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網膜色素変性症遺伝子パネル検査

網膜色素変性症遺伝子検査|臨床遺伝専門医による包括的な原因特定 – ミネルバクリニック

網膜色素変性症とは

網膜色素変性症(Retinitis Pigmentosa;RP)は、視覚に影響を及ぼすまれな遺伝性疾患群です。これらの疾患は網膜の光受容細胞の異常によって引き起こされます。網膜色素変性症の初期症状である夜盲症や周辺視野の減少は、通常小児期または青年期に現れます。

網膜色素変性症の症状

網膜色素変性症の典型的な症状の進行は以下の通りです:

  • 夜盲症(暗い場所での視力低下)
  • 周辺視野の徐々な喪失
  • トンネル視(管状視野)の発達
  • 光感受性(羞明)
  • 色覚異常
  • 中心視力の低下(進行例)

周辺視野の障害は数年から数十年にわたって進行し、トンネル視を引き起こします。疾患の進行により中心視力の喪失が生じ、法的失明または完全失明に至る可能性があります。発症年齢、進行速度、重症度は遺伝子、特定の病原性変異、環境要因により異なります。

網膜色素変性症の分類

網膜色素変性症は以下のように分類されます:

●非症候群性網膜色素変性症
網膜病変のみを呈する単独型
●症候群性網膜色素変性症
他の臓器症状を伴う型(バルデー・ビードル症候群、アッシャー症候群など)

診断は通常、眼底検査と網膜電図(ERG)により行われ、その時点で遺伝子検査が診断確定のために推奨されることがあります。

網膜色素変性症の遺伝要因

網膜色素変性症は遺伝的要因が関与する疾患で、多数の遺伝子の変異によって引き起こされます。現在までに100以上の遺伝子が網膜色素変性症の原因として同定されています。

遺伝形式

●常染色体優性遺伝(約20-25%)
片方の親から変異遺伝子を受け継ぐだけで発症します。親のどちらかが罹患している場合、子どもが発症するリスクは50%です。比較的軽症で進行が緩徐な場合が多いです。
●常染色体劣性遺伝(約15-20%)
両方の親から変異遺伝子を受け継いだ場合に発症します。両親が保因者の場合、子どもが発症するリスクは25%です。比較的重症で早期発症することが多いです。
●X連鎖遺伝(約10-15%)
X染色体上の遺伝子変異により発症し、主に男性に影響を与えます。最も重症型で急速に進行することが多いです。
●孤発例(約40-50%)
家族歴がない場合で、新生突然変異や診断されていない家族歴が原因となることがあります。

関連する症候群

●バルデー・ビードル症候群
網膜色素変性症に加えて、肥満、腎機能障害、多指症、知的障害などを伴う症候群
●アッシャー症候群
網膜色素変性症と感音性難聴を主徴とする症候群で、平衡感覚障害を伴うこともある
●レーベル先天性黒内障
出生時から重度の視力障害を呈する最重症型の網膜変性疾患

家族のリスクについて

網膜色素変性症の家族歴がある場合のリスクは、遺伝形式により大きく異なります。

重要:個人の具体的なリスクについては、実際に遺伝子検査を行わない限り正確にお答えすることはできません。これは、網膜色素変性症の原因が非常に多様であり、同じ家系内でも原因遺伝子や変異の有無が人によって異なるためです。

家族歴に基づくリスク評価

●両親の一方が罹患している場合(常染色体優性遺伝)
子どもが発症するリスクは50%です。症状は比較的軽症で進行が緩徐なことが多いです。
●両親が保因者の場合(常染色体劣性遺伝)
子どもが発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。症状は比較的重症で早期発症することが多いです。
●きょうだいに罹患者がいる場合
遺伝形式により異なりますが、常染色体劣性遺伝の場合、あなたが保因者である確率は約67%です。
●X連鎖遺伝の場合
母親が保因者の場合、男児の50%が発症し、女児の50%が保因者となります。最も重症型で急速に進行します。
●家族歴がない場合(孤発例)
新生突然変異の可能性があり、次子への再発リスクは一般的に低いですが、遺伝子検査による確認が重要です。

遺伝カウンセリングの重要性

正確なリスク評価のためには、専門的な遺伝カウンセリングが不可欠です。遺伝カウンセリングでは以下を行います:

  • 詳細な家系図の作成
  • 家族歴の詳細な聴取
  • 眼科検査結果の評価
  • 個別のリスク計算
  • 適切な検査の提案
  • 検査結果の解釈
  • 将来の家族計画に関する選択肢の説明
  • 心理的サポートと情報提供

網膜色素変性症遺伝子検査

網膜色素変性症遺伝子パネル検査は、非症候群性および症候群性の網膜色素変性症に関連する129の遺伝子を包括的に分析する検査です。バルデー・ビードル症候群やアッシャー症候群などの症候群性疾患、さらにレーベル先天性黒内障などの鑑別診断に関連する遺伝子も含まれています。

検査によって得られるメリット

  • 適切な診断の確立または確認
  • 関連する追加症状のリスク特定
  • 関連するリソースとサポートへの接続
  • より個別化された治療と症状管理
  • 視力喪失への準備と対策
  • 家族のリスク要因に関する情報提供
  • 家族計画のための選択肢の提供
  • 臨床試験への参加機会

網膜色素変性症における遺伝子検査の重要性

網膜色素変性症と診断された患者さんは、症状の管理と視力喪失への準備のための支援的な手段から恩恵を受けることができます。特定の病因を特定することにより、患者さんとその医療提供者は症状の発症をより良く準備することができ、場合によっては臨床試験の対象となる可能性があります。

網膜色素変性症遺伝子検査を受けるべき人

網膜色素変性症と
診断された人
ご家族に網膜色素
変性症の診断が
ある人
夜盲症や視野狭窄
などの関連症状が
ある人

上記のいずれかに当てはまるすべての人が対象です

この検査は、網膜色素変性症の既往歴または家族歴がある人、および/またはその関連症状がある人すべてにお勧めします。網膜色素変性症は通常、眼底検査と網膜電図(ERG)により診断され、その時点で医療提供者は診断を確定するために遺伝子検査を推奨することがあります。

網膜色素変性症は、患者さんそれぞれで病因、症状の進行、重症度が大きく異なります。遺伝子検査により、現在存在する特定の病因や予後に関する情報が明確になり、個別化され効果的な治療および症状管理につながる可能性があります。

網膜色素変性症遺伝子検査に含まれる遺伝子

検査対象遺伝子(129遺伝子)
ABCA4, ABHD12, ADGRA3, AIPL1, ARL2BP, ARL6, BBS1, BBS10, BBS12, BBS2, BBS4, BBS5, BBS7, BBS9, BEST1, C1QTNF5, C2orf71, C8orf37, CA4, CACNA1F, CC2D2A, CDH23, CDHR1, CEP290, CERKL, CLN3, CLRN1, CNGA1, CNGB1, CRB1, CRX, CYP4V2, DHDDS, DHX38, ELOVL4, EMC1, EXOSC2, EYS, FAM161A, FLVCR1, FSCN2, GNPTG, GUCA1B, GUCY2D, HGSNAT, HK1, IDH3B, IFT172, IFT43, IMPDH1, IMPG2, INPP5E, INVS, IQCB1, KIAA1549, KIZ, KLHL7, LCA5, LRAT, LRP5, MAK, MERTK, MFRP, MKKS, NEK2, NEUROD1, NMNAT1, NPHP1, NPHP3, NPHP4, NR2E3, NRL, PCDH15, PDE6A, PDE6B, PDE6G, PEX1, PEX2, PEX26, PEX7, PHYH, PITPNM3, PLA2G5, PRCD, PRKCG, PROM1, PRPF3, PRPF31, PRPF4, PRPF6, PRPF8, PRPH2, RBP3, RBP4, RD3, RDH11, RDH12, RGR, RHO, RLBP1, ROM1, RP1, RP1L1, RP2, RP9, RPE65, RPGR, RPGRIP1, RPGRIP1L, SAG, SEMA4A, SLC7A14, SNRNP200, SPATA7, SPP2, TMEM216, TOPORS, TRIM32, TRNT1, TTC8, TTPA, TUB, TULP1, USH1C, USH2A, WFS1, WHRN, ZNF408, ZNF513

