目次
免疫系の重要な機能の一つであるオプソニン化について、その働き、体内での役割、そして獲得免疫と自然免疫における効果を詳しく解説します。
第1章:オプソニン化とは
オプソニン化は、免疫系が病原体を効果的に識別し、排除するための重要なメカニズムです。この過程は、オプソニンと呼ばれる分子(主に抗体や補体系の成分)が病原体の表面に結合し、その病原体を食細胞による食作用のために「標的化」することを含みます。オプソニン化によって病原体は食細胞によって認識されやすくなり、結果としてより迅速かつ効率的に摂取され、排除されます。
● オプソニンの役割
オプソニンは、病原体を食細胞が識別しやすくするタグのような役割を果たします。抗体のFab領域が病原体の特定の抗原と結合し、Fc領域が食細胞の表面にあるFcレセプターと結びつくことで、このプロセスは促進されます。この相互作用は、食細胞が病原体を摂取し、内部で分解するプロセスを容易にします。
● オプソニン化の例
典型的なオプソニンには、補体系の成分やIgM、IgGなどの抗体があります。これらの分子は、病原体の貪食感受性を高めることができ、免疫系が効率的に作用するための鍵となります。
● オプソニン化による免疫応答の促進
オプソニン化は、単に食作用を促進するだけでなく、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)のような他の免疫応答も促進することがあります。ADCCは、病原体がIgG抗体でコーティングされた場合に特に重要で、免疫細胞(例えばNK細胞)が抗原に結合したIgGと相互作用し、病原体を直接破壊するプロセスを指します。
オプソニン化は、免疫系が病原体を効果的に排除するための複数の戦略の一つであり、病原体に対する迅速で効率的な応答を可能にするために不可欠です。この過程は、病原体に対する初期防御機構として機能し、感染症の予防や治療において重要な役割を果たします。
基本概念の解説
オプソニン化は、微生物やその他の抗原に抗体や補体が結合することにより、抗原が食細胞によって取り込まれやすくなる現象です[9][14]. このプロセスは、免疫系が病原体を効率的に識別し、排除するための重要な機構の一つです。オプソニンとして機能する主な分子には、補体のC3bと抗体のIgG(免疫グロブリンG)があります。一次感染では補体がオプソニン化の中心となり、すでに抗体ができあがっている二次感染ではIgGが中心となります[9]。
● 免疫学的重要性
オプソニン化の免疫学的重要性は、その効率的な病原体の識別と排除にあります。このプロセスにより、食細胞(好中球やマクロファージなど)は、抗原をより効率的に認識し、取り込むことができます。オプソニン化された抗原は、食細胞の表面にある特定の受容体によって認識され、その結果、食細胞は抗原を貪食し、消化することができます[9][14]。
オプソニン化は、自然免疫と獲得免疫の間の橋渡しの役割も果たします。自然免疫系の一部である補体系と、獲得免疫系の一部である抗体が共同で作用することで、免疫応答の効率と効果が高まります。この協力により、免疫系は病原体に対してより迅速かつ効果的に反応することができ、感染の拡大を防ぎ、体を保護することが可能になります[9][14]。
さらに、オプソニン化は、病原体を排除するだけでなく、病原体の成分を免疫系に提示することによって、獲得免疫応答の誘導にも寄与します。貪食された病原体の成分は、抗原提示細胞によってT細胞に提示され、特異的な免疫応答の活性化につながります。これにより、長期的な免疫記憶が形成され、同じ病原体に対する保護が強化されます[9][14]。
オプソニン化は、免疫系が病原体を効率的に排除し、感染症から体を守るための基本的かつ重要な機構です。このプロセスは、免疫系の様々な要素が協力して作用することを示し、免疫応答の複雑さと精密さを反映しています[9][14]。
[9] www.weblio.jp/content/%E3%82%AA%E3%83%97%E3%82%BD%E3%83%8B%E3%83%B3%E5%8C%96
[14] ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%97%E3%82%BD%E3%83%8B%E3%83%B3%E5%8C%96
オプソニン化のメカニズム
オプソニン化は、免疫系が病原体を効率的に排除するための重要なメカニズムの一つです。この過程では、抗体や補体などのオプソニンが病原体に結合し、その病原体を貪食細胞によって取り込まれやすくすることで、免疫応答を促進します。オプソニン化のメカニズムは、主に抗体と補体によって行われますが、その詳細な過程と関与する分子について説明します。
● 抗体によるオプソニン化
抗体によるオプソニン化は、主に免疫グロブリンG(IgG)が関与します。IgGは、病原体の表面抗原に特異的に結合する能力を持ち、この結合によって病原体が貪食細胞によって認識されやすくなります。貪食細胞の表面には、Fc受容体と呼ばれる抗体のFc領域(恒常領域)に結合する受容体が存在し、IgGが病原体に結合すると、このFc受容体を介して貪食細胞に認識され、病原体が貪食されます[14]。
● 補体によるオプソニン化
