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CBL遺伝子とは?関連疾患や検査方法をわかりやすく解説

CBL遺伝子は、細胞のシグナル伝達に重要な役割を果たす遺伝子です。変異があると特定の疾患に関係する可能性があります。この記事では、CBL遺伝子の基本情報や関連する病気、ミネルバクリニックでの検査についてわかりやすくご紹介します。妊娠中のNIPT(新型出生前診断)でも調べることができるため、ぜひ参考にしてください。

CBL遺伝子は、細胞のシグナル伝達に関わる重要な遺伝子です。変異によって特定の疾患を引き起こす可能性があるため、遺伝子検査で確認することが重要です。
妊娠中のNIPT(新型出生前診断)でも調べることができるため、ミネルバクリニックでの検査についてもご紹介します。

CBL遺伝子とは?

CBL遺伝子(Casitas B-lineage lymphoma)は、ヒトの第11染色体上に存在する遺伝子で、細胞内のシグナル伝達を調整する重要な役割を担っています。
この遺伝子が適切に働くことで、細胞は適切に増殖・分化し、不要なシグナルが暴走することを防いでいます。

CBL遺伝子がコードする「Cblタンパク質」は、細胞膜の近くで働く酵素群(受容体チロシンキナーゼなど)のシグナルを監視し、必要に応じてシグナルを遮断する役割を果たします。

細胞の増殖・分化をコントロールする仕組み

私たちの体は数十兆個の細胞からできており、細胞同士が絶えず情報をやり取りしながら成長・分化しています。
CBL遺伝子はこの「細胞同士の情報伝達(シグナル伝達)」に関わり、細胞が必要以上に増えすぎないようブレーキをかける役割があります。

具体的には、細胞表面にある「受容体」が外部からの刺激をキャッチし、その刺激を細胞内に伝達する一連の流れ(シグナル伝達経路)を調整しています。

CBL遺伝子とユビキチン化の関係

CBL遺伝子の働きの中で特に重要なのが「ユビキチン化」と呼ばれる仕組みです。
ユビキチン化とは、細胞内のタンパク質に「ユビキチン」という目印をつけることで、不要なタンパク質を分解に導くプロセスです。

CBL遺伝子が正常に機能している場合、このユビキチン化によって細胞内のシグナル伝達に関わるタンパク質が適切なタイミングで分解・除去され、過剰なシグナル伝達が抑制されています。

ところが、CBL遺伝子に異常(変異)が生じると、このユビキチン化がうまくいかなくなり、異常なシグナルが蓄積。
結果として細胞が必要以上に増殖したり、がん化したりするリスクが高まるのです。

CBL遺伝子の異常はなぜ問題になるのか?

細胞は本来、ある程度増えたらその増殖を止めたり、役割を終えた細胞は自然に死んだり(アポトーシス)する仕組みを持っています。
CBL遺伝子の異常は、この「増殖のスイッチ」をオフにする仕組みが壊れてしまうことにつながります。

特に血液をつくる「造血幹細胞」でCBL遺伝子の異常が起こると、白血病や骨髄増殖性疾患(MPN)などの血液がんの発症リスクが高まることがわかっています。

CBL遺伝子と先天的な遺伝疾患

CBL遺伝子の異常は、がんだけでなく、生まれつきの疾患(先天性疾患)とも関連があります。
その代表例が「Noonan症候群様表現型(OMIM #613563)」です。

この疾患では、発育遅延や特徴的な顔貌、心疾患などさまざまな症状が見られます。
妊娠中のNIPTでCBL遺伝子を解析することで、出生前に異常の可能性を把握することも可能です。

このように、CBL遺伝子は細胞レベルの制御から全身の健康に至るまで、非常に重要な役割を担っている遺伝子なのです。

妊娠中に受けられるNIPTについては、ミネルバクリニックのNIPTページもあわせてご覧ください。

CBL遺伝子変異と関連疾患

CBL遺伝子に変異が生じると、細胞のシグナル伝達が正常に機能しなくなり、さまざまな疾患につながる可能性があります。
特に以下の疾患との関連が、医学的に確認されています。

Noonan症候群様表現型(OMIM #613563)

CBL遺伝子に先天的な変異(germline変異)があると、「Noonan症候群様表現型(NSLL)」を引き起こすことがあります。
NSLLは以下のような特徴を示します。

  • 発達遅延
  • 特徴的な顔貌(眼瞼下垂、耳介低位など)
  • 心奇形
  • 関節が柔らかい
  • 胸郭異常

このうち、すべての患者が白血病などの血液腫瘍を発症するわけではありません
NSLL患者の中には血液腫瘍を発症しないケースも報告されています。

若年性骨髄単球性白血病(JMML)

CBL変異に関連する血液腫瘍として代表的なのが若年性骨髄単球性白血病(JMML)です。
特に、先天的なCBL変異を持つ方のうち、一部は後天的にもう片方のCBL遺伝子を失う(LOH:Loss of Heterozygosity)ことで発症します。

この2段階変異メカニズムは、「がん抑制遺伝子としてのCBL」の側面を示すものです。
ただし、CBL変異=必ず白血病ではなく、背景因子や個人差も大きい点には注意が必要です。

血管病変・自己炎症性疾患

CBL変異では、血液腫瘍だけでなく以下のような血管障害や自己炎症性疾患を合併するリスクも報告されています。

  • 高血圧・高血圧性脳症
  • 視神経萎縮
  • 心筋症
  • 高安動脈炎
  • 原因不明の発熱や関節痛

このように、CBL遺伝子変異は全身に影響を及ぼす可能性があり、出生前検査や遺伝カウンセリングの重要性が高いといえます。

ミネルバクリニックでは、CBL遺伝子を含むNIPTを実施し、専門医が結果を丁寧に解説します。
詳しくはNIPTの詳細ページをご覧ください。

CBL遺伝子を調べるには?