遺伝子名 関連疾患と説明
ABCA4 関連疾患:スタルガルト病(STGD)、網膜色素変性症(RP)、円錐杆体ジストロフィー(CRD)
ABCA4遺伝子は、網膜の光受容体細胞にあるATP結合カセット輸送体A4タンパク質をコードしています。このタンパク質は、ビタミンAサイクルにおいて老廃物であるオールトランスレチナールを輸送する重要な役割を担っています。この遺伝子に変異が生じると、輸送機能が損なわれ、老廃物が網膜色素上皮細胞に蓄積し、細胞の機能不全や死滅を引き起こします。特にスタルガルト病は、若年での視力低下や中心視力の喪失を特徴とし、黄斑部(網膜の中心部)の変性が進行します。また、網膜色素変性症や円錐杆体ジストロフィーの原因となることもあります。
ABHD12 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、ポラード症候群
ABHD12遺伝子は、加水分解酵素であるα/βハイドロラーゼドメイン含有タンパク質12をコードしています。この酵素は、リゾリン脂質を代謝する役割を持ち、特に神経細胞や免疫細胞の機能に影響を与えます。ABHD12の機能喪失型変異は、眼の進行性網膜変性疾患である網膜色素変性症を引き起こすことが知られています。さらに、難聴、多発神経障害、骨格異常を伴うポラード症候群の原因にもなります。これらの疾患では、網膜の光受容体細胞が徐々に失われ、視野狭窄や夜盲症といった症状が現れます。
ADGRA3 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、錐体杆体ジストロフィー(CRD)
ADGRA3(Adhesion G-protein coupled receptor A3)遺伝子は、細胞接着やシグナル伝達に関わるGタンパク質共役型受容体をコードしています。この遺伝子の機能はまだ完全に解明されていませんが、網膜の光受容体細胞の維持や機能に重要な役割を果たしていると考えられています。ADGRA3の変異は、進行性の視力喪失を引き起こす網膜色素変性症や錐体杆体ジストロフィーの原因となることが報告されています。これらの疾患では、光を感じる細胞が徐々に変性・死滅し、夜盲や視野狭窄、中心視力の低下などの症状が進行します。
AIPL1 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)、錐体杆体ジストロフィー(CRD)
AIPL1遺伝子は、芳香族炭化水素受容体相互作用タンパク質様1(Aryl Hydrocarbon Receptor Interacting Protein-Like 1)をコードしています。このタンパク質は、網膜の光受容体細胞、特に杆体細胞と錐体細胞の分化や生存に不可欠な分子シャペロンとして機能します。AIPL1の変異は、出生後間もなく重度の視力障害を引き起こすレーバー先天性黒内障(LCA)の主要な原因の一つです。LCAの患者は、乳幼児期から著しい視力低下や眼振(眼球の不随意な動き)を示します。また、この遺伝子変異は、錐体細胞と杆体細胞の両方が影響を受ける進行性の眼疾患である錐体杆体ジストロフィー(CRD)も引き起こすことがあります。
ARL2BP 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
ARL2BP遺伝子は、ARL2結合タンパク質をコードしており、網膜の光受容体細胞におけるタンパク質の輸送やシグナル伝達に関与していると考えられています。この遺伝子の変異は、視覚を司る細胞の機能不全を引き起こし、進行性の網膜変性疾患である網膜色素変性症の原因となることが知られています。この疾患では、主に夜間視力や周辺視野が徐々に失われ、最終的には中心視力も影響を受けることがあります。
ARL6 関連疾患:バルデー・ビードル症候群(BBS)
ARL6遺伝子は、ARF様GTPase 6をコードしており、一次繊毛の機能に重要な役割を果たします。この遺伝子の変異は、多岐にわたる症状を伴う遺伝性疾患であるバルデー・ビードル症候群(BBS)を引き起こします。BBSの主な症状には、網膜色素変性症による視力障害、多指症・合指症といった手足の奇形、肥満、腎臓の異常、学習障害などがあります。ARL6は、一次繊毛内でタンパク質を輸送するプロセスに関与しており、その機能不全がBBSの多様な症状を引き起こすとされています。
BBS1 関連疾患:バルデー・ビードル症候群(BBS)
BBS1遺伝子は、バルデー・ビードル症候群(BBS)の原因遺伝子の一つで、BBS1タンパク質をコードしています。このタンパク質は、細胞の一次繊毛の形成と機能に不可欠な「BBSome」と呼ばれる複合体の一部です。一次繊毛は、細胞の感覚機能やシグナル伝達に重要な役割を担っており、その機能不全はBBSの多様な症状を引き起こします。BBS1変異による症状は、進行性の視力低下(網膜色素変性症)、多指症、肥満、腎臓の異常、生殖器の発達不全、学習障害などが挙げられます。
BBS10 関連疾患:バルデー・ビードル症候群(BBS)
BBS10遺伝子は、バルデー・ビードル症候群(BBS)の原因遺伝子の一つで、BBS10タンパク質をコードしています。このタンパク質は、一次繊毛の構造と機能に不可欠な「BBSome」複合体の形成に関与しています。BBSomeは、繊毛内のタンパク質輸送を調節することで、様々な細胞機能、特に神経や感覚器官の発達と維持に重要な役割を担っています。BBS10遺伝子の変異は、進行性網膜変性による視力低下、多指症、肥満、腎臓の異常など、BBSの典型的な症状を引き起こします。
BBS12 関連疾患:バルデー・ビードル症候群(BBS)
BBS12遺伝子は、バルデー・ビードル症候群(BBS)の原因遺伝子の一つであり、一次繊毛の形成と機能に重要なBBS12タンパク質をコードしています。このタンパク質は、BBSomeと呼ばれる複合体の一部を構成し、繊毛内でのタンパク質輸送を円滑に行う役割を果たします。BBS12の変異は、この複合体の機能不全を引き起こし、網膜色素変性症(視力低下)、肥満、多指症、腎臓の異常、学習障害など、BBSの多岐にわたる症状をもたらします。
BBS2 関連疾患:バルデー・ビードル症候群(BBS)
BBS2遺伝子は、バルデー・ビードル症候群(BBS)の原因遺伝子の一つで、BBS2タンパク質をコードしています。このタンパク質は、繊毛の構造と機能維持に不可欠な「BBSome」複合体を形成する中心的な役割を担っています。この複合体が正常に機能しないと、繊毛を介した細胞内のシグナル伝達やタンパク質輸送が阻害され、BBSの多様な臨床症状を引き起こします。具体的には、進行性網膜変性による視力低下、肥満、多指症、腎機能障害などが挙げられます。
BBS4 関連疾患:バルデー・ビードル症候群(BBS)
BBS4遺伝子は、バルデー・ビードル症候群(BBS)の原因遺伝子の一つであり、BBS4タンパク質をコードしています。このタンパク質は、一次繊毛内のタンパク質輸送を担う「BBSome」複合体の主要な構成要素です。繊毛は細胞のアンテナとして機能し、多くのシグナル伝達に関与しているため、BBS4の変異は繊毛機能の不全を引き起こします。これにより、網膜の光受容体細胞が変性する網膜色素変性症、肥満、多指症、腎臓の奇形など、BBSの多系統にわたる症状が現れます。
BBS5 関連疾患:バルデー・ビードル症候群(BBS)
BBS5遺伝子は、バルデー・ビードル症候群(BBS)に関連する遺伝子の一つで、BBS5タンパク質をコードしています。このタンパク質は、細胞の一次繊毛におけるタンパク質輸送を制御する「BBSome」複合体の一部です。BBS5の機能不全は、繊毛の構造やシグナル伝達を乱し、網膜色素変性症による進行性の視力低下、中心性肥満、多指症、腎機能障害、生殖器の異常など、BBSの多岐にわたる症状を引き起こします。
BBS7 関連疾患:バルデー・ビードル症候群(BBS)
BBS7遺伝子は、バルデー・ビードル症候群(BBS)の原因遺伝子の一つで、BBS7タンパク質をコードしています。このタンパク質は、繊毛の構造と機能に不可欠な「BBSome」複合体の形成に関与しています。この複合体は、繊毛を介した細胞内外のシグナル伝達を円滑に行うために重要であり、BBS7の変異は繊毛の機能不全を引き起こします。その結果、網膜色素変性症による視力低下、肥満、多指症、腎臓の異常、学習障害など、BBSの典型的な症状が発症します。
BBS9 関連疾患:バルデー・ビードル症候群(BBS)
BBS9遺伝子は、バルデー・ビードル症候群(BBS)に関連する遺伝子の一つで、BBS9タンパク質をコードしています。このタンパク質は、繊毛の構造と機能に重要な「BBSome」複合体の一部であり、繊毛内のタンパク質輸送を制御する役割を担っています。BBS9の変異は、繊毛の機能不全を引き起こし、網膜色素変性症による視力低下、多指症、肥満、腎臓の異常、学習障害など、BBSの多系統にわたる症状をもたらします。
BEST1 関連疾患:ベスト病(VD)、常染色体劣性ベスト病(ARB)、多巣性類卵黄状黄斑ジストロフィー(MMLD)、成人発症型卵黄状黄斑ジストロフィー(AVMD)
BEST1遺伝子は、網膜色素上皮細胞に存在する膜タンパク質であるベステリン1をコードしています。このタンパク質は、細胞内の塩素イオン(Cl-)輸送に関与しており、網膜色素上皮細胞と光受容体細胞の間のイオン恒常性を維持する上で重要な役割を果たします。BEST1の変異は、網膜色素上皮に老廃物(リポフスチン)が蓄積するベスト病を引き起こします。これにより、黄斑部(中心視力に関わる部分)に変性が生じ、視力低下を引き起こします。また、常染色体劣性ベスト病や、より軽度な成人発症型卵黄状黄斑ジストロフィーの原因にもなります。
C1QTNF5 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、円錐杆体ジストロフィー(CRD)
C1QTNF5遺伝子は、C1q腫瘍壊死因子関連タンパク質5をコードしています。このタンパク質は、細胞接着や成長、分化に関わる因子として機能し、特に網膜色素上皮細胞と光受容体細胞の接着や機能を維持する上で重要な役割を果たしていると考えられています。C1QTNF5の変異は、この接着や機能の異常を引き起こし、進行性の網膜変性疾患である網膜色素変性症や円錐杆体ジストロフィーの原因となります。これらの疾患では、光受容体細胞が徐々に死滅し、視力障害が進行します。
C2orf71 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
C2orf71遺伝子は、網膜の光受容体細胞に発現するタンパク質をコードしています。この遺伝子の正確な機能はまだ十分に解明されていませんが、光受容体の外節(光を感じる部分)の構造維持や、光応答機能に重要な役割を担っていると推測されています。C2orf71の変異は、光受容体細胞の変性やアポトーシス(細胞死)を引き起こし、進行性の網膜変性疾患である網膜色素変性症の原因となります。この疾患では、夜盲症から始まり、徐々に視野が狭くなる「求心性視野狭窄」が進行します。
C8orf37 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、バルデー・ビードル症候群(BBS)
C8orf37遺伝子は、細胞の一次繊毛におけるタンパク質輸送に関わるタンパク質をコードしており、繊毛の構造と機能の維持に重要です。この遺伝子の変異は、進行性の網膜変性疾患である網膜色素変性症を引き起こすことが知られています。また、多系統にわたる遺伝性疾患であるバルデー・ビードル症候群(BBS)の原因遺伝子の一つでもあります。BBSでは、網膜色素変性症に加えて、肥満、多指症、腎機能障害などが合併することが特徴です。C8orf37の機能不全は、繊毛の正常な働きを阻害し、これらの多様な症状をもたらします。
CA4 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
CA4遺伝子は、炭酸脱水酵素IVをコードしており、網膜色素上皮細胞の細胞膜に発現しています。この酵素は、二酸化炭素と水の平衡反応を触媒し、網膜のイオン恒常性やpHバランスの維持に重要な役割を果たします。CA4の変異は、これらの生理的バランスを崩し、網膜の光受容体細胞の機能不全や変性を引き起こし、進行性の網膜変性疾患である網膜色素変性症の原因となります。この疾患では、夜間視力の低下や視野狭窄が徐々に進行します。
