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CAD遺伝子と関連疾患|保因者検査で早期発見・家族計画をサポート

CAD遺伝子は、ピリミジンヌクレオチド合成に関わる重要な遺伝子です。両アレルに病的変異があると、発達性てんかん性脳症50型(DEE50)という重篤な疾患を引き起こします。

CAD遺伝子の基本情報

  • 遺伝子名: CAD(カルバモイルリン酸合成酵素/アスパラギン酸トランスカルバミラーゼ/ジヒドロオロターゼ)
  • 染色体位置: 