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インパクトファクター徹底解説: 計算から評価、指標の重要性まで

インパクトファクターの計算方法、その意味、学術雑誌の評価における役割を網羅的に解説します。この記事を通じて、インパクトファクターが研究者、学術雑誌、研究機関にどのような影響を与えるのかを理解しましょう。

第1章 インパクトファクター入門

インパクトファクターとは

●インパクトファクターの定義と基本概念

インパクトファクター(Impact Factor)とは、学術雑誌の影響力を示す指標の1つです。具体的には、ある学術雑誌に過去2年間に掲載された論文が、その後1年間にどれだけ引用されたかを表す数値です。[1][2][3]

インパクトファクターの計算方法は以下の通りです:

インパクトファクター = (ある年の論文の被引用数) ÷ (その前の2年間の論文数)

例えば、ある雑誌の2016年(論文数300)と2017年(論文数450)の論文が2018年に合計2000回引用されていた場合、その雑誌の2018年のインパクトファクターは2000 / (300 + 450) = 2.67となります。

インパクトファクターは、同じ分野の学術雑誌を定量的に比較する際の指標として広く使われています。一般的に、インパクトファクターの高い雑誌は研究者にとって権威があり、論文が掲載されることが評価につながります。[1][4]

一方で、インパクトファクターに偏重しすぎることで、短期的な注目を集めやすい研究ばかりが行われるようになったという批判もあります。[1] そのため、インパクトファクターは学術雑誌の質を評価する1つの指標にすぎず、他の指標と組み合わせて総合的に判断することが重要です。[2][3]

●学術雑誌評価における役割

インパクトファクターは、研究者、研究機関、出版社にとって以下のような役割を果たしています。[4]

– 研究者にとっては、自身の研究成果の影響力を示す指標として重要
– 研究機関にとっては、所属研究者の業績評価や、購読すべき学術雑誌の選定に活用
– 出版社にとっては、自社の学術雑誌の評価を高め、購読率を上げるためのツール

つまり、インパクトファクターは研究者と出版社をつなぐ指標として機能しており、双方にとって経済的なメリットにもつながっています。[4]

ただし、インパクトファクターのみに偏重した評価は問題があるため、他の指標も組み合わせて総合的に判断することが重要です。[1][2][3]

[1] acaric.jp/articles/3197
[2] www.soubun.com/journal/%E5%AD%A6%E8%A1%93%E9%9B%91%E8%AA%8C%E3%81%AE%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%81%AE%E6%8C%87%E6%A8%99%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%AF%E3%82%BF/
[3] www.lib.hokudai.ac.jp/support/journal_inpact_facter/
[4] www.turnitin.jp/blog/what-is-the-big-deal-about-impact-factor-jp

インパクトファクターの計算方法

## インパクトファクターの計算方法

インパクトファクター(impact factor; IF)は、学術雑誌の質を計測する指標の1つです。インパクトファクターの計算方法は以下の通りです:

1. ある年(X年)の学術雑誌の被引用数を集計する[1][3][4]。
2. その雑誌に前の2年(X-1年、X-2年)に掲載された論文の総数を数える[1][3][4]。
3. 1の被引用数を2の論文総数で割ることで、その雑誌のインパクトファクターが算出される[1][3][4]:
インパクトファクターIF=X年の被引用数 /(X-1年とX-2年の論文総数)

つまり、ある学術雑誌の過去2年間の論文がその後1年間にどれだけ引用されたかを示す指標です[1][3][4]。インパクトファクターの値が高いほど、その雑誌の影響力が大きいと評価されます[1][3][4]。

インパクトファクターを調べる方法は主に3つあります[1]:

1. トムソン・ロイターが提供するJournal Citation Reports(JCR)から検索する
2. 各学術雑誌のウェブサイトで確認する
3. Google Scholarなどの無料データベースで検索する

ただし、インパクトファクターには一定の限界があり、研究の質を完全に反映できないという指摘もあります[2]。そのため、インパクトファクター以外の指標も組み合わせて研究の評価を行うことが重要だと考えられています[2]。
[1] acaric.jp/articles/3197
[2] sfdora.org/read/read-the-declaration-japanese/
[3] eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/76428/4/OAWseminar2019_kono_rev.pdf
[4] wokinfo.com/media/mtrp/ImpactFactor_QRC.pdf
[5] www.lib.hokudai.ac.jp/support/journal_inpact_facter/

