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不完全優性(不完全顕性)とは?完全優性・共優性との違いと例をわかりやすく解説(花の色・ヒトの病気)

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

不完全優性(ふかんぜんゆうせい)とは、2つの異なる対立遺伝子をもつヘテロ接合体の形質が、両親のどちらとも同じにならず、その中間になる遺伝のしかたです。赤い花と白い花をかけ合わせると子がピンクの花になる、というのが代表例です。2017年の用語改訂で「優性」が「顕性」に言い換えられたため、不完全顕性とも呼ばれます。この記事では、完全優性・共優性との違いを表で整理し、花の色の例と、ヒトの病気で「中間」が現れる例までを解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🌸 Q. 不完全優性(不完全顕性)とは何ですか?

ヘテロ接合体(たとえばRr)の形質が、両親のホモ接合体(RRとrr)の中間になる遺伝のしかたです。赤(RR)×白(rr)の子(Rr)がピンクになるのが典型例です。

🌸 Q. 共優性との違いは?

不完全優性は「混ざって中間になる」、共優性は「両方がそのまま両方とも現れる」です。AB型の血液型は、A型とB型の中間ではなくA抗原とB抗原の両方をもつので、共優性の例です。

🌸 Q. 孫の代(F2)はどうなりますか?

ピンク(Rr)どうしをかけ合わせると、赤:ピンク:白=1:2:1に分かれます。対立遺伝子の分かれ方はメンデルの分離の法則のままで、見た目が中間になるだけです。

🌸 Q. ヒトの病気にも関係しますか?

家族性高コレステロール血症や軟骨無形成症では、変化を2つもつ人(ホモ接合)は1つもつ人(ヘテロ接合)よりずっと重くなります。医療では「顕性遺伝」と呼びますが、遺伝子の数で重さが変わる点は不完全優性と同じ考え方で説明できます。

この記事でわかること
📖 読了時間:約9分
🧬 不完全優性・共優性・完全優性
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤不完全優性 → ヘテロ接合体が両親の中間の形質になる
  • ➤共優性との違い → 中間(混ざる)か、両方とも現れるか
  • ➤例 → 花の色(赤×白→ピンク)、F2は1:2:1
  • ➤血液型 → ABO式のAとBは共優性、Oは潜性(劣性)
  • ➤ヒトの病気 → 変化が2つあると1つより重くなる病気がある

不完全優性(不完全顕性)とは何か、完全優性・共優性との違いと花の色の例を解説するインフォグラフィック

1. 不完全優性(不完全顕性)とは?

不完全優性とは、ヘテロ接合体が、両親(2種類のホモ接合体)の形質のちょうど中間にあたる形質を示す遺伝のしかたです。英語では incomplete dominance といい、部分優性(partial dominance)とも呼ばれます[1][4]。

メンデルがエンドウで見つけた「優性(顕性)」は、ヘテロ接合体が片方の親と同じ形質になる関係でした。丸い種子のアレルとしわの種子のアレルを1つずつもつと、種子は丸になります。これを完全優性と呼びます。一方、不完全優性ではヘテロ接合体はどちらの親とも同じにならず、その間に位置します。遺伝子のことばでいうと、対立遺伝子(アレル)どうしの「優劣」がはっきりつかない状態です。

💡 用語解説:ホモ接合とヘテロ接合

ヒトや多くの動植物は、同じ遺伝子を父由来と母由来の2つずつもっています。2つが同じ種類(RR、rr)ならホモ接合、違う種類(Rr)ならヘテロ接合といいます。不完全優性は、このヘテロ接合のときに現れる形質の話です。くわしくはヘテロ接合とホモ接合のページで解説しています。

赤い花×白い花でピンクの花が生まれるのはなぜ?

