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神経の発火:脳内の情報伝達メカニズムを理解する

この記事では、神経細胞発火メカニズムとその脳内での情報伝達プロセスについて詳しく解説します。ニューロンの発火から信号伝達のネットワーク、それが如何にして私たちの認知と行動に寄与するかを探ります。

第1章: 神経発火とは

神経発火の基本概念

神経細胞の発火(インパルス)
神経細胞、またはニューロンは、脳や神経系における情報伝達の基本単位です。ニューロンは、電気的な信号を生成し、伝達することによって、感覚情報の受信、処理、および行動の指令などの複雑なタスクを実行します。

● 構造と機能

ニューロンは主に細胞体(ソーマ)、樹状突起軸索、およびシナプス終末から構成されています。細胞体はニューロンの核を含む中心部であり、樹状突起は細胞体から枝分かれしており、他のニューロンからの信号を受け取ります。軸索は細胞体から伸びる長い突起で、信号を他のニューロンや筋肉へと伝達します。シナプス終末は軸索の末端にあり、他のニューロンの樹状突起や細胞体に接続しています。

● 発火メカニズム

ニューロンの発火は、細胞膜の電位変化によって起こります。ニューロンは通常、静止膜電位と呼ばれる負の電位を保持しています。この状態は、ナトリウム-カリウムポンプと呼ばれる膜タンパク質によって維持されており、細胞内のカリウムイオン濃度を高く、ナトリウムイオン濃度を低く保ちます。

樹状突起が他のニューロンからの興奮性のシナプス入力を受けると、ナトリウムチャネルが開き、ナトリウムイオンが細胞内に流入します。これにより細胞膜の電位が上昇し、ある閾値に達すると、活動電位またはスパイクと呼ばれる急激な電位変化が発生します。活動電位は軸索を伝わり、シナプス終末に到達すると、神経伝達物質が放出されます。

● シナプス伝達

神経伝達物質はシナプス間隙を通って隣接するニューロンの受容体に結合し、そのニューロンの電位を変化させます。このプロセスにより、信号がニューロン間で伝達されます。受容体に結合した神経伝達物質は、そのニューロンを興奮させるか(興奮性シナプス)、または抑制するか(抑制性シナプス)によって、次のニューロンの活動を調節します。

● 情報の符号化

ニューロンは、発火頻度や発火パターンによって情報を符号化します。一定の刺激に対して一定の発火パターンを示すことで、特定の情報を表現することができます。また、複数のニューロンが同期して発火することで、より複雑な情報処理や情報の統合が行われます。

このようにして、ニューロンは複雑な神経ネットワークを形成し、感覚、認知、運動などの脳の機能を支えています。

神経発火の生理学的プロセス

神経発火、または活動電位の生成は、神経細胞(ニューロン)が情報を伝達するための基本的なメカニズムです。このプロセスは、細胞膜のイオンチャネルの動的な変化によって引き起こされる膜電位の急激な変動を伴います。

● 静止膜電位
神経細胞が活動していない静止状態では、細胞内外のイオン濃度勾配と細胞膜の透過性の違いにより、細胞内は細胞外に比べて負の電位を持っています。この電位を静止膜電位といい、通常は約-70ミリボルト(mV)です。静止膜電位は、ナトリウム-カリウムポンプ(Na+/K+ ATPase)によって維持され、細胞内のカリウムイオン(K+)濃度を高く、ナトリウムイオン(Na+)濃度を低く保ちます。

● 脱分極と閾値
神経細胞が刺激を受けると、ナトリウムチャネルが開き、Na+が細胞内に流入します。これにより膜電位が上昇し、脱分極が起こります。脱分極が一定の閾値(通常は約-55mV)に達すると、活動電位が発生します。

● 活動電位の発生
閾値に達すると、さらに多くのナトリウムチャネルが開き、Na+の急速な流入によって膜電位が急激に上昇します(+30mV程度まで)。この急激な脱分極を活動電位の上昇相と呼びます。

● 活動電位の伝播
活動電位は軸索を通じて伝播します。軸索にはミエリン鞘と呼ばれる絶縁体があり、活動電位はミエリン鞘の間にあるランヴィエの絞輪から絞輪へと跳躍的に伝わることで、高速に信号を伝達します(跳躍伝導)。

● 活動電位の下降相と超極性化
活動電位のピークに達すると、ナトリウムチャネルは不活性化し、カリウムチャネルが開きます。K+が細胞外に流出し、膜電位は再び負の方向に変化します(下降相)。K+の流出により、膜電位は一時的に静止膜電位よりもさらに負の値になることがあり、これを超極性化と呼びます。