第2章 インパクトファクターの活用

学術雑誌の選定とインパクトファクター

● ジャーナル選定とインパクトファクターの活用

♣ インパクトファクターの概要
– インパクトファクターは、ジャーナルの影響力や重要性を示す指標で、過去2年間の論文の平均被引用数を表します[1][3][4][5]。
– 同じ分野の雑誌を比較する際の目安として使われます[1][3][4][5]。
– 分野によってインパクトファクターの絶対値は大きく異なり、引用数の多い分野ほど高くなる傾向にあります[1]。

♣ ジャーナル選定のポイント
– 自分の研究分野で高い評価を得ているジャーナルを選ぶことが重要[2][4]。
– ただし、必ずしも最高峰のジャーナルが自分の論文に最適とは限らず、論文の内容とジャーナルの適合性を慎重に検討する必要があります[2]。
– 分野によってはインパクトファクターが低い雑誌でも質の高い研究が掲載されている可能性があるため、他の指標も参考にする必要があります[1][4]。
– 最新文献指数やアイゲンファクターなどの指標も活用すると良いでしょう[3]。
– 悪質な雑誌(ハゲタカジャーナル)にも注意が必要で、信頼できるジャーナルリストを参照することをおすすめします[4]。

♣ 日本の学術雑誌の課題
– 日本の学術雑誌は分野によってインパクトファクターが低い傾向にあり、国際的な発信力が課題となっています[1]。
– 物材機構などの機関が、オープンアクセスジャーナルの立ち上げなどに取り組んでいますが、運営面での課題も指摘されています[1]。

Citations:
[1] www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shinkou/034/gijiroku/1348876.htm
[2] thinkscience.co.jp/ja/articles/choosing-the-right-journal
[3] www.lib.hokudai.ac.jp/support/journal_inpact_facter/
[4] www.library.osaka-u.ac.jp/research/evaluation/
[5] www.soubun.com/journal/%E5%AD%A6%E8%A1%93%E9%9B%91%E8%AA%8C%E3%81%AE%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%81%AE%E6%8C%87%E6%A8%99%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%AF%E3%82%BF/

研究者とインパクトファクター

● 研究者のキャリアにおけるインパクトファクターの影響

研究者のキャリアにおいて、インパクトファクターは重要な指標の1つとなっています。インパクトファクターは、研究論文が引用される頻度を示す指標で、研究の質や影響力を示すものとして広く用いられています。[1]

研究者にとって、インパクトファクターの高い学術誌に論文を掲載することは、以下のような点で有利に働きます。

– 研究の質や重要性が認められ、研究者としての評価が高まる[1]
– 研究費の獲得や昇進、表彰などのキャリアアップにつながる[1]
– 研究成果の国際的な発信力が高まり、研究者としての知名度が上がる[2]

一方で、インパクトファクターに過度に固執することは問題もあります。[2]

– 短期的な業績主義につながり、地道な基礎研究が軽視される恐れがある
– 研究の質よりも数値目標に囚われがちになる
– 研究者の創造性や自由な発想を阻害する可能性がある

そのため、研究者は論文の質や独創性を重視しつつ、適切にインパクトファクターを活用していくことが重要です。[1][2]

● 研究の発信力を高める戦略

研究の発信力を高めるためには、以下のような戦略が考えられます。

1. 質の高い学術誌への論文掲載
– インパクトファクターの高い学術誌に論文を掲載することで、研究成果の国際的な発信力が高まる[2]
– 中国などでは、国が学術誌の育成に積極的に取り組んでおり、日本も同様の戦略が必要とされている[2]

2. 国際共同研究の推進
– 海外の研究者とのネットワークを構築し、共同研究を行うことで、研究成果の国際的な発信力が高まる[1]
– 特にアジア諸国との連携強化が重要とされている[1]

3. 研究コミュニティの育成
– 研究者間の交流を活発化させ、研究コミュニティを育成することで、研究成果の共有や相互評価が促進される[2]
– 日本では、研究者の間でインパクトファクターの重要性が十分に共有されていないのが課題とされている[2]

4. 研究広報の強化
– 研究成果を分かりやすく一般向けに発信することで、研究の社会的な影響力が高まる[1]
– 研究者自身が積極的に広報活動に取り組むことが重要[1]

これらの戦略を組み合わせて、研究の発信力を高めていくことが求められています。[1][2]
[1] www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_g_681/hyouka_r04.pdf
[2] www3.nhk.or.jp/news/special/sci_cul/2019/10/story/story_191007/

