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プラズマローゲンの全貌:生化学的性質から医学的重要性まで

この記事では、細胞膜の主要成分であるプラズマローゲンに焦点を当て、その化学的特性、生体内での役割、および健康への影響について詳しく解説します。さらに、プラズマローゲン研究の最新進展とその応用についても紹介します。

第1章: プラズマローゲンとは

プラズマローゲンの基本構造

プラズマローゲンは、グリセロリン脂質の一種であり、特有のビニルエーテル結合を持つリン脂質です。この脂質は、哺乳動物の全ての組織に存在し、特に脳神経細胞、心筋、リンパ球、マクロファージなどの酸素を多く消費する組織に豊富に含まれています[9]。グリセロリン脂質は、生体膜の主要な構成成分であり、グリセロール骨格に2分子の脂肪酸と1分子のリン酸が結合した構造を持つ脂質の総称です。リン酸部位にはさまざまな分子が結合することで、多様な種類が存在します。これらは細胞膜の構造と機能に重要な役割を果たしています。ビニルエーテル結合は、エーテルの一種で、エーテル酸素にビニル基(CH2=CH-)が結合した構造を持つ化合物です。この結合は、プラズマローゲンなどの特定の生体分子において見られ、その特殊な構造は酸素との反応性が高いことが知られています。ビニルエーテル結合は、生体内での抗酸化作用など、多様な生理活性を持つ分子の機能に寄与しています。

プラズマローゲンの分子構造は、グリセロール骨格のsn-1位にビニルエーテル結合を有し、sn-2位には通常、不飽和脂肪酸がエステル結合しています。このビニルエーテル結合は、他のリン脂質には見られない特徴であり、プラズマローゲンの抗酸化機能に寄与しています[5][9]。

プラズマローゲンは、その抗酸化作用により、細胞を酸化ストレスから保護する役割を果たしています。また、sn-2位に結合する不飽和脂肪酸の種類によって、プラズマローゲンの機能が異なります。特に、ドコサヘキサエン酸(DHA)を多く含むプラズマローゲンは、脳機能に有用であるとされています[9]。

プラズマローゲンにはエタノールアミン型とコリン型があり、これらは脳組織において重要な役割を果たしています。エタノールアミン型プラズマローゲンは、特に前頭葉と海馬で有意に減少していることが報告されており、アルツハイマー病などの神経変性疾患との関連が指摘されています[13]。

プラズマローゲンは、その他のリン脂質とは異なる特殊な構造を持っており、ビニルエーテル結合を含むことが知られています。この特殊な構造は酸素との反応性が高いため、生体内での酸化ストレスから細胞を保護する役割を担っていると考えられています[6]。

プラズマローゲンの研究は、アルツハイマー病などの神経変性疾患の予防や治療において重要な意味を持ち、その機能や効果についての研究が進められています[1][5][9].

プラズマローゲンの生理的役割

プラズマローゲンは、生体内で重要な役割を果たす脂質の一種であり、特に脳や神経系においてその機能が注目されています。この脂質は、細胞膜の構成成分として、細胞の保護、信号伝達、および細胞間のコミュニケーションに重要な役割を果たします。以下に、プラズマローゲンが持つ主な生理的機能について詳しく解説します。

● 抗酸化作用

プラズマローゲンは、細胞膜を構成する脂質の中でも特に抗酸化作用を持つことが知られています。この抗酸化作用により、細胞膜を酸化ストレスから保護し、細胞の損傷や老化を防ぐ効果があります[4]。

● 神経保護効果

プラズマローゲンは、神経細胞を保護する効果があることが示されています。特に、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患において、プラズマローゲンが神経細胞の死を抑制し、神経炎症を緩和することが報告されています[3][4]。

● 神経炎症の制御

プラズマローゲンは、神経炎症の制御にも関与しています。神経炎症は、アルツハイマー病をはじめとする多くの神経疾患の進行に関わっており、プラズマローゲンが炎症性サイトカインの産生を抑制し、神経炎症を緩和することが示されています[4]。

● 学習記憶の改善

プラズマローゲンは、学習と記憶の改善にも寄与します。プラズマローゲンが脳内でBDNF(脳由来神経栄養因子)の産生を促進し、神経細胞の新生や修復を支援することで、認知機能の向上に貢献すると考えられています[1][2]。