補体系は、30種類以上のタンパク質から構成されるシステムで、病原体の排除に重要な役割を果たします。補体系は、古典経路、レクチン経路、代替経路の3つの経路によって活性化されますが、いずれの経路も最終的にはC3転換酵素の形成を経て、C3分子がC3aとC3bに分割されます。C3bは強力なオプソニンであり、病原体の表面に結合することで、貪食細胞のCR1(補体受容体1)に認識され、病原体の貪食を促進します[6][12]。
● オプソニン化の重要性
オプソニン化は、病原体を貪食細胞によって効率的に取り込み、消化することを可能にします。この過程によって、病原体の排除が促進され、感染症の拡大を防ぐことができます。また、オプソニン化は、病原体に対する免疫応答の初期段階で重要な役割を果たし、獲得免疫応答の誘導にも寄与します[14]。
オプソニン化は、抗体と補体によって病原体が貪食細胞に取り込まれやすくなる現象であり、免疫系が病原体を効率的に排除するための重要なメカニズムです。抗体と補体は、それぞれ異なるメカニズムを通じてオプソニン化を促進し、免疫応答の効率化に貢献します。
[6] mgforum.jp/complement/overview-of-complement
[12] ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/article/Natural-immunity-Acquid-immunity.html
[14] ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%97%E3%82%BD%E3%83%8B%E3%83%B3%E5%8C%96
第2章:オプソニン化の役割と効果
免疫応答におけるオプソニン化の役割
オプソニン化は、免疫応答において病原体を識別し、食細胞による貪食を促進する重要なプロセスです。このプロセスは、自然免疫と獲得免疫の両方で関与しています。
● 自然免疫におけるオプソニン化
自然免疫応答では、オプソニンとして機能する主要な分子は補体タンパク質と特定の抗体です。補体系は、病原体の表面に結合し、オプソニン化を介して食細胞による貪食を促進します。補体タンパク質C3bが病原体に結合すると、食細胞のC3b受容体によって認識され、病原体の貪食が促進されます[6]。また、抗体によるオプソニン化も自然免疫の一部として機能し、IgG抗体が病原体に結合して食細胞のFc受容体に認識されることで貪食を助けます[5]。
● 獲得免疫におけるオプソニン化
獲得免疫応答では、特定の病原体に対する特異的な抗体がオプソニンとして機能します。これらの抗体は、病原体に対する以前の感染やワクチン接種によって生成されます。抗体が病原体に結合すると、食細胞のFc受容体によって認識され、貪食が促進されます[5][7]。このプロセスは、病原体が体内に再侵入した際に迅速な免疫応答を提供し、感染の拡大を防ぐのに役立ちます。
オプソニン化は、病原体を食細胞による貪食の標的とすることで、病原体の除去を効率的に行うことができます。このプロセスは、病原体が体内に侵入した際の初期の防御機構として機能し、病原体の拡散を防ぎ、感染症の発症を抑制する重要な役割を果たします。また、獲得免疫においては、特異的な抗体によるオプソニン化が、感染の再発を防ぐための長期的な免疫記憶の一部として機能します。
[5] www.waseda.jp/assoc-JSEI/topics1.html
[6] www3.kmu.ac.jp/bioinfo/H25-17.pdf
[7] ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/article/Cellular-immunity-Humoral-immunity.html
オプソニン化の臨床的意義
オプソニン化は、免疫系が病原体を効率的に排除するための重要な機構であり、疾患予防と治療において重要な役割を果たします。オプソニン化は、抗体や補体成分が病原体に結合し、これを「味付け」することで、貪食細胞による病原体の貪食を促進するプロセスです[9][12][13][15]。このプロセスにより、病原体は貪食細胞によってより効率的に認識され、排除されます。
● 疾患予防への応用
オプソニン化は、ワクチンによる免疫応答の誘導において中心的な役割を担います。ワクチン接種によって体内に生成された抗体がオプソニンとして機能し、病原体に対する免疫防御を強化します。例えば、肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌の莢膜多糖に対する抗体を産生させ、これによるオプソニン化により肺炎球菌の排除を促進します[14]。また、オプソニン化は、感染症の予防において、特に免疫応答が未熟な乳幼児や免疫不全状態にある患者にとって重要です[20]。
● 治療への応用
オプソニン化は、感染症の治療においても重要です。免疫不全状態の患者では、オプソニン化能力が低下しているため、感染症に対する抵抗力が弱まります。このため、オプソニン化を促進する治療法が有効とされています。例えば、免疫グロブリン製剤の投与は、オプソニン化を促進し、感染症の治療に利用されます[9][13]。また、オプソニン化の質的評価は、特定の感染症に対する患者の免疫状態を評価するためにも重要です[16]。