CACNA1F 関連疾患:先天性静止夜盲症(CSNB)、不完全型先天性静止夜盲症、レーバー先天性黒内障(LCA)
CACNA1F遺伝子は、電位依存性カルシウムチャネルのサブユニットをコードしており、網膜の光受容体細胞と双極細胞の間のシナプス伝達に不可欠な役割を担っています。このチャネルが正常に機能しないと、光信号が網膜内を正しく伝達されず、静止夜盲症を引き起こします。特に、この遺伝子の変異は、暗順応の障害を特徴とする不完全型先天性静止夜盲症の主要な原因です。また、より重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障の原因となることもあります。
CC2D2A 関連疾患:バルデー・ビードル症候群(BBS)、ジョウベルト症候群(JBTS)、メッケル症候群(MKS)
CC2D2A遺伝子は、一次繊毛移行帯と呼ばれる、繊毛の根元にある重要な構造の形成に関わるタンパク質をコードしています。この移行帯は、繊毛へのタンパク質輸送を制御する「門」のような役割を果たしており、CC2D2Aの変異は繊毛機能不全を引き起こします。これにより、多系統にわたる疾患であるバルデー・ビードル症候群(BBS)、協調運動障害や呼吸異常を特徴とするジョウベルト症候群(JBTS)、脳や腎臓の奇形を伴うメッケル症候群(MKS)の原因となります。
CDH23 関連疾患:アッシャー症候群(USH1D)
CDH23遺伝子は、聴覚・平衡感覚と視覚に関わるタンパク質カドヘリン23をコードしています。このタンパク質は、内耳の有毛細胞におけるステレオシリア(音を感じる毛)の形成と機能、および網膜の光受容体細胞の維持に重要な役割を担っています。CDH23の変異は、先天性の重度難聴と、進行性の網膜色素変性症を合併するアッシャー症候群1型D(USH1D)の原因となります。USH1Dの患者は、乳児期から難聴があり、青年期以降に視力低下が進行します。
CDHR1 関連疾患:錐体杆体ジストロフィー(CRD)、網膜色素変性症(RP)
CDHR1遺伝子は、カドヘリン関連ファミリーメンバー1タンパク質をコードしており、網膜の光受容体細胞の外節(光を感じる部分)の構造維持に重要な役割を果たしています。このタンパク質は、細胞膜の安定性や細胞間の接着に関与していると考えられています。CDHR1の変異は、外節の構造を不安定にし、光受容体細胞の変性や死滅を引き起こし、進行性の視力喪失を特徴とする錐体杆体ジストロフィー(CRD)や網膜色素変性症(RP)の原因となります。
CEP290 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)、ジョウベルト症候群(JBTS)、バルデー・ビードル症候群(BBS)
CEP290遺伝子は、細胞の一次繊毛におけるタンパク質輸送を調節する中心体・繊毛タンパク質(CEP290)をコードしています。この遺伝子の変異は、繊毛の機能不全を引き起こし、多くの重篤な遺伝性疾患の原因となります。特に、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)の最も一般的な原因の一つです。また、協調運動障害や腎機能障害を伴うジョウベルト症候群(JBTS)、多系統にわたるバルデー・ビードル症候群(BBS)の原因ともなります。
CERKL 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
CERKL遺伝子は、網膜に存在するセラミドキナーゼ様タンパク質をコードしています。このタンパク質は、細胞の脂質代謝や細胞死(アポトーシス)の制御に関与していると考えられています。CERKLの変異は、網膜の光受容体細胞にアポトーシスを引き起こし、進行性の視力障害を伴う網膜色素変性症の原因となります。この疾患では、夜盲や視野狭窄が徐々に進行し、最終的には中心視力も影響を受けます。
CLN3 関連疾患:神経セロイドリポフスチン症3型(バッテン病)
CLN3遺伝子は、リソソーム内の膜タンパク質であるバッテンニンをコードしています。このタンパク質は、リソソームの機能、特に不要な物質の分解に重要な役割を担っています。CLN3の変異は、リソソーム内に老廃物が蓄積する神経セロイドリポフスチン症3型(バッテン病)を引き起こします。この疾患は、小児期に発症し、網膜変性による視力喪失、てんかん、運動機能の低下、認知機能の進行性障害を特徴とします。
CLRN1 関連疾患:アッシャー症候群(USH3A)
CLRN1遺伝子は、内耳の有毛細胞と網膜の光受容体細胞に存在するクラリン1タンパク質をコードしています。このタンパク質は、これらの細胞における細胞膜の構造やシグナル伝達に関与していると考えられています。CLRN1の変異は、進行性の難聴と、それに続く網膜色素変性症を伴うアッシャー症候群3型A(USH3A)の原因となります。USH3Aは、他の型のアッシャー症候群に比べて難聴の発症が遅いのが特徴です。
CNGA1 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、錐体杆体ジストロフィー(CRD)
CNGA1遺伝子は、光受容体細胞の外節に存在する環状ヌクレオチド作動性チャネルのアルファサブユニットをコードしています。このチャネルは、光信号を電気信号に変換する光伝達カスケードの重要な構成要素です。CNGA1の変異は、チャネルの機能不全を引き起こし、光受容体細胞の機能障害や変性をもたらします。これにより、進行性の視力障害を伴う網膜色素変性症や錐体杆体ジストロフィーの原因となります。
CNGB1 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
CNGB1遺伝子は、光受容体細胞の外節に存在する環状ヌクレオチド作動性チャネルのベータサブユニットをコードしています。このチャネルは、光信号を電気信号に変換する光伝達カスケードに不可欠であり、CNGA1と複合体を形成して機能します。CNGB1の変異は、チャネルの機能不全を引き起こし、網膜の光受容体細胞、特に杆体細胞の機能障害や死滅をもたらします。これにより、進行性の視力障害を伴う網膜色素変性症が発症します。
CRB1 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)、網膜色素変性症(RP)、円錐杆体ジストロフィー(CRD)
CRB1遺伝子は、網膜の光受容体細胞とミュラー細胞の間に存在する細胞間接着タンパク質をコードしています。このタンパク質は、網膜の構造的安定性と、細胞間のシグナル伝達に重要な役割を果たします。CRB1の変異は、網膜の層構造を不安定にし、進行性の視力障害を引き起こすレーバー先天性黒内障(LCA)や網膜色素変性症(RP)、円錐杆体ジストロフィー(CRD)の原因となります。これらの疾患では、網膜の変性や機能不全が進行し、視力が徐々に失われます。
CRX 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)、錐体杆体ジストロフィー(CRD)、網膜色素変性症(RP)
CRX遺伝子は、網膜の光受容体細胞(杆体細胞と錐体細胞)の分化と成熟に不可欠な転写因子をコードしています。このタンパク質は、光伝達カスケードに関わる多くの遺伝子の発現を制御しています。CRXの変異は、光受容体細胞の正常な発達を妨げ、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)の原因となります。また、より軽度な変異は、進行性の視力低下を伴う錐体杆体ジストロフィー(CRD)や網膜色素変性症(RP)の原因となることもあります。
CYP4V2 関連疾患:ビティリフォーム黄斑ジストロフィー、シュターガルト病様黄斑ジストロフィー
CYP4V2遺伝子は、ミトコンドリアに存在するチトクロームP450酵素をコードしており、長鎖脂肪酸の代謝に関与していると考えられています。この遺伝子の変異は、網膜色素上皮細胞に脂質代謝物の蓄積を引き起こし、進行性の黄斑ジストロフィーを発症させます。特に、黄斑部に黄白色の沈着物(ビテリフォーム)が形成されるビティリフォーム黄斑ジストロフィーや、スタルガルト病に似た症状を示すシュターガルト病様黄斑ジストロフィーの原因となります。
DHDDS 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、錐体ジストロフィー
DHDDS遺伝子は、ドルコール(dolichol)合成経路に関わるデヒドロドルコールリン酸合成酵素をコードしています。ドルコールは、N-グリコシル化という重要なタンパク質修飾に不可欠な脂質です。DHDDSの変異は、ドルコール合成を阻害し、細胞内のタンパク質修飾に異常を引き起こします。これにより、網膜の光受容体細胞の機能が損なわれ、進行性の網膜色素変性症や錐体ジストロフィーの原因となります。
DHX38 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
DHX38遺伝子は、RNAヘリカーゼをコードしており、mRNAのスプライシング(遺伝子からタンパク質を作る過程で不要な部分を取り除く作業)に関与しています。この遺伝子の変異は、スプライシング機構の異常を引き起こし、網膜の光受容体細胞の正常な機能に必要なタンパク質の産生を妨げます。これにより、細胞の生存や機能が損なわれ、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
ELOVL4 関連疾患:スタルガルト病(STGD3)、黄斑ジストロフィー
ELOVL4遺伝子は、超長鎖脂肪酸の合成に関わる酵素をコードしています。これらの脂肪酸は、網膜の光受容体細胞の外節(光を感じる部分)の細胞膜を構成する重要な成分です。ELOVL4の変異は、この脂肪酸の合成を阻害し、光受容体細胞の外節の構造と機能を不安定にします。これにより、若年での中心視力低下を特徴とするスタルガルト病3型(STGD3)や、その他の黄斑ジストロフィーの原因となります。
EMC1 関連疾患:錐体杆体ジストロフィー(CRD)
EMC1遺伝子は、ER膜タンパク質複合体(EMC)のメンバーをコードしています。EMCは、小胞体(ER)に存在する膜タンパク質を正しく折りたたみ、膜に組み込む役割を担っています。EMC1の変異は、このプロセスの異常を引き起こし、網膜の光受容体細胞における膜タンパク質の機能不全を招きます。これにより、進行性の視力障害を伴う錐体杆体ジストロフィーの原因となります。
EXOSC2 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
EXOSC2遺伝子は、RNA分解複合体であるエキソソームのサブユニットをコードしています。エキソソームは、細胞内の不要なRNAを分解する役割を担っています。EXOSC2の変異は、この複合体の機能を損ない、網膜の光受容体細胞におけるRNA代謝の異常を引き起こします。これにより、細胞の生存や機能が維持できなくなり、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
EYS 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
EYS遺伝子は、網膜の光受容体細胞の外節と内節の間に存在するタンパク質をコードしています。このタンパク質は、光受容体細胞の構造的な安定性や、外節の正常な形成に不可欠な役割を担っていると考えられています。EYSの変異は、光受容体細胞の構造的な問題を引き起こし、進行性の視力障害を伴う網膜色素変性症の一般的な原因の一つです。
FAM161A 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
FAM161A遺伝子は、網膜の光受容体細胞の根元にある「移行帯」と呼ばれる構造に存在するタンパク質をコードしています。この移行帯は、細胞内の物質輸送を制御する重要な役割を果たしており、FAM161Aの変異は、この物質輸送を妨げ、光受容体細胞の変性や死滅を引き起こします。これにより、進行性の視力障害を伴う網膜色素変性症が発症します。
FLVCR1 関連疾患:後部網膜動脈瘤、網膜血管症
FLVCR1遺伝子は、フラビン輸送体ファミリーに属するタンパク質をコードしており、ヘム(赤血球の成分)の輸送に関与しています。この遺伝子の変異は、ヘムの代謝異常を引き起こし、網膜の血管に異常をきたします。これにより、網膜の動脈にこぶ(動脈瘤)や出血が生じる後部網膜動脈瘤、および網膜血管症の原因となります。これらの疾患は、網膜の血管が脆弱になり、視力低下や失明につながる可能性があります。