● 細胞膜の機能維持

プラズマローゲンは、細胞膜の流動性や機能を維持する役割も担っています。細胞膜の流動性は、細胞の正常な機能に不可欠であり、プラズマローゲンがこの流動性を調節することで、細胞の健康を支えています[4]。

● 結論

プラズマローゲンは、抗酸化作用、神経保護効果、神経炎症の制御、学習記憶の改善、および細胞膜の機能維持など、多岐にわたる生理的機能を持つことが分かります。これらの機能は、特に脳や神経系の健康維持において重要であり、プラズマローゲンが持つ潜在的な治療的価値について、今後もさらなる研究が期待されています。

第2章: プラズマローゲンの生化学的特性

プラズマローゲンの合成と代謝

プラズマローゲンは、エーテルリン脂質の一種であり、sn-1位にビニール・エーテル結合とsn-2位にエステル結合を特徴とします[10]。この脂質は、多くの生物種において重要な生理機能を果たしており、特に脳や心筋などの組織において重要な役割を持っています。以下では、プラズマローゲンの生体内での合成経路と代謝プロセスについて詳しく説明します。

● プラズマローゲンの合成経路

プラズマローゲンの生合成は、主にペルオキシソームで行われます。この過程の最初の2段階は、ペルオキシソームで触媒され、律速酵素であるFatty acyl CoA reductase 1(Far 1)がペルオキシソームに局在していることから、ペルオキシソームがプラズマローゲンの生合成に欠かせない細胞内小器官であると考えられています[5]。生合成系の途中で生成されるアルキル型グリセロリン脂質はプラズマローゲンの前駆体であり、エタノールアミン型プラズマローゲンはエタノールアミン型のアルキル型グリセロリン脂質から合成されます。一方、コリン型プラズマローゲンは、エタノールアミン型プラズマローゲンの変換により合成されると考えられていますが、その正確な生合成経路はまだ完全には明らかになっていません[5]。

● プラズマローゲンの代謝プロセス

プラズマローゲンは、体内で様々な代謝プロセスを経て機能します。プラズマローゲンのビニルエーテル結合は、酸によって加水分解されるため、摂取後に胃酸によりその大半が分解されると考えられてきました。しかし、プラズマローゲンを食事中に摂取することで、その大半が分解を免れることが示されています[4]。また、プラズマローゲンが腸管を経てリンパ液に吸収されること、および投与されたプラズマローゲンの一部が腸管吸収の際に特徴的な構造変換を受けることが示されています[1]。この構造変換は、腸管粘膜内に高発現しているリゾリン脂質のsn-2位にアラキドン酸を選択的に組み込むアシルトランスフェラーゼ(LPCAT3)により促進されると考えられています[1]。

プラズマローゲンは、その生理機能を通じて、脳機能の改善やアルツハイマー病などの認知症の予防に寄与する可能性があります[2]。プラズマローゲンの生合成経路と代謝プロセスの詳細な理解は、これらの疾患の治療や予防に向けた新たなアプローチを提供する可能性があります。

プラズマローゲンの抗酸化作用

プラズマローゲンは、哺乳類の細胞膜に広く存在する特殊なリン脂質であり、その抗酸化作用は多くの研究で注目されています。この抗酸化作用は、プラズマローゲンが持つビニルエーテル結合によるもので、生体内での酸化ストレスから細胞を保護する重要な役割を果たしています。

プラズマローゲンの抗酸化作用のメカニズムは、その構造に起因します。プラズマローゲンはグリセロリン脂質の一種で、グリセロール骨格のsn-1位にビニルエーテル結合を持ち、sn-2位には不飽和脂肪酸が結合しています。このビニルエーテル結合は、様々なフリーラジカルや一重項酸素との反応性が高く、これにより生体内で発生する酸化ストレスから細胞膜を保護することができます[8]。

さらに、プラズマローゲンは不飽和脂肪酸を多く含むことも特徴であり、これらの脂肪酸は細胞膜の流動性を調節し、細胞の正常な機能を維持するのに寄与します。特に、DHA(ドコサヘキサエン酸)などの多価不飽和脂肪酸は、脳機能の維持に重要であり、プラズマローゲンが脳内で果たす役割は非常に大きいとされています[9]。