● 免疫不全状態におけるオプソニン化の重要性
免疫不全状態にある患者では、オプソニン化の不全が感染症の発症や重症化に関与しています。特に、先天性免疫不全症の患者では、オプソニン化を介した貪食作用が不十分であり、化膿菌による感染症のリスクが高まります[19]。このような患者においては、オプソニン化を補う治療が必要となり、免疫グロブリン製剤の投与などが行われます。
オプソニン化の臨床的意義は、感染症の予防と治療における免疫応答の効率化にあります。免疫不全状態にある患者においては、オプソニン化の促進が特に重要であり、これにより感染症の予防と治療の両方において、患者の免疫防御能力を向上させることができます。
[9] www.ketsukyo.or.jp/plasma/globulin/glo_02.html
[12] ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/article/Natural-immunity-Acquid-immunity.html
[13] www.kango-roo.com/word/20913
[16] www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2249-related-articles/related-articles-397/3289-dj3977.html
[19] www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/83/7/83_7_1128/_pdf
[20] kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-17K16939/17K16939seika.pdf
第3章:オプソニン化関連の免疫細胞
マクロファージとオプソニン化
マクロファージは免疫系の重要な細胞であり、体内に侵入した病原体を貪食する役割を担っています。オプソニン化は、病原体の表面に特定の分子(オプソニン)が結合することで、マクロファージや他の貪食細胞による食作用を促進するプロセスです。オプソニンとして機能する主な分子には抗体と補体があります。
● オプソニン化のメカニズム
オプソニン化は、病原体をより効率的に貪食細胞に認識させ、排除するための重要な機構です。このプロセスは以下のステップで進行します:
1. オプソニンの結合:抗体や補体成分が病原体の表面に結合します。この結合は、病原体を「味付け」することにより、貪食細胞による認識を容易にします。
2. 貪食細胞の活性化:マクロファージや好中球などの貪食細胞は、オプソニン化された病原体を認識する受容体を持っています。これらの受容体は、抗体のFc領域や補体成分に特異的に結合します。
3. 食作用の促進:オプソニン化された病原体は、貪食細胞によってより効率的に認識され、食作用が促進されます。これにより、病原体は貪食細胞内で分解され、排除されます。
● マクロファージとオプソニン化の重要性
マクロファージは自然免疫系の一部であり、体内の病原体や異物を排除するために不可欠です。オプソニン化は、マクロファージが病原体をより効率的に認識し、排除するための重要なメカニズムです。オプソニン化によって、病原体はマクロファージによる食作用の対象となりやすくなり、免疫応答の効率が向上します。
オプソニン化は、病原体に対する免疫応答の効率を高めるだけでなく、炎症反応の調節や免疫記憶の形成にも関与しています。このプロセスは、病原体の排除だけでなく、免疫系の全体的な機能と調節においても重要な役割を果たしています。
● 参考文献
– オプソニン化による病原体の食作用促進のメカニズムについては、[2][3][4][6][7][8][9][10][11][12][13]で詳しく説明されています。
– マクロファージとオプソニン化の関係については、[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13]で触れられています。
これらの情報から、マクロファージとオプソニン化の関係性や、オプソニン化が免疫応答においてどのように機能するかについて理解を深めることができます。
[1] www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/53/5/53_319/_pdf/-char/ja
[2] bifidus-fund.jp/keyword/kw061.shtml
[3] bifidus-fund.jp/keyword/kw034.shtml
[4] mgforum.jp/complement/overview-of-complement
[5] www3.kmu.ac.jp/bioinfo/H25-17.pdf
[6] ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/article/Cellular-immunity-Humoral-immunity.html
