目次
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ホモログ(homolog)とは、共通の祖先の遺伝子から分かれてできた遺伝子のことで、日本語では「相同遺伝子」ともいいます。ホモログは、分かれたきっかけによって、種が分かれたこと(種分化)で生じたオルソログ(オーソログ)と、遺伝子のコピー(遺伝子重複)で生じたパラログに分けられます[1][2]。似ているかどうかではなく、祖先が共通かどうかで決まる言葉です。この記事では、3つの言葉の違いを系統樹の図と比較表で整理し、SMN1とSMN2の例など、ホモログが病気の理解やNIPT(新型出生前診断)・遺伝子検査とどうつながるかを解説します。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. ホモログとは何ですか?
共通の祖先の遺伝子から分かれてできた遺伝子のことで、「相同遺伝子」ともいいます。配列や働きが似ていることが多いものの、ホモログかどうかを決めるのは祖先が共通かどうかです。
🧬 Q. オルソログ(オーソログ)とパラログの違いは?
分かれたきっかけが違います。オルソログは種分化、パラログは遺伝子重複で分かれた遺伝子です。「オルソログ」と「オーソログ」は表記の違いで、同じものを指します。
🧬 Q. ホモログの例は?
ヒトの遺伝子と、それに対応するゼブラフィッシュの遺伝子はオルソログの例です。ヒトのSMN1とSMN2は、重複でできたよく似た遺伝子どうしで、パラログの関係にあります。
🧬 Q. 病気や遺伝子検査とどう関係しますか?
SMN2の数が脊髄性筋萎縮症(SMA)の重さに関わるように、パラログが働きを補うことがあります。一方で、よく似たパラログや偽遺伝子があると、遺伝子検査で調べにくくなることがあります。
- ➤ホモログ → 共通の祖先の遺伝子から分かれた遺伝子(相同遺伝子)
- ➤オルソログ(オーソログ) → 種分化で分かれた遺伝子
- ➤パラログ → 遺伝子重複で分かれた遺伝子(違う生物どうしでもありうる)
- ➤医療とのつながり → モデル生物での研究、SMN1とSMN2、遺伝子検査の難しさ、バリアントの解釈

1. ホモログとは?相同遺伝子の意味
ホモログとは、共通の祖先の遺伝子から分かれてできた遺伝子のことです。遺伝子は長い進化の間に、種が分かれるたびに別々の生物へ受け継がれたり、ゲノムの中でコピーされて数が増えたりしてきました。こうして同じ祖先からたどれる遺伝子どうしを「ホモログ(相同遺伝子)」と呼びます。英語では homolog(イギリス式のつづりは homologue)、関係そのものは homology(相同性)です。
ホモログの定義:祖先が共通であることがすべて
ホモログかどうかを決めるのは、配列がどのくらい似ているかではなく、共通の祖先に由来するかどうかです。オルソログとパラログはどちらも、共通の祖先の遺伝子から生じたホモログの下位の分類として定義されています[1][2]。配列がよく似ていることはホモログであることを推定する手がかりになりますが、似ていることと祖先が共通であることは別の話です。
ホモログどうしは、塩基配列やアミノ酸配列、タンパク質の形が似ていることが多く、働きも似ていることがよくあります。ただし、進化の途中で働きが変わることもあるため、「ホモログ=同じ働き」とは限りません(第3章)。ひとつの祖先から増えたホモログの集まりは遺伝子ファミリーと呼ばれます。
「相同染色体」「相似」とは何が違う?
ホモログは遺伝子どうしの進化上の関係を表す言葉で、細胞の中で対になる相同染色体とは別の話です。相同染色体は、父と母からひとつずつ受け継いだ、対になる染色体のことです。英語ではどちらにも homologous という語が使われるため、混同しやすい言葉です。
また、生物学では「相同(homology)」の反対の考え方として「相似(analogy)」があります。教科書では、形や遺伝的な成り立ちが重なる特徴を相同な構造と呼び、近い進化上の関係ではなく環境などの条件によって似た特徴が生じる場合を相似と呼んでいます。たとえば、昆虫・コウモリ・鳥のはねはどれも飛ぶために働きますが、昆虫のはねには骨がなく発生の由来も違うため、相似な器官とされます[5]。遺伝子やタンパク質でも同じで、祖先が別なのに働きが似ているものはホモログとは呼びません。相同なタンパク質と相似なタンパク質を見分けることは、オルソログ・パラログという言葉を初めて用いたフィッチ(Walter Fitch)の1970年の論文の主題でもありました[3][6]。
📘 ホモログ・相同染色体・相似の違い
| 言葉 | 何についての言葉か | 意味 |
|---|---|---|
| ホモログ(相同遺伝子) | 遺伝子・タンパク質どうし | 共通の祖先の遺伝子から分かれたもの |
| 相同染色体 | 1つの細胞の中の染色体 | 父と母からひとつずつ受け継いだ、対になる染色体 |
| 相似(アナログ) | 形・働きが似たもの | 祖先が別なのに、似た働き・形になったもの |
※相似の説明は OpenStax Biology 2e[5]による。
2. オルソログ(オーソログ)とパラログの違いは?
