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遺伝性疾患

遺伝性疾患

遺伝性疾患は、遺伝子の有害な変化、病原性バリアントとも呼ばれる突然変異が遺伝子に影響を与えたり、遺伝子の量を多いまたは少ないという風に間違えて持ってしまったりした場合に起こる。遺伝子はDNA(デオキシリボ核酸)でできており、細胞の働きやヒトを個性的にする特性についての指示を含んでいる。

ヒトはそれぞれの生物学的親から半分の遺伝子を受け継ぎ、両親の一方または両方から遺伝子の突然変異を受け継ぐことがある。DNA内の問題により遺伝子が突然変異をおこすこともある(新生突然変異)。これにより、遺伝性疾患に罹患するリスクが高まる。遺伝性疾患は出生時に症状を引き起こすものもあれば、時間の経過とともに発症するものもあるし、生涯に渡り発症しない場合もある。

遺伝性疾患の例

遺伝性疾患には、以下のようなものがある。

染色体疾患

染色体全体または染色体の一部分に含まれる遺伝子の過剰または不足になることが原因でおこる疾患である。これらの疾患では、染色体の一部が欠落していたり、重複していたりする。21番染色体が1本過剰に存在することでダウン症候群(21トリソミー)になりますが、21番染色体上のそれぞれの遺伝子そのものに異常はない。染色体の一部分の重複や欠失は、規模は遺伝子lつから染色体全長の2~3%までとさまざまであるが、DiGeorge症候群などの複雑な先天異常や明らかな身休的異常を伴わない孤発性の自閉症の原因となり得る。染色体異常症をまとめるとその頻度は高く、生産児1,000人あたり約7人が罹患しており、妊娠初期の自然流産においては約半数が染色体異常をともなっているとされている。

多因子疾患

多因子疾患は、遺伝子の突然変異と他の要因の組み合わせから生じる。他の要因には例えば化学物質への暴露、食事、特定の薬物、タバコやアルコールの使用などがある。多因子遺伝による多因子疾患とは、発症者の一卵性双生児や近親者での発症頻度が一般での頻度に比べて高いことから遺伝要因が関与していることは確実ではあるものの、 典型的な単一遺伝子疾患の遺伝形式には当てはまらない疾患をいう。多因子疾患にはHirschsprung病、口唇口蓋裂、先天性心疾患などの先天奇形を引き起こす出生前の発生段階の障害もあるし、Alzheimer病、糖尿病、高血圧などの成人になってから発症する多くの一般的疾患もある。多因子疾患の多くは、遺伝情報のただlつの誤りによるものではなく、多くの異なる遺伝子に含まれるバリアント(変異)が複合的に影響影響しあう結果として発症する。それぞれのバリアントは、重篤な疾患の原因となったり、発症に対して保護的に機能したり、罹患しやすくなる原因となったりさまざまで、環境要因と協働で作用したり、環境要因が発症の引き金として作用したりしている。多因子疾患は小児期においては約5%が罹患すると考えられるが生涯罹患率は60%以上になると推定される。

単一遺伝子疾患

このグループの疾患は、単一(たった一つ)の遺伝子変異によって生じる。単一遺伝子疾患は個々の遺伝子における病的変異により起こる疾患であり、古典的な遺伝形式(常染色体劣性、常染色体優性、あるいはX連鎖)にしたがって家系内で起こることがよくみられる。少数であるが、核に存在するDNAではなくミトコンドリアDNAに変異が存在する場合もある(ミトコンドリア遺伝)。いずれの場合でも発症原因はその単一遺伝子(たった一つの遺伝子)の変異(塩基配列が正常ではなくなること)によってもたらされる遺伝情報の重大な誤りである。病気を起こす変異を持った遺伝子のことを病的遺伝子と呼ぶ。ほとんどの単一遺伝子疾患は稀で、最も頻度の高い疾患でも、500人から1000人にl人です。多くの単一遺伝子疾患の頻度はこれよりもっと低くなっている。1つ1つの単一遺伝子疾患の頻度は高くない、単一逍伝子疾患を全体としてみると疾病罹患および死亡の重要な要因となっている。全体として、小児集団の重篤な単一遺伝子疾患の発生率は、生産児300人につき約1人と推定されているが、生存期間中に単一遺伝子疾患に罹患する頻度は50人あたり1人となる。生まれた時には症状がなくても、幼児期思春期青年期壮年期それぞれで発症する疾患があるためである。

一般的な遺伝性疾患とは?