第3章 インパクトファクターへの批判と代替指標

批判の視点

● インパクトファクターの限界と批判

インパクトファクターは、学術雑誌の影響力を評価する指標として広く使われています。しかし、この指標には以下のような重要な限界が指摘されています。

1. 論文の質を正確に反映していない
– インパクトファクターは雑誌全体の平均値であり、個々の論文の質を正確に表していない
– 優れた論文と劣る論文が混在する雑誌も多数存在する

2. 研究分野による違いを考慮していない
– 研究分野によって論文の引用数が大きく異なるため、分野間の比較が困難
– 同じ分野内でも、理論研究と応用研究では引用数に差がある

3. 引用操作の問題
– 自己引用や編集者による引用操作によって、インパクトファクターが歪められる可能性がある

4. オープンアクセス論文の不利
– オープンアクセス論文は無料で読めるため、引用されやすい傾向にある
– しかし、インパクトファクターはサブスクリプション雑誌を有利にする

これらの問題点から、インパクトファクターだけでは研究の質を適切に評価できないことが指摘されています。より多角的な評価指標の開発が求められています。

代替指標と新しい評価法

● 代替指標と新しい評価法

♣ h指数、Altmetricsなどの紹介

論文の影響度を評価する指標には、従来からインパクトファクター(IF)やh指数などが使われてきました。しかし、これらの指標には以下のような課題がありました。

– 評価までに時間がかかる[1][2]
– 分野間の違いに対応できない[2]
– 論文の内容ではなく引用数などの数値に基づいている[2]

そこで近年注目されているのが、Altmetrics(オルトメトリクス)という新しい評価指標です。Altmetricsは、論文のWebやソーシャルメディアでの反響を指標化したものです[1][3][4]。

Altmetricsの特徴は以下の通りです:

– 即時性がある – 論文発表直後から評価できる[1]
– 学術コミュニティ以外の反応も含まれる – 社会的なインパクトも評価できる[1]
– 引用数以外の指標を使う – 論文の内容に基づいた評価が可能[2]

このように、Altmetricsは従来の指標を補完する新しい評価法として期待されています。

### 評価指標の多様化とその意義

近年、研究評価の指標は多様化してきました。引用数以外にも、論文の内容に基づいた評価手法の開発が進んでいます[2]。

これにより、以下のような効果が期待されます:

– 論文の質的な側面を評価できるようになる
– 分野間の違いに対応できるようになる
– 研究者の業績評価がより適切になる

つまり、研究評価の指標の多様化は、より公正で適切な評価につながると考えられています。
[1] www.soubun.com/journal/web%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%8F%8D%E9%9F%BF%E3%81%A7%E8%AB%96%E6%96%87%E3%81%AE%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E5%BA%A6%E3%82%92%E7%A4%BA%E3%81%99%E3%80%8Caltmetrics%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A1%E3%83%88/
[2] must.c.u-tokyo.ac.jp/sigam/sigam20/sigam2005.pdf
[3] genryu.net/information/%EF%BC%BB%E7%B7%A8%E9%9B%86%E4%B8%AD%EF%BC%BD%E5%BC%95%E7%94%A8%E3%83%BB%E8%BB%A2%E8%BC%89%E3%81%99%E3%82%8B%E8%AB%96%E6%96%87%E3%82%92%E9%81%B8%E3%81%B6%E9%9A%9B%E3%81%AB%E3%80%81%E7%A0%94%E7%A9%B6/
[4] www.enago.jp/academy/altmetrics/amp/
[5] www.soubun.com/journal/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E8%80%85%E3%81%AE%E8%B2%A2%E7%8C%AE%E5%BA%A6%E3%82%92%E7%A4%BA%E3%81%99%E3%80%8Ch-index%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%AA%BF%E3%81%B9%E6%96%B9%E3%81%A8%E7%9B%AE%E5%AE%89/

第4章 インパクトファクターの正しい理解と活用法

情報源とデータベースの活用

● 賢いデータベースの使い方

♣ Journal Citation Reports (JCR) とその他のリソース

Journal Citation Reports (JCR)は、学術ジャーナルの影響力を評価する世界で最も影響力のあるリソースです。JCRは、Web of Scienceの引用・被引用データを統計的に分析することで、ジャーナルの影響力に関する客観的かつ多様な指標を提供しています。[4]

JCRには以下のような特徴があります:

– 自然科学および社会科学の234分野にわたる11,365誌について、インパクトファクターやJournal Impact Factor Percentileなどの指標を提供
– 新たにインパクトファクターが付与されたジャーナルは239誌
– インパクトファクターが上昇したジャーナルは57%、下落したジャーナルは42%
– 18誌がJCRの収録対象から外れた