CBL遺伝子の変異を確認するには、遺伝子検査が必要です。
ミネルバクリニックでは、NIPT(新型出生前診断)にオプションとしてCBL遺伝子検査を選択することができます。

NIPTについて詳しく知りたい方は、NIPTのページをご覧ください。

CBL遺伝子異常が疑われる症状や背景

CBL遺伝子に異常がある場合、年齢や状況によって以下のような症状や背景が見られる可能性があります。
特に、乳幼児期からの身体的な特徴や発育・発達の遅れが手がかりになることが多く、家族歴も重要なヒントになります。

乳幼児期からの発育遅延

CBL遺伝子異常を持つお子さんでは、生まれた直後から成長曲線が順調に伸びないケースがあります。
身長・体重の増加がゆるやかで、「周りの子と比べて小さい」と感じることが多いです。

加えて、運動面・知的発達の遅れも見られることがあります。
首すわりや寝返り、歩き始めの時期が一般より遅れたり、言葉の発達にも個人差以上の遅れが見られる場合は、背景に遺伝的な要因がないかを確認するきっかけになります。

特徴的な顔貌

CBL遺伝子異常に関連する「Noonan症候群様表現型」の場合、以下のような特徴的な顔貌が見られることがあります。

  • 眼瞼下垂(まぶたが下がっている)
  • 耳介の位置が低く、やや後方を向いている
  • 鼻がやや低い・鼻根部が広い
  • 口角が下がっている
  • 顔全体が平坦に見える

成長とともに特徴が目立たなくなるケースもありますが、乳幼児期には気づきやすいポイントです。

免疫異常・感染症を繰り返す

CBL遺伝子は、免疫系のシグナル伝達にも関わるため、異常があると免疫の過剰反応や低下につながることがあります。

具体的には以下のようなエピソードが目立ちます。

  • 風邪をひきやすく、治りにくい
  • 肺炎や中耳炎を繰り返す
  • 原因不明の発熱が続く
  • 皮膚に湿疹や炎症を繰り返す

これらは「自己炎症性疾患」にも関連しており、家族内に同様の症状を持つ方がいる場合は、遺伝的な背景を疑う重要なサインとなります。

血液疾患の家族歴

CBL遺伝子の変異は、若年性骨髄単球性白血病(JMML)や骨髄増殖性疾患(MPN)など、血液疾患のリスク因子です。

ご両親やごきょうだい、近親者に以下のような既往歴がある場合は、早めに遺伝カウンセリングを受けることが推奨されます。

  • 小児期に白血病を発症した家族がいる
  • 原因不明の貧血や血小板減少が続いた家族がいる
  • 若い年齢でのがん発症歴がある

ただし、CBL遺伝子変異はde novo変異(突然変異)のことも多く、家族歴がない場合でも油断はできません。

がんの家族歴

CBL遺伝子は、細胞増殖をコントロールする重要な遺伝子であり、変異があると悪性腫瘍(がん)全般のリスクが上昇する可能性があります。

家族歴として、以下のようながんが複数の家族に見られる場合は、遺伝的素因を考慮する必要があります。

  • 白血病やリンパ腫
  • 消化器系のがん(胃がん、大腸がんなど)
  • 肺がん
  • 若年発症のがん

遺伝カウンセリングの重要性

CBL遺伝子に限らず、遺伝性疾患やがんのリスクを知ることは、早期発見・予防につながる重要な情報です。
ミネルバクリニックでは、NIPTや遺伝子パネル検査を通じて、CBL遺伝子の変異を調べることが可能です。

検査結果は遺伝専門医が丁寧に説明し、今後の健康管理に役立つアドバイスも行います。
「自分や家族が該当するかもしれない」と感じた方は、ぜひ一度遺伝カウンセリングをご検討ください。

ミネルバクリニックのCBL遺伝子検査

ミネルバクリニックでは、NIPTのオプションとしてCBL遺伝子検査を提供しています。
妊婦さんへの遺伝カウンセリングも専門医が担当し、検査の意義や結果の解釈について丁寧に説明します。

ミネルバクリニックのNIPTについてはこちら:
NIPTの詳細を見る

CBL遺伝子検査を受けるタイミング

CBL遺伝子検査は、次のような場合に検討されます。

  • 妊娠中にNIPTを受ける場合
  • 血液疾患やがんの家族歴がある場合
  • 乳幼児期から発育や免疫に気がかりな点がある場合

遺伝子検査は一度受ければ終わりではなく、医学の進歩により知見が更新される可能性もあります。
継続的に専門医のサポートを受けることが大切です。

まとめ

CBL遺伝子は、細胞の正常なシグナル伝達に関わる重要な遺伝子です。
変異があると、さまざまな疾患のリスク因子になる可能性があるため、必要に応じて検査を受けることが推奨されます。

ミネルバクリニックでは、NIPTを通じてCBL遺伝子を含む遺伝子検査に対応しています。
妊娠中の方はもちろん、ご自身やご家族の健康を考えるすべての方に、信頼できる情報とサポートをご提供します。

CBL遺伝子検査について詳しく知りたい方へ
ミネルバクリニックのNIPTはこちら

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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