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NIPTは陰性でしたが胎児ドックで脈絡叢嚢胞を指摘されました

NIPTは陰性でしたが胎児ドックで脈絡叢嚢胞を指摘されました

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ミネルバクリニックでNIPTを受けた患者さんからの質問:
本日17w〇dの妊婦健診で脈絡叢嚢胞を指摘されました。今のところ他に異常は見られなかったようです。
調べてみた限りでは、脈絡叢嚢胞があると染色体異常を持っている可能性が上がるとのことでしたが、NIPTの結果が陰性で、他に所見もない場合は心配しなくても良いものでしょうか?
私が受けていない検査(100の常染色体劣性?)で、関連性がありそうな疾患があったりはしないでしょうか?

患者さん個人に返答するにもお返事の内容がボリュームありますので、折角ですからHPに記載して公開します。

脈絡叢とは?

脈絡叢(みゃくらくそう、Choroid Plexus)は、脳の各脳室内に位置し、脳脊髄液(CSF)を生成する重要な組織です。脳脊髄液は脳や脊髄を保護し、栄養供給や老廃物の排出を助ける役割を担っています。脈絡叢は主に毛細血管と特殊な上皮細胞から構成され、血液脳関門の一部としても機能します。

脈絡叢の主な機能には、脳脊髄液の生成、栄養供給、老廃物の排出、そして物理的な衝撃からの保護があります。成人では1日約500mlの脳脊髄液が生成され、脳室内を流れて脳と脊髄を包み込みます。

また、脈絡叢は水頭症や脈絡叢嚢胞などの疾患とも関連しています。水頭症は脳脊髄液の流れが阻害されることで脳室内に液体が溜まり、脳を圧迫する状態です。脈絡叢嚢胞は通常は無害ですが、場合によっては発育に影響を及ぼすことがあります。

最近の研究では、脈絡叢の再生能力や脳脊髄液生成のメカニズムが注目されています。

妊娠中にエコーで脈絡叢嚢胞を指摘された場合

出生前診断において、脈絡叢は妊娠6~7週目頃から発達し始め、急速に成長して妊娠9週目には側脳室の空洞の約75%を占めます。妊娠20週目には成人と同じ状態に達します。参考文献

脈絡叢嚢胞は、神経上皮ひだが脳脊髄液で満たされることで生じるとされています。典型的な超音波画像所見は、脈絡叢内に位置する境界が明瞭な、無エコー性の小さな構造で、通常大きさは1cm未満です。脈絡叢嚢胞には片側性の単発性嚢胞から両側性の隔壁のある嚢胞、多発性嚢胞までさまざまな形態があります。

脈絡叢は、小さな嚢胞がいくつか混在している不均一な構造であることがあります。これらの嚢胞は境界が明確ではなく、単一の平面上で最もよく観察できます。そのため、脈絡叢嚢胞の発見は患者の不安を著しく高める可能性があります。通常の解剖学的調査に加え、手、足、心臓、脳に追加所見がないか評価します。何も見つからない場合、脈絡叢の異質性があると報告します。

一方、嚢胞が少なくとも2cmの大きさがあり、直交する2つの平面で確認できる場合、それは真の所見とされ、高リスク胎児としてさらなる精査が必要であることを示すと考えられています。

脈絡叢嚢胞の臨床的意義

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他に何の異常所見もない孤立性脈絡叢嚢胞の場合、問題ありません。