FSCN2 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
FSCN2遺伝子は、網膜の光受容体細胞に存在するアクチン結合タンパク質であるファスシン2をコードしています。このタンパク質は、細胞骨格を構成し、光受容体細胞の形態や構造を維持する上で重要な役割を担っています。FSCN2の変異は、細胞骨格の不安定化を引き起こし、光受容体細胞の変性や死滅をもたらします。これにより、進行性の視力障害を伴う網膜色素変性症が発症します。
GNPTG 関連疾患:ムコ脂質症II型、ムコ脂質症III型ガンマ
GNPTG遺伝子は、リソソーム酵素のリン酸化に関わるN-アセチルグルコサミン-1-リン酸転移酵素のガンマサブユニットをコードしています。このリン酸化は、リソソーム酵素がリソソームへ正しく輸送されるために不可欠です。GNPTGの変異は、この輸送を阻害し、リソソームに不要な物質が蓄積するムコ脂質症II型(I細胞病)やムコ脂質症III型ガンマを引き起こします。これらの疾患は、骨格異常、知的障害、そして網膜変性を含む多様な症状を呈します。
GUCA1B 関連疾患:錐体杆体ジストロフィー(CRD)、網膜色素変性症(RP)
GUCA1B遺伝子は、網膜の光受容体細胞に発現するグアニル酸シクラーゼ活性化タンパク質1Bをコードしています。このタンパク質は、光伝達カスケードにおいて重要な役割を担っており、光信号を伝達するグアニル酸シクラーゼの活性を調節します。GUCA1Bの変異は、この調節機能に異常をきたし、光受容体細胞の機能不全や変性をもたらします。これにより、進行性の視力障害を伴う錐体杆体ジストロフィーや網膜色素変性症が発症します。
GUCY2D 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)、錐体杆体ジストロフィー(CRD)
GUCY2D遺伝子は、網膜の光受容体細胞に存在するグアニル酸シクラーゼをコードしています。この酵素は、光伝達カスケードにおいて、光信号を伝える重要な分子であるcGMPを合成する役割を担っています。GUCY2Dの変異は、この酵素の活性を著しく低下させ、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)の主要な原因となります。また、比較的軽度な変異は、進行性の錐体杆体ジストロフィー(CRD)の原因となることもあります。
HGSNAT 関連疾患:ムコ多糖症IIIC型(サンフィリッポ症候群C型)
HGSNAT遺伝子は、リソソームに存在するヘパラン硫酸-N-アセチルグルコサミニダーゼをコードしています。この酵素は、ヘパラン硫酸というムコ多糖を分解するために不可欠です。HGSNATの変異は、この分解機能を損ない、リソソームにヘパラン硫酸が蓄積するムコ多糖症IIIC型(サンフィリッポ症候群C型)を引き起こします。この疾患は、進行性の知的障害、行動異常、視力低下(網膜変性)などを特徴とします。
HK1 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
HK1遺伝子は、ヘキソキナーゼ1をコードしており、グルコースの代謝を触媒する重要な酵素です。網膜はエネルギー消費量が非常に高い組織であり、特に光受容体細胞は大量のグルコースを必要とします。HK1の変異は、このエネルギー代謝を妨げ、光受容体細胞の機能不全や死滅を引き起こします。これにより、進行性の視力障害を伴う網膜色素変性症が発症します。
IDH3B 関連疾患:錐体杆体ジストロフィー(CRD)、網膜色素変性症(RP)
IDH3B遺伝子は、ミトコンドリアに存在するイソクエン酸デヒドロゲナーゼ3型ベータサブユニットをコードしています。この酵素は、細胞のエネルギー産生経路であるクエン酸回路の重要な構成要素です。IDH3Bの変異は、このエネルギー産生を阻害し、エネルギー消費が非常に高い網膜の光受容体細胞の機能不全や変性を引き起こします。これにより、進行性の視力障害を伴う錐体杆体ジストロフィーや網膜色素変性症が発症します。
IFT172 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、バルデー・ビードル症候群(BBS)、ジョウベルト症候群(JBTS)、短肋骨多指症候群
IFT172遺伝子は、一次繊毛内のタンパク質輸送を担う細胞内繊毛輸送(IFT)複合体の構成要素をコードしています。この複合体は、繊毛の構造と機能を維持するために不可欠です。IFT172の変異は、繊毛の機能不全を引き起こし、多岐にわたる繊毛病の原因となります。これには、網膜色素変性症、肥満や多指症などを伴うバルデー・ビードル症候群、協調運動障害を伴うジョウベルト症候群、重篤な骨格異常を伴う短肋骨多指症候群が含まれます。
IFT43 関連疾患:短肋骨多指症候群
IFT43遺伝子は、細胞の一次繊毛におけるタンパク質輸送に関わる細胞内繊毛輸送(IFT)複合体の構成要素をコードしています。繊毛は、細胞の感覚機能やシグナル伝達に重要な役割を果たしており、IFT43の変異は繊毛の正常な形成と機能を妨げます。これにより、重篤な骨格異常、多指症、腎臓や肝臓の奇形、そして網膜変性を伴う短肋骨多指症候群の原因となります。
IMPDH1 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、レーバー先天性黒内障(LCA)
IMPDH1遺伝子は、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ1をコードしており、グアニンヌクレオチド(DNAやRNAの構成要素)の合成に関与する重要な酵素です。網膜の光受容体細胞は、正常な機能と生存のために、高レベルのグアニンヌクレオチドを必要とします。IMPDH1の変異は、この合成を阻害し、光受容体細胞の機能不全や死滅を引き起こし、進行性の網膜色素変性症や、より重度のレーバー先天性黒内障の原因となります。
IMPG2 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
IMPG2遺伝子は、網膜の外節と内節の間にある細胞外マトリックスを構成するインパジン2をコードしています。このタンパク質は、網膜の構造的な安定性や、光受容体細胞の機能維持に重要な役割を担っていると考えられています。IMPG2の変異は、この構造を不安定にし、進行性の視力障害を伴う網膜色素変性症の原因となります。
INPP5E 関連疾患:ジョウベルト症候群(JBTS)
INPP5E遺伝子は、細胞の一次繊毛に存在する脂質ホスファターゼをコードしており、繊毛内のシグナル伝達を調節する役割を担っています。この遺伝子の変異は、繊毛の機能不全を引き起こし、協調運動障害(歩行や平衡感覚の障害)、特徴的な脳の奇形、および網膜変性を伴うジョウベルト症候群の原因となります。また、腎臓の奇形や多指症を合併することもあります。
INVS 関連疾患:ネフロン癆、ジョウベルト症候群(JBTS)
INVS遺伝子は、一次繊毛に存在するインベルシンタンパク質をコードしています。このタンパク質は、繊毛内のシグナル伝達、特にWntシグナル経路に関与しており、細胞の分化や器官形成に重要な役割を果たします。INVSの変異は、繊毛の機能不全を引き起こし、腎臓の嚢胞性疾患であるネフロン癆や、脳の奇形や運動失調を伴うジョウベルト症候群の原因となります。これらの疾患では、網膜変性が合併することもあります。
IQCB1 関連疾患:ネフロン癆、アッシャー症候群(USH3B)
IQCB1遺伝子は、一次繊毛と内耳の有毛細胞に存在するタンパク質をコードしており、繊毛の構造と機能、および細胞内のカルシウムシグナル伝達に関与しています。IQCB1の変異は、腎臓の進行性疾患であるネフロン癆、および難聴と網膜色素変性症を合併するアッシャー症候群3型B(USH3B)の原因となります。これらの疾患は、繊毛の機能不全が原因で発症する「繊毛病」に分類されます。
KIAA1549 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
KIAA1549遺伝子は、網膜の光受容体細胞に発現するタンパク質をコードしていますが、その機能はまだ完全に解明されていません。しかし、この遺伝子の変異が進行性の網膜変性疾患である網膜色素変性症の原因となることが報告されています。この疾患では、光受容体細胞が徐々に死滅し、夜盲症や視野狭窄といった症状が進行します。
KIZ 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
KIZ遺伝子は、中心体(細胞分裂に関わる器官)に存在するキジニンをコードしています。このタンパク質は、中心体と繊毛の機能に関与していると考えられています。KIZの変異は、繊毛の機能不全を引き起こし、網膜の光受容体細胞の変性や死滅を招くことで、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
KLHL7 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
KLHL7遺伝子は、ユビキチン化に関わるケッチェル様タンパク質をコードしています。ユビキチン化は、細胞内の不要なタンパク質を分解するための重要なプロセスです。KLHL7の変異は、この分解システムの異常を引き起こし、網膜の光受容体細胞に有害なタンパク質が蓄積する可能性があります。これにより、光受容体細胞の機能が損なわれ、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
LCA5 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)
LCA5遺伝子は、一次繊毛に存在するタンパク質をコードしており、繊毛内のタンパク質輸送に関与していると考えられています。この遺伝子の変異は、繊毛の機能不全を引き起こし、網膜の光受容体細胞の正常な発達と機能を妨げます。これにより、出生後間もなく重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)が発症します。
LRAT 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)、網膜色素変性症(RP)
LRAT遺伝子は、網膜色素上皮細胞に存在するレチノールアシル転移酵素をコードしています。この酵素は、ビタミンAサイクルにおいて、視覚色素の再生に不可欠な役割を担っています。LRATの変異は、このサイクルを阻害し、光受容体細胞の機能不全や変性を引き起こします。これにより、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)や、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
LRP5 関連疾患:家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)、常染色体劣性網膜色素変性症
LRP5遺伝子は、Wntシグナル伝達経路の受容体である低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質5をコードしています。このシグナル経路は、網膜の血管形成に重要な役割を担っています。LRP5の変異は、網膜の血管が正常に発達しない家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)の原因となります。また、網膜色素変性症の一部の症例も引き起こすことがあります。
MAK 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、錐体杆体ジストロフィー(CRD)
MAK遺伝子は、MAPキナーゼ様キナーゼをコードしており、細胞周期の制御や繊毛の形成に関与しています。この遺伝子の変異は、一次繊毛の機能不全を引き起こし、網膜の光受容体細胞の機能障害や変性を招きます。これにより、進行性の視力障害を伴う網膜色素変性症や、錐体杆体ジストロフィーが発症します。
MERTK 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、レーバー先天性黒内障(LCA)