赤(RR)と白(rr)をかけ合わせると、子(F1)はすべてRrになり、赤と白の中間のピンクの花が咲きます。英語の生物学の教科書では、キンギョソウ(スナップドラゴン)でこの例が説明されています[1]。日本の教科書ではマルバアサガオやオシロイバナがよく使われます。

親:赤(RR)×白(rr)どちらもホモ接合
▶
子(F1):すべてピンク(Rr)両親の中間
▶
孫(F2):赤1:ピンク2:白1RR:Rr:rr

F1のピンク(Rr)どうしをかけ合わせた孫の代(F2)では、赤:ピンク:白が1:2:1に分かれます[1]。完全優性なら赤:白=3:1になるところが、ヘテロ接合体がピンクとして区別できるため、遺伝子型の比(RR:Rr:rr=1:2:1)がそのまま見た目の比になります。

🌸 F1(Rr)どうしをかけ合わせたときの組み合わせ

母から \ 父から R r
R RR(赤) Rr(ピンク)
r Rr(ピンク) rr(白)

※赤:ピンク:白=1:2:1。不完全優性でも、アレルの分かれ方(分離の法則)はメンデルの法則どおりです[1]。

ここで大事なのは、不完全優性は「遺伝子が混ざる」現象ではないことです。ピンクの花の中でも、RとrはそれぞれRとrのまま保たれていて、次の世代では再び赤と白が現れます。中間になるのは見た目(表現型)だけです。メンデルの法則そのものはメンデル遺伝のページで解説しています。

なぜ中間の色になる?カギは「酵素の量」

中間の色になる理由は、色素をつくる酵素の量が、働くアレルの数に応じて変わるからです。日本植物生理学会のQ&Aでは、マルバアサガオについて次のように説明されています[2]。

赤花のアレルRは、アントシアニン色素をつくる酵素の設計図(mRNA)をつくります。白花のアレルrは、そのmRNAをつくれないほど変化しています。マルバアサガオではRの働きがもともと弱く、Rが1つだけでは十分な酵素ができません。そのためRrでは色素量がRRの半分ほどになり、薄い赤、つまりピンクに見えます[2]。

言いかえると、不完全優性の多くは「遺伝子の量(数)が形質の強さに比例する」状態です。逆に、Rが1つあれば酵素が十分に足りる遺伝子では、RrもRRと同じ赤になり、完全優性に見えます。優性か不完全優性かは、遺伝子そのものの性質というより、「半分の量で足りるかどうか」で決まると考えると理解しやすくなります。この「半分では足りない」状態は、ヒトの病気ではハプロ不全と呼ばれ、第4章でふれます。

🌸 模式図:不完全優性の花の色の遺伝(赤×白)

親(P)
赤RR
×
白rr

▼

配偶子(花粉・卵細胞)
R赤の親から
+
r白の親から

▼

子(F1)
ピンクRr(すべて)

▼

孫(F2):F1どうしをかけ合わせる
赤RR:1
ピンクRr:2
白rr:1

赤:ピンク:白=1:2:1。ヘテロ接合体(Rr)だけが中間のピンクになります。

2. 完全優性・不完全優性・共優性の違いは?

3つの違いは、ヘテロ接合体に「片方だけが現れる」か「中間になる」か「両方とも現れる」かです。共優性(codominance)は、ヘテロ接合体で2つのアレルが両方とも同時に働き、それぞれの形質がそのまま現れる関係をいいます[1][3]。

🧬 完全優性・不完全優性・共優性の比較

項目 完全優性(顕性) 不完全優性(顕性) 共優性(共顕性)
ヘテロ接合体の形質 片方の親と同じ 両親の中間 両親の形質が両方とも現れる
イメージ 赤×白→赤 赤×白→ピンク(混ざる) A×B→AとBの両方(並ぶ)
F2の見た目の比 3:1 1:2:1 1:2:1
代表例 エンドウの種子の形(丸・しわ) キンギョソウ・マルバアサガオの花の色 ABO式血液型のAとB、MN式血液型

※花の色・MN式血液型・F2の比はOpenStax Biology 2e[1]、ABO式血液型は Life: The Science of Biology[3]による。

不完全優性と共優性は、どちらもF2が1:2:1になり、ヘテロ接合体を見分けられる点は同じです。違いは「中間」か「両方」かです。ピンクの花は赤い色素と白い部分がまだらに並んでいるのではなく、色素が全体に少ないので「中間」です。一方、共優性のヘテロ接合体は、2種類の産物をそれぞれ本来の形でつくっています。共優性のくわしい説明と血液型の遺伝の表は、共優性(共顕性)とはのページにまとめています。

血液型は不完全優性ですか?