遺伝性疾患は約7000くらいと多くの種類がある。代表的なものには以下が挙げられる。

染色体異常

  • ダウン症候群(トリソミー21)
  • 18トリソミー
  • 13トリソミー
  • ターナー症候群(モノソミーX)
  • トリプルX症候群
  • FragileX症候群
  • クラインフェルター症候群

多因子疾患

  • 関節炎
  • ほとんどの場合のがん(遺伝性がんを除く)
  • 冠動脈疾患
  • 糖尿病のほとんどの場合
  • 片頭痛
  • 二分脊椎
  • 孤立性先天性心疾患
  • 自閉症スペクトラム障害のほとんどの場合
  • 遅発性アルツハイマー病

単一遺伝子疾患

  • デュシェンヌ型筋ジストロフィー
  • 嚢胞性線維症
  • 先天性難聴
  • 家族性高コレステロール血症
  • ヘモクロマトーシス
  • 神経線維腫症1型(NF1)
  • 鎌状赤血球症
  • テイ-サックス病

遺伝性疾患の原因とは?

遺伝性疾患の原因を理解するためには、遺伝子とDNAがどのように働くかについて理解する必要がある。遺伝子に含まれるDNAの大部分は、身体にタンパク質を作るよう指示する。これらのタンパク質は、複雑な細胞間または細胞内で相互作用を行い、ヒトが健康でいることを助ける。

突然変異が起こると、遺伝子のタンパク質を作る命令に影響を与え、たとえばタンパク質が一部欠落していていたり、タンパク質が正しく機能しないこともある。
遺伝子の突然変異を引き起こす可能性のある環境因子(変異原とも呼ばれる)には、以下のようなものがある。

  • 化学物質への曝露
  • 放射線被曝
  • 喫煙
  • 太陽からの紫外線暴露

遺伝性疾患の症状とは?

遺伝性疾患の症状は、障害の種類、影響を受ける臓器及びその重篤度によって異なる。可能性がある症状を以下列記する。

  • 行動的な変化や障害
  • 呼吸の問題
  • 脳が情報を正常に処理できない場合には脳機能障害としての認知障害
  • 言語または社会的スキルの問題を含む発達の遅れ
  • 嚥下障害や栄養素の処理能力低下など、摂食・消化器系の問題
  • 指の欠損や口唇口蓋裂などといった手足や顔の異常
  • 筋肉の硬直や衰えによる運動障害
  • 発作や脳卒中などの神経系の問題
  • 成長不良または低身長
  • 視力や色覚の異常、聴力の低下

遺伝性疾患を特定するための診断と検査

遺伝性疾患の家族歴があるのならば、遺伝学的検査が適切かどうか、遺伝カウンセリングを検討することが勧められる。検査を行うと、通常、その疾患の原因となる遺伝子変異(病的変異)を有しているかどうかを示すことができる。多くの場合、突然変異を有していても、必ずしもあなたがその疾患になるとは限りらず、その疾患独自の浸透率が参考となる。また、遺伝子に変異がないことは遺伝的に問題がないことと同一ではなく、遺伝子を超えたエピジェネティックな問題により同じ症状が起こることもあるため、遺伝子検査の解釈には注意を要する。

家族歴がある場合、遺伝性疾患のDNA検査は、新しい家族を作るため、つまり子を持つかどうかを決めるのに重要な手がかりとなりえる。遺伝学的検査の選択肢は以下の通りです。

キャリアー検査(保因者検査)
キャリアー検査(保因者検査)は、本人又はそのパートナーが病的遺伝子を有しているかどうかを検査する。これは、家族歴がなくても、妊娠を考えているすべての人に推奨される。米国では妊娠前にキャリア検査をするのが一般的になっている。
出生前スクリーニング
通常、妊娠中の女性から血液検査を行い、生まれた子供が一般的な染色体の状態になる可能性がどのくらいあるかを知ることができる。
出生前診断検査
生まれてくる子供が特定の遺伝性疾患にかかるリスクが高いかどうかを知ることが可能。出生前診断的検査では、子宮から採取した液体(羊水穿刺)を用いる。
新生児スクリーニング
生まれたばかりの赤ちゃんの血液サンプルを使用し、生まれたすべての赤ちゃんに実施される。遺伝性疾患を人生の早い段階で発見することで、必要な場合、子供がタイムリーなケアを受けることができるようになる。

