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Eボックス配列

Eボックス配列とは?

E-boxとは、「CANNTG」という特定の配列を持つDNAモチーフの総称です。ここでの「N」は、どんな塩基でも良いことを意味しています。E-boxは、遺伝子の活性を調節する領域、つまりプロモーターエンハンサーによく見られ、タンパク質が結びつく場所として機能します。このDNAモチーフに結びつくタンパク質は、bHLHbasic helix-loop-helix)クラスの転写因子で、遺伝子の活性を促進したり、抑えたりする役割を持ちます。bHLHタンパク質は、酵母から人間まで幅広い真核生物で240種類以上発見されており、その数はさらに増加しています。このタンパク質がどのE-boxに結びつくかは、E-boxの「NN」部分の塩基の種類と、E-boxの周辺のDNA配列によって決まります。E-boxを持つ遺伝子は、生物の発達に必要な時に活性化されるものが多く、中にはがんの発生や進行に関わるものもあります。

この配列は、さまざまなプロモーターやエンハンサーに出現し、特定のタンパク質の結合部位として機能します。Eボックスは、転写因子によるDNAとの相互作用において重要な役割を果たし、RNAポリメラーゼによる転写を促進あるいは抑制することによって、遺伝子の発現を調節します[3]。

例えば、PHO4の認識配列はEボックスとして知られる対称性のある共通配列であり、6塩基対で構成されていますが、相互作用領域は20塩基対以上にも及びます[2]。このように、Eボックス配列は転写制御因子が結合するための特定のDNA領域を提供し、細胞内の遺伝子発現パターンを調節するための重要なメカニズムの一つです。

さらに、Eボックス配列は、転写因子が結合することによって、遺伝子の発現を直接的に制御することができるため、細胞の機能や発達、病態の理解においても重要な役割を果たします。このような転写因子とDNAの相互作用は、生物学的プロセスの調節において中心的な役割を担っています。

Eボックス配列の機能

● Eボックス配列の基本概念

Eボックス配列は、DNAモチーフの一種で、コンセンサス配列がCANNTGであることが特徴です。ここで、Nは任意の塩基を示します。この配列は、さまざまなプロモーターやエンハンサーに存在し、特定のタンパク質の結合部位として機能します[3]。

● 転写因子との相互作用

Eボックス配列は、基本的なヘリックス-ループ-ヘリックス(bHLH)タイプの転写因子と結合します。この結合特異性は、特定のbHLHヘテロダイマーまたはホモダイマーの組み合わせ、およびEボックス配列の3番目と4番目の位置にある特定のヌクレオチドによって決定されます[5]。bHLHタンパク質は、DNAのEボックス配列に結合することで、遺伝子の転写を調節します。これらの転写因子は、通常、二量体を形成してDNAに結合し、その結果、RNAポリメラーゼIIのリクルートや転写の開始に影響を与えます。bHLHタンパク質は、細胞の種類や発達段階に応じて異なる遺伝子の発現を調節することができます。bHLHタンパク質は、転写の活性化因子としても抑制因子としても働くことができ、酵母からヒトまでの真核生物で240種類以上が知られており、その数は今も増え続けています[3]。

● 遺伝子発現の調節

Eボックス配列を含む遺伝子は、重要な発生過程で活性化されることがあり、いくつかはの発生や進行に関与していると言われています[3]。また、Eボックス配列は、転写の制御において規制の役割を果たし、遺伝子の発現を調節することによって、細胞の機能や発達、病態の理解において重要な役割を果たします[5]。

● 体内時計との関連

Eボックス配列は、体内時計の調節にも関与しています。哺乳類の概日時計の転写ネットワークでは、Eボックス配列(朝配列)を含む3つの転写制御DNA配列(E/E-box、D-box、RRE)と約20個の時計遺伝子が互いに制御しあっています[6]。これにより、生物の生理的リズムが維持されます。

● まとめ

Eボックス配列は、遺伝子の発現を調節するための重要なDNAモチーフであり、転写因子との相互作用を通じて、細胞の機能や発達、さらには体内時計の調節に至るまで、多岐にわたる生物学的プロセスに影響を与えます。その結合特異性や機能の多様性は、生命科学の研究において重要な研究対象となっています。