ABO式血液型のAとBは不完全優性ではなく共優性で、Oは潜性(劣性)です。AとBの両方のアレルをもつ人は、A抗原とB抗原を両方つくります。これが共優性の典型例です。Oのアレルは酵素の働きをもたないタンパク質をつくるため潜性になります[3]。

AB型は「A型とB型の中間の性質」ではなく、「A型の印とB型の印を両方もつ」型です。もし血液型が不完全優性なら、AB型の人はA抗原もB抗原も半分ずつの「どちらでもない型」になるはずですが、実際にはそうはなりません。この点が不完全優性と共優性を見分けるポイントです。

同じ遺伝子でも「どこを見るか」で呼び方が変わる

完全優性・不完全優性・共優性は遺伝子に固定された性質ではなく、形質をどの段階で見るかによって変わります。Nature Education の解説は、優性の関係は観察する表現型の「レベル」によって変わりうると述べ、鎌状赤血球症の例を挙げています[4]。

鎌状赤血球症の原因となるヘモグロビンは、分子のレベルでは共優性として受け継がれます。ヘテロ接合体は正常なヘモグロビンと変化したヘモグロビンの両方をつくるからです。しかし、ヘテロ接合体の人はふだん症状がないため、病気として見れば潜性(劣性)の遺伝になります[4]。同じ遺伝子でも、ヘモグロビンの種類を調べれば共優性、症状で見れば潜性、と見え方が変わるのです。鎌状赤血球症については鎌状赤血球症 総論で解説しています。

遺伝子検査の結果を読むときにも、この考え方は役に立ちます。「顕性」「潜性」は、病気として現れるかどうかで決めた呼び方であって、分子のレベルで片方のアレルが働いていないことを意味するわけではありません。

3. 「不完全優性」と「不完全顕性」は同じ意味?

同じ意味です。日本遺伝学会が2017年9月11日に「優性・劣性」を「顕性・潜性」に言い換える用語改訂を発表したため、不完全優性は不完全顕性とも呼ばれるようになりました。日本遺伝学会は、「優・劣」という語に強い価値観が含まれ、とくに臨床遺伝の分野では「劣性」遺伝のマイナスイメージが深刻であることを理由に、より中立的な「顕性・潜性」に変更すると説明しています[5]。

「優性」は「すぐれている」という意味ではなく、ヘテロ接合体で「表に出る(顕れる)」という意味にすぎません。「劣性」も「劣っている」ではなく「潜んでいる」という意味です。不完全優性という言葉も、どちらかのアレルがすぐれているという話ではなく、「表への出方が中途半端」という意味だと読みかえると誤解がありません。

検索や教科書では今も「不完全優性」がよく使われるため、この記事では両方を併記しています。優性・劣性がそもそもどういう分子のしくみで決まるのかは、優性・劣性(顕性・潜性)の分子メカニズムで、遺伝形式の全体像は遺伝形式とはで解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「劣性」という言葉が人を傷つけないように】

遺伝の説明で「劣性遺伝」という言葉を聞くと、自分の遺伝子が劣っていると受け取ってしまう方がいます。潜性の病気の保因者であることは、ほとんどの人に当てはまることで、本人の価値とは何の関係もありません。

だからこそ、顕性・潜性への言い換えは大切な変化だと考えています。不完全優性も同じで、「中途半端に優れている」という意味ではなく、遺伝子の働く量が形に表れているだけです。言葉の中身を正しく知ることが、遺伝を冷静に理解する第一歩だと考えています。

4. 遺伝・医療とのつながり:ヒトの病気で現れる「中間」

ヒトの病気にも、病気の原因となる変化を1つもつ人と2つもつ人で重さがはっきり違う、つまりヘテロ接合体が「中間」にあたる病気があります。医療ではこうした病気をふつう「常染色体顕性(優性)遺伝」と呼びますが、遺伝子の数によって重さが変わるという点では、不完全優性と同じ考え方で理解できます。