オルソログとパラログの違いは、分かれたきっかけです。オルソログは種分化で、パラログは遺伝子重複で分かれた遺伝子です。この区別は、ゲノムの中の遺伝子を正しく分類し、新しく配列が読まれた生物の遺伝子の働きを推定するうえで重要だとされています[2]。
図:祖先の遺伝子が重複してAとBになり、そのあと種が分かれた場合の模式図。ヒトの遺伝子Aとマウスの遺伝子Aはオルソログ、遺伝子Aと遺伝子Bはヒトどうしでもヒトとマウスの間でもパラログです。
オルソログ(オーソログ)とは:種分化で分かれた遺伝子
オルソログとは、共通の祖先の遺伝子から、種分化によって分かれた遺伝子のことです。違う生物のあいだで「同じ遺伝子」と呼ばれるものの多くはオルソログで、たとえばヒトの遺伝子と、それに対応するマウスやゼブラフィッシュの遺伝子がこれにあたります[1][4]。配列が読まれた生物の遺伝子の多くは、遠く離れた生物にもオルソログを持つとされています[2]。
「オルソログ」と「オーソログ」は、英語の ortholog(orthologue)をカタカナにしたときの表記の違いで、同じものを指します。
パラログとは:遺伝子重複で分かれた遺伝子
パラログとは、遺伝子重複(ゲノムの中で遺伝子がコピーされること)によって分かれた遺伝子のことです。重複で増えた遺伝子の片方は、新しい働きを持つように変わっていく余地があります[4]。ヒトのゲノムでは、重複でできたパラログどうしが遺伝子ファミリーをつくっていることが多く、パラログについてはパラロガス(パラログ)のページでも解説しています。
見落とされやすいのは、パラログは同じ生物の中だけのものではないという点です。関係を決めるのは2つの遺伝子が分かれた点が種分化か重複かであり、重複でできた遺伝子Aと遺伝子Bは、そのあとに種が分かれても、ヒトの遺伝子Aとマウスの遺伝子Bのように違う生物どうしでパラログの関係になります[3]。上の図でいうと、ヒトの遺伝子Aとマウスの遺伝子Bもパラログです。
ゼノログとは:生物の間を移ってきた遺伝子
ゼノログとは、共通の祖先から分かれたあと、少なくとも一方が生物の間を移る「水平伝播」を経てきたホモログのことです。[3]おもに細菌などで問題になる分類で、ヒトの遺伝の話で出てくることは多くありません。
🌳 ホモログ・オルソログ・パラログ・ゼノログの比較
| 言葉 | 分かれたきっかけ | どこに見られるか | 例 |
|---|---|---|---|
| ホモログ(相同遺伝子) | 共通の祖先から分かれた(下の3つをまとめた呼び方) | 同じ生物の中にも、違う生物の間にも | 下の3つすべて |
| オルソログ(オーソログ) | 種分化 | 違う生物の間 | ヒトの遺伝子と、それに対応するマウス・ゼブラフィッシュの遺伝子 |
| パラログ | 遺伝子重複 | 多くは同じ生物の中(違う生物の間のこともある) | ヒトのSMN1とSMN2 |
| ゼノログ | 水平伝播を含む | 違う生物の間 | おもに細菌などで問題になる |
※定義は Tatusov ら[1]、Koonin[2]、Jensen[3]による。SMN1とSMN2については第4章で説明します。
3. オルソログとパラログは働きも同じ?
