と訳され、特に発生学的な観点から見たときに、正常な発達過程が何らかの原因で妨げられ、結果として正常でない形状が形成される状態を指します[1][4][5].

これらの用語は、それぞれ異なるニュアンスや医学的な文脈において使い分けられるため、正確な使用を心がけることが重要です。特に医学用語としての使用においては、患者の尊厳を損なわないよう配慮が求められます[1].

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

お電話での受付可能
診療時間
午前 10:00~14:00
(最終受付13:30)
午後 16:00~20:00
(最終受付19:30)
休診 火曜・水曜

休診日・不定休について

クレジットカードのご利用について

publicブログバナー
 
medicalブログバナー
 
NIPTトップページへ遷移