Eボックス配列と転写因子の相互作用

● Eボックス配列とは

Eボックス配列は、DNA上の特定の塩基配列であり、コンセンサス配列は3′-CANNTG-5′と表されます。この配列は、転写因子がDNAに結合するための認識サイトとして機能し、遺伝子の転写を調節する重要な役割を果たします[2]。

● 転写因子との相互作用

転写因子は、DNAの特定の配列に結合し、RNAポリメラーゼの活性を調節することによって、遺伝子の転写を促進または抑制するタンパク質です。Eボックス配列に結合する転写因子には、様々なファミリーがありますが、特に基本的なヘリックス-ループ-ヘリックス(bHLH)タイプの転写因子がよく知られています[2]。

● Eボックス配列と転写因子の特定例

– 転写因子EB(TFEB)は、Eボックス配列に結合することで知られており、TFEB自体またはTFE3やMITFなどの他のMiT/TFEファミリーメンバーと二量体を形成してDNA上のEボックス配列に結合します。この相互作用は、免疫応答やオートファジーなどの生物学的プロセスに関与しています[2]。

– c-MYCは、転写因子として機能するために、パートナー因子であるMAXとの相互作用が必須です。c-MYCとMAXの複合体は、Eボックス配列に結合して遺伝子の転写を調節します。c-MYCは、がんの発生や進行に深く関わることが知られています[3]。

● Eボックス配列の生物学的意義

Eボックス配列と転写因子の相互作用は、細胞の成長、分化、代謝、応答機構など、生物学的プロセスの広範囲にわたって重要な役割を果たします。特に、体内時計の調節や免疫応答、オートファジーの制御など、生命維持に不可欠な機能の調節に関与しています[2][4]。

● 結論

Eボックス配列と転写因子の相互作用は、遺伝子の転写調節において中心的な役割を果たし、生物学的プロセスの理解において重要な研究対象です。特定の転写因子がEボックス配列にどのように結合し、どのように遺伝子の転写を調節するかを理解することは、疾患の治療法の開発や生命科学の進歩に貢献する可能性があります。

Eボックス配列と疾患

Eボックス配列は、DNA上の特定の塩基配列であり、転写因子が結合することで遺伝子の発現を調節します。この配列は、特に基本的なヘリックス-ループ-ヘリックス(bHLH)タイプの転写因子と結合することが知られています[5][6]。Eボックス配列の異常や、この配列に結合する転写因子の異常は、さまざまな疾患の発生に関連しています。

● Eボックス配列とがん

Eボックス配列は、がんの発生や進行に深く関わっています。例えば、転写因子MYCは、Eボックス配列に結合し、細胞の成長、増殖、代謝、アポトーシス、分化に関与する遺伝子の発現を制御します。MYCの過剰発現や活性化は、多くのヒト悪性腫瘍で観察され、細胞の形質変化を促進し、腫瘍の増殖を促します[15]。また、神経芽細胞腫においては、MYCN転写因子の結合が古典的なCACGTG E-boxモチーフとは異なり、CATGTGでより一般的に発生し、MYCNの過剰発現に関連する疾患が示されています[20]。

● Eボックス配列と概日リズムの疾患

Eボックス配列は、概日リズムの調節にも重要な役割を果たします。転写因子BMAL1とCLOCKは、E-box DNA配列に特異的に結合し、PerとCryというたんぱく質の遺伝子の転写を活性化します。このフィードバックループの異常は、不眠症や腫瘍形成の要因となることが示されています[12]。また、Per2遺伝子のフィードバック制御の要となるシスエレメントE-boxに点変異を導入すると、体内時計のリズムが乱れることが示されています[18]。

● 結論

Eボックス配列とその上に結合する転写因子の異常は、がんや概日リズムの疾患など、多くの疾患の発生に関与しています。これらの疾患とEボックス配列の関係を理解することは、新たな治療法の開発につながる可能性があります。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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