目次
遺伝子は、DNAの上で「使う部分」と「読み飛ばす部分」が交互に並んだ、いわば分断された設計図です。このうち、最終的に成熟したmRNAに残り、主にタンパク質の情報を担うのがエクソン(エキソン/exon)。その間に挟まり、転写されたあとに取り除かれるのがイントロン(intron)です。この記事では、エクソンとイントロンとは何か、両者はどう違うのか、イントロンを取り除く「スプライシング」の仕組み、そして遺伝性の病気や検査・治療とのつながりまでを、臨床遺伝専門医の視点でわかりやすく整理します。
Q. エクソンとイントロンの違いを、まず結論だけ知りたいです
A. エクソンは成熟mRNAに残り、主にタンパク質の情報を担う領域です。イントロンは転写されるものの、スプライシングによって取り除かれ、成熟mRNAには残りません。ざっくり言えば、エクソンが「残して使う部分」、イントロンが「いったん写して切り捨てる部分」です。ヒトの遺伝子では、数ではエクソンが多い一方、長さの合計はイントロンのほうがはるかに長いという特徴があります。ただし「エクソン=必ず翻訳される」わけではなく、エクソンにはタンパク質にならない非翻訳領域(UTR)も含まれます。
- ➤エクソン → 成熟mRNAに残る領域。主にタンパク質をコードするが、非翻訳領域(UTR)も含む
- ➤イントロン → 転写されるが、スプライシングで取り除かれる介在配列
- ➤スプライシング → イントロンを除き、エクソンをつなげて成熟mRNAを完成させる過程
- ➤イントロンの役割 → 「無駄」ではなく、選択的スプライシングやncRNAの土台になる
- ➤病気とのつながり → 境界(スプライス部位)などの変異は、さまざまな遺伝性疾患やがんに関わる
🧬 エクソンとイントロンの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み方・別名 | エクソン(別表記:エキソン/exon)/イントロン(intron、介在配列とも) |
| エクソンとは | 転写後も成熟mRNAに残る領域。主にタンパク質をコードするが、両端の非翻訳領域(UTR)も含む |
| イントロンとは | 転写はされるが、スプライシングで取り除かれる介在配列。タンパク質には翻訳されない |
| 見つかった年 | 1977年(分断遺伝子・RNAスプライシングの発見)。「エクソン」「イントロン」の語は1978年に命名[1] |
| 主な生物 | ヒトを含む真核生物に一般的。原核生物(細菌など)にはスプライソソーム型イントロンはほぼ存在しない |
| 医療との関わり | 境界(スプライス部位)などの変異が遺伝性疾患・がんに関与。エクソンを標的とした治療も実用化 |
※本記事は一般の方と遺伝診療に関わる方の両方に向けた用語解説です。特定の検査を勧めるものではありません。
1. エクソンとイントロンとは?──分断された遺伝子の「使う部分」と「読み飛ばす部分」
エクソンは成熟mRNAに残る領域で、イントロンは転写されたあとに取り除かれる領域です。真核生物の遺伝子は、コード情報が1本につながっているのではなく、エクソンとイントロンが交互に並んだ「分断遺伝子(split gene)」という構造をとっています。DNAから写し取られた直後の未成熟なRNA(プレmRNA)には、エクソンもイントロンも両方含まれています。そこからイントロンだけを切り取り、エクソン同士をつなぎ合わせることで、はじめて意味の通る成熟mRNAができあがります。
この「遺伝子がぶつ切りになっている」という事実は、1977年に発見されました。SharpとRobertsが、それぞれ独立に、アデノウイルスのmRNAがゲノムDNA上の連続しない複数の領域に対応することを電子顕微鏡で見いだしたのです。この発見は分子生物学の常識を大きく塗り替え、両氏は1993年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました[1]。「exon(エクソン)」「intron(イントロン)」という言葉自体は、1978年にWalter Gilbertによって名づけられました[1]。
💡 用語解説:exon と intron の語源
エクソン(exon)は「発現する(expressed)」領域、つまり最終的にmRNAとして表に現れる部分を指します。イントロン(intron)は「間に入る(intervening)」配列、つまりエクソンとエクソンの間に挟まった部分を指します。名前そのものが、両者の役割の違いを表しています。