JCRの他にも、以下のようなデータベースやリソースが学術情報の検索に役立ちます:

– CiNii Research: 国内の学会誌や大学紀要等の論文・記事、国内の博士論文を検索できる[1]
– JDreamIII: 科学技術分野の文献を多数収録したデータベース[1]
– ジャパンナレッジLib: 辞書・事典類のデータベース[1]
– Business Source Premier: マーケティング、経営、会計などのビジネス分野の文献を網羅[2]
– EconLit: 経済学分野の文献を参照できる[2]

これらのデータベースを賢く使い分けることで、効果的な文献検索が可能になります。

● 情報源とデータベースの活用

学術情報を検索する際は、信頼できる情報源とデータベースを活用することが重要です。信州大学附属図書館のウェブサイトでは、国内外の様々なデータベースが紹介されています。[1]

例えば、CiNii Researchは国内の学術論文を検索できるデータベースで、JDreamIIIは科学技術分野の文献を収録しています。また、ジャパンナレッジLibは辞書・事典類のデータベースとして活用できます。[1]

さらに、医学分野では、PubMedやコクランレビューなどの信頼できるデータベースが利用可能です。[2]

これらのデータベースを適切に使い分けることで、効果的な文献検索が可能になります。データベースの使い方については、各機関の図書館ウェブサイトで解説されていることが多いので、参考にするとよいでしょう。

[1] www.shinshu-u.ac.jp/institution/library/find/a-database.html
[2] opac.yokohama-cu.ac.jp/drupal/med_db
[3] www.lib.hiroshima-u.ac.jp/?page_id=257
[4] clarivate.com/ja/blog/news-releases2016-06-13-thomson-reuters-unveils-2016-ranking-of-most-influential-scientific-journals/
[5] www.media.gunma-u.ac.jp/content/files/lib/guide/medlib-manual2023-all.pdf

インパクトファクターの向上策

学術雑誌の品質向上と国際発信力強化のための取り組みについて、以下のようにまとめることができます。

● 学術雑誌の品質向上

– 学術情報流通推進委員会では、オープンサイエンス時代におけるクオリティコントロールの方向性とコンテンツの質の保証について議論を行っている[1]。
– J-STAGEでは、登載誌の品質向上を目指し、学術情報流通やジャーナル出版に関する情報を提供するセミナーを開催している[2]。
– 学術雑誌の編集ポリシーの明確化や、査読プロセスの透明化、倫理規定の整備などが重要とされている[2]。

● 学術雑誌の国際発信力強化

– J-STAGEでは、登載誌の国際発信力強化を支援するため、新しいウェブインターフェースの活用法を紹介している[2]。
– 日本分析化学会の英文誌「Analytical Sciences」では、年間200-300報の論文を世界に発信している[2]。
– インパクトファクターは、雑誌の国際的な評価指標として重要であり、その向上に向けた取り組みが行われている[2][3]。

● 研究機関の戦略

– 研究機関では、インパクトファクターの高い雑誌への掲載を重視する傾向がある[4]。
– 研究体制の確立や、研究活動の向上に取り組むことが重要とされている[4]。

Citations:
[1] www.nii.ac.jp/sparc/publications/newsletter/PDF/sj-NewsLetter-37.pdf
[2] www.jstage.jst.go.jp/static/pages/News/TAB4/PastIssues/-char/ja
[3] clarivate.com/ja/events-webinars/
[4] www.ism.ac.jp/evaluation/index_j/genjo_kadai2014.pdf
[5] www.soubun.com/journal/%E5%AD%A6%E8%A1%93%E9%9B%91%E8%AA%8C%E3%81%AE%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%81%AE%E6%8C%87%E6%A8%99%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%AF%E3%82%BF/

第5章 インパクトファクター活用の実際

高インパクトファクター雑誌に論文を掲載することは、確かに研究者のキャリアにおいて重要な節目となり得ます。これは、そうした雑誌がその分野での重要な発見やイノベーションの発信源と見なされているためです。しかしながら、インパクトファクターが高いというだけで、その雑誌に掲載された全ての論文が同様に質が高いとは限らない点には注意が必要です。

インパクトファクター自体は、雑誌に掲載された論文が平均的にどれだけ引用されているかを示す指標です。これは、その雑誌が発表する研究がどれだけ学術コミュニティに受け入れられているかの一つの尺度となりますが、個々の論文の質や影響力を直接的に測るものではありません。このため、研究評価を行う際にはインパクトファクターだけでなく、論文の内容自体の質、その論文が受けた引用数、そしてその研究の社会的・学術的な影響など、より広い視野から評価することが重要です。