● 活動電位の復元
超極性化の後、イオンチャネルの状態がリセットされ、ナトリウム-カリウムポンプがイオン濃度勾配を元に戻すことで、膜電位は静止状態に復元されます。

● 情報の符号化
神経細胞は、活動電位の発生頻度(発火頻度)や発火パターンによって情報を符号化します。発火頻度が高いほど、強い刺激を受けていることを示し、発火パターンは刺激の種類や強度に応じて変化します。

この一連のプロセスは、神経系全体で同期的に行われ、複雑な神経ネットワークを通じて情報が処理され、統合されます。神経発火のダイナミクスは、学習、記憶、知覚、運動制御などの脳機能に不可欠です。

第2章: ニューロン間の信号伝達

シナプスでの信号伝達

シナプスでの信号伝達は、神経細胞(ニューロン)間で情報を伝えるための基本的なメカニズムです。このプロセスは、電気信号の伝達と化学信号の伝達の2つの段階に分けられます。

● 電気信号の伝達

ニューロンは、その細胞体から軸索を通じて電気信号(活動電位)を伝達します。活動電位は、イオンチャネルの開閉によるイオンの流入と流出によって生じる膜電位の急激な変化です。この電気信号は、軸索を伝わり、ニューロンの末端であるシナプス前終末に到達します。

● 化学信号の伝達

シナプス前終末に到達した活動電位は、シナプス前膜に存在する電位依存性カルシウムチャネルの開口を引き起こします。カルシウムイオンが細胞内に流入すると、シナプス小胞と呼ばれる神経伝達物質を含む小胞がシナプス前膜に融合し、その内容物をシナプス間隙に放出します。この過程をエクソサイトーシスと呼びます。

● シナプス間隙と受容体

放出された神経伝達物質はシナプス間隙を拡散し、シナプス後細胞の膜上にある特異的な受容体に結合します。受容体は、神経伝達物質の結合に応じて、イオンチャネルを開閉するか、セカンドメッセンジャーシステムを活性化することで、シナプス後細胞内のイオン濃度や他の生化学的反応を変化させます。

● シナプス後細胞の応答

受容体による応答は、興奮性シナプス後電位(EPSP)または抑制性シナプス後電位(IPSP)として知られています。EPSPはシナプス後細胞の膜電位を脱分極させ、ニューロンの発火閾値に近づけることで、新たな活動電位の発生を促進します。一方、IPSPはシナプス後細胞を過分極させ、活動電位の発生を抑制します。

● シナプスの調節

シナプスでの信号伝達は、様々な調節メカニズムによって微調整されます。例えば、シナプス前抑制は、他のニューロンからの入力がシナプス前終末に到達することで、神経伝達物質の放出を減少させる現象です。また、シナプス後細胞の受容体の感受性の変化や、神経伝達物質の再取り込みおよび分解も、シナプス伝達の強度を調節する要因となります。

● シナプス可塑性

繰り返しの使用によってシナプスの効率が変化する現象をシナプス可塑性と呼びます。長期増強(LTP)や長期抑制(LTD)は、学習や記憶に関連するシナプス可塑性の形態です。これらのプロセスは、シナプス後細胞の受容体の数や機能、シナプス前終末の神経伝達物質の放出量の変化によって生じます。

シナプスでの信号伝達は、神経系の基本的な機能を担い、私たちの感覚、思考、行動に直接影響を与える重要なプロセスです。

ニューロンのネットワークとパターン

脳は約千億もの神経細胞(ニューロン)から構成される複雑なネットワークであり、これらのニューロンが非線形な相互作用を通じて結合し、スパイク発火と呼ばれる電気的な信号を送り合うことで、高度な情報処理と極めて柔軟で効率的な学習を実現しています[13]。ニューロンネットワークの構造とパターン形成の意義について、以下に詳しく解説します。

● ニューロンネットワークの構造

ニューロンは、細胞体、樹状突起、軸索から構成されます。細胞体はニューロンの「本体」であり、樹状突起は他のニューロンからの信号を受け取る部分、軸索は信号を他のニューロンへと送る部分です。これらのニューロンが互いに結合し、複雑なネットワークを形成しています。ニューロン間の接続点をシナプスと呼び、ここで情報の伝達が行われます。シナプスを通じて、ニューロンは電気的または化学的な信号を送受信し、脳の機能を実現しています[16]。

