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CRYL1

承認済シンボル:CRYL1
遺伝子名:crystallin lambda 1
参照:
HGNC: 18246
AllianceGenome : HGNC : 18246
NCBI51084
Ensembl :ENSG00000165475
UCSC : uc001une.4
遺伝子OMIM番号609877
●遺伝子のlocus type :タンパク質をコードする
●遺伝子のグループ:MicroRNA protein coding host genes
●遺伝子座: 13q12.11
●ゲノム座標:(GRCh38): 13:20,403,669-20,525,857

遺伝子の別名

crystallin, lambda 1
GDH
lambda-CRY
MGC149525
MGC149526
Alias names
crystallin, lamda 1
L-gulonate 3-dehydrogenase
lambda-crystallin homolog

遺伝子の概要

CRYL1(クリスタリンλ1)は、L-グロン酸3-デヒドロゲナーゼ活性、NAD+結合活性、タンパク質ホモ二量体化活性を持つタンパク質をコードする遺伝子です。このタンパク質は、脂肪酸代謝過程やグルクロン酸からキシルロース5-リン酸への異化過程に関与していると予測されています。また、細胞外エクソソームに存在することが示されています。

ウロン酸サイクルは、グルコースの代替代謝経路として機能し、グルコース異化の約5%を占めます。CRYL1遺伝子の産物は、ウロン酸サイクルにおいて、L-グロン酸をデヒドロ-L-グロン酸へと変換する脱水素反応を触媒します。この酵素活動にはNAD(H)が補酵素として必要であり、無機リン酸によってその活動が阻害される可能性があります。ウサギにおける同様の遺伝子の研究からは、このタンパク質が眼の水晶体で構造的な役割を果たしている可能性が示唆されています。

これらの特性から、CRYL1は代謝過程における重要な役割を担っていると考えられ、その機能や調節メカニズムの解明は、基礎生物学だけでなく、潜在的な治療標的としての可能性を探る上でも重要です。

遺伝子と関係のある疾患

OMIMには、CRYL1遺伝子と関係のある疾患は記載されていません。
Gene Cardsでは、CRYL1に関連する疾患には、五炭糖尿症、常染色体劣性難聴1Aなどがあることが記載されています。関連するパスウェイには、キシルロース-5-リン酸の形成、グリコサミノグリカン代謝があります。

Clinvarを見ると、likely pathogenic 2, pathogenic 50が登録されており、非症候性難聴1がその内容です。

遺伝子の発現とクローニング

Chenらによる2003年の研究では、肝細胞癌組織においてダウンレギュレートされる発現配列を特定するために、差分表示分析(differential display analysis)が用いられました。この方法とESTデータベース解析、RT-PCRを組み合わせることで、ヒト肝臓cDNAライブラリーからλ-1-クリスタリン(CRYL1)のcDNAがクローニングされました。さらに、マウス、ラット、ブタ、ウシのCRYL1ホモログもクローニングされました。

ヒトCRYL1は319アミノ酸からなる酵素クリスタリンをコードしており、ウサギ、マウス、ラット、ウシ、ブタのラムダクリスタリンとそれぞれ83%、84%、85%、78%、75%の配列同一性を有しています。このタンパク質は、HCDHタンパク質に特徴的な2つのドメイン(C末端に1つ、N末端にNAD結合ドメイン)を持っています。

ヒト組織におけるノーザンブロット解析により、CRYL1の転写産物はユビキタスに発現していることが示され、特に肝臓と腎臓での発現レベルが最も高いことが確認されました。また、60の肝細胞癌サンプルを対象としたノーザンブロット分析と半定量的RT-PCRによって、CRYL1がサンプルの58%でダウンレギュレートされていることが示されました。これらの結果は、CRYL1が肝細胞癌の発症や進行に関与している可能性を示唆しており、この遺伝子のさらなる機能解析が重要であることを示しています。

遺伝子の構造

Chenら(2003年)の研究により、CRYL1遺伝子が122kbに及び、8つのエクソンから構成されていることが明らかになりました。この遺伝子構造の解明は、CRYL1の機能や調節メカニズムを理解する上で重要な情報を提供します。エクソンは、タンパク質コーディング領域と非コーディング領域(イントロン)に挟まれたDNAのセグメントで、最終的なmRNAに翻訳される部分を構成します。CRYL1遺伝子のこのような構造は、その複雑な調節や多様な機能を反映している可能性があります。特に、肝細胞癌組織でのCRYL1のダウンレギュレーションと関連付けられていることから、この遺伝子が健康な細胞の機能維持やがんの進行における重要な役割を果たしていることが示唆されます。遺伝子構造の詳細な解析は、CRYL1タンパク質の発現調節や機能的役割に対するさらなる洞察をもたらし、将来的には新たな治療標的の発見につながる可能性があります。

マッピング

Chenら(2003年)の研究により、ヒトCRYL1遺伝子が染色体13q12.11のD13S175とD13S143の間に位置していることが明らかにされました。この研究は、放射線ハイブリッドマッピングとゲノム配列解析を用いて行われ、ヒトゲノム内でのCRYL1遺伝子の正確な位置を同定しました。また、マウスにおけるCryl1遺伝子は、染色体14のシンテニック相同領域にマッピングされています。

シンテニーとは、異なる種のゲノム上で、遺伝子の順序が保存されている領域を指し、これにより、特定の遺伝子が関連する生物学的機能や疾患にどのように影響するかを理解するのに役立ちます。CRYL1遺伝子およびマウスのCryl1遺伝子のマッピングは、これらの遺伝子の機能解析や、関連する疾患の研究における重要な基盤となります。

CRYL1遺伝子は、クリスタリンζ型チロシンリアーゼ1をコードしており、この酵素はアミノ酸チロシンの分解に関与しています。遺伝子の位置の同定は、遺伝的疾患や代謝経路の異常におけるこの遺伝子の役割をさらに探求するための出発点となります。Chenらの研究は、ヒトとマウスのゲノムにおける遺伝子の配置と進化的関係に関する貴重な情報を提供しています。

参考文献

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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