プラズマローゲンの抗酸化作用は、細胞内で起こる一連の分子レベルの反応により細胞死を妨げる効果も持っています。これにより、細胞の老化を防ぎ、脳細胞の酸化による劣化を抑制することができます[4]。また、プラズマローゲンは、脳細胞が酸化ストレスを受けた際に身代わりとなって酸化されることで、脳細胞を酸化から守る役割も果たします[7]。

プラズマローゲンの抗酸化作用による細胞保護機能は、アルツハイマー病などの神経変性疾患の予防や治療においても重要な意味を持ちます。アルツハイマー病患者の脳ではプラズマローゲンの量が減少していることが報告されており、プラズマローゲンの補給が認知機能の改善に寄与する可能性が示唆されています[8]。

以上のように、プラズマローゲンの抗酸化作用は、その特有の構造によるフリーラジカルや一重項酸素との反応性の高さ、および不飽和脂肪酸を含むことによる細胞膜の保護と流動性の維持に基づいています。これらの作用により、プラズマローゲンは細胞の老化防止や神経変性疾患の予防に寄与する重要な生体脂質として認識されています。

第3章: プラズマローゲンと健康

プラズマローゲンと心血管疾患

プラズマローゲンは、細胞膜の主要なリン脂質の一種であり、特に脳、心臓、肝臓、血漿リポ蛋白などに豊富に存在します。このリン脂質は、抗酸化作用を有し、動脈硬化症やアルツハイマー病の予防に寄与すると考えられています[1]。プラズマローゲンは、細胞膜の流動性の調節、脂質メディエーターの前駆物質としての役割、細胞内や細胞間でのコレステロールの搬送など、多岐にわたる生理機能を持つことが報告されています[1][3][4]。

● 心血管疾患への影響

心血管疾患は、心臓や血管に異常が生じる病気の総称であり、心筋梗塞や狭心症などが含まれます[5]。プラズマローゲンは、心血管系の健康において重要な役割を果たしています。その主な機能は以下の通りです。

# 抗酸化作用

プラズマローゲンは、最も酸化を受けやすいリン脂質であり、その抗酸化作用により、細胞を酸化ストレスから保護することが示唆されています[1][9]。心血管系は酸素消費量が多く、酸化ストレスを受けやすいため、プラズマローゲンの抗酸化作用は、動脈硬化や心筋梗塞などの心血管疾患の予防に寄与する可能性があります。

# 膜流動性の調節

プラズマローゲンは細胞膜の流動性を調節し、膜融合の促進に関わることから、心筋細胞や血管内皮細胞の機能維持に重要な役割を果たしていると考えられます[9]。これにより、心血管系の健康維持に貢献している可能性があります。

# 多価不飽和脂肪酸の貯蔵とセカンドメッセンジャーの生成・放出

プラズマローゲンは、アラキドン酸などの多価不飽和脂肪酸を貯蔵し、炎症に関連する生理活性脂質メディエーターの前駆体として機能します[9]。これにより、炎症反応の調節に関与し、心血管疾患の発症や進行に影響を与える可能性があります。

# 疾患との関連性

プラズマローゲンの減少は、心血管疾患を含む加齢性の疾患で報告されており、症状の進行とともに血中のプラズマローゲンの減少が観察されています[9]。また、プラズマローゲンは、アミロイドβたんぱくの沈着を抑える効果があり、アルツハイマー型認知症の発症に関連しているとされていますが、これは心血管疾患との関連性を示唆するものとも考えられます[7]。

● 研究と臨床応用

プラズマローゲンに関する研究は、その生理機能や疾患との関連性を明らかにすることを目的としています。プラズマローゲンの減少が心血管疾患のリスクファクターとなる可能性があるため、プラズマローゲンの補充を通じた治療や予防策の開発が期待されています[1][9]。

プラズマローゲンの摂取による認知機能への効果を検証する臨床試験も行われており、これにより心血管疾患への対策が期待できるかもしれません[15]。また、プラズマローゲンサプリメントの摂取による疲労感軽減効果の検討など、プラズマローゲンを用いた健康増進の研究も進められています[16][17]。

総じて、プラズマローゲンは心血管系の健康に対して多面的な影響を及ぼす可能性があり、今後の研究によってその役割がさらに明らかになることが期待されます。

神経保護効果と認知機能

プラズマローゲンは、細胞膜の主要なリン脂質の一種であり、特に脳や心臓、骨格筋など酸素を大量に消費する組織に多く存在します。この脂質は、神経系の保護と認知機能の維持に重要な役割を果たしていることが研究により示されています。