● パターン形成の意義

ニューロンネットワークにおけるパターン形成は、脳が情報を処理し、記憶する基本的なメカニズムです。学習や記憶の過程で、ニューロン間の接続は強化されたり、新たに形成されたりします。これにより、特定の情報や経験に対する反応パターンが脳内に構築されます。例えば、ある物体を見たときにその物体を認識する能力や、過去の経験から新しい状況を予測する能力などは、ニューロンネットワークにおけるパターン形成によって実現されています[16]。

ニューロンネットワークにおけるパターン形成は、脳の適応性と柔軟性の根底にあります。学習によってニューロン間の接続が変化することで、脳は新しい情報を取り込み、過去の経験を基にした判断や予測を行うことができます。この過程は、脳が環境の変化に対応し、生存に必要な知識やスキルを獲得するために不可欠です[13][16]。

● まとめ

ニューロンネットワークの構造とパターン形成の意義を理解することは、脳の情報処理メカニズムを深く理解する上で重要です。ニューロン間の複雑な相互作用によって形成されるパターンは、脳の高度な機能を支える基盤となっており、学習や記憶、認知などのプロセスを可能にしています[13][16]。

第3章: 神経発火の調節機構

調節される神経活動

神経発火の頻度と強度を調節する生物学的メカニズムは、神経系の基本的な機能を理解する上で重要な要素です。これらのメカニズムは、神経細胞間の情報伝達、学習と記憶の形成、さらには感覚の処理や運動制御など、脳の多様な機能を支えています。以下に、神経発火の頻度と強度を調節する主要な生物学的メカニズムを紹介します。

● シナプス可塑性

シナプス可塑性は、神経細胞間の接続強度が経験や活動に応じて変化する現象です。Hebbian型シナプス可塑性は、複数の神経細胞が同時に活動することで、それらをつなぐシナプスの伝達効率が増強(あるいは減弱)されるメカニズムです。この現象は、記憶や学習の基本的なメカニズムとして知られています[2]。

● 恒常的(ホメオスタシス)可塑性

恒常的可塑性は、ニューロンが異常な興奮を誘発する信号にさらされた際、ニューロンが神経活動の変化に応じて活動電位発火率を調整し、応答性を調整することで、ニューロンネットワークを安定させるメカニズムです[2]。これにより、神経系全体のバランスが保たれます。

● 電気シナプスと化学シナプス

神経細胞間の情報伝達は、電気シナプスと化学シナプスの二つの主要な形態を通じて行われます。電気シナプスは、ギャップ結合を介して電気的な信号が直接伝達されることで、神経細胞間の迅速な情報伝達を可能にします。一方、化学シナプスでは、シナプス前細胞から放出された神経伝達物質がシナプス後細胞の受容体に結合することで情報が伝わります。この化学的伝達は、シナプス後細胞の活動電位の発火を促進または抑制することで、神経活動の強度を調節します[5]。

● 神経活動依存的なメカニズム

神経活動パターンは、神経回路の形成や再構築においても重要な役割を果たします。神経活動依存的なメカニズムは、神経細胞間の接続の強化や弱化、さらには新たな接続の形成を通じて、神経回路の構造的な変化を促します。これにより、神経系は経験や環境の変化に適応し、学習や記憶のプロセスをサポートします[7]。

これらのメカニズムは、神経系が複雑な情報を処理し、適応的な行動を生成するための基盤を提供します。神経発火の頻度と強度の調節は、神経系のダイナミクスと機能の多様性を理解する上で中心的な概念です。

神経活動の変動性とその意義

神経活動の変動性は、脳の適応性と機能を高めるために重要な役割を果たします。この変動性は、神経回路の柔軟性を示し、学習、記憶、認知機能などの脳の高次機能を支える基盤となります。

● 神経活動の変動性の役割

1. 学習と記憶の促進:
神経活動の変動性は、シナプスの可塑性に関連しています。シナプス可塑性は、神経細胞間の接続の強度が経験に応じて変化する現象で、学習と記憶の生物学的基盤です。変動性が高い神経回路は、新しい情報を統合しやすく、効率的な学習を可能にします。

2. 認知機能の最適化:
脳は環境の変化に対応して適切な行動を選択する必要があります。神経活動の変動性は、異なる状況における適応的な行動選択を支えることで、認知機能を最適化します。

3. 情報処理の効率化:
神経活動の変動性は、脳が情報を処理する際の効率を高めます。一定のパターンだけでなく、多様な活動パターンを持つことで、脳はより多くの情報を処理し、柔軟な思考を可能にします。