一般に、オルソログは違う生物の中で同じ働きを持つと考えられ、パラログは重複のあと新しい働きを持つように変わりうる、と整理されています。ただし、これは目安で、例外もあります[4]。
遺伝子の働きを推定するとき、オルソログは同じ働きを持つという前提がよく使われます。一方で、遺伝子の重複や欠失、新しい働きの獲得が起こると、違う生物のオルソログどうしでも働きが違ってくることがあると指摘されています[4]。そのため、マウスで分かった遺伝子の働きが、そのままヒトにあてはまるとは限りません。
🔬 オルソログとパラログの働きの考え方
| 項目 | オルソログ | パラログ |
|---|---|---|
| 働き | 同じ働きを保つと考えられることが多い | 重複のあと、新しい働きを持つように変わりうる |
| 使われ方 | 違う生物の遺伝子の働きを推定する | 遺伝子ファミリーの成り立ちを理解する |
| 注意点 | 働きが違ってくることもある | よく似ているため、区別して調べにくいことがある |
※Fang ら[4]による整理。
4. 遺伝・医療とのつながり:ホモログは病気の理解と遺伝子検査にどう役立つ?
ホモログの考え方は、病気の遺伝子の研究、病気の重さの理解、遺伝子検査の精度、バリアント(遺伝子の配列の違い)の解釈という4つの場面で、遺伝医療と直接つながっています。ここが、ホモログを生物学の用語として覚えるだけでなく、医療の側から知っておく意味のあるところです。
モデル生物のオルソログで、病気の遺伝子の働きを調べる
ヒトの病気の遺伝子の多くは、ゼブラフィッシュやショウジョウバエにもオルソログや似た遺伝子があり、それを使って遺伝子の働きを調べることができます。ゼブラフィッシュの全ゲノムを解析した研究では、ヒトの遺伝子の71.4%が少なくとも1つのゼブラフィッシュのオルソログを持ち、病気との関係が分かっているヒトの遺伝子(OMIMの3,176遺伝子)の82%にあたる2,601遺伝子が、少なくとも1つのゼブラフィッシュのオルソログと対応づけられました[7]。ショウジョウバエでは、病気に関係するヒトの遺伝子929件を調べ、77%にあたる714遺伝子に似た遺伝子が見つかったと報告されています[8]。
こうしたモデル生物でオルソログを働かなくしたり、患者さんと同じ変化を入れたりすることで、ヒトでは直接確かめられない遺伝子の働きや病気のしくみを調べることができます。ただし、第3章のとおり、オルソログの働きが種の間で完全に同じとは限らないため、結果はヒトの情報と合わせて解釈されます。
パラログが働きを補う:SMN1とSMN2(脊髄性筋萎縮症)
パラログが失われた遺伝子の働きを一部補い、病気の重さを左右する代表例が、脊髄性筋萎縮症(SMA)のSMN1とSMN2です。SMAの原因遺伝子SMNを同定した1995年の研究では、約500kbの領域が逆向きに重複していて、その中によく似た2つの遺伝子があることが示されました。テロメア側の遺伝子(SMN1)は患者さん229人中226人で失われているか途切れており、セントロメア側には非常によく似た遺伝子(SMN2)がありました[9]。SMN2は5番染色体にあり[14]、重複でできたよく似た遺伝子どうしなので、SMN1とSMN2はパラログの関係にあたります。
GeneReviewsによると、SMN2からできる転写産物のうち、働くタンパク質をつくる完全な長さのものは少量(最大で4分の1程度)にとどまり、これがSMAの軽い型につながります。SMN2の数は人によって違い、SMN2が2コピーであることは約80%の確率でSMA I型を予測するとされています[10]。
🧬 SMN2のコピー数とSMAの型(支持療法のみの場合)
| SMN2のコピー数 | I型 | II型 | III型・IV型 |
|---|---|---|---|
| 1コピー | 96% | 4% | 0% |
| 2コピー | 79% | 16% | 5% |
| 3コピー | 15% | 54% | 31% |
| 4コピー以上 | 1% | 11% | 88% |
※GeneReviews[10]の表(Calucho ら2018年のデータをもとにしたもの)による。治療を受けた場合の経過は含みません。
つまり、SMAの重さは、失われたSMN1の代わりを、パラログであるSMN2がどれだけ補えるかに大きく左右されます。SMAの症状・型・治療については脊髄性筋萎縮症(SMA)とは、遺伝子についてはSMN1遺伝子で解説しています。
よく似たパラログ・偽遺伝子は、遺伝子検査を難しくする
よく似たパラログや偽遺伝子がある遺伝子は、遺伝子検査で「どちらの遺伝子の変化か」を見分けにくいことがあります。次世代シークエンサーのように短い断片を読む方法では、配列がよく似た領域が大きな課題であり続けていると報告されています。臨床で使う遺伝子の中にも、大腸がんなどに関わるPMS2や、難聴に関わるSTRCのように、よく似た配列のために解析に工夫が必要な遺伝子があります[12]。