MERTK遺伝子は、網膜色素上皮細胞に存在する受容体型チロシンキナーゼをコードしています。このタンパク質は、光受容体細胞の外節の断片を貪食(不要な細胞成分を取り込んで分解すること)する役割を担っています。MERTKの変異は、この貪食機能を損ない、網膜に老廃物が蓄積し、光受容体細胞の変性を引き起こします。これにより、進行性の網膜色素変性症や、重度のレーバー先天性黒内障の原因となります。
MFRP 関連疾患:眼球萎縮、小眼球症、網膜色素変性症(RP)、眼軸長短縮
MFRP遺伝子は、網膜色素上皮細胞に存在する膜関連フリズルド関連タンパク質をコードしています。このタンパク質は、眼の成長や網膜の維持に重要な役割を担っていると考えられています。MFRPの変異は、眼球の成長を妨げ、眼球萎縮や小眼球症を引き起こすことがあります。また、網膜の光受容体細胞の変性につながり、網膜色素変性症の原因となることもあります。
MKKS 関連疾患:バルデー・ビードル症候群(BBS)、ミッケル・ゴーレン症候群
MKKS遺伝子は、一次繊毛の形成と機能に不可欠なタンパク質をコードしています。この遺伝子の変異は、繊毛の機能不全を引き起こし、多系統にわたる遺伝性疾患であるバルデー・ビードル症候群(BBS)の原因となります。BBSでは、網膜色素変性症、肥満、多指症、腎機能障害などが合併します。また、より重篤な骨格異常や腎臓の奇形を伴うミッケル・ゴーレン症候群の原因となることもあります。
NEK2 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
NEK2遺伝子は、ニマ様キナーゼ2をコードしており、細胞分裂に関わる中心体の分離に重要な役割を果たしています。この遺伝子の変異は、中心体の機能不全を引き起こし、網膜の光受容体細胞の生存や分裂に影響を与える可能性があります。これにより、光受容体細胞の変性や死滅が進み、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
NEUROD1 関連疾患:視神経萎縮
NEUROD1遺伝子は、神経細胞の分化と生存に重要な役割を果たす転写因子をコードしています。この遺伝子の変異は、神経細胞の正常な発達を妨げ、視神経の変性や機能不全を引き起こします。これにより、視神経が徐々に萎縮し、視力低下や失明に至る視神経萎縮の原因となります。
NMNAT1 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)
NMNAT1遺伝子は、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の合成に関わる酵素をコードしています。NADは、細胞のエネルギー代謝やDNA修復に不可欠な補酵素です。NMNAT1の変異は、NAD合成を阻害し、エネルギー消費量が非常に高い網膜の光受容体細胞の機能不全や死滅を引き起こします。これにより、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)が発症します。
NPHP1 関連疾患:ネフロン癆、ジョウベルト症候群(JBTS)
NPHP1遺伝子は、一次繊毛に存在するネフロシスチン1をコードしており、繊毛の構造と機能の維持に重要な役割を担っています。この遺伝子の変異は、繊毛の機能不全を引き起こし、腎臓の進行性嚢胞性疾患であるネフロン癆の最も一般的な原因です。また、脳の奇形や協調運動障害を伴うジョウベルト症候群の原因ともなります。これらの疾患では、網膜変性が合併することがあります。
NPHP3 関連疾患:ネフロン癆、ジョウベルト症候群(JBTS)
NPHP3遺伝子は、一次繊毛に存在するネフロシスチン3をコードしています。このタンパク質は、繊毛内のシグナル伝達や構造の維持に重要な役割を果たしています。NPHP3の変異は、繊毛の機能不全を引き起こし、腎臓の進行性嚢胞性疾患であるネフロン癆や、脳の奇形を伴うジョウベルト症候群の原因となります。これらの疾患は、腎臓と眼(網膜変性)、そして脳の症状が複合的に現れることが特徴です。
NPHP4 関連疾患:ネフロン癆、レーバー先天性黒内障(LCA)、ジョウベルト症候群(JBTS)、バルデー・ビードル症候群(BBS)
NPHP4遺伝子は、一次繊毛に存在するネフロシスチン4をコードしており、繊毛の構造と機能に重要な役割を果たしています。NPHP4の変異は、繊毛の機能不全を引き起こし、腎臓の疾患であるネフロン癆、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)、協調運動障害を伴うジョウベルト症候群、そして多系統にわたるバルデー・ビードル症候群(BBS)の原因となります。
NR2E3 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)、網膜色素変性症(RP)、先天性静止夜盲症
NR2E3遺伝子は、網膜の光受容体細胞、特に杆体細胞の分化を制御する核内受容体(転写因子)をコードしています。この遺伝子の変異は、杆体細胞の正常な発達を妨げ、錐体細胞の過剰な増殖を引き起こすことがあります。これにより、杆体細胞の機能不全を特徴とする進行性の網膜色素変性症や先天性静止夜盲症、そして重度のレーバー先天性黒内障の原因となります。
NRL 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、錐体杆体ジストロフィー(CRD)
NRL遺伝子は、網膜の光受容体細胞、特に杆体細胞の分化に不可欠な転写因子をコードしています。NRLタンパク質は、杆体細胞の運命を決定し、杆体特異的な遺伝子の発現を制御します。NRLの変異は、この分化プロセスを妨げ、杆体細胞の機能不全や変性をもたらします。これにより、進行性の網膜色素変性症や、錐体細胞も影響を受ける錐体杆体ジストロフィーが発症します。
PCDH15 関連疾患:アッシャー症候群(USH1F)
PCDH15遺伝子は、プロトカドヘリン15をコードしており、内耳の有毛細胞におけるステレオシリア(音を感じる毛)の構造維持と、網膜の光受容体細胞の機能に重要な役割を担っています。PCDH15の変異は、先天性の重度難聴と、それに続く進行性の網膜色素変性症を合併するアッシャー症候群1型F(USH1F)の原因となります。
PDE6A 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、レーバー先天性黒内障(LCA)
PDE6A遺伝子は、網膜の杆体細胞に存在する光受容体ホスホジエステラーゼ6のアルファサブユニットをコードしています。この酵素は、光伝達カスケードにおいて、光信号を伝えるcGMPを分解する重要な役割を担っています。PDE6Aの変異は、この分解機能を損ない、cGMPが異常に蓄積し、光受容体細胞の機能不全や死滅を引き起こします。これにより、進行性の網膜色素変性症や、重度のレーバー先天性黒内障の原因となります。
PDE6B 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、レーバー先天性黒内障(LCA)
PDE6B遺伝子は、網膜の杆体細胞に存在する光受容体ホスホジエステラーゼ6のベータサブユニットをコードしています。この酵素は、光伝達カスケードにおいてcGMPを分解し、光信号の伝達を停止させる役割を担っています。PDE6Bの変異は、この酵素の機能を著しく低下させ、光受容体細胞の変性や死滅を招きます。これにより、進行性の網膜色素変性症や、重度のレーバー先天性黒内障の原因となります。
PDE6G 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
PDE6G遺伝子は、網膜の錐体細胞に存在する光受容体ホスホジエステラーゼ6のガンマサブユニットをコードしています。このサブユニットは、酵素の調節機能を担っています。PDE6Gの変異は、この調節機能に異常をきたし、錐体細胞の機能不全や変性を引き起こします。これにより、進行性の網膜色素変性症が発症します。
PEX1 関連疾患:ペルオキシソーム病、ツェルウィガー症候群
PEX1遺伝子は、ペルオキシソームと呼ばれる細胞小器官の形成に必要なペルオキシソーム形成タンパク質1をコードしています。ペルオキシソームは、脂肪酸の分解や解毒に関与しています。PEX1の変異は、ペルオキシソームの形成不全を引き起こし、重度の脳や腎臓、肝臓の異常を伴うツェルウィガー症候群などのペルオキシソーム病の原因となります。これらの疾患では、網膜変性による視力障害も合併することがあります。
PEX2 関連疾患:ペルオキシソーム病、ツェルウィガー症候群
PEX2遺伝子は、ペルオキシソームの形成に必要なペルオキシソーム形成タンパク質2をコードしています。このタンパク質は、ペルオキシソーム膜のタンパク質輸送に関与しています。PEX2の変異は、ペルオキシソームの機能不全を引き起こし、ツェルウィガー症候群などの重篤なペルオキシソーム病の原因となります。これらの疾患では、網膜変性、肝機能障害、脳の発達障害など、多岐にわたる症状が現れます。
PEX26 関連疾患:ペルオキシソーム病、ツェルウィガー症候群
PEX26遺伝子は、ペルオキシソーム膜のタンパク質をコードしており、ペルオキシソームの形成と機能に重要な役割を果たしています。PEX26の変異は、ペルオキシソームの機能不全を引き起こし、ツェルウィガー症候群などの重篤なペルオキシソーム病の原因となります。これらの疾患では、網膜変性、神経系の異常、骨格の異常など、全身性の症状が現れます。
PEX7 関連疾患:リフサム病
PEX7遺伝子は、ペルオキシソームへのタンパク質輸送に関わるペルオキシソーム形成タンパク質7をコードしています。このタンパク質の変異は、フィタン酸(脂肪酸の一種)の代謝に関わる酵素がペルオキシソームに輸送されないことを引き起こし、フィタン酸が体内に蓄積するリフサム病の原因となります。リフサム病は、進行性の網膜色素変性症、多発神経障害、聴力障害、小脳失調などを特徴とします。
PHYH 関連疾患:リフサム病
PHYH遺伝子は、ペルオキシソームに存在するフィタノイル-CoAヒドロキシラーゼをコードしています。この酵素は、植物由来の脂肪酸であるフィタン酸を分解するために不可欠です。PHYHの変異は、フィタン酸の分解を妨げ、フィタン酸が全身の組織、特に神経系や網膜に蓄積するリフサム病を引き起こします。この疾患は、進行性の網膜色素変性症、聴力障害、多発神経障害、小脳失調を伴います。
PITPNM3 関連疾患:コーンジストロフィー(CD)
PITPNM3遺伝子は、膜タンパク質をコードしており、細胞膜の機能やシグナル伝達に関与していると考えられています。この遺伝子の変異は、網膜の光受容体細胞、特に錐体細胞の機能に影響を与え、進行性の視力低下や色覚異常を特徴とするコーンジストロフィーの原因となります。コーンジストロフィーでは、通常、中心視力が最初に影響を受けます。
PLA2G5 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
PLA2G5遺伝子は、分泌型ホスホリパーゼA2をコードしており、細胞膜のリン脂質を分解する酵素です。この酵素は、網膜色素上皮細胞における細胞膜の代謝や、炎症反応に関与していると考えられています。PLA2G5の変異は、これらのプロセスに異常をきたし、網膜の光受容体細胞の変性や死滅を引き起こし、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
PRCD 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
PRCD遺伝子は、網膜に存在するタンパク質をコードしており、このタンパク質は、光受容体細胞の円盤膜の形成や維持に重要な役割を担っていると考えられています。この遺伝子の変異は、円盤膜の構造を不安定にし、光受容体細胞の変性や死滅を引き起こし、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
PRKCG 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