● 神経保護効果

プラズマローゲンは、神経細胞の膜の流動性を高め、神経伝達を促進することで神経系を保護するとされています。また、プラズマローゲンは抗酸化作用を持ち、細胞を酸化ストレスから守ることにより、神経細胞のアポトーシス(細胞死)を抑制する効果があると報告されています[4][5][8][16]。特に、ホヤ由来のプラズマローゲンは、アミロイドβの凝集を抑制し分解を促進することが確認されており、アルツハイマー病モデルラットへの経口投与により認知機能を改善したとの研究結果があります[8]。

● 認知機能への影響

プラズマローゲンは、認知機能の維持にも関与しています。アルツハイマー型認知症患者の脳や血液でプラズマローゲンの低値が示唆されており、プラズマローゲンの摂取が認知行動を改善する可能性が示されています[12][14]。鶏ムネ肉由来のプラズマローゲンを摂取した人たちの言語記憶力や認知機能速度が高く維持されることが分かり、特に60歳以上のグループで有意な結果が得られました[15][17]。

プラズマローゲンの摂取による認知機能改善効果は、健常者を対象とした臨床試験でも確認されています。12週間の摂取後に行われた認知機能検査で、言語記憶力や視覚記憶力、反応時間などが改善されたと報告されており、これはプラズマローゲンが記憶力の維持に寄与することを示唆しています[11][13]。

さらに、プラズマローゲンはアルツハイマー病の原因とされるアミロイドβたんぱく質の蓄積を抑制する働きがあることが発見されており、神経炎症の原因となるタンパク質の蓄積を抑制することで、アルツハイマー型認知症の予防や治療に効果を発揮する可能性があります[7][16][17]。

総じて、プラズマローゲンは神経保護効果と認知機能の維持に寄与する重要な生体脂質であり、特にアルツハイマー型認知症の予防や治療においてその効果が期待されています。プラズマローゲンの摂取は、神経細胞の保護と認知機能の維持に有効であると考えられ、今後の研究によるさらなる機能解明が期待されます。

第4章: プラズマローゲンの研究と臨床応用

プラズマローゲン研究の最新進展

## プラズマローゲン研究の最新進展

プラズマローゲンは、細胞膜のリン脂質の一種であり、特に脳や心臓、骨格筋など酸素を多く消費する組織に豊富に存在します。加齢とともに体内のプラズマローゲン量は減少し、アルツハイマー病患者の脳内ではさらにその減少が顕著です。このため、プラズマローゲンは認知症、特にアルツハイマー病の研究において重要な役割を果たしています。

● 現状の研究

プラズマローゲンの研究は、その生理機能の解明と疾患への応用に焦点を当てて進められています。特に、認知症の治療や予防におけるプラズマローゲンの効果が注目されています。

● 科学的な発見

– 神経新生促進: プラズマローゲンは、神経新生を促す作用があることが分かっています。これは、アルツハイマー病などの神経変性疾患の治療に応用可能であることを示唆しています[2]。

– 神経炎症抑制: プラズマローゲンは、リポポリサッカライド(LPS)による神経炎症および脳内アミロイドβ(Aβ)タンパクの蓄積を抑制する効果があることが明らかにされています[3]。

– 認知機能改善: 福岡大学付属病院による臨床試験で、プラズマローゲンによる認知機能の改善が確認されています[1][2]。

– 抗酸化作用: プラズマローゲンは、細胞膜の流動性を調節し、抗酸化作用を持つことが知られています。これにより、細胞を酸化ストレスから保護する役割を果たしています[7]。

– ミエリン形成促進: プラズマローゲンは、ミエリンの形成を促進し、機能維持に寄与することが示されています。これは、神経細胞の発達・修復・再生に関わる重要な機能です[7]。

● 最新の研究進展

– 臨床試験: 藤野研究チームにより、ホタテ由来のプラズマローゲンを用いた2つの臨床試験が進行中であり、患者さんを診察している医師たちがその効果を実感しています[5]。

– 研究会の活動: プラズマローゲン研究会は、これまでの研究成果を公表し、研究ネットワークの拡大とさらなる研究の進展を目指しています。特にアルツハイマー病及び脳疲労の予防医学に関する研究の発展に貢献することを目標としています[17]。