SMAでは、配列を読む方法だけでは、見つかった変化がSMN1にあるのかSMN2にあるのかを決められないとされています[10]。また、21-水酸化酵素欠損症(先天性副腎過形成)の原因遺伝子CYP21A2には、働かないよく似たコピー(偽遺伝子)CYP21A1Pがあり、両者の塩基配列はエクソンで98%、イントロンで96%一致しています。この似ている性質が、偽遺伝子の配列が本物の遺伝子に写し込まれる「遺伝子変換」を起こりやすくしていて、検査では、複数の変化が同じ染色体にあるのか別々の染色体にあるのかを確かめるために、本人だけでなく両親も調べることが勧められています[11]。病気については先天性副腎過形成(CAH)とは、CYP21A2を含む10遺伝子を調べる検査については先天性副腎過形成の遺伝子検査(CAHパネル)で解説しています。
💡 用語解説:偽遺伝子(pseudogene)
偽遺伝子とは、本物の遺伝子とよく似た配列を持ちながら、働くタンパク質をつくらなくなった遺伝子のコピーのことです。本物の遺伝子と配列がよく似ているため、遺伝子検査では本物と見分ける工夫が必要になることがあります。詳しくは偽遺伝子とはをご覧ください。
バリアントの解釈で「種をこえた保存性」を見る
遺伝子検査で見つかったバリアントが病気の原因かどうかを判断するとき、その場所が多くの生物のホモログで保存されているかどうかが手がかりの1つになります。ACMG/AMPガイドラインでは、保存性や進化の情報などを含む複数のコンピューター予測が病原性を支持すること(PP3)、影響がないことを示すこと(BP4)が判定基準に含まれています。また、アミノ酸を変えない同義バリアントで、その塩基が高度に保存されていないことは、良性を支持する基準(BP7)の条件の1つです[13]。
多くの生物で同じアミノ酸が保たれている場所は、タンパク質の働きにとって大事な場所であることが多いと考えられます。ただし、ガイドラインは、1つ1つの予測プログラムを独立した根拠として数えないよう注意しており[13]、保存性だけで病原性が決まるわけではありません。分類の詳しい考え方はACMGガイドライン|バリアントの分類方法で解説しています。
生まれる前に分かる:両親の保因者検査
SMAと21-水酸化酵素欠損症は、どちらも常染色体潜性(劣性)遺伝の病気で、両親がともに保因者のとき、子どもが発症する確率は妊娠ごとに4分の1です。[10][11]保因者は病気を発症しないため、家族に患者さんがいなくても、両親がともに保因者であることは起こりえます。なお、SMAでは、患者さんの約2%は親から受け継いだのではなく新しく生じた(de novo)SMN1の変化によるとされています[10]。遺伝のしくみは常染色体潜性遺伝で解説しています。
前の節で見たとおり、配列を読むだけでは見つかった変化がSMN1にあるのかSMN2にあるのかを決められず、CYP21A2のように偽遺伝子がある遺伝子も調べにくくなります。SMAではさらに、SMN1が片方の染色体に2つ並び、もう片方の染色体には0という並び(2+0)の場合、SMN1の数を調べる検査だけでは保因者を見落とすことがあるとされています[10]。だからこそ、よく似た遺伝子と区別して解析できる検査を選ぶことが大切です。
当院の保因者検査は、よく似た遺伝子や偽遺伝子があっても、調べる遺伝子をそれと取り違えずに解析しています。SMN1はよく似たSMN2と、CYP21A2は偽遺伝子CYP21A1Pと区別して調べます(SMN2は保因者検査の対象ではありません)。ただし、SMN1が片方の染色体に2つ並び、もう片方に0の「サイレント保因者(2+0)」(一般の人の約5〜8%)は、今の検査方法では見分けられません。このため、SMAの保因者検査で陰性だった場合、保因者である可能性は大きく下がりますが、ゼロにはなりません。
SMN1とCYP21A2は、当院の拡大版保因者検査4つ(女性787遺伝子・男性714遺伝子・女性1009遺伝子・男性911遺伝子)のいずれの遺伝子一覧にも入っています。4つとも、オンライン診療で受けられ、唾液や頬の粘膜の検体でも検査できます。オンライン診療の場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いいただきます。妊娠中で、NIPT(新型出生前診断)と同時に受けたい場合は、NIPTと同じ日に採血するファミリーセーフティ プラスがあります(単独では受けられません)。保因者検査の考え方は保因者スクリーニング検査とはをご覧ください。検査で分かることと分からないことは、検査のページと遺伝カウンセリングで確かめてください。
🩺 院長コラム【「似ている」の裏にある、遺伝子の歴史】
ホモログという言葉は、遺伝子が「どこから来たか」を表しています。オルソログとパラログを区別すると、ある遺伝子が種をこえて受け継がれてきたのか、同じゲノムの中で増えてきたのかという、遺伝子の歴史が見えてきます。
臨床遺伝の立場から見ると、この歴史は抽象的な話ではありません。SMN2のように、重複で生まれたパラログが病気の重さを左右することがあり、反対に、よく似たパラログや偽遺伝子が検査の結果を読み違える原因にもなりえます。検査の報告書を読むときにも、その遺伝子によく似た「きょうだい」がいるかどうかを意識しておくことが大切だと考えています。
よくある質問(FAQ)
Q1. ホモログとは、簡単にいうと何ですか?