注意したいのは、「エクソン=タンパク質の暗号」と単純に覚えると誤解のもとになる点です。エクソンの定義は「成熟mRNAに残る領域」であり、その中にはタンパク質に翻訳される部分だけでなく、翻訳されない両端の領域(非翻訳領域・UTR)も含まれます。つまり、すべてのエクソンがそのままアミノ酸に読み替えられるわけではありません。この記事でも、エクソンは「残る部分」、イントロンは「切り捨てる部分」という軸で整理していきます。
2. エクソンとイントロンの違いは?──一目でわかる対比
最大の違いは、エクソンは成熟mRNAに残り、イントロンは取り除かれるという点です。そのうえで、コードするかどうか、長さや数、位置といった観点でも両者ははっきり異なります。まず表で全体像をつかんでください。
📊 エクソンとイントロンの違い
| 観点 | エクソン(exon) | イントロン(intron) |
|---|---|---|
| 成熟mRNAでの扱い | 残る(つなぎ合わされる) | 取り除かれる |
| コードするか | 主にタンパク質をコード(ただし非翻訳領域も含む) | タンパク質には翻訳されない |
| 長さ・数 | 短く、数は多い(ヒトのタンパク質コード転写産物では、エクソン数は中央値9個、平均約11個)[2] | 1本あたりは長く、遺伝子全体の長さの大半を占める |
| 位置 | 遺伝子の中で、イントロンに挟まれて点在する | エクソンとエクソンの間に介在する |
| 境界 | エクソンとイントロンの境目が「スプライス部位」。多くのイントロンは5′端がGU、3′端がAGで始終する(GU–AG則) | |
※「エキソン」と「エクソン」は同じ exon の表記ゆれで、どちらも使われます。小学館デジタル大辞泉では「エクソン(エキソンとも)」と併記されています。
どちらが翻訳される?どちらが取り除かれる?(混同しやすいポイント)
「どっちがどっちか分からなくなる」という声が多いところなので、結論を先に整理します。残って使われるのがエクソン、切り取られて捨てられるのがイントロンです。覚え方の一例として、エクソンの「エク(ex=外に出る=発現する)」を「成熟mRNAとして外に出る=残る」と結びつけると、取り違えにくくなります。逆にイントロンは「間(in)に入って、あとで消える」とイメージすると整理しやすいでしょう。
3. スプライシングとは?──イントロンが取り除かれ、mRNAが完成するまで
スプライシングとは、プレmRNAからイントロンを取り除き、エクソンをつなぎ合わせて成熟mRNAをつくる過程です。DNAの情報がタンパク質になるまでの流れ(セントラルドグマ)の中で、転写と翻訳のあいだに位置する重要な工程です。全体像は次のとおりです。
スプライシングを担う「スプライソソーム」
この切り貼りは、スプライソソームと呼ばれる巨大な分子装置が行います。スプライソソームは、5種類の小さなRNA(snRNA)と多数のタンパク質が組み合わさった複合体で、イントロンの両端を正確に見分けて切り出します。
💡 用語解説:スプライス部位とGU–AG則
エクソンとイントロンの境目を「スプライス部位」と呼びます。多くのイントロンは、5′側(始まり)がGU、3′側(終わり)がAGという決まった配列で挟まれており、これを「GU–AG則」といいます。さらに3′側の手前には、切り出しに必要な「分岐点(ブランチ点)」と呼ばれる目印があります。スプライソソームはこれらの目印を手がかりに、イントロンだけを正確に取り除きます。
選択的スプライシング──1つの遺伝子から複数のタンパク質
スプライシングには、どのエクソンを残すかを状況に応じて変える選択的スプライシングという仕組みがあります。同じ遺伝子でも、あるエクソンを含めたり外したりすることで、複数の異なるmRNA(そしてタンパク質)をつくり分けられるのです。ヒトでは、複数のエクソンを持つ遺伝子の大多数(RNA-seq解析で約92〜94%)が選択的スプライシングを受けると推定されています[3]。限られた数の遺伝子から、多彩なタンパク質の種類を生み出すための、生き物の巧みな工夫といえます。
4. イントロンは「無駄」なのか?──読み飛ばされる配列の意外な役割
結論から言えば、イントロンは「無駄なDNA」ではありません。取り除かれてしまうにもかかわらず、イントロンは遺伝子の働きを支えるいくつかの役割を担っています。かつては「役立たずの配列」と見なされていましたが、研究が進むにつれて、その見方は大きく変わってきました。
まず、先ほどの選択的スプライシングの土台になります[3]。エクソンとエクソンの間にイントロンがあるからこそ、どこを残しどこを外すかという「編集の自由度」が生まれ、タンパク質の多様性につながります。
