NEGR1遺伝子
遺伝子名: neuronal growth regulator 1
別名: DMML2433, IGLON4, KILON, Ntra
染色体: 1
遺伝子座: 1p31.1
遺伝カテゴリー: Rare single gene variant-Functional-Genetic association
関連する疾患:
機能
NEGR1遺伝子産物は細胞接着に関与している可能性がある。哺乳類の脳における再生軸索の芽生えにおける神経成長促進因子として機能する可能性がある。
発現
Funatsuら(1999)は、ラットのNegr1をクローニングし、Kilonと名付けた。推定348アミノ酸のこのタンパク質は、N-末端にシグナル配列、3つの免疫グロブリン(Ig)様C2ドメイン、6つの推定グリコシル化部位、C-末端に推定グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカリングシグナルを持つ。また、IgLONファミリーのタンパク質の特徴である、ドメイン内ジスルフィド結合を形成すると思われる3組のシステインを、Ig様ドメインのそれぞれに有している。ウェスタンブロット法により、成体の大脳、脳幹、海馬では見かけの分子量が46kDのKilonが検出されたが、小脳ではかなり低い発現量であった。成体ラットの大脳皮質と海馬では、Kilonは大型の錐体細胞に主に発現していた。小脳ではプルキンエ細胞の樹状突起と体幹に発現していた。胎児期のラットではKilonの発現は非常に少なかった。
自閉症スペクトラムASDとの関係
Negr1ノックアウトマウスは、神経細胞の成長異常、社会的行動の障害、反転学習の障害、ペンチレンテトラゾール(PTZ)誘発性発作に対する感受性の増加を示した(Singh et al, 2018)。Negr1をsiRNAでダウンレギュレーションしたマウスでは、皮質の発達時に神経細胞の移動やスパインの密度が異常になり、超音波発声の減少や社会的相互作用の障害も見られた。Negr1ノックアウトマウスも同様の表現型を呈した(Sczurkowska et al.2018)。学習障害、ADHD、自閉症の特徴を呈する2人の兄弟に、NEGR1遺伝子に影響を与える1p31.1微小欠失が確認された(Genovese et al.2015)。