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今さら聞けないプロテオミクスとプロテオームの違い:基本から最新技術まで徹底解説

今さら聞けないプロテオミクスプロテオームの違い:基本から最新技術まで徹底解説

第1章 プロテオミクスとプロテオームの基礎知識

プロテオミクスとは

プロテオミクスは、生体内に存在する全てのタンパク質、すなわちプロテオームの網羅的な解析を指します。この分野は、タンパク質が生命現象の担い手であるという理解に基づいており、生体のその時々の状態を詳細に調べることを目的としています[3]。

プロテオミクスの語源は、ギリシャ語の「proteios」から来ており、「第一人者となるもの・最重要なもの」という意味があります。また、「プロテオミクス」という言葉自体は、「タンパク質」を意味する「protein」と、網羅的な解析を意味する接尾辞「-omics」を組み合わせた造語です。ここでの「-omics」は、ラテン語の「すべて・完全」などを意味する接尾辞「ome」と「学問」を意味する接尾辞「-ics」から成り立っています。

タンパク質は遺伝子の情報に基づいて生合成され、生体の様々な状況の変化に応じてその都度作られます。そのため、その時々で身体の中で働いているタンパク質は変化し、これらのタンパク質を網羅的に観察することで、その時の身体の状態を知ることができます[3]。

プロテオミクスは、タンパク質の発現解析、修飾、相互作用、構造などを含む多面的な研究を行い、疾患の診断、治療のターゲットの同定、生物学的なメカニズムの解明などに応用されます。近年では、AI技術の進歩により、プロテオミクスデータの解析がさらに進化しています。例えば、AIを用いてプロテオミクス(二次元電気泳動)画像データを読み解くことにより、疾患の診断に成功するなどの進展が見られています[3]。

プロテオミクスの技術としては、二次元電気泳動法や質量分析法が一般的に使用されますが、これらの方法には限界もあり、特定のパスウェイや機能的に定義されるタンパク質集団をすべて観察することは難しいとされています[1]。そのため、プロテオーム解析のデータ解釈には特別な意識が必要であり、既存の生物学にとらわれずに、新たな発見を追求する姿勢が求められます[1]。

プロテオームとは

プロテオームとは、ある生物学的な系において存在しているタンパク質の総体を指します。この用語は、タンパク質を意味する「protein」と、総体を意味するギリシャ語の「-ome」を組み合わせて造られたもので、1995年頃に提唱されました[8]。プロテオームは、細胞や生物、組織を構成する全てのタンパク質を包括し、それらの構造や機能、量、相互作用などを網羅的に解析する研究分野をプロテオミクスと呼びます[1][2][4][6]。

細胞内では、ゲノムDNA塩基配列mRNAメッセンジャーRNA)に書き写され、このmRNAからタンパク質が合成されます。プロテオーム研究では、これらのタンパク質の発現量や機能を定量的に計測し、プロテオームが形成する分子ネットワークの構造や機能を明らかにすることが重要です[3]。

プロテオーム解析には、二次元電気泳動や質量分析などの技術が活用され、タンパク質の分離と同定が行われます。これにより、生物の持つタンパク質の構造や機能を網羅的に解析することが可能になります[2]。また、プロテオーム解析は、ゲノム解析で得られる情報を補完し、生物のゲノム情報を産業に利用しやすくする役割も担っています[2]。

プロテオームの研究は、生命現象の理解を深めるだけでなく、疾患の診断や治療、新薬開発など医療分野においても重要な意義を持っています。プロテオームの多様な情報を解読することは、生命システムを理解する上で極めて重要とされています[3][5]。

第2章 プロテオミクスの研究手法と実験技術

トップダウンとボトムアップのアプローチ

プロテオミクスの研究手法には、主にトップダウンアプローチとボトムアップアプローチの二つがあります。これらのアプローチは、タンパク質の解析方法において異なるアプローチを取ります。

● トップダウンアプローチ

トップダウンプロテオミクスは、天然状態のタンパク質をそのまま解析する手法です。このアプローチでは、タンパク質を酵素で消化せずに、質量分析計を用いて直接分析します。この方法は、ボトムアップ型では検出が困難な遺伝的変異や翻訳後修飾選択的スプライシングの影響を受けたタンパク質を同定することが可能です。しかし、トップダウン型の解析には高性能な質量分析計が必要であり、そのため長らく普及してきませんでした[2]。