[7] www.ikyo.jp/commu/question/659
[8] www.ketsukyo.or.jp/plasma/globulin/glo_02.html
[9] www.chugai-pharm.co.jp/ptn/bio/antibody/antibodyp08.html
[10] idsc.niid.go.jp/training/10kanri/yata.html
[11] www.jstage.jst.go.jp/article/jsb1944/55/1/55_1_1/_pdf
[12] ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%97%E3%82%BD%E3%83%8B%E3%83%B3%E5%8C%96
[13] ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/article/Natural-immunity-Acquid-immunity.html
その他の関連細胞
● 好中球とオプソニン化
中性球は白血球の一種であり、免疫系において重要な役割を果たす食細胞です。オプソニン化は、抗体や補体成分が病原体の表面に結合し、その病原体を食細胞による貪食作用により取り込みやすくするプロセスです。好中球はFcγ受容体を持っており、オプソニン化された病原体を認識し、これを貪食することができます[2]。このプロセスは、病原体の排除と感染の防御において中心的な役割を担っています。
● 樹状細胞とオプソニン化の相互作用
樹状細胞は、抗原提示細胞の一種であり、免疫系において獲得免疫と自然免疫の橋渡しをする役割を持っています。樹状細胞は、オプソニン化された病原体を貪食し、その抗原を処理してT細胞に提示することで、獲得免疫の活性化を促します[1][3]。この過程により、特異的な免疫応答が誘導され、長期的な免疫記憶が形成されます。また、樹状細胞は、オプソニン化された病原体を認識し、その情報を利用して獲得免疫系の細胞を適切に活性化することができます[4]。
オプソニン化は、中性球や樹状細胞などの食細胞が病原体をより効率的に認識し、排除するための重要なメカニズムです。これにより、免疫系は病原体に迅速かつ効果的に対応することが可能になります。
[1] www.jbpo.or.jp/med/jb_square/autoimmune/immunology/im06/01.php
[2] www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/53/5/53_319/_pdf/-char/ja
[3] www3.kmu.ac.jp/bioinfo/H25-17.pdf
[4] www.jstage.jst.go.jp/article/dds/32/3/32_199/_pdf
第4章:オプソニン化の研究と応用
オプソニン化の研究動向
オプソニン化に関する研究動向は、免疫学の分野で注目されており、特に病原体の貪食を促進するメカニズムの解明や、疾患治療への応用に関する研究が進展しています。以下は、オプソニン化に関する最新の研究進展と学会情報です。
1. 病原体の貪食促進メカニズムの解明:
– オプソニン化は、病原体に対する免疫応答の一環として、抗体や補体成分が病原体に結合し、貪食細胞による摂取を容易にするプロセスです。このプロセスは、病原体の排除と免疫応答の調節に重要な役割を果たしています。
2. 疾患治療への応用:
– オプソニン化のメカニズムを利用した治療法の開発が進んでおり、特に自己免疫疾患や感染症の治療において、オプソニン化を促進することで病原体の排除を効率化する研究が行われています。
3. 学会情報:
– 日本補体学会では、オプソニン化を含む補体系の研究が活発に行われており、年に1回開催される学術集会で最新の研究成果が発表されています。また、補体系の活性化機序や制御因子に関する研究も進められています。
4. 最新の研究成果:
– オプソニン化に関する最新の研究成果としては、病原体のオプソニン化を促進する新たな分子や、オプソニン化に関与する細胞表面受容体の同定、オプソニン化の効率を高めるための分子標的治療法の開発などが挙げられます。
5. 研究の課題と展望:
– オプソニン化に関する研究は、病原体の種類や宿主の免疫状態によって異なるオプソニン化のパターンを理解すること、オプソニン化を調節する新たな治療薬の開発、オプソニン化の不具合が引き起こす疾患の病態解明など、多岐にわたる課題があります。今後の研究によって、オプソニン化の詳細なメカニズムの解明や、それを応用した治療法の開発が期待されています。
オプソニン化を利用した治療法
オプソニン化は、免疫系が病原体や異物を識別し、貪食細胞による摂取を促進するプロセスです。このプロセスは、抗体や補体が病原体に結合し、それを食細胞に取り込まれやすくすることによって行われます[14]。オプソニン化を利用した治療法は、特に免疫療法の分野で重要な役割を果たしています。
● 免疫療法におけるオプソニン化の役割
免疫療法は、がんや感染症などの疾患に対して、体の免疫システムを活性化または強化することで治療を行うアプローチです。オプソニン化は、免疫療法において以下のような役割を果たします。