さらに、多くの機能性RNAがイントロンの中にコードされていることも分かってきました。遺伝子の働きを細かく調整するマイクロRNA(miRNA)や核小体低分子RNAといったノンコーディングRNA(ncRNA)の一部は、イントロンから作られます。つまりイントロンは、こうした調節役RNAの「収納場所」にもなっているのです。
進化の観点からは、イントロンがあることで、エクソンを部品のように組み替えてタンパク質を新しく作り出す「エクソンシャッフリング」が起こりやすくなった、という考え方(introns-early説)も提唱されています。ただし、イントロンがいつ・なぜ生まれたのかについてはintrons-early説とintrons-late説が対立しており、決着はついていません。「イントロンの数が多い生物ほど複雑」といった見方も、相関にとどまり因果関係が証明されているわけではない点には注意が必要です。
5. ヒトゲノムでエクソンが占める割合は?──数と長さのデータ
ヒトゲノムのうち、タンパク質をコードするDNAはごくわずかで、全体の約1〜2%にすぎません。全遺伝子のエクソンをすべて合わせた領域(エクソーム)は、ゲノム約30億塩基のおよそ1.5%にあたります[4]。残りの大部分は、イントロンや遺伝子と遺伝子の間の領域で占められています。
数と長さのバランスも特徴的です。ヒトのタンパク質コード転写産物では、エクソン数は中央値9個、平均約11個ですが、1つ1つのエクソンは短く、多くは200塩基未満です[2]。一方でイントロンは1本あたりが桁違いに長く、遺伝子の長さの大半を占めます。「エクソンは短くて数が多い」「イントロンは長くて場所をとる」と覚えておくと、両者のイメージがつかみやすいでしょう。
💡 用語解説:割合の数字に幅があるのはなぜ?
「エクソンはゲノムの何%か」という数字は、コード領域だけを数えるか、非翻訳領域まで含めるか、どのデータベースや解析の版を使うかによって変わり、おおむね1〜2%の範囲で示されます。単一の値と断定せず、幅のある概算として理解するのが正確です。
6. エクソン・イントロンの異常は病気とどう関わる?──変異・治療・検査
エクソンとイントロンの境目やその周辺の変化は、さまざまな遺伝性疾患やがんの原因になります。スプライシングがうまくいかなくなると、必要なエクソンが抜け落ちたり、本来は取り除かれるはずのイントロンの一部が残ったりして、正しいタンパク質が作れなくなるためです。
スプライシング異常はどれくらいの病気に関わるのか
スプライシングを乱す変化は、思いのほか多くの病気に関わります。一見ミスセンス変異に見えても、実はスプライシングを乱しているものなどを含めると、およそ3分の1の疾患関連変異がスプライシングに影響しうる、という推定があります[5]。スプライス部位そのものの塩基が変わる変異に限っても、遺伝性疾患を起こす変異の10%以上を占めるとされます[6]。ただしこの割合は、対象とする遺伝子や解析方法によって大きく異なり、遺伝子によっては最大で半数近くとする報告もあります。単一の数字で断定できるものではありません。
エクソンを標的とする治療
エクソン単位で起こる異常は、逆に「エクソンを操作する治療」の入口にもなります。代表例が、エクソンスキッピングという治療戦略です。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(きんジストロフィー)は、DMD遺伝子の欠失などによって読み枠(コドンの読み取り枠)がずれ、ジストロフィンというタンパク質が作れなくなることで発症します。エクソンスキッピングは、核酸医薬(アンチセンスオリゴヌクレオチド)で特定のエクソンを意図的に読み飛ばし、ずれた読み枠を回復させて、短いながらも部分的に働くジストロフィンを作らせる治療です。日本では、53番エクソンをスキップするビルトラルセン(製品名ビルテプソ)が2020年に承認されました。米国でもエテプリルセン・ゴロディルセン・ビルトラルセン・カシメルセンの4剤が承認されています[7]。
⚠️ ここは誤解が多いポイント
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの「原因」は読み枠をずらす変異であり、エクソンスキッピングはその「治療戦略」です。原因と治療を取り違えないことが大切です。また、これらの薬は変異のタイプごとに対象が決まっており、すべての患者さんに使えるわけではありません(各薬の対象はおおむね患者さんの約8〜13%)。効果や適応の範囲は国や時期によって異なり、今後も更新されます。治療の判断は必ず主治医とご相談ください。
