医行為とは

 医行為は医師法第17条に根拠があり、その規定する「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(「医行為」)を、反復継続する意思をもって行うことであると解されています。

医行為についての根拠となる法令

医師法(昭和23年法律第201号)

第17条  医師でなければ、医業をなしてはならない。
第31条  次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第17条の規定に違反した者
-以下略-

医師法第17条の解釈

『 医師法第17条に規定する「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(「医行為」)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。』
と厚生労働省のHPに記載されています。

医業の「医」

要するには医業の「医」医行為です。

医業の「業」

「業」は反復継続の意思をもって行うことと解されているのです。
それでは、「業」の意味の中で「反復継続」はどのような場合をいうのかという要件を見ていきましょう。
これについては判例で解釈が確立しています。
1.「反復継続」の程度
これについては、反復継続の意思で足りるとされています。
要するに、実際には反復継続を遂行していなくても業に該当する場合があります。
2.どれくらい反復継続していたら業なのか?反復継続の程度とは?
www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000171350.pdf
厚生労働省健康局生活衛生課の平成27年7月1日事務連絡のなかに、業とみなされる反復継続の程度はどれくらいかということが示されています。
この中で宿泊「業」に該当しない要件として
年数回程度
イベント開催時
宿泊施設が不足している
地方自治体の『要請』などがある
ということが述べられています。
これらは行政判断ですが、裁判所の判断には影響すると考えられます。
ちなみに、「業」は営業とは違い営利・非営利を問いません。

以上より、緊急避難的に医療職の資格を持っていない人が、例えば急に倒れて心肺停止になった人にmouth to mouthで人工呼吸をしつつAEDを作動する、という行為は当然、「業」性を欠くのでOKです。(緊急避難行為はそれでなくても許容されます。)

絶対的医行為と相対的医行為

「医行為」は「医師のみが行いうる行為」とされ、
1.絶対的医行為
2.相対的医行為
の二つに分類されます。

絶対的医行為とは
医師(又は歯科医師)が常に自ら行わなければならないほど高度で危険な行為
のことを指します。
これは医師でないとやってはいけないです。

これに対して相対的医行為は医師が自らやらないといけないほど危険ではなく、診療補助行為として看護師が行えるものをいいます。

また、厚生労働省では「診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる次の38行為」を特定行為と定め、研修を受けた看護師にのみ可能とするようしています。

医行為を行ってよい場所

これについては医療法に規定があります。
一定の場所で特定多数又は公衆を対象に医業を行う場合、「診療所の届出」が必要(医療法1条5項)とさだめられています。
医療行為に該当し、医療行為を反復継続して行う(医業を行う)場所については、原則として、診療所の開設許可等が必要。
それではなぜインフルエンザなどの定期接種以外の予防接種を企業に出向いて行っているのでしょうか?
実は、1日だけの診療所開設届を保健所に出しているんです。
そういう手続きもなく、勝手に行うと医療法違反となります。

医行為の内容とは

www.mhlw.go.jp/content/10803000/000341168.pdf
こちらは、日本医学会連合が厚生労働省の要請で提出したレポートですが、このなかの別表2に日本の医学教育の中で医学部医学科の学部学生に習得させるべき項目が挙げられています。
この中にあげられている医療面接は昔は問診と言われていたものです。
問診なんて話するだけなので医行為じゃないと思うかもしれませんが、問診が医行為であるという最高裁判決もありますので、お気を付けください。

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号