● ボトムアップアプローチ

一方、ボトムアッププロテオミクスは、タンパク質サンプルをタンパク質分解酵素(例えばトリプシンなど)でペプチドアミノ酸がつながった状態)に消化し、その後質量分析計で解析する手法です。このアプローチは現在もっとも普及している方法で、網羅性が高く、高感度にタンパク質を同定できます。ボトムアッププロテオミクスは、より慣用領域融合レビューであり、プロテオーム解析の技術は成熟しており、一度に数千のタンパク質の同定および定量が可能になり、生命科学のさまざまな領域の発展に大いに貢献しています[1][2]。

● 主要な分析機器と技術

プロテオミクス研究においては、質量分析(Mass Spectrometry, MS)が中心的な役割を果たします。特に、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS/MS)は、プロテオーム解析において最も一般的に使用される技術の一つです。この技術では、液体クロマトグラフィーで分離されたペプチドやタンパク質を質量分析計で検出し、その質量や断片パターンからタンパク質を同定します[2]。

また、ターゲットプロテオミクスという手法もあり、特定のタンパク質やペプチドに焦点を当てて解析を行います。このアプローチでは、多重反応モニタリング(Multiple Reaction Monitoring, MRM)などの技術が用いられ、特定のイオンを特異的に検出かつ定量することが可能です[1]。

これらのアプローチと技術を組み合わせることで、プロテオミクス研究はタンパク質の量的あるいは質的な変化をグローバルに捉え、生命現象の理解を深めることができます。

主要な分析機器と技術

プロテオミクス研究においては、タンパク質の同定、定量、およびその機能解析を行うために、様々な分析機器と技術が用いられます。以下に、プロテオミクス研究で主要な分析機器と技術について解説します。

● 質量分析計(Mass Spectrometry, MS)

質量分析計は、プロテオミクス研究における中心的な役割を果たす機器です。タンパク質やペプチドの質量を高精度に測定し、その質量情報を基にタンパク質を同定することができます。また、定量プロテオミクスにおいては、ラベルフリー定量や安定同位体標識法(SILAC, iTRAQなど)を用いた相対定量、および絶対定量が行われます[16][17]。

● 液体クロマトグラフィー(Liquid Chromatography, LC)

LCは、複雑なタンパク質混合物を分離するために用いられます。特に、逆相液体クロマトグラフィー(Reverse Phase LC)は、質量分析計と組み合わせて使用されることが多く、LC-MS/MSとして知られています。この技術により、タンパク質のペプチド断片を分離し、質量分析計での解析を容易にします[5][12]。

● 二次元電気泳動(2-D Electrophoresis)

タンパク質の等電点と分子量に基づいて分離する古典的な手法です。第一次元では等電点フォーカシング(IEF)が行われ、第二次元ではSDS-PAGEによる分子量に基づく分離が行われます。この方法は、タンパク質の複雑な混合物を分析するのに有用ですが、低存在量のタンパク質や疎水性のタンパク質の検出には限界があります[9][10]。

● タンデム質量分析(Tandem MS, MS/MS)

MS/MSは、質量分析計内でペプチド断片をさらに断片化し、そのフラグメントのパターンからタンパク質の配列情報を得る技術です。この方法により、タンパク質の同定だけでなく、翻訳後修飾の同定も可能になります[5][12]。

● ショットガンプロテオミクス

ショットガンプロテオミクスは、タンパク質を酵素で消化し、得られたペプチド混合物を直接LC-MS/MSで分析する手法です。このアプローチにより、タンパク質の大規模な同定と定量が可能になります[5]。

● タンパク質マイクロアレイ

タンパク質マイクロアレイは、多数のタンパク質を固定化したチップ上で、タンパク質間の相互作用や抗体の特異性などを高スループットで分析する技術です[7]。

● イムノプレシピテーション(Immunoprecipitation, IP)