その他、遺伝子検査には神経学的疾患、がん、循環器疾患などそれぞれの系統的検査を行うことも可能であるし、臨床的に意義がある遺伝子のエクソン部分を全て検査する(クリニカルエクソーム)ことも可能となっている。

遺伝性疾患の管理及び治療

ほとんどの遺伝性疾患は、根本的な治療法はない。いくつかの治療法は、病気の進行を遅らせたり、生活への影響を軽減することができる。それぞれに適した治療の種類は、病気の種類と重症度により異なりる。治療法がない疾患の場合でも、合併症を早期に発見するための医学的な監視を行うことができる。以下、取りうる治療法を列挙する。

  • 症状を管理するための薬物療法、または異常な細胞の増殖を遅らせるための化学療法。
  • 体に必要な栄養素を摂取したり、取ってはいけない栄養素をとらないようにするための栄養カウンセリングや栄養補助食品。
  • 自分の能力を最大限に発揮するための理学療法、作業療法、言語療法。
  • 健康な血球のレベルを回復するための輸血。
  • 異常な構造の修復や合併症の治療のための手術。
  • がんの放射線療法などの専門的な治療法。
  • 機能しなくなった臓器を健康なドナーから得た臓器と交換する臓器移植手術。

遺伝性疾患の予防

どのようにすれば、遺伝性疾患を予防することができるのかについて、遺伝性疾患を予防するためにできることはあまりない。しかし、遺伝カウンセリングや検査は、個人のリスクについて もっと知るために役立ちます。また、いくつかの疾患があなたの子供に受け継がれる可能性も知ることができる。たとえば米国では現在、妊娠前にキャリアスクリーニングテストを受ける人が増えている。

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この記事の筆者

  • 仲田洋美総合内科専門医、臨床遺伝専門医、
    がん薬物療法専門医
    ミネルバクリニック 院長

1995年医師免許取得。血液・呼吸器・感染症内科を経て、臓器別・疾患別の縦割りの医療の在り方に疑問を感じ、人を人として”全人的”に診療したいという思いを強くし、臓器を網羅した横断的専門医となり、2010年にがん薬物療法専門医取得(2019年現在全国1200人程度)。臓器を網羅すると遺伝性がんへの対策が必要と気づき、2011年に臨床遺伝専門医取得(2019年現在全国1000人程度)。遺伝相談はセンシティブな分野にもかかわらず、昼間の短い時間しか対応できない大病院のありかたに疑問を感じて、もっと必要な人がハードルを感じずに診療を受けられるようにしたいと2014年12月に開業。以来、全国から大学病院でも難しい内容の対応を求める人々を受け入れ、よろづお悩み相談所として多くの人々の様々な”家族(計画)の問題”を改善に導く。

著書に”女性のがんの本当の話”(ワニブックス)、”遺伝するがん・しないがん”(法研)がある。
少ない専門家で、正直で嘘のない言葉選びから週刊誌等の取材も多く、医療系の特集に時折コメントが掲載。(週刊現代、週刊ポスト、週刊新潮など)。
テレビ出演も時々あり、小林真央さんの病状を市川海老蔵さんが初めて記者会見した日、フジテレビの午後4時台のニュース番組に生出演して解説。その他TBS, AbemaTVなど出演。

一人一人の事情に合わせた個別対応をするべく、しっかり時間を取って本当のニーズは何かを聞き取りすることを大切にしている。短い時間でもお互いが出会ったことが相手の人生に大きな意味があるような医師患者関係の構築を理想として日々精進。

患者さんが抱えている問題を解決するにはどうしたらよいのかを考えて医師歴8年目に法学部に学士入学した程度に”凝り性”。女医が少なかった時代に3人の母親として難関専門医を3つ取得して社会進出を続けた経験から、女性のライフスタイルを医学以外の部分でも支援したいと願っている。
いろんな人生経験から心に響く言葉を投げかけるため、”会うと元気になる”ということで有名。飼いネコ4匹。

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