PRKCG遺伝子は、タンパク質キナーゼCガンマ型をコードしており、細胞のシグナル伝達や細胞死(アポトーシス)の制御に関与しています。この遺伝子の変異は、網膜の光受容体細胞におけるシグナル伝達の異常を引き起こし、細胞の変性やアポトーシスを促進することで、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
PROM1 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、錐体ジストロフィー、シュターガルト病様黄斑ジストロフィー
PROM1遺伝子は、細胞膜タンパク質であるプロミニン1をコードしており、網膜の光受容体細胞の外節の形成と維持に重要な役割を担っています。PROM1の変異は、この外節の構造を不安定にし、進行性の視力障害を伴う網膜色素変性症、錐体ジストロフィー、および黄斑部の変性を特徴とするシュターガルト病様黄斑ジストロフィーの原因となります。
PRPF3 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
PRPF3遺伝子は、mRNAのスプライシング(遺伝子からタンパク質を作る過程で不要な部分を取り除く作業)に関わるスプライセオソームの構成要素をコードしています。この遺伝子の変異は、スプライシング機構の異常を引き起こし、網膜の光受容体細胞の正常な機能に必要なタンパク質の産生を妨げます。これにより、細胞の生存や機能が損なわれ、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
PRPF31 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
PRPF31遺伝子は、mRNAのスプライシング(遺伝子からタンパク質を作る過程で不要な部分を取り除く作業)に関わるスプライセオソームの構成要素をコードしています。この遺伝子の変異は、スプライシング機構の異常を引き起こし、網膜の光受容体細胞の正常な機能に必要なタンパク質の産生を妨げます。これにより、細胞の機能が損なわれ、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
PRPF4 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
PRPF4遺伝子は、mRNAのスプライシング(遺伝子からタンパク質を作る過程で不要な部分を取り除く作業)に関わるスプライセオソームの構成要素をコードしています。この遺伝子の変異は、スプライシング機構の異常を引き起こし、網膜の光受容体細胞の正常な機能に必要なタンパク質の産生を妨げます。これにより、光受容体細胞の機能が損なわれ、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
PRPF6 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
PRPF6遺伝子は、mRNAのスプライシング(遺伝子からタンパク質を作る過程で不要な部分を取り除く作業)に関わるスプライセオソームの構成要素をコードしています。この遺伝子の変異は、スプライシング機構の異常を引き起こし、網膜の光受容体細胞の正常な機能に必要なタンパク質の産生を妨げます。これにより、細胞の機能が損なわれ、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
PRPF8 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、円錐杆体ジストロフィー(CRD)
PRPF8遺伝子は、mRNAのスプライシング(遺伝子からタンパク質を作る過程で不要な部分を取り除く作業)に関わるスプライセオソームの中心的役割を担うタンパク質をコードしています。この遺伝子の変異は、スプライシング機構の異常を引き起こし、網膜の光受容体細胞の正常な機能に必要なタンパク質の産生を妨げます。これにより、細胞の機能が損なわれ、進行性の網膜色素変性症や円錐杆体ジストロフィーの原因となります。
PRPH2 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、円錐杆体ジストロフィー(CRD)、黄斑ジストロフィー
PRPH2遺伝子は、網膜の光受容体細胞の外節の円盤膜の辺縁部を形成するタンパク質であるペリフェリンをコードしています。このタンパク質は、外節の構造的な安定性を保つ上で不可欠です。PRPH2の変異は、外節の構造を不安定にし、光受容体細胞の変性や死滅を引き起こし、進行性の網膜色素変性症、円錐杆体ジストロフィー、黄斑ジストロフィーの原因となります。
RBP3 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、レーバー先天性黒内障(LCA)
RBP3遺伝子は、細胞間レチノール結合タンパク質(IRBP)をコードしており、網膜の光受容体細胞と網膜色素上皮細胞の間でビタミンA(レチノイド)を輸送する役割を担っています。RBP3の変異は、このビタミンAサイクルを妨げ、光受容体細胞の機能不全や変性を引き起こします。これにより、進行性の網膜色素変性症や、重度のレーバー先天性黒内障の原因となります。
RBP4 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)
RBP4遺伝子は、血清レチノール結合タンパク質4をコードしており、ビタミンA(レチノール)を肝臓から全身に輸送する役割を担っています。この遺伝子の変異は、ビタミンAの全身的な不足を引き起こし、網膜の機能に影響を与えます。これにより、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)の原因となります。
RD3 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)、錐体ジストロフィー
RD3遺伝子は、光受容体細胞の光伝達カスケードにおいて、ホスホジエステラーゼ6(PDE6)の輸送を制御する役割を担っています。RD3の変異は、PDE6が正しく配置されず、光信号の伝達に異常をきたし、光受容体細胞の機能不全や死滅を引き起こします。これにより、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)や、進行性の錐体ジストロフィーの原因となります。
RDH11 関連疾患:スタルガルト病(STGD)、網膜色素変性症(RP)
RDH11遺伝子は、網膜色素上皮細胞に存在するレチノールデヒドロゲナーゼ11をコードしています。この酵素は、ビタミンAサイクルにおいて重要な役割を担っています。RDH11の変異は、ビタミンAの正常な代謝を妨げ、網膜に有害な物質が蓄積し、光受容体細胞の機能不全や変性を引き起こします。これにより、スタルガルト病や網膜色素変性症の原因となります。
RDH12 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)、網膜色素変性症(RP)
RDH12遺伝子は、網膜の光受容体細胞に存在するレチノールデヒドロゲナーゼ12をコードしています。この酵素は、光伝達カスケードにおいて、ビタミンAの代謝に不可欠な役割を担っています。RDH12の変異は、この代謝を阻害し、光受容体細胞の機能不全や死滅を引き起こします。これにより、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)や、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
RGR 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
RGR遺伝子は、網膜色素上皮細胞に存在するグアニンヌクレオチド結合タンパク質関連受容体(RGR)をコードしています。このタンパク質は、ビタミンAサイクルにおいて、視覚色素の再生を助ける役割を担っていると考えられています。RGRの変異は、このサイクルに異常をきたし、光受容体細胞の機能不全や変性を引き起こし、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
RHO 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、先天性静止夜盲症
RHO遺伝子は、網膜の杆体細胞に存在する光受容体タンパク質であるロドプシンをコードしています。ロドプシンは、光を感知し、その信号を電気信号に変換する光伝達カスケードの最初のステップを担う重要な分子です。RHOの変異は、ロドプシンの構造や機能を変化させ、光受容体細胞の機能不全や死滅を招きます。これにより、進行性の網膜色素変性症の最も一般的な原因の一つとなります。また、一部の変異は先天性静止夜盲症を引き起こすこともあります。
RLBP1 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)、ボトム・オブ・アイ病(BOD)
RLBP1遺伝子は、網膜色素上皮細胞に存在するレチノール結合タンパク質1をコードしており、ビタミンAサイクルにおいて重要な役割を担っています。RLBP1の変異は、このサイクルを阻害し、網膜の機能不全や変性を引き起こします。これにより、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)や、黄斑部に特徴的な白点や沈着物が見られるボトム・オブ・アイ病(BOD)の原因となります。
ROM1 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
ROM1遺伝子は、網膜の光受容体細胞の外節の円盤膜に存在するタンパク質をコードしています。このタンパク質は、PRPH2と複合体を形成し、外節の構造的な安定性を保つ上で不可欠です。ROM1の単独の変異は、通常疾患を引き起こしませんが、PRPH2の変異と組み合わさることで、進行性の網膜色素変性症の原因となることが知られています。
RP1 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
RP1遺伝子は、網膜の光受容体細胞に存在するタンパク質をコードしており、光受容体細胞の外節と内節の間の構造的な安定性を保つ上で重要な役割を担っています。RP1の変異は、この構造を不安定にし、光受容体細胞の機能不全や変性を引き起こし、進行性の網膜色素変性症の一般的な原因の一つとなります。
RP1L1 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、錐体ジストロフィー
RP1L1遺伝子は、RP1遺伝子と相同性を持つタンパク質をコードしており、網膜の光受容体細胞の構造と機能に重要な役割を担っています。RP1L1の変異は、光受容体細胞の構造的な問題を招き、進行性の網膜色素変性症や錐体ジストロフィーの原因となります。
RP2 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
RP2遺伝子は、GTPase活性化タンパク質をコードしており、細胞膜の輸送や細胞骨格の形成に関与しています。この遺伝子は、網膜の光受容体細胞の機能に重要な役割を果たしていると考えられています。RP2の変異は、これらの細胞の機能不全や変性を引き起こし、X連鎖性の進行性網膜色素変性症の原因となります。
RP9 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
RP9遺伝子は、網膜に存在するタンパク質をコードしており、その機能はまだ十分に解明されていません。しかし、この遺伝子の変異が進行性の網膜変性疾患である網膜色素変性症の原因となることが報告されています。この疾患では、光受容体細胞が徐々に死滅し、夜盲症や視野狭窄といった症状が進行します。
RPE65 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)、網膜色素変性症(RP)
RPE65遺伝子は、網膜色素上皮細胞に存在するレチノイド異性化酵素をコードしています。この酵素は、ビタミンAサイクルにおいて、視覚色素の再生に不可欠な役割を担っています。RPE65の変異は、このサイクルの鍵となるステップを阻害し、光受容体細胞の機能不全や変性を引き起こします。これにより、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)や、進行性の網膜色素変性症の原因となります。この遺伝子変異に対する遺伝子治療薬は、すでに実用化されています。