IPは、特定のタンパク質またはタンパク質複合体を抗体を用いて選択的に精製する手法です。精製されたタンパク質は、その後の質量分析やウェスタンブロッティングでの解析に用いられます[13]。

● タンパク質の翻訳後修飾解析

タンパク質の翻訳後修飾(例:リン酸化、グリコシル化)は、タンパク質の機能に重要な役割を果たします。これらの修飾を解析するために、特定の修飾を標的とする質量分析法や抗体を用いた方法が開発されています[13][17]。

これらの技術は、タンパク質の同定、定量、相互作用の解析、および機能解析に不可欠であり、プロテオミクス研究の進展に大きく貢献しています。

第3章 プロテオミクスとプロテオームの違い

分析の焦点と目的の違い

プロテオミクスとプロテオームは密接に関連しているが、それぞれ異なる概念を指しています。プロテオームは、ある生物の全てのタンパク質の集合体を指し、その生物のゲノムによってコードされるタンパク質の全体像を表します[4][5][8][11][14][16]。一方で、プロテオミクスはプロテオームを研究する科学分野であり、タンパク質の構造、機能、相互作用、修飾などを系統的に解析し、理解を深めることを目的としています[4][5][11][12][13][14][16]。

分析の焦点において、プロテオーム解析は生物の持つタンパク質の構造や機能を網羅的に解析することを指します。これには、タンパク質の発現、分離、同定、ゲノムデータベースへの反映などの手順が含まれます[8]。プロテオーム解析の目的は、タンパク質の多様性やその生物学的役割を明らかにすることであり、特に構造と機能を対象とした大規模な研究に焦点を当てています[16]。

プロテオミクスの分析では、プロテオームデータを利用して、タンパク質の機能や相互作用、病態生理学的な役割などを解明することが目的です。プロテオミクスは、質量分析計を用いたペプチドの測定、ショットガン分析、エレクトロスプレーイオン化法などの技術を駆使して、タンパク質の詳細なプロファイルを作成します[12]。また、プロテオミクスは新薬開発や疾患の診断マーカーの同定など、応用研究においても重要な役割を果たしています[5][11][12][13]。

要するに、プロテオームは「何が存在するか」に焦点を当てたタンパク質の集合体であり、プロテオミクスは「それらがどのように機能し相互作用するか」を解明するための研究手法です。プロテオーム解析は、生物のタンパク質の全体像を把握することを目的とし、プロテオミクスはその情報を基にタンパク質の生物学的な役割を理解しようとする科学分野です。

研究と臨床での応用

プロテオームとは、ある生物体、細胞、または生体サンプルに存在する全てのタンパク質の集合体を指します。これには、タンパク質の発現量、修飾状態、相互作用、局在などが含まれます。プロテオームは、生物の生理的状態や病態を反映するため、研究や臨床の文脈で重要な情報源となります。

プロテオミクスは、プロテオームを網羅的に解析する科学分野です。これには、タンパク質の同定、定量、修飾の解析、相互作用のマッピングなどが含まれ、質量分析法や二次元電気泳動などの技術を用いて行われます。プロテオミクスは、タンパク質の機能や生物学的プロセスを理解するための強力なツールであり、疾患のメカニズムの解明、バイオマーカーの同定、新しい治療標的の発見など、研究と臨床の両方で応用されています。

研究においては、プロテオミクスは細胞の応答や病態の変化を詳細に調べることで、疾患の原因や進行メカニズムを理解するのに役立ちます。例えば、がん細胞のプロテオームを解析することで、がんの進行に関与するタンパク質や、治療に対する感受性を示すバイオマーカーを同定することができます。

臨床においては、プロテオミクスは診断、予後予測、治療応答のモニタリングに使用されます。特定のタンパク質パターンや修飾が疾患の特徴である場合、それらを検出することで、疾患の早期発見や治療の効果を評価することが可能になります。また、個々の患者のプロテオームプロファイルを分析することで、パーソナライズドメディシンにおける治療のカスタマイズに貢献します。

プロテオミクスとプロテオームの違いは、プロテオームがタンパク質の集合体そのものを指すのに対し、プロテオミクスはその集合体を研究する科学的アプローチや技術を指します。プロテオミクスは、プロテオームの包括的な解析を通じて、生物学的な洞察を得るための手段となります。