– 新たな発見: Journal of Immunologyに掲載された論文では、プラズマローゲンがGタンパク質共役型受容体(GPCR)21を活性化することによりNK細胞の標的細胞に対する溶解活性を高めることが報告されました[18]。

プラズマローゲン研究は、認知症の予防と治療において重要な進展を遂げており、今後もさらなる研究が期待されています。

プラズマローゲンを用いた治療戦略

プラズマローゲンは、人間や動物の体内に存在するリン脂質の一種であり、特に脳や心臓、骨格筋などの酸素消費量が多い部位に多く存在します。加齢に伴い体内のプラズマローゲン量は減少し、特にアルツハイマー型認知症患者の脳内ではプラズマローゲン量が低下していることが確認されています。このため、プラズマローゲンを活用した治療法が認知症をはじめとする様々な疾患に対して期待されています。

● プラズマローゲンを活用した治療法

プラズマローゲンは、神経炎症の抑制、ミエリンの形成促進・機能維持、抗酸化作用など、脳機能の改善に関連する多くの生理機能を持つことが示されています。これらの作用により、プラズマローゲンはアルツハイマー病やその他の認知症、脳梗塞などの神経系疾患の治療や予防に有効である可能性があります。

– 認知症治療: 福岡大学付属病院では、プラズマローゲンによる認知機能の改善について臨床試験が行われ、プラズマローゲンがアルツハイマー病に有効であるとの試験結果が発表されました[1]。
– 脳梗塞予防: 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の研究グループは、ホヤ由来プラズマローゲンを脳梗塞前より投与すると、脳梗塞後の脳容積減少を抑制し、脳梗塞体積を減少させる効果があることを明らかにしました[7]。

● 臨床試験の現状

プラズマローゲンを用いた治療法の開発においては、様々な臨床試験が進行中です。

– 認知症に対する臨床試験: プラズマローゲンを含む食品の臨床試験が行われており、軽症のアルツハイマー病や認知症の疑いのある方を対象とした二重盲検試験の中間成果が発表されています[1][6]。
– レット症候群治療薬: プラズマローゲン合成誘導体「KIT-13」が、米国食品医薬品局(FDA)よりレット症候群治療薬の希少小児疾患指定(RPDD)を受けました[2]。

これらの臨床試験や研究成果は、プラズマローゲンが神経系疾患の治療において有望な成分であることを示しています。今後もプラズマローゲンを活用した治療法の開発と臨床試験の進展が期待されます。

第5章: プラズマローゲンの摂取とサプリメント

プラズマローゲンの食事摂取源

プラズマローゲンは、人間や動物の体内に存在するリン脂質の一種で、特に脳や心臓、骨格筋など酸素の消費量が多い部分に多く存在します。プラズマローゲンは抗酸化作用を持ち、細胞を保護する役割を果たしています。加齢に伴い体内のプラズマローゲン量は減少し、特にアルツハイマー病患者の脳内ではプラズマローゲンが減少していることが報告されています[16]。

● プラズマローゲンを豊富に含む食品

プラズマローゲンを豊富に含む食品には、以下のようなものがあります。

– ホタテ貝: ホタテはプラズマローゲンを豊富に含むことで知られており、特にDHAを多く含むプラズマローゲンが脳機能(記憶など)に有用であると報告されています[16]。
– ホヤ: ホヤ由来のプラズマローゲンも、DHA・EPAの含有量が多く、視覚的な記憶の維持に有効です[6]。
– 鶏肉: 特に鶏のムネ肉から抽出されるプラズマローゲンは、言語記憶力の維持に有効であり、吸収率が高いという特徴があります[6]。

● 摂取推奨量

プラズマローゲンの摂取推奨量については、具体的な数値を示す研究は限られていますが、一部のサプリメントでは1日あたりの摂取目安量が設定されています。例えば、鶏ムネ肉由来のプラズマローゲンを機能性成分とするサプリメントでは、1mg摂取で「言語記憶力」、0.5mg摂取で「認知機能速度」に効果があることが確認されており、これらの量が推奨摂取量として設定されています[12]。また、ホタテ由来プラズマローゲンを含む食品では、1日摂取目安量当たり1.0mg含有する食品が機能性関与成分として認められています[18]。