4. ネットワークの再構築と修復:
脳損傷や神経変性疾患などによるダメージからの回復において、神経活動の変動性は重要です。変動性があることで、損傷したネットワークの再構築や修復が促進され、機能回復が期待できます。

5. 感覚入力の統合:
神経活動の変動性は、異なる感覚入力を統合し、一貫した知覚を形成するのに役立ちます。これにより、脳は複雑な環境からの情報を効果的に解釈し、適切な反応を導き出すことができます。

● 神経活動の変動性のメカニズム

神経活動の変動性は、以下のメカニズムによって生じます。

1. イオンチャネルの動態:
神経細胞の膜に存在するイオンチャネルの開閉は、神経活動の変動性を生み出す基本的なメカニズムです。これらのチャネルの動態は、細胞の興奮性を調節し、活動パターンの多様性を生み出します。

2. シナプス伝達の変動:
神経細胞間のシナプス伝達は、伝達物質の放出量や受容体の感受性の変化によって変動します。これにより、同じ入力に対しても異なる応答が生じることがあります。

3. 神経回路のダイナミクス:
神経回路内の神経細胞の相互作用は、複雑なダイナミクスを持ち、活動パターンの変動性を生み出します。これには、抑制的および興奮的な神経細胞のバランスが関与しています。

4. 神経系の発達と成熟:
発達過程において、神経系は経験に基づいて絶えず変化し、新しい神経接続が形成されます。この過程は、神経活動の変動性を高め、脳の適応能力を向上させます。

神経活動の変動性は、脳の健康と機能にとって不可欠な要素であり、脳の柔軟性と適応性を保証するために重要です。この変動性を理解することは、神経科学における基本的な課題であり、神経疾患の治療や脳機能の改善に向けた研究においても重要な意味を持ちます。

第4章: 神経発火と認知機能

記憶と学習における神経発火の役割

記憶と学習のプロセスにおいて、神経発火は中心的な役割を果たします。神経細胞間の情報伝達は、主に神経細胞が発火することによって行われます。この発火プロセスは、シナプスを介して他の神経細胞に信号を伝達し、脳内での情報処理や記憶の形成、学習の促進に不可欠です。

● 神経発火と記憶形成

記憶形成においては、特定の神経細胞群が特定のパターンで発火することが重要です。このプロセスは、シナプス・アンサンブルとも呼ばれ、比較的広範囲の脳領域における特定の神経細胞群が一定のパターンで発火することにより、記憶が想起できると考えられています[17]。このような神経細胞群の活動パターンは、記憶の物理的な基盤である記憶痕跡(memory engram)を形成し、これによって経験や学習した情報が長期記憶として保存されます。

● 学習プロセスと神経発火

学習プロセスにおいても、神経発火は重要な役割を果たします。学習は、新しい情報やスキルを獲得する過程であり、これには神経細胞の発火パターンの変化やシナプスの強化が伴います。ヘブ則(Hebb’s rule)は、「ニューロンAの発火がニューロンBを発火させると2つのニューロンの結合が強まる」という原則であり[13]、この原則に基づくシナプス可塑性は学習と記憶の基本的なメカニズムとされています。つまり、繰り返し発火することで神経細胞間の接続が強化され、学習が促進されるのです。

● 神経発火の調節と学習効率

神経発火の調節は、学習効率にも影響を及ぼします。例えば、分散学習法では、学習セッションを短期間に分散させることで、神経細胞の発火パターンを最適化し、記憶の定着を促進することができます[16]。また、学習中に映像的なイメージを用いることで、ワーキングメモリの能力を高め、記憶に定着しやすくすることが示されています[16]。

● 結論

神経発火は、記憶形成と学習プロセスにおいて中心的な役割を果たします。神経細胞の特定の発火パターンは、記憶痕跡の形成に関与し、学習におけるシナプス可塑性の基盤となります。また、神経発火の調節によって学習効率を高めることが可能であり、これらのメカニズムの理解は、記憶と学習の研究において重要な意味を持ちます。

意識と神経発火

意識とは、自己の内的体験や外界に対する認識を含む、人間の根本的な精神的現象です。神経発火とは、脳内の神経細胞(ニューロン)が電気信号を発することで、情報を伝達するプロセスを指します。意識の現象と神経発火のパターンは、複雑な相互作用を通じて密接に関連しています。