第4章 最新のプロテオミクス技術とその進化

イオン化技術の最新動向

プロテオミクスは、生物学的サンプル中の全タンパク質の網羅的な分析を目指す研究分野であり、その技術の進化は生命科学の理解を深める上で重要な役割を果たしています。特に、イオン化技術の進化はプロテオミクス研究の精度と効率を大きく向上させています。

● イオン化技術の最新動向

イオン化技術は、タンパク質やペプチドを質量分析計で分析可能なイオンに変換する手法です。この技術の進化は、プロテオミクス研究の感度とスループットの向上に直結します。

1. マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI): MALDI技術は、サンプルを特定のマトリックス物質と混合し、レーザー光を照射してイオン化する方法です。この技術は、特にタンパク質や大きなペプチドの分析に適しており、近年では、より高い感度と分解能を持つ質量分析計の開発により、その応用範囲が広がっています[17]。

2. 脱離エレクトロスプレイイオン化(DESI): DESIは、固体や液体のサンプル表面から直接イオンを生成する技術で、サンプルの前処理を最小限に抑えることができます。この技術は、生体組織のイメージングや複雑な生物学的サンプルの迅速な分析に有用です[12]。

3. イオントラップ技術の進化: イオントラップは、イオンを一時的に捕捉し、質量分析の精度を高める技術です。複数のイオントラップを光で連結する新しいアイデアにより、大規模化が容易なイオントラップデバイスの開発が進んでいます[14]。これにより、プロテオミクス研究における質量分析の精度と効率がさらに向上することが期待されます。

4. 質量分析計の進化: Thermo Scientific Orbitrap Astral 質量分析計のような最新の質量分析計は、プロテオミクス研究に革新をもたらしています。これらの装置は、高い感度と分解能を備え、複雑なタンパク質サンプルの分析を可能にします[17]。

● まとめ

イオン化技術の進化は、プロテオミクス研究の精度と効率を大きく向上させています。MALDIやDESIなどのイオン化法の改良、イオントラップ技術の進化、そして高性能な質量分析計の開発により、タンパク質の同定、定量、および機能解析がより迅速かつ正確に行えるようになっています。これらの技術進化は、生命科学のさまざまな分野での新たな発見と理解の進展に貢献しています。

データ解析の革新

プロテオミクスは、タンパク質の大規模な解析を行う科学分野であり、近年、分析機器の性能向上やデータ解析技術の進化により、その研究手法は飛躍的に発展しています。最新のプロテオミクス技術は、タンパク質の同定、量的分析、ポストトランスレーショナル修飾の解析など、生命科学研究における幅広い応用が可能になっています。

データ解析の革新は、特に質量分析によるプロテオミクス研究において重要な役割を果たしています。質量分析は、タンパク質やペプチドの質量を高精度に測定し、その情報をもとにタンパク質の同定や定量を行う技術です。最新の質量分析機器は、より高速で高感度な測定が可能となり、複雑な生物試料中のタンパク質を網羅的に解析することができます。

また、データ解析技術の進化により、大量のプロテオミクスデータを効率的に処理し、有意義な生物学的情報を抽出することが可能になっています。バイオインフォマティクスの進歩は、データの解釈を容易にし、新たな生物学的知見の発見に貢献しています。AIや機械学習の技術を活用したデータ解析は、プロテオミクス研究における新たな可能性を開いています[16]。

さらに、次世代プロテインシークエンシングプラットフォームの開発により、タンパク質の配列決定や修飾解析がより簡便かつ高精度に行えるようになっています。これにより、タンパク質の機能解析や疾患研究におけるバイオマーカーの同定など、プロテオミクスの応用範囲が拡大しています[11]。

プロテオミクス技術の進化は、医学研究やバイオテクノロジー分野における新たな発見やイノベーションを促進する重要な要素となっており、今後もその進化は続くと予想されます。