RPGR 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
RPGR遺伝子は、網膜の光受容体細胞の根元にある移行帯に存在するグアニンヌクレオチド交換因子をコードしています。このタンパク質は、一次繊毛内のタンパク質輸送を制御する重要な役割を担っています。RPGRの変異は、この輸送を妨げ、光受容体細胞の機能不全や変性を引き起こし、X連鎖性の進行性網膜色素変性症の最も一般的な原因となります。
RPGRIP1 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)、円錐杆体ジストロフィー(CRD)
RPGRIP1遺伝子は、網膜の光受容体細胞の根元にある移行帯に存在するRPGRIP1タンパク質をコードしています。このタンパク質は、RPGRと相互作用し、一次繊毛内のタンパク質輸送を調節する役割を担っています。RPGRIP1の変異は、この輸送を妨げ、光受容体細胞の機能不全や変性を引き起こし、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)や、進行性の円錐杆体ジストロフィーの原因となります。
RPGRIP1L 関連疾患:ジョウベルト症候群(JBTS)、レーバー先天性黒内障(LCA)
RPGRIP1L遺伝子は、一次繊毛に存在するタンパク質をコードしており、繊毛の構造と機能の維持に重要な役割を担っています。この遺伝子の変異は、繊毛の機能不全を引き起こし、脳の奇形や協調運動障害を伴うジョウベルト症候群(JBTS)の原因となります。また、一部の変異は、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)の原因となることもあります。
SAG 関連疾患:小児黄斑ジストロフィー、網膜色素変性症(RP)
SAG遺伝子は、網膜の光受容体細胞に存在するアレスチンをコードしています。アレスチンは、光伝達カスケードにおいて、光刺激後のシグナル伝達を停止させる重要な役割を担っています。SAGの変異は、このシグナル停止機能を妨げ、光受容体細胞の過剰な興奮や変性を引き起こし、進行性の小児黄斑ジストロフィーや網膜色素変性症の原因となります。
SEMA4A 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、錐体杆体ジストロフィー(CRD)
SEMA4A遺伝子は、細胞間のシグナル伝達に関わるセマフォリン4Aをコードしています。このタンパク質は、網膜の神経回路の形成や維持に重要な役割を担っていると考えられています。SEMA4Aの変異は、これらのプロセスに異常をきたし、光受容体細胞の変性や死滅を引き起こし、進行性の網膜色素変性症や錐体杆体ジストロフィーの原因となります。
SLC7A14 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
SLC7A14遺伝子は、細胞膜を横断するアミノ酸輸送体ファミリーのメンバーをコードしています。この輸送体は、網膜の光受容体細胞の機能に必要なアミノ酸の細胞内への取り込みに関与していると考えられています。SLC7A14の変異は、この輸送機能を損ない、光受容体細胞の機能不全や変性を引き起こし、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
SNRNP200 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
SNRNP200遺伝子は、mRNAのスプライシング(遺伝子からタンパク質を作る過程で不要な部分を取り除く作業)に関わるスプライセオソームの構成要素をコードしています。この遺伝子の変異は、スプライシング機構の異常を引き起こし、網膜の光受容体細胞の正常な機能に必要なタンパク質の産生を妨げます。これにより、細胞の機能が損なわれ、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
SPATA7 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)、網膜色素変性症(RP)
SPATA7遺伝子は、網膜の光受容体細胞の外節の形成と維持に重要な役割を担うタンパク質をコードしています。SPATA7の変異は、外節の構造を不安定にし、光受容体細胞の機能不全や変性を引き起こします。これにより、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)や、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
SPP2 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
SPP2遺伝子は、網膜の光受容体細胞に存在する分泌型ホスホプロテインをコードしています。このタンパク質の機能はまだ十分に解明されていませんが、この遺伝子の変異が進行性の網膜変性疾患である網膜色素変性症の原因となることが報告されています。この疾患では、光受容体細胞が徐々に死滅し、夜盲症や視野狭窄といった症状が進行します。
TMEM216 関連疾患:ジョウベルト症候群(JBTS)、メッケル症候群(MKS)、バルデー・ビードル症候群(BBS)
TMEM216遺伝子は、一次繊毛移行帯に存在する膜タンパク質をコードしています。この移行帯は、繊毛へのタンパク質輸送を制御する「門」のような役割を果たしており、TMEM216の変異は繊毛機能不全を引き起こします。これにより、協調運動障害を伴うジョウベルト症候群(JBTS)、脳や腎臓の奇形を伴うメッケル症候群(MKS)、多系統にわたるバルデー・ビードル症候群(BBS)の原因となります。
TOPORS 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
TOPORS遺伝子は、ユビキチン化に関わるタンパク質をコードしており、細胞内の不要なタンパク質を分解する役割を担っています。この遺伝子の変異は、この分解システムの異常を引き起こし、網膜の光受容体細胞に有害なタンパク質が蓄積する可能性があります。これにより、光受容体細胞の機能が損なわれ、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
TRIM32 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、肢帯型筋ジストロフィー2H型
TRIM32遺伝子は、ユビキチン化に関わるタンパク質をコードしており、細胞内のタンパク質代謝や細胞骨格の機能に関与しています。この遺伝子の変異は、網膜の光受容体細胞や筋肉細胞の機能に影響を与え、進行性の網膜色素変性症や、筋力低下を特徴とする肢帯型筋ジストロフィー2H型の原因となります。
TRNT1 関連疾患:網膜色素変性症(RP)、ミトコンドリア病
TRNT1遺伝子は、ミトコンドリアのtRNAをアミノアシル化する酵素をコードしています。この酵素は、ミトコンドリア内でのタンパク質合成に不可欠です。TRNT1の変異は、この合成を妨げ、ミトコンドリアの機能不全を引き起こし、網膜色素変性症を含むミトコンドリア病の原因となります。これらの疾患では、エネルギー産生が低下し、網膜の光受容体細胞などのエネルギー消費が高い細胞が影響を受けます。
TTC8 関連疾患:バルデー・ビードル症候群(BBS)
TTC8遺伝子は、一次繊毛の形成と機能に重要なTTC8タンパク質をコードしており、「BBSome」と呼ばれる複合体の一部です。この複合体は、繊毛内のタンパク質輸送を制御する役割を担っています。TTC8の変異は、繊毛の機能不全を引き起こし、網膜色素変性症による視力低下、多指症、肥満、腎臓の異常など、バルデー・ビードル症候群(BBS)の多岐にわたる症状をもたらします。
TTPA 関連疾患:ビタミンE欠乏性失調症(アベット・リポタンパク質血症)
TTPA遺伝子は、肝臓に存在するアルファトコフェロール輸送タンパク質をコードしています。このタンパク質は、食事から摂取したビタミンEを全身の組織に輸送する役割を担っています。TTPAの変異は、ビタミンEの輸送を妨げ、深刻なビタミンE欠乏症を引き起こします。これにより、神経系や網膜が影響を受け、小脳失調症(運動失調)や、網膜色素変性症を伴うビタミンE欠乏性失調症の原因となります。
TUB 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
TUB遺伝子は、脳と網膜に存在するタンパク質をコードしており、その機能はまだ十分に解明されていません。しかし、この遺伝子の変異が進行性の網膜変性疾患である網膜色素変性症の原因となることが報告されています。この疾患では、光受容体細胞が徐々に死滅し、夜盲症や視野狭窄といった症状が進行します。
TULP1 関連疾患:レーバー先天性黒内障(LCA)、網膜色素変性症(RP)
TULP1遺伝子は、網膜の光受容体細胞に存在するタンパク質をコードしており、光受容体細胞の外節の形成と維持に重要な役割を担っています。TULP1の変異は、外節の構造を不安定にし、光受容体細胞の機能不全や変性を引き起こします。これにより、出生直後から重度の視力障害を伴うレーバー先天性黒内障(LCA)や、進行性の網膜色素変性症の原因となります。
USH1C 関連疾患:アッシャー症候群(USH1C)
USH1C遺伝子は、聴覚と視覚に関わるハモニンというタンパク質をコードしています。このタンパク質は、内耳の有毛細胞におけるステレオシリア(音を感じる毛)と、網膜の光受容体細胞の機能に重要な役割を担っています。USH1Cの変異は、先天性の重度難聴と、それに続く進行性の網膜色素変性症を合併するアッシャー症候群1型C(USH1C)の原因となります。
USH2A 関連疾患:アッシャー症候群(USH2A)、網膜色素変性症(RP)
USH2A遺伝子は、内耳と網膜に存在するウスヘリンというタンパク質をコードしています。このタンパク質は、細胞の構造的な安定性や、細胞間の相互作用に重要な役割を担っています。USH2Aの変異は、進行性の難聴と、それに続く進行性の網膜色素変性症を合併するアッシャー症候群2型A(USH2A)の最も一般的な原因です。また、この遺伝子の単独変異で網膜色素変性症のみを引き起こすこともあります。
WFS1 関連疾患:ウォルフラム症候群、ウォルフラム症候群様疾患
WFS1遺伝子は、小胞体(ER)に存在する膜タンパク質であるウォルフラミンをコードしており、細胞のストレス応答やアポトーシス(細胞死)の制御に関与しています。WFS1の変異は、インスリン依存性糖尿病、進行性の視神経萎縮(視力低下)、難聴、尿崩症を特徴とするウォルフラム症候群の原因となります。また、比較的軽度なウォルフラム症候群様疾患の原因となることもあります。
WHRN 関連疾患:アッシャー症候群(USH2D)
WHRN遺伝子は、聴覚と視覚に関わるタンパク質であるワーリンをコードしています。このタンパク質は、内耳の有毛細胞におけるタンパク質輸送と、網膜の光受容体細胞の機能に重要な役割を担っています。WHRNの変異は、進行性の難聴と、それに続く進行性の網膜色素変性症を合併するアッシャー症候群2型D(USH2D)の原因となります。
ZNF408 関連疾患:網膜血管症、家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)
ZNF408遺伝子は、細胞の増殖や分化に関わる亜鉛フィンガータンパク質408をコードしています。この遺伝子の変異は、網膜の血管が正常に発達しない網膜血管症や、網膜の血管に異常な増殖や滲出を伴う家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)の原因となります。これらの疾患は、網膜の血管が脆弱になり、視力低下や失明につながる可能性があります。
ZNF513 関連疾患:網膜色素変性症(RP)
ZNF513遺伝子は、亜鉛フィンガータンパク質513をコードしており、遺伝子発現の制御に関わる転写因子として機能していると考えられています。この遺伝子の変異は、網膜の光受容体細胞の正常な機能に必要な遺伝子の発現を妨げ、細胞の機能不全や変性を引き起こし、進行性の網膜色素変性症の原因となります。

