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TYMP遺伝子

TYMP遺伝子

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遺伝子名 THYMIDINE PHOSPHORYLASE; TYMP
遺伝子機能 TYMP遺伝子は、チミジンホスホリラーゼと呼ばれる酵素をコードする。チミジンは、ヌクレオシドと呼ばれる分子で、化学的に修飾された後、DNAの構成要素として使用される。チミジンホスホリラーゼは、チミジンを2-デオキシリボース1-リン酸とチミンという2つの小さな分子に変換する。この化学反応は、チミジンを分解するための重要なステップであり、細胞内のヌクレオシドの量を調節する役割を果たしている。
チミジンホスホリラーゼは、ミトコンドリアと呼ばれる細胞構造の中で、適切な量のチミジンを維持するために重要な役割を果たしている。ミトコンドリアは食物から得たエネルギーを、細胞が利用できる形に変換する。ほとんどのDNAは核内の染色体にパッケージされているが、ミトコンドリアにも少量の独自のDNA(ミトコンドリアDNAまたはmtDNAと呼ばれる)が存在する。ミトコンドリアは、必要に応じてチミジンなどのヌクレオシドを使ってmtDNAの新しい分子を作る。
遺伝子座MIM番号 131222
遺伝子座 22q13.33
遺伝形式 常染色体劣性
疾患名 Mitochondrial DNA depletion syndrome 1 (MNGIE type) ミトコンドリアDNA枯渇症候群1型
疾患頻度
症状 TYMP遺伝子の変異は、チミジンホスホリラーゼの活性を大幅に低下または消失させる。この酵素が不足すると、体内にチミジンが非常に高いレベルで蓄積される。過剰なチミジンはmtDNAにダメージを与え、通常の維持・修復を妨げているようである。その結果、mtDNAに突然変異が蓄積され、不安定な状態となる。また、ミトコンドリアのmtDNAの量が通常よりも少なくなることもある(mtDNA枯渇)。このような遺伝子の変化により、ミトコンドリアの正常な機能が損なわれる。
MNGIE病に特徴的な消化器系や神経系の疾患の背景にはmtDNAの異常があるが、ミトコンドリアの異常がどのようにしてこの疾患の特徴を引き起こすのかはいまだ不明である。
ミトコンドリアDNA量が何かの原因で減少し、ミトコンドリアのエネルギー代謝が阻害され機能障害の起こる疾患群を総称してmtDNA 枯渇症候群: mitochondrial DNA depletion syndrome(MTDPS)と称する。TYMPに変異のある病型では主に脳と消化管で発症し、0歳~50歳のいつでも発症する可能性があるが20歳までが最も多い。胃と小腸は自律的に伸長と収縮をすることで食物を移動させる蠕動機能があるが、この病型では蠕動機能の障害により体重が減少する。また、蠕動機能の障害により少量の食事で満腹感を覚えるようになり、吐き気や酸の逆流がみられる。発症した患者の全てで体重が減少を続け、進行性の胃腸の運動障害による症状として満腹感を覚えるのが早くなり、吐き気、下痢、嘔吐、胃痛がみられる。また神経障害も進行し、脱力感や刺痛を伴う。しばしば眼の症状や知的障害もみられる。
表現型MIM番号 603041

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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