● 注意点

プラズマローゲンを含む食品やサプリメントの摂取に際しては、過剰摂取に注意し、推奨される摂取量を守ることが重要です。また、プラズマローゲンの摂取による健康効果については、個人差があるため、効果を感じられない場合もあります。さらに、既存の疾患がある場合や他の薬剤を服用している場合は、医師や専門家と相談することをお勧めします。

プラズマローゲンサプリメントの効果と安全性

プラズマローゲンは、細胞膜などに含まれるリン脂質の一種で、特に脳で豊富に存在し、抗酸化作用や神経細胞の保護、認知機能の改善などに関与しているとされています。市販されているプラズマローゲンサプリメントに関する科学的根拠をもとに、その効果と安全性について紹介します。

● プラズマローゲンサプリメントの効果

1. 認知機能の改善
– プラズマローゲンは、認知機能の一部である空間認知や場所を理解する能力といった記憶力を維持する機能があることが報告されています[2][17]。特に、ホタテ由来プラズマローゲンを含むサプリメントは、軽度認知障害(MCI)の成人男女において、プラズマローゲン摂取群がプラセボ群に比べて「場所の見当識」に有意な差が確認されたとの研究結果があります[2]。

2. 抗酸化作用と神経保護
– プラズマローゲンは抗酸化作用を持ち、脳梗塞モデルマウスにおいて、ホヤ由来プラズマローゲンの前投与が脳梗塞後の体重減少を抑制し、脳梗塞体積を減少させる効果があることがわかりました[6]。これは、プラズマローゲンが脳梗塞時の血中酸化ストレス値を減少させ、DNAや脂質の過酸化を抑制することによるものです。

3. ネガティブな気分の抑制
– プラズマローゲンの摂取により、幸福感を感じやすくなるという報告があり、脳疲労が減少することでうつ病の発症も予防できると言われています[5]。

● プラズマローゲンサプリメントの安全性

– プラズマローゲンサプリメントの安全性については、鶏由来プラズマローゲンを一日摂取目安量である1.0mg/1包を含む顆粒状の製品に関する喫食実績及び既存情報による安全性試験結果の評価が行われており、有害な事象は認められていません[20]。また、プラズマローゲンは人間の体内にも存在する成分であり、安全な国産の生ホタテ貝から抽出されているため、健康被害は認められていないとされています[19]。ただし、原材料由来のアレルギーには注意が必要です。

これらの情報から、プラズマローゲンサプリメントは認知機能の改善、抗酸化作用による神経保護、ネガティブな気分の抑制などの効果が期待できる一方で、安全性に関しても十分な評価がなされていることがわかります。しかし、個人の健康状態やアレルギーの有無などによっては、摂取に際して注意が必要な場合もあるため、使用前には成分情報を確認し、必要に応じて専門家の意見を求めることが推奨されます。

参考文献・出典
[1] www.reoken.com/plasmalogen/development/discovery.html
[2] prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000034459.html
[3] prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000072604.html
[4] www.marudai.jp/user/products/special/plasmax/faq.html
[5] brands.naturaltech.jp/lifestyle/rimenba/ingredients/04fcf3xwo
[6] www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id879.html
[7] www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/ep_005.pdf
[8] www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/episode_list/134846.html
[9] www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/54/10/54_701/_pdf
[10] kusuri-yamashita.co.jp/smp/list.php?scat=234673&type=class
[11] kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K19666/
[12] www.amazon.co.jp/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%BA%E3%83%9E%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88-ProdromeNeuro%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%AB%E3%83%97%E3%82%BB%E3%83%AB-1%E7%B2%92%E5%BD%93%E3%81%9F%E3%82%8A450-000%CE%BCg-%E5%81%A5%E5%BA%B7%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88/dp/B0BLMDD1SW
[13] www.naro.go.jp/laboratory/brain/knowledge/result/files/knowledge_result-14.pdf
[14] kodomo.kamakuraborikaikan.jp/yzads/x668961.html
[15] brands.naturaltech.jp/media/rimenba/columns/rimenba-plasmalogen-supplement
[16] whoops-droneschool.com/products/m019570544655
[17] bandscorp-medical.jp/plasmalogen/
[18] store.shopping.yahoo.co.jp/bands-store/20000002.html
[19] www.suppli-tm.com/pls/
[20] www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/?recordSeq=42311220610601

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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