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検体

血液、唾液、口腔粘膜ぬぐい液

※唾液・口腔粘膜ぬぐい液の場合は、遠方の方でもクリニックへお越しにならずに検査が可能です。(オンライン診療)
その場合は、遠隔診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングをしたのち、検体を当院にお送りいただく流れとなります。

検査の限界

詳しくはこちら
全ての配列決定技術には限界があります。この検査は次世代シーケンサー(NGS)によって行われ、コード領域とスプライシングジャンクションを調べるためにデザインされています。次世代配列決定技術および我々のバイオインフォマティクス分析は、偽遺伝子配列または他の高度に相同な配列の寄与を優位に減少させますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において、病原性の対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を妨害する場合があります。

サンガー法は、低品質スコアのバリアントを確認し適用範囲の基準を満たすために用いられます。欠失/重複分析により、1つの全遺伝子(口腔ぬぐい液検体及び全血検体)を含み大きさが2つ以上の連続したエクソン(全血検体のみ)であるゲノム領域の変化を同定できます。この検査で単一エクソンの欠失または重複が時々同定されることがありますが、日常的に検出されるものではありません。

同定された推定上の欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)によって確認されます。このアッセイは、限定されるものではありませんが、転座または逆位・反復拡張(例:トリヌクレオチドまたはヘキサヌクレオチド)・大部分の調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エクソンから20bpを超える)における変化のような疾患を引き起こし得る特定のタイプのゲノム変化を検出しません。

このアッセイは、体細胞モザイク現象または体細胞突然変異の検出のためにデザインまたは妥当性が確認されていません。

特記事項

遺伝子 特記事項
RPGR この検査は、RPGR遺伝子(NM_001034853.1)の重要な「ORF15」領域におけるほとんどの病原性変異を検出することができます。しかし、この遺伝子座の複雑さのため、現在利用可能な検査では、この領域の一部における変異の存在を完全に除外することはできません:chrX(GRCh37):38144792-38146498。

カバレッジ

≥99% at 20x(リード回数20回で99%以上)

検査が出るまでの期間

2~3週間

検査費用

網膜色素変性症遺伝子検査:275,000円(税込)

遺伝カウンセリング料金:おひとり様別途16,500円(税込)(1~30分)

  • 検査を受けなくても遺伝カウンセリング料金は診察料ですのでお支払いください
  • お二人同時の場合は242,000円(税込)で追加させていただきます
  • お二人同時に同一検査を受けられる場合は、遺伝カウンセリング料金はおひとり分サービスさせていただきます

その他の料金

  • マイページ使用料:550円
  • 検査結果作成手数料:3,300円
  • 翻訳手数料:5,500円(ご希望の場合)

よくあるご質問

網膜色素変性症は遺伝しますか?
はい、網膜色素変性症は遺伝性疾患です。常染色体優性遺伝(20-25%)、常染色体劣性遺伝(15-20%)、X連鎖遺伝(10-15%)など様々な遺伝形式を示します。また、家族歴がない孤発例(40-50%)もあり、これは新生突然変異や診断されていない家族歴が原因となることがあります。
家族に網膜色素変性症の人がいます。私のリスクはどれくらいですか?
リスクは遺伝形式と血縁関係により大きく異なります。常染色体優性遺伝の場合、親が罹患していれば50%のリスクがあります。常染色体劣性遺伝の場合、両親が保因者なら25%のリスクです。X連鎖遺伝では、保因者の母親から生まれた男児の50%が発症します。正確なリスク評価には遺伝カウンセリングと遺伝子検査が必要です。
検査ではどのような遺伝子を調べますか?
当院の網膜色素変性症遺伝子パネル検査では、RHO、RPGR、USH2A、EYS、PDE6Aなど、網膜色素変性症に関連する129の遺伝子を包括的に分析します。非症候群性および症候群性(バルデー・ビードル症候群、アッシャー症候群など)の疾患に加え、レーベル先天性黒内障などの鑑別診断に関連する遺伝子も含まれています。
夜盲症がありますが、検査を受けるべきですか?
夜盲症は網膜色素変性症の最も早期の症状の一つです。家族歴がある場合や、夜盲症に加えて視野狭窄などの他の症状がある場合は、遺伝子検査を検討することをお勧めします。早期診断により、適切な治療計画の立案、視覚リハビリテーションの開始、家族への遺伝カウンセリングが可能になります。
症候群性網膜色素変性症とは何ですか?
症候群性網膜色素変性症は、網膜病変に加えて他の臓器の症状を伴う疾患です。代表例として、バルデー・ビードル症候群(肥満、腎機能障害、多指症、知的障害を伴う)やアッシャー症候群(感音性難聴、平衡感覚障害を伴う)があります。これらの症候群の診断により、網膜症状以外の合併症の早期発見と適切な管理が可能になります。
検査で陽性が出た場合、治療法はありますか?
現時点で網膜色素変性症に対する根本的な治療法は限られていますが、早期診断により以下のメリットがあります:①視覚補助具の適切な選択と使用訓練、②症状の進行予測と生活指導、③家族への遺伝カウンセリング、④臨床試験への参加機会、⑤将来の治療法開発への貢献。遺伝子型により一部で遺伝子治療の適応となる場合もあります。
検査費用はいくらですか?
網膜色素変性症遺伝子検査は275,000円(税込)です。遺伝カウンセリング料金は別途おひとり様16,500円(税込)となります。お二人同時の場合は検査費用を242,000円(税込)で追加でき、遺伝カウンセリング料金はおひとり分をサービスいたします。
検査結果が出るまでどのくらいかかりますか?
検査結果は2~3週間でご報告いたします。次世代シーケンサー(NGS)による高精度な解析を行うため、お時間をいただいております。129個の遺伝子を包括的に分析するため、詳細なレポートとともに結果をお渡しし、必要に応じて追加の遺伝カウンセリングも実施いたします。
遠方からでも検査を受けられますか?
はい、唾液または口腔粘膜ぬぐい液での検査の場合、遠方の方でもクリニックにお越しいただくことなく検査が可能です。オンライン診療で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。詳しくはお問い合わせください。
X連鎖網膜色素変性症の特徴は何ですか?
X連鎖網膜色素変性症は主に男性に発症し、最も重症型で急速に進行することが特徴です。RPGR遺伝子やRP2遺伝子の変異が原因となることが多く、若年期から重度の視力障害に至ることがあります。女性は保因者となり、軽症の症状を示すことがあります。遺伝カウンセリングでは、男女別のリスクや症状について詳しくご説明いたします。
検査の精度はどの程度ですか?
当院の検査では99%以上のカバレッジ(リード回数20回)を達成しており、高い精度での解析が可能です。ただし、RPGR遺伝子のORF15領域の一部など、技術的に解析困難な領域があります。また、すべての遺伝子変異を検出できるわけではなく、技術的限界があることをご理解ください。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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(最終受付13:30)
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