1. 抗体医薬品: 抗体医薬品は、特定の抗原を標的とする抗体を用いて、がん細胞や病原体をオプソニン化し、免疫細胞による破壊を促進します。これにより、がん細胞や病原体が免疫システムによってより効率的に排除されます[5]。
2. モノクローナル抗体: モノクローナル抗体は、特定のタンパク質に対して高い特異性を持ち、オプソニン化を介してがん細胞や感染細胞を標的とすることができます。これにより、免疫細胞ががん細胞や感染細胞を認識しやすくなり、攻撃を行います[10]。
3. 補体系の活性化: 補体系は、オプソニン化を通じて病原体を標的とし、貪食細胞による摂取を促進することで、感染症の治療に寄与します[13]。
4. 抗補体モノクローナル抗体: 例えば、Eculizumab(ソリリス®)やRavulizumab(ユルトミリス®)は、補体C5を標的とする抗体であり、補体系の活性化を阻害することで、オプソニン化を抑制し、特定の自己免疫疾患の治療に利用されます[11]。
● オプソニン化を活用した新しい医療技術
オプソニン化を利用した新しい医療技術の開発は、がん治療や感染症治療において大きな可能性を秘めています。例えば、がん細胞の表面をオプソニン化することで、免疫細胞ががん細胞をより効果的に認識し、攻撃することができるようになります。また、オプソニン化を促進する薬剤の開発や、オプソニン化を利用したワクチンの研究も進められています[15]。
オプソニン化を利用した治療法は、免疫システムの自然な機能を強化することで、病原体やがん細胞に対する体の防御能力を高めることを目的としています。これらの治療法は、患者の免疫応答を改善し、疾患の治療成績を向上させることが期待されています。
[5] www.japanbiotechnopharma.com/antibody_drug/
[10] www.chugai-pharm.co.jp/ptn/bio/antibody/antibodyp08.html
[11] c5neurology.jp/nmosd/disease/treatment/c5inhibitor
[14] ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%97%E3%82%BD%E3%83%8B%E3%83%B3%E5%8C%96
[15] www.hosp.ncgm.go.jp/isc/080/FY2022/02.pdf
第5章:オプソニン化と健康管理
オプソニン化と免疫力の強化
オプソニン化は、体内に侵入した異物(細菌やウイルスなど)に対して液性免疫が反応し、食細胞(好中球やマクロファージなど)が異物を捕食しやすくする作用です[5]。オプソニンとして働く主な分子には、補体のC3bと抗体のIgG(免疫グロブリンG)があり、これらが異物に結合して貪食細胞の貪食作用を促進します[13]。
● オプソニン化を促進する生活習慣
オプソニン化活性は、健康実践教室に参加することで改善されることが示されています。具体的には、運動教室や栄養教室に参加することで、肥満や生活習慣病関連項目が改善され、血清オプソニン化活性も低下していたと報告されています[15]。これは、適切な運動と栄養摂取が免疫力を強化し、オプソニン化活性を高める可能性を示唆しています。
● オプソニン化と栄養素の関係
オプソニン化活性に影響を与える栄養素についての直接的な言及は見当たりませんが、一般的に栄養状態は免疫機能に大きく影響を与えます。適切な栄養摂取は免疫系の構成要素である細胞や分子の機能を維持し、免疫応答を最適化するために重要です。特に、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素は、免疫系の正常な機能に必要不可欠です[7][8]。
例えば、ビタミンCやビタミンD、亜鉛、セレンなどは免疫系の健全な機能に寄与し、これらの栄養素が不足すると免疫応答が低下することが知られています。また、抗酸化物質は体内の酸化ストレスを軽減し、免疫系の損傷を防ぐ役割を果たすことが示唆されています[7][8]。
総合すると、オプソニン化を促進する生活習慣としては、定期的な運動、バランスの取れた食事、適切な栄養素の摂取が挙げられます。これらの生活習慣は、免疫系の機能を強化し、オプソニン化活性を高めることに寄与すると考えられます。
[5] www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/58/1/58_1_21/_pdf
[7] www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch4-1/keyword5/
[8] www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch4-1/keyword3/
[13] ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%97%E3%82%BD%E3%83%8B%E3%83%B3%E5%8C%96