共通の祖先の遺伝子から分かれてできた遺伝子のことです。日本語では「相同遺伝子」ともいいます。種が分かれたことで別々の生物に受け継がれたものをオルソログ、遺伝子が重複してできたものをパラログと呼び分けます。
Q2. オルソログとパラログの違いは何ですか?
分かれたきっかけが違います。オルソログは種分化(1つの種が2つに分かれること)によって分かれた遺伝子、パラログは遺伝子重複(ゲノムの中で遺伝子がコピーされること)によって分かれた遺伝子です。
Q3. 「オルソログ」と「オーソログ」は違うものですか?
同じものです。英語の ortholog(orthologue)をカタカナにしたときの表記の違いで、意味は変わりません。
Q4. パラログは同じ生物の中にしかありませんか?
多くは同じ生物のゲノムの中で見つかりますが、それだけではありません。遺伝子重複でできた2つの遺伝子は、その後に種が分かれてもパラログの関係のままなので、ヒトの遺伝子Aとマウスの遺伝子Bのように、違う生物どうしでもパラログになることがあります。
Q5. ホモログと相同染色体は同じ意味ですか?
違います。ホモログは、遺伝子どうしが進化の上で共通の祖先を持つという関係を表す言葉です。相同染色体は、父と母からひとつずつ受け継いだ、対になる染色体のことです。英語ではどちらにも homologous という語が使われるため、混同しやすい言葉です。
Q6. 形や働きが似ている遺伝子は、すべてホモログですか?
いいえ。ホモログかどうかは共通の祖先に由来するかどうかで決まります。祖先が別でも、同じような役割を果たすうちに形や働きが似てくることがあり、これは「相似」と呼ばれてホモログとは区別されます。
Q7. ホモログは病気の研究や遺伝子検査とどう関係しますか?
モデル生物のオルソログを使って病気の遺伝子の働きを調べたり、SMN1とSMN2のようなパラログの関係から病気の重さの違いを理解したりするのに使われます。また、よく似たパラログや偽遺伝子がある遺伝子は、遺伝子検査で調べにくいことがあります。
まとめ
ホモログ(相同遺伝子)とは、共通の祖先の遺伝子から分かれてできた遺伝子のことです。種分化で分かれたものをオルソログ(オーソログ)、遺伝子重複で分かれたものをパラログと呼び、パラログは違う生物どうしの間にも成り立ちます[1][2][3]。ホモログかどうかは、似ている度合いではなく祖先が共通かどうかで決まり、祖先が別なのに似ているもの(相似)とは区別されます[5]。
医療の面では、モデル生物のオルソログが病気の遺伝子の研究を支え[7]、SMN2のようなパラログが病気の重さを左右し[10]、よく似たパラログや偽遺伝子が遺伝子検査を難しくすることがあります[11][12]。バリアントの解釈でも、種をこえた保存性が判断材料の1つになります[13]。
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ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、両親の保因者検査やNIPTについてご説明しています。検査で何が分かり、何が分からないかを、受ける前に確かめることができます。
参考文献
- [1] Tatusov RL, Koonin EV, Lipman DJ. A genomic perspective on protein families. Science. 1997;278(5338):631-637. [DOI 10.1126/science.278.5338.631]
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