スプライシングの調整が治療につながる例は、ほかにもあります。脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう/SMA)は、SMN1という遺伝子が欠けたり働かなくなったりして発症します。ヒトにはよく似たSMN2という予備の遺伝子もありますが、SMN2はエクソン7の中の1塩基の違い(c.840C>T)によってエクソン7が大部分読み飛ばされてしまい、不安定なタンパク質しか作れません[8]。そこで、ヌシネルセンやリスジプラムといった薬は、SMN2のスプライシングを整えてエクソン7を取り込ませ、働くSMNタンパク質を増やします[9]。「原因はSMN1、スプライシングの問題はSMN2側」という整理が正確です。
エクソンとエクソーム(全エクソーム検査)の違い
「エクソン」と「エクソーム」は似ていますが、意味が違います。エクソームとは、全遺伝子のエクソンをすべて合わせた総体のことで、ゲノムの約1.5%にあたります[4]。この部分だけをまとめて読む検査が全エクソーム検査(WES)です。遺伝性疾患の原因の多くがエクソン内の変化に集まっているため、ゲノム全体を読むより効率よく調べられるという利点があります。ただし、イントロンの奥深くにある変異(深部イントロン変異)などはエクソンを読むだけでは捉えにくく、「エクソンを読めば病気がすべて分かる」わけではない点には注意が必要です。
がんとエクソン変異──どのエクソンかが治療を左右する
がんの分野でも、どのエクソンに変異があるかが治療方針を左右します。消化管間質腫瘍(しょうかかんかんしつしゅよう/GIST)では、多くがKIT遺伝子(主にエクソン11、次いでエクソン9)やPDGFRA遺伝子(主にエクソン18)の変異で生じます。分子標的薬イマチニブは第一選択の治療薬ですが、どのエクソンの変異かによって効き方が変わり、KITエクソン11では効果が高い一方、PDGFRAエクソン18のD842Vという変異ではイマチニブが効きにくいことが知られています[10]。エクソン単位の情報が、そのまま治療の選択に直結する好例です。
🩺 院長コラム【遺伝子の変化は「エクソンの中」だけで起きるのではない】
遺伝子検査の結果を解釈する際には、「変化がエクソンの中にあるか、その周りにあるか」という視点が重要です。タンパク質の暗号が書かれているのはエクソンですが、スプライシングを乱す変化は、エクソンの内側にも、イントロンの奥深くにも起こりえます。エクソンだけを読む検査には、こうした領域を捉えにくいという限界があります。
「触媒や翻訳に関わらない部分だから重要ではない」と決めつけないこと。これは、遺伝子の変化を解釈するうえで重要な視点です。エクソンとイントロンという基本の理解は、検査で見つかった変化が体にどう影響しうるかを一緒に考えるための、土台になります。
よくある誤解
誤解①「イントロンは無駄なDNA」
イントロンは取り除かれますが、無駄ではありません。選択的スプライシングの土台になり、マイクロRNAなどの機能性RNAの収納場所にもなっています。
誤解②「エクソンは必ず翻訳される」
エクソンは「成熟mRNAに残る領域」であって、翻訳されない非翻訳領域(UTR)も含みます。エクソン=タンパク質の暗号、と単純化すると誤解のもとになります。
誤解③「エクソンを読めば病気は全部わかる」
全エクソーム検査は有力ですが万能ではありません。イントロンの奥深くにある変異などは捉えにくく、分かること・分からないことがあります。
誤解④「スプライシング異常はまれ」
むしろ多くの遺伝性疾患に関わります。疾患関連変異のおよそ3分の1がスプライシングに影響しうるという推定もあります(遺伝子や解析法で幅があります)。
まとめ ─ 「残す部分」と「切り捨てる部分」が生命の柔軟さをつくる
エクソンは成熟mRNAに残る「使う部分」、イントロンは転写されたあとに取り除かれる「読み飛ばす部分」です。両者の間で行われるスプライシングは、単に不要な配列を捨てているのではなく、どのエクソンを残すかを切り替えることで、限られた遺伝子から多彩なタンパク質を生み出す仕組みでもあります[3]。
そして、この繊細な切り貼りが乱れると、さまざまな遺伝性疾患やがんにつながります。一方で、エクソン単位で起こる異常を逆手にとった治療(エクソンスキッピングやスプライシング調整)も現実のものになっています[7]。エクソンとイントロンという基本の理解は、遺伝子の働きや、遺伝子検査で見つかった変化の意味を読み解くための出発点になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. エクソンとイントロンの違いは?