[15] www.jstage.jst.go.jp/article/hirosakiigaku/64/2-4/64_127/_article/-char/ja/
オプソニン化と病気の予防
オプソニン化は、免疫システムの重要な機能の一つであり、感染症の予防において重要な役割を果たします。オプソニン化とは、病原体(細菌やウイルスなど)の表面に補体タンパク質や抗体が結合し、その病原体を食細胞(マクロファージや好中球など)が認識しやすくするプロセスです。このプロセスにより、病原体は効率的に貪食され、排除されます。
● オプソニン化の免疫システムへの貢献
オプソニン化は、自然免疫と獲得免疫の両方に関与しています。自然免疫においては、補体系が主にオプソニン化を担い、病原体を直接標的として貪食を促進します。獲得免疫においては、特定の病原体に対する抗体が生成され、これらの抗体がオプソニンとして機能し、病原体の貪食を助けます[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13][14]。
● 感染症予防におけるオプソニン化の重要性
オプソニン化は、特に莢膜を持つ細菌(例:肺炎球菌、髄膜炎菌)に対して重要です。これらの細菌は、莢膜によって食細胞の貪食から保護されていますが、オプソニン化によってその保護が無効化され、食細胞による貪食が可能になります。肺炎球菌は、オプソニン化がないと好中球の食作用を受けないため、オプソニン抗体を作らせる目的で細菌表面の多糖体がワクチンとして使用されます[14]。このように、オプソニン化は病原体の排除を促進し、感染症の予防に寄与します。
また、予防接種によって特定の病原体に対する抗体が体内で生成されることで、オプソニン化が促進され、感染症に対する免疫応答が強化されます。これにより、感染症の発症リスクが低減され、感染症の予防に貢献します[14]。
オプソニン化は、免疫システムの効率的な機能を支え、感染症の予防において不可欠なメカニズムです。予防接種を含む感染症予防策において、オプソニン化の促進は重要な戦略の一つとなります。
[1] www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/9/109_1925/_pdf
[2] www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/53/5/53_319/_pdf/-char/ja
[3] www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2017/PA03212_03
[4] www.hitachi-pi.co.jp/column/000309/
[5] ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/article/Cellular-immunity-Humoral-immunity.html
[6] www.fmu.ac.jp/univ/kenkyuseika/research/210911.html
[7] www.chugai-pharm.co.jp/ptn/bio/antibody/antibodyp08.html
[8] www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/12-%E5%85%8D%E7%96%AB%E5%AD%A6%EF%BC%9B%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E7%96%BE%E6%82%A3/%E5%85%8D%E7%96%AB%E7%B3%BB%E3%81%AE%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6/%E5%85%8D%E7%96%AB%E7%B3%BB%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81
[9] blog.cellsignal.jp/immunology-how-does-the-innate-immune-system-work
[10] www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/11/104_2307/_pdf
[11] www.kameda.com/pr/infectious_disease/post_57.html
[12] hamabe-med.jp/salon/%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E3%81%AB%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B2%BB%E7%99%92%E5%8A%9B%E3%80%80%E5%85%8D%E7%96%AB%E7%B3%BB%E3%81%AE%E3%81%8A%E8%A9%B1/
[13] www.hitachi-pi.co.jp/column/000297/
[14] idsc.niid.go.jp/training/10kanri/yata.html