家族性高コレステロール血症:変化が2つあると小児期から重症に

家族性高コレステロール血症(FH)は、変化を1つもつ人でも発症し、2つもつ人ではさらに重い形になる病気です。FHは常染色体顕性遺伝で、LDLR・APOB・PCSK9などの遺伝子の変化が1つあれば発症し、多くの国で200〜250人に1人程度と推定されています[6]。

まれに、両親がともにFHで、LDLR・APOB・PCSK9のいずれかの変化を2つ受け継ぐ人がいます。この場合はより重いFHとなり、通常は小児期に現れます[6]。LDL受容体は血液中のLDLコレステロールを細胞に取り込む受容体なので、働く受容体が2つ→1つ→0に近づくほど、コレステロールの処理能力が落ちていきます。正常(ホモ接合)・ヘテロ接合・変化が2つ、の3段階で重さが変わる様子は、赤・ピンク・白の花と同じ構図です。

FHについては家族性高コレステロール血症(FH)総論で、当院で受けられる遺伝子検査は家族性高コレステロール血症の遺伝子検査で解説しています。

軟骨無形成症:ホモ接合は致死的になることが多い

軟骨無形成症も、FGFR3遺伝子の変化が1つで発症し、2つ受け継ぐとはるかに重くなる病気です。常染色体顕性遺伝で、約80%は軟骨無形成症のない両親から生まれ、新たに生じたFGFR3の変化によります。変化したFGFR3を2つ受け継いだ人は重症型となり、多くは死産か、生後まもなく呼吸不全で亡くなります[7]。

両親がともに軟骨無形成症の場合、子どもは理論上、変化をもたない・1つもつ・2つもつ、の3通りになります。1つもつ子は親と同じ軟骨無形成症、2つもつ子は重症型です。ここでもヘテロ接合体は正常と重症型の「中間」に位置しています。軟骨無形成症のページでは、症状と治療について解説しています。

軟骨無形成症のように新たな変化で生じる単一遺伝子疾患は、妊娠中に調べたいと考える方もいます。当院のNIPT(新型出生前診断)で単一遺伝子疾患を調べる考え方は、単一遺伝子疾患とNIPTで、実際に拡大型NIPTで軟骨無形成症と判明したケースも紹介しています。

ハプロ不全とのつながり

遺伝子が1つ働かなくなっただけで、残りの1つでは足りずに形質や病気が現れる状態をハプロ不全といい、不完全優性を分子のしくみから説明する考え方の1つです。第1章のマルバアサガオで、Rが1つでは色素が半分しかできずにピンクになったのは、植物の花で起きたハプロ不全といえます[2]。

ヒトでは、ハプロ不全による病気はヘテロ接合で症状が出るため「顕性遺伝」と呼ばれます。ただ、もし両方のアレルが働かなくなれば、さらに重い状態になることが予想されます。「顕性遺伝の病気」と「不完全優性」は別の世界の話ではなく、同じ「遺伝子の量」という物差しの上に並んでいると考えると、遺伝の話がつながって見えてきます。ハプロ不全についてはハプロ不全とはで解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「顕性遺伝」の一言で終わらせない】

家族性高コレステロール血症も軟骨無形成症も、教科書では「常染色体顕性遺伝」の一言で片づけられがちです。けれども、変化を1つもつか2つもつかで重さがまったく違うという事実は、ご夫婦がともに同じ病気をもつときの見通しを考えるうえで欠かせません。

不完全優性という言葉は高校の生物で習う知識ですが、「遺伝子の数で重さが変わる」という見方は、臨床遺伝の判断にもそのまま通じています。遺伝形式の名前だけでなく、遺伝子の量がどう働くのかまで考えることが大切だと考えています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 不完全優性と共優性の違いは何ですか?