脈絡叢嚢胞は、妊娠中期に超音波検査で頻繁に発見される所見です。

孤立性脈絡叢嚢胞の場合

中枢神経系または中枢神経系以外の異常や染色体異常のリスク要因がない場合である孤立性脈絡叢嚢胞は、形状や大きさ、左右性にかかわらず正常なバリエーションと考えられます。通常、これらの嚢胞は妊娠後期までに自然に消失します。残存するものも通常は無症状であり、良性です。
孤立性脈絡叢嚢胞は健常人の1~2%に認められ、染色体異常のリスク増加とは関連していません。
ほとんどの研究では、顔、心臓、大血管、開脚を含む四肢の検査を含む詳細な解剖学的精査をした後に、その他の異常所見がない孤立性脈絡叢嚢胞(CPC)が確認された場合、正常な核型である可能性が非常に高いと報告されています。メタアナリシスでは、孤立性CPCを有する1016例の胎児のうち、母親の年齢が35歳未満であった場合には18トリソミーは認められませんでした。参考文献
孤立性脈絡叢嚢胞の既往歴を持つ小児を対象として、思春期まで追跡調査を行った結果、健康状態や神経発達に悪影響を及ぼすとの関連性は認められませんでした。しかし、これらの研究は症例数が少なく、選択バイアスのリスクが高い上に、定義が不明瞭かつ多様であるため、比較対象群も設けていないという研究デザインの問題があります。したがって、長期的な予後については依然として不明ではあります。参考文献

非孤立性脈絡叢嚢胞の場合

孤立性ではない脈絡叢嚢胞などの異常を併発した胎児は、染色体異常、特に18トリソミーのリスクが高くなります。
脈絡叢嚢胞CPCは、第2期妊娠の胎児の1~2%に見られますが、18トリソミーの胎児では30~50%に存在します。21トリソミーの胎児では脈絡叢嚢胞の頻度は増加しません。参考文献

したがって、非孤立性脈絡叢嚢胞が発見された場合は、患者に対して細胞遊離DNAを用いた非侵襲的検査(NIPT)や羊水検査など、さらなる検査の必要性を説明するために、胎児にほかの異常がないかどうかをはっきりさせることことが重要です。

脈絡叢嚢胞を指摘された場合の対処方法

これまでに染色体異常スクリーニングを受けたことがなく、孤立性脈絡叢嚢胞(CPC)を有する妊娠中の女性に対して、米国母体胎児医学会(SMFM)は、18トリソミーの可能性を推定するためのカウンセリングを行い、NIPT、またはNIPTが受けられない場合や費用的に難しい場合は代替の染色体異常スクリーニングの選択肢について話し合うことを推奨しています。
NIPTの結果が陰性であり、孤立性脈絡叢嚢胞を有する患者に対しては、それ以上の染色体異常評価やフォローアップの超音波検査、出生後の評価は行わないことを推奨しています。参考文献

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この質問をくださっている患者さんは、ミネルバクリニックで項目も多いプレミアムプラン+デノボをお受けいただいておりまして、異常なしなので、心配いらないってことです。

追記:患者さんからのお返事

このページを作って、患者さんに、「何度も読んでください!」と連絡したところ、以下のようなメッセージをいただきました。

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ミネルバクリニックでNIPTを受けた患者さんからの質問:
お返事と、ものすごく丁寧な説明ページをありがとうございます!

何度も読み、染色体異常については心配ないとのお答えもいただけたので安心しました。
(産婦人科医はからは後期までに消える可能性が高い以外の説明がほとんどなく、ネットで自分で調べた情報だけではとても不安でした…)
消えずに残った場合の長期的な予後についてはあまり情報がないようなのでそこは心配ですが、まずは自然に消えてくれることに期待ですね。

次の検診で念のために他に異常がないか詳しくみていただきますが、
それまでは心穏やかに過ごせそうです。
また何かありましたら、相談させていただきます!

私がウェブページを作ってお返事している理由は、電話で説明とかだとその時は理解していても、だんだんといろんなことを考えて混乱するので
何回でも読み返せるほうがいいと思っているのと
全国のほかの同じような境遇の人たちにも読んでいただきたいという思いからです。
お役に立てて何よりです!とっても嬉しかったです。

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ミネルバクリニックでは、以下のNIPT検査(新型出生前診断)を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。オンライン診療+地元で採血、という形で全国からミネルバクリニックにお越しになることなく受けられます。

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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