第5章 プロテオミクス:実際の研究事例と応用

ケーススタディ:疾患研究での利用例

プロテオミクスは、疾患の研究や診断、治療法の開発において重要な役割を果たしています。この分野は、タンパク質の同定、量的分析、機能解析を通じて、生物学的プロセスや疾患のメカニズムを理解することを目的としています。以下に、疾患研究でのプロテオミクスの利用例をいくつか紹介します。

● ケーススタディ1: 研究におけるプロテオミクス

癌研究において、プロテオミクスは新たなバイオマーカーの同定や治療標的の発見に貢献しています。例えば、[1]では、プロテオミクス技術を用いて、がん治療における臨床的に適用可能なバイオマーカーや新しい治療標的の同定に大きな進歩があったことが報告されています。また、[10]では、がんプロテオミクスが腫瘍の成長や転移のメカニズム研究において重要な情報を明らかにし、治療法の開発に貢献していることが示されています。

● ケーススタディ2: 心血管疾患におけるプロテオミクス

心血管疾患の研究においても、プロテオミクスは有用なツールとなっています。[11]では、プロテオミクスを用いて、冠動脈疾患の発症に関連するプラズマタンパク質の研究が行われ、病態の理解や予測に役立つ可能性が示されています。

● ケーススタディ3: アルツハイマー病のプロテオミクス研究

アルツハイマー病の研究においても、プロテオミクスは重要な役割を果たしています。[12]では、アルツハイマー病の脳内でのタンパク質変化をマッピングするために、38件のプロテオミクス研究が分析され、病態の理解に貢献しています。

● ケーススタディ4: 皮膚疾患におけるプロテオミクス

[4]では、皮膚疾患、特に皮膚がんの病態解明にプロテオミクスがどのように応用されているかが検討されています。この研究では、プロテオミクスが皮膚がんの分子機能の探索や新しい治療標的の同定に役立つことが示されています。

これらのケーススタディは、プロテオミクスが疾患の基礎研究から臨床応用に至るまで、幅広い分野で有用な情報を提供していることを示しています。プロテオミクスの進展により、疾患のより深い理解と効果的な治療法の開発が期待されます。

産業界でのプロテオミクスの応用

プロテオミクスは、遺伝子の情報から実際に機能するタンパク質の研究に焦点を当てた科学分野であり、産業界、特に製薬業界での応用が注目されています。この分野の進展は、新薬開発、疾患の理解、バイオマーカーの同定など、多岐にわたる応用が可能であることを示しています。

● 製薬業界でのプロテオミクスの応用

製薬業界では、プロテオミクス技術の応用が新薬開発の加速に貢献しています。住友化学の研究では、ゲノム情報を利用した創薬研究において、プロテオミクス技術が重要な役割を果たしていることが示されています。特に、疾患のメカニズム解明や新たな治療標的の同定にプロテオミクスが利用されています[1]。また、アステラス製薬の研究動向では、プロテオミクスが薬物代謝、安全性評価、臨床開発、製造プロセスなど、製薬会社の様々な部門で応用されていることが報告されています[3]。

● 農業研究におけるプロテオミクスの応用

農業分野でも、プロテオミクス技術の応用が進んでいます。中央農業総合研究センターは、ポストゲノム研究の一環として、新しいプロテオーム法「ジスルフィドプロテオーム」法を開発しました。この技術は、蛋白質のジスルフィド結合の架橋および切断を特異的に識別することができ、未知の生理機能を持つ蛋白質の発見や新しい生理機能調節のメカニズムの解明に貢献することが期待されています[2]。

● 産業界全般でのプロテオミクスの応用

プロテオミクスの応用は、製薬業界や農業研究に限らず、医薬・農・工業等の産業においても重要な研究課題となっています。プロテオーム研究は、多くの蛋白質の役割を総合的に調べ、それらがどのように生理現象を形成するかを解明することを目的としており、ポストゲノム研究の中核技術と位置付けられています[2]。また、プロテオミクス市場の成長トレンドからも、この技術の産業界での応用範囲が広がっていることが示されています[4][8]。

プロテオミクス技術の進展は、産業界における新たな研究戦略の立案や、未知の生理機能の解明、新薬開発の加速など、多方面での応用が期待されています。これらの応用は、人類の健康や生活の質の向上に大きく貢献する可能性を秘めています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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