インヒビンとは?
インヒビンは、哺乳類の生殖機能において重要な役割を果たすホルモンで、卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を特異的に抑制することで知られています。雌では卵巣の顆粒膜細胞から、雄ではセルトリ細胞から分泌される糖タンパク質ホルモンです[7][9]。インヒビンはTGF-βスーパーファミリーに属し、その分子量は約32,000です[5]。
インヒビンは、FSHによってその合成と放出が促進されるとともに、FSHの分泌を抑制することで、卵胞の数や排卵数の調節に関与しています[8][12]。また、インヒビンはアクチビンのアンタゴニストとして機能し、脳下垂体性腺刺激ホルモン分泌細胞におけるアクチビンの作用を抑制することが考えられています[1]。
インヒビンの分泌は性周期や妊娠によって変化し、生殖医療における補助診断への応用が期待されています[10]。インヒビンの研究は、生殖機能の理解を深めるだけでなく、不妊治療などの臨床応用においても重要な意味を持っています。
インヒビンAとは?
InhibinAは、インヒビンAは2種類のインヒビンのうちの1つです。インヒビンAは卵胞と黄体から分泌され、インヒビンBは発育途上の卵胞から分泌されます。インヒビンの2つの形態は、月経周期中にレベルが変動します。インヒビンの血中濃度の異常は、男性と女性の様々な身体条件示唆しています。
例えば妊婦の血中血清中のインヒビンAの高レベルは、胎児がダウン症の可能性があることを示しており、インヒビンAは、妊娠第2三半期(中期)のダウン症のための母親血清を用いたスクリーニング検査(母体血清マーカー検査、クアトロテスト)の一部となっています。
インヒビンの血中濃度上昇はまた、顆粒膜細胞腫瘍、上皮性腫瘍のマーカーとして使用されています。
インヒビンAの正常値とは?
インヒビンAの血中濃度は女性か男性か、閉経前か後かで異なります。
男性の場合:年齢を問わず< 2pg/ml
閉経前の女性の場合: < 97.5 pg/ml
閉経後の女性の場合: < 2.1 pg/ml
が正常値です。