欧州研究機構のアドバンスグラントで行われるNIPTの臨床試験に日本から共同参加する栄誉を頂きました。 ミネルバクリニックでは、世界中の国際認証を受けた遺伝子検査機関を厳選して業界オンリーワンの検査体制を整えています。

異常(医学)

異常所見血小板血症、本態性血小板血球症血塗抹、現在の異常な高血小板及び白血球

医学検査においては正常範囲内にない所見は普通じゃない、つまり異常であると判断されます。正常と考えられるものとは異なる、異常な状態、条件、または行動を表す言葉が「異常」です。

異常はダメなことなのか?

皆さんはきっと健康診断などで異常値、つまり正常でない値をみると驚くことでしょう。しかし、身体所見や血液検査で異常はダメなことなのでしょうか?

たとえば心臓が左右反対の向きについている人は心臓逆位といい明らかに異常ですが、それで全身の血行動態に異常がなければ医学的に問題はありません。このように、医学的に異常なこととそれが問題を引き起こしている、つまり「病気である」こととの間には違いがあります。

異常な所見は、医学的には問題があることとは無関係なことが多いのですが、不安を煽り、その後の検査や処置に人々を駆り立てることがあります。

しかし、私たちは皆、異常所見をたくさんもっています。私たちの誰もが完璧な正常ではありません。

医学の正常はあいまいな概念である

医学の世界では、正常というのは曖昧な概念です。血球の数などのルーチンに行われる検査項目は、何十年も前の研究に基づいて標準的な範囲が決められていましたが、健康な20歳の男性にとって正常な値は、60代の女性にとっては正常とは限らないことが次第に明らかになってきました。

こうしていくつかの検査項目の基準範囲は、性別やその他のカテゴリーによって異なるようになりましたが、それらの尺度が、その人の正確な年齢、人種、その他の状況と相関するほど具体的であることはほとんどありません。また、検査機関によっては、正常範囲の設定が異なる場合があります。前の病院では異常値と言われたが、次の病院では正常と言われたりするのは検査をする機関により正常値がまちまちなことが理由です。同じ検査項目でも検査の仕方(アッセイ)が違えば正常値が違うことは当然あるし、下手すると単位も違ったりします。

正常値は95%の人が入る値の範囲

また、正常値の定義の仕方によっては、どうしても正常値から外れてしまう人がいます。一般的に、範囲は、大規模な研究グループにおける健康な人の95%に対応するように設定されます。しかし、常に5%の異常値にいながら何の問題もない人がいます。

検査によっては、より多くの情報や意味を持つものもあります。例えば、電解質のカリウムやカルシウムの血中濃度は、正常範囲が狭く、その範囲を外れると致命的な症状を引き起こす可能性があります。また、カルシウムの場合はアルブミンと結合していない遊離したものが実際に問題となりますので、アルブミンの値で補正する必要があります。一方、同じ電解質でも塩素や鉄の値は、変化が大きくても影響は少ないものです。

オンラインのポータルサイトで結果をみる問題点

検査結果の電子化により、検査結果を素早く確認できるようになりました。しかし、その結果が異常だったらどうでしょうか?

医師は異常な結果を見ることに慣れていますし、一般的にはその背景を見て心配すべきことがあるかどうかを瞬時に判断できます。

しかし、オンラインの患者ポータルでは、医師に相談する前に結果を見ることができるため、たとえ異常な結果が臨床的には問題がなくても、人々を怖がらせてしまう可能性があります。

問題の一つは医療に間違いはないはずと思う社会の傾向

医療機関や医学検査を無謬(理論・判断などに、誤りがない)と見なす社会の傾向にも問題があります。実際には、完璧な技術はありませんし、結果や画像を解釈する人も不完全です。To err is human.人は誰でもが間違うものである、というのが医療現場のコンセプトで、だからこそコモン・ミステイクを防ぐためのシステム作りをしなければならないのです。

しかし、「To err is human.人は誰でもが間違うものである」と言うと、「あきれた医者だ、そんな医者に診てもらいたくない。」とツイッターで絡まれたりします。ご自分は過ちなく生きているのでしょうか。人間、過ちを犯さず生きていけと言われたら、生きていく自信がある人がどれくらいいるのでしょうか。なのに社会は医療職に「神のごとき」無謬性を求めるのは何故でしょうか。