研究者に対しては、高インパクトファクター雑誌への掲載を目指しつつも、研究の質を最優先に考えることが肝要です。研究の質を追求することが、最終的にはより良い学術的な成果をもたらし、それが研究者個人の評価向上に繋がることでしょう。また、学術コミュニティ全体としては、インパクトファクターの限界を理解し、多様な視点から研究評価を行う体制を整えていく必要があります。これには、研究の質を深く理解し評価するための新たな指標の開発や、既存の評価方法に対する批判的な見直しが含まれるかもしれません。

このように、高インパクトファクター雑誌への掲載は多くの研究者にとっての目標であると同時に、研究評価の多様化と質の追求がより重要であるという認識が必要です。研究者自身が質の高い研究を行うこと、そして学術コミュニティがそれを適切に評価することが、健全な学術環境を維持する上での鍵となります。

インパクトファクターが掲載されている場所

Journal Citation Reports (JCR)は、学術雑誌の影響力と範囲を理解するための重要なリソースであり、研究者、出版者、図書館員、そして学術界全体にとって価値ある情報を提供しています。

ジャーナル・インパクト・ファクター(JIF)は特に注目される指標であり、ある雑誌に掲載された論文が平均的にどれほど引用されているかを示しています。これにより、特定の分野における雑誌の相対的な影響力を評価することが可能になります。

また、ジャーナル・インパクト・インディケーターや即時性指数、被引用半減期などの指標も、雑誌の影響力や情報の鮮度、持続性を評価する上で役立ちます。これらの指標を活用することで、研究者は自分の研究成果を発表する最適な場を選定する手助けを受けることができ、学術コミュニティ全体の研究品質の向上に寄与しています。

大学や研究機関における評価システムの構築、資金提供機関による助成プロジェクトの選定、また研究者自身が自らの研究領域内で最も影響力のある雑誌を特定する際など、多岐にわたる場面でJCRは有用な情報源となっています。

Clarivate Analyticsの提供するこのようなデータは、学術出版の世界において透明性と品質を高めるために不可欠です。JCRに掲載される雑誌は、厳格な選定プロセスを経て選ばれており、そのためにリストアップされる雑誌は、各分野における信頼できる情報源として認識されています。
[1] www.libraries.rutgers.edu/databases/jcr
[2] www.prnewswire.com/news-releases/clarivate-announces-changes-to-the-2023-journal-citation-reports-all-web-of-science-core-collection-journals-including-arts-and-humanities-will-have-journal-impact-factors-301592640.html
[3] en.wikipedia.org/wiki/Journal_Citation_Reports
[4] www.researchinformation.info/news/clarivate-journal-citation-reports-2023
[5] guides.library.uwm.edu/c.php?g=879617&p=6323830
[6] ip-science.thomsonreuters.jp
ip-science.thomsonreuters.jp/

世界の主要医学雑誌のインパクトファクター

– New England Journal of Medicine (NEJM) – インパクトファクター74.699
– The Lancet – インパクトファクター79.321
– Journal of the American Medical Association (JAMA) – インパクトファクター51.273
– British Medical Journal (BMJ) – インパクトファクター39.242
– Annals of Internal Medicine – インパクトファクター23.800

これらの雑誌は医学分野で最も影響力が高く、論文が掲載されることで大きな注目を集めます。特に、NEJMやThe Lancetは世界トップレベルのインパクトファクターを持つ医学雑誌です。

[1] www.mr-net.info/entry/godai-igakuzasshi
[2] www.kolabtree.com/blog/ja/top-20-medical-journals-for-physicians-to-publish-in
[3] gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/59807
[4] www.soubun.com/journal/%E5%AD%A6%E8%A1%93%E9%9B%91%E8%AA%8C%E3%81%AE%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%81%AE%E6%8C%87%E6%A8%99%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%AF%E3%82%BF/
[5] pediatric-allergy.com/2018/04/03/medical-journal/

2018年の主な雑誌では

NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE 70.670
JAMA-JOURNAL OF THE AMERICAN MEDICAL ASSOCIATION 51.273
Nature 43.070
SCIENCE 41.037
NATURE MATERIALS 38.887
NATURE BIOTECHNOLOGY 31.864
NATURE MEDICINE 30.641
CELL 36.216
NATURE GENETICS 25.455
NATURE METHODS 28.467
Nature Chemistry 23.193
Cell Stem Cell 21.464
BMJ-British Medical Journal 27.604
CANCER CELL 23.916

となっています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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