不完全優性はヘテロ接合体の形質が両親の中間になること、共優性はヘテロ接合体で両親の形質が両方ともそのまま現れることです。赤×白でピンクになる花は不完全優性、A抗原とB抗原を両方もつAB型の血液型は共優性の例です。

Q2. 不完全優性の例を教えてください。

代表例はキンギョソウやマルバアサガオの花の色で、赤(RR)と白(rr)をかけ合わせた子(Rr)がピンクになります。ヒトでは、家族性高コレステロール血症や軟骨無形成症のように、変化を2つもつ人が1つもつ人よりずっと重くなる病気が、同じ考え方で説明できます。

Q3. 血液型は不完全優性ですか?

ABO式血液型のAとBは不完全優性ではなく共優性で、Oは潜性(劣性)です。AB型の人はA抗原とB抗原の両方をつくるので、中間ではなく「両方が現れる」共優性にあたります。

Q4. 不完全優性でもメンデルの法則は成り立ちますか?

アレルの分かれ方(分離の法則)は成り立ちます。ピンク(Rr)どうしをかけ合わせると、孫の代は赤:ピンク:白=1:2:1に分かれます。ヘテロ接合体が片方の親と同じにならないという点だけが、完全優性と違います。

Q5. 不完全顕性と不完全優性は同じ意味ですか?

同じ意味です。日本遺伝学会が2017年に「優性・劣性」を「顕性・潜性」に言い換える用語改訂を発表したため、不完全優性は不完全顕性とも呼ばれます。

Q6. 不完全優性と不完全浸透の違いは何ですか?

不完全優性は、ヘテロ接合体の形質が中間の強さになることです。不完全浸透は、病気の原因となる変化をもっていても発症しない人がいることで、形質の強さではなく「現れるかどうか」の話です。名前は似ていますが別の概念です。

Q7. 完全優性とは何ですか?

ヘテロ接合体が、片方の親(顕性のホモ接合体)とまったく同じ形質を示す関係です。エンドウの種子の形がその例で、丸のアレルとしわのアレルを1つずつもつ種子は丸になり、孫の代は丸:しわ=3:1に分かれます。

不完全浸透について詳しくは不完全浸透のページをご覧ください。

まとめ

不完全優性(不完全顕性)とは、ヘテロ接合体の形質が両親のホモ接合体の中間になる遺伝のしかたで、赤×白の花からピンクの花が生まれ、孫の代が1:2:1に分かれるのが典型例です[1]。中間になるのは、色素をつくる酵素の量がアレルの数に応じて変わるためです[2]。

共優性は両方の形質がそのまま現れる関係で、ABO式血液型のAとBがその例です[3]。ヒトの病気では、家族性高コレステロール血症や軟骨無形成症のように変化が2つあると1つよりずっと重くなる病気があり[6][7]、「遺伝子の量で重さが変わる」という不完全優性の考え方は、臨床遺伝を理解するうえでも役に立ちます。

📘 この記事について

この記事は、遺伝の用語「不完全優性(不完全顕性)」を解説する用語ページです。ご家族の病気の遺伝のしかたや、ご夫婦が同じ病気をもつ場合の見通しについて、臨床遺伝専門医と整理する場として遺伝カウンセリングがあります。

参考文献

  • [1] Clark MA, Douglas M, Choi J. 12.2 Characteristics and Traits. Biology 2e. OpenStax. [OpenStax]
  • [2] 日本植物生理学会. 植物Q&A「不完全優性について」(回答:今関英雅). 2012. [日本植物生理学会]
  • [3] Sadava D, et al. Life: The Science of Biology, 11th edition, Chapter 12. Macmillan Learning. [Macmillan]
  • [4] Miko I. Genetic dominance: genotype-phenotype relationships. Nature Education. 2008. [Nature Education]
  • [5] 日本遺伝学会. 遺伝学用語改訂について. 2017年9月11日. [日本遺伝学会]
  • [6] Familial hypercholesterolemia. MedlinePlus Genetics. National Library of Medicine. [MedlinePlus]
  • [7] Achondroplasia. MedlinePlus Genetics. National Library of Medicine. [MedlinePlus]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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