医療においては誤診や不正確な検査結果は常にリスクとして存在します。検査機関の基準は、患者さんや社会が期待するような完璧な白と黒ではありません。どこかで線引きをしなければならないのですが、”はい “か “いいえ “しかない白か黒かというものはほとんどありません。

例えば染色体核型検査において第21番染色体が3本ある21トリソミーは、白か黒か、という検査の一つであればただちに異常です。しかし、第9番染色体の腕間逆位はよく見られる問題のない異常所見であって、異常でも身体の異常、つまり病気につながることはありません。

高感度化した画像診断機器等が引き起こす問題

感度化した画像診断機器も問題を引き起こす可能性があります。自分の病気とは関係のないはずの検査を受けたときに、自分の病気の異常を知ることが多くなっています。たとえば腫瘍の場合、それは「偶発的腫瘍」と呼ばれ、CTスキャンやMRIの画像に20%もの割合で現れると報告されています。

偶発的所見が特によく見られる腫瘍があります。例えば、肝臓の病変は、CTスキャンの10~14%に現れます。他の研究によると、無症状で予期せぬ甲状腺腫瘍は、超音波画像診断を受けた人の67%、首のCTやMRIを受けた人の15%に現れます。下垂体の偶発的な腫瘍は、頭頸部のMRIを受けた人の38%に見られるそうです。

このような所見をどうするかは臨床現場では難問です。患者、そして多くの場合は医師も、何か問題があるかもしれないと知ると、フォローアップをしたいと思うものですが、多くの場合、医療介入しても効果があるという証拠はないし、余分な処置や検査には、不安や放射線被曝などのリスクが伴います。それ御上回る利益がない限り、実施することは本人にとっては不安と放射線被ばくの、社会にとっては本来はしなくて良い検査がずるずる行われてしまうという医療経済的損失という不利益を助長することとなります。

腰痛を例に見てみましょう

時には、新しいエビデンスに合わせて正常の定義が変わることもあります。

腰痛の画像診断では、全く腰に問題のない人でも椎間板の膨らみなどの異常が非常に多いことが研究で明らかになっています。1990年代に行われた研究の結果、腰痛のない成人98人を対象にMRI検査を行ったところ、64%に何らかの椎間板の異常が見られ、38%の人には複数の異常が見られました。それ以降の研究では、腰痛のために画像診断を受けても、痛みが改善されたり、治りが早くなったりすることはないという結果が出ており、腰痛のためにCTスキャンを受けた場合、放射線被曝によって1,200件ものがんが余計に発生するという研究報告もあります。

また、画像診断の結果が異常であることを患者が知ると、たとえそれが臨床的には無関係であっても、治りが遅くなる傾向があります。腰痛の場合、自分のからだがなにか間違っていると思うと、より心配になり、痛みに固執し、問題が悪化するのを恐れて運動を避けるようになることから腰痛が悪くなるということが考えられます。現在、医師のガイドラインでは、特定のケースに対してのみ画像診断を行うことが推奨されていますが、医師が画像診断を指示する割合は増え続けています。これはやはり医療受給者である患者側の検査に対する要求が強いことのあらわれでしょう。医師側も患者さんを説得して機嫌を損ねるより、検査をすれば収入は増えるし評判も良くなるし時間も手間も削減される、ということでお互いのメリットが一致しているのですが、科学的メリットとは逆であることは診療ガイドラインとあわないことが証明しています。診療ガイドラインを守らなくても、医師には何の懲罰もありません。これも患者さん側の常識とは異なるので、受益者側の患者さんたちが賢明になるしかありません。

偶発的所見による意図しない損害を減らすためにできること

偶然の発見による意図しない損害を減らすためには、医師と患者が健康問題について話し合う方法を変えるよう働きかけることが必要でしょう。医師たちも、医学生のうちから検査結果によって治療方針が変わるかどうかを考えるという視点を持った方がよいでしょう。つまり、検査結果が治療方針を変える可能性があるかない場合は検査自体をする必要がないということなのです。

患者さんができることとしては、自身の検査データを集めることを目的とするのではなく、さまざまな検査のリスクとメリットについてしっかりと医師と話し合う態度を醸成べきでしょう。そしてそのような丁寧な説明をしない医師は信用に足るかどうかを考えてみたらよいでしょう。

 

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

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