● 神経科学における意識の研究

神経科学における意識の研究は、意識レベルの調節や意識の内容に関わる神経活動を明らかにしようとするものです。意識の神経科学は、特定の神経メカニズムが意識レベルを調節し、どのような神経活動が意識にのぼり、残りが意識にのぼらないのかを解明することを目指しています[7]。

● 意識と神経細胞の発火パターン

意識の現象は、神経細胞の発火パターンと密接に関連しています。例えば、意識感覚が生じるまでの0.5秒間は、脳神経細胞が発火を繰り返しながら意識の水面下で活動を始めており、発火の連続時間が0.5秒を超えた刺激は情報として意識体験されます[12]。また、意識活動に関わる神経活動が、主に20Hz以上のガンマ帯の同期発火として現れ、これが脳の総合的な働きに深く関わっていることが示されています[20]。

● 意識の神経相関(NCC)

意識と相関する神経活動(Neural Correlates of Consciousness、NCC)は、特定の意識的知覚を共同して引き起こすのに十分な、最小の神経メカニズムと定義されます。NCCの研究では、特に視覚的意識が研究対象に選ばれることが多く、視覚意識のNCCを研究することにより、現象的意識の解明に繋がることが期待されています[11]。

● 意識の脳内メカニズム

意識の脳内メカニズムには、覚醒や睡眠の諸段階があり、これらは脳幹のコリン系やアミン系などのニューロトランスミッターの働きによって調整されています。覚醒の神経機構としては、脳幹の網様体に感覚信号が集められ、ここで作り出される信号が視床を介して新皮質全体を賦活し、覚醒状態をもたらすとされています[9]。

● 意識と脳の活動

意識の神経基盤として、NREM睡眠でもREM睡眠でも、包括的NCCは知覚体験に関連する側頭-頭頂-後頭領域と思考的体験に関連する前頭領域に局在することが示されています[16]。これは、意識の内容や状態に対応する複数の階層があり、それぞれが特定の脳領域の活動と関連していることを意味します。

● 結論

意識の現象は、神経細胞の発火パターンという脳の電気化学的な活動と深く結びついています。意識のレベルや内容は、特定の神経メカニズムや脳領域の活動によって調節され、これらの神経活動のパターンが意識体験を形成する重要な要素となっています。神経科学者は、これらの関連性を明らかにするために、NCCや脳の活動パターンを研究し続けています。

参照・引用
[7] www.jnss.org/etc?id=2015tsuchiya
[8] www.amazon.co.jp/%E6%84%8F%E8%AD%98%E3%81%AE%E6%8E%A2%E6%B1%82-%E4%B8%8A%E2%80%95%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%A7%91%E5%AD%A6%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81-%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%95-%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%9B/dp/4000050532
[9] dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?contentNo=1&itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F10938549
[10] www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20190301000145.html
[11] www.jstage.jst.go.jp/article/jsoft/28/2/28_50_1/_article/-char/ja
[12] www.blog.crn.or.jp/report/04/58.html
[13] repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/70798/1/OtaSurvey.pdf
[14] wired.jp/2008/04/17/%E3%80%8C%E6%84%8F%E8%AD%98%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%88%A4%E6%96%AD%E3%81%AE7%E7%A7%92%E5%89%8D%E3%81%AB%E3%80%81%E8%84%B3%E3%81%8C%E5%88%A4%E6%96%AD%E3%80%8D%EF%BC%9A%E8%84%B3%E3%82%B9%E3%82%AD/
[15] wired.jp/2007/09/28/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B4%B0%E8%83%9E%E3%82%92%E4%BB%AE%E6%83%B3%E7%92%B0%E5%A2%83%E3%81%AB%E6%8E%A5%E7%B6%9A%E2%80%95%E2%80%95%E3%80%8C%E6%84%8F%E8%AD%98%E3%80%8D%E3%81%AF%E7%94%9F%E3%81%BE%E3%82%8C/
[16] www.jstage.jst.go.jp/article/jjppp/advpub/0/advpub_2204si/_pdf/-char/ja
[17] www.todaishimbun.org/prof_okada_20201102/
[18] ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%8F%E8%AD%98%E3%81%AB%E7%9B%B8%E9%96%A2%E3%81%97%E3%81%9F%E8%84%B3%E6%B4%BB%E5%8B%95
[19] www.jstage.jst.go.jp/article/jjppp/40/1/40_2204si/_pdf
[20] www.jstage.jst.go.jp/article/jnns/8/4/8_4_155/_pdf/-char/en

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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