エクソンは成熟mRNAに残り、主にタンパク質の情報を担う領域です。イントロンは転写されるものの、スプライシングによって取り除かれ、成熟mRNAには残りません。ざっくり言えば、エクソンが「残して使う部分」、イントロンが「いったん写して切り捨てる部分」です。ヒトの遺伝子では、数ではエクソンが多い一方、長さの合計はイントロンのほうがはるかに長いという特徴があります。
Q2. イントロンはなぜ存在するの?
取り除かれるにもかかわらずイントロンが残っているのは、それが役に立っているからだと考えられています。イントロンがあることで、どのエクソンを残すかを切り替える選択的スプライシングが可能になり、タンパク質の多様性が生まれます。また、マイクロRNAや核小体低分子RNAといった機能性RNAの一部は、イントロンの中にコードされています。進化上の起源については、introns-early説とintrons-late説が対立しており、まだ決着はついていません。
Q3. エクソンとイントロン、どちらが翻訳されますか?
成熟mRNAに残って翻訳の対象になるのはエクソンで、イントロンは翻訳される前に取り除かれます。ただし、エクソンのすべてが翻訳されるわけではなく、エクソンには両端の非翻訳領域(UTR)も含まれます。「残るのがエクソン、切り取られるのがイントロン」と覚えると混同しにくくなります。
Q4. ヒトゲノムでエクソンは何%を占めますか?
タンパク質をコードするDNAは、ヒトゲノム全体の約1〜2%にすぎません。全遺伝子のエクソンをすべて合わせた領域(エクソーム)は、ゲノム約30億塩基のおよそ1.5%にあたります。残りの大部分は、イントロンや遺伝子と遺伝子の間の領域です。数字はコード領域だけを数えるか非翻訳領域まで含めるかなどで変わるため、幅のある概算として理解してください。
Q5. エクソンとエクソーム(全エクソーム検査)の違いは?
エクソンは1つ1つの「残る領域」を指すのに対し、エクソームは全遺伝子のエクソンをすべて合わせた総体を指します。このエクソームだけをまとめて読む検査が全エクソーム検査(WES)です。遺伝性疾患の原因の多くがエクソン内に集まっているため効率的に調べられますが、イントロンの奥深くにある変異などは捉えにくく、「エクソンを読めばすべて分かる」わけではありません。
Q6. スプライシングとは何ですか?
スプライシングとは、転写されたプレmRNAからイントロンを取り除き、エクソンをつなぎ合わせて成熟mRNAをつくる過程です。スプライソソームという分子装置が、イントロンの両端の目印(多くはGUで始まりAGで終わる)を見分けて正確に切り出します。どのエクソンを残すかを変える選択的スプライシングによって、1つの遺伝子から複数のタンパク質をつくり分けることもできます。
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参考文献
- [1] Phillip Sharp—Nobel Prize for Discovery of “Split Genes.” Mayo Clinic Proceedings. 2004. [Mayo Clinic Proceedings]
- [2] Human protein-coding genes and gene feature statistics in 2019. 2019. [PMC6549324]
- [3] Alternative isoform regulation in human tissue transcriptomes. Nature. 2008. [PubMed 18978772]
- [4] Exome(用語集). National Human Genome Research Institute(米国国立ヒトゲノム研究所). [genome.gov]
- [5] Using positional distribution to identify splicing elements and predict pre-mRNA processing defects in human genes. PNAS. 2011. [PNAS]
- [6] Single base-pair substitutions in exon-intron junctions of human genes: nature, distribution, and consequences for mRNA splicing. Human Mutation. 2007. [Human Mutation]
- [7] Optimization of antisense-mediated exon skipping for Duchenne muscular dystrophy. Gene Therapy. 2020. [PubMed 32483212]
- [8] Determinants of exon 7 splicing in the spinal muscular atrophy genes, SMN1 and SMN2. 2006. [PubMed 16385450]
- [9] Advances and limitations for the treatment of spinal muscular atrophy. 2022. [PMC9632131]
- [10] Gastrointestinal stromal tumors (GISTs): point mutations matter in management, a review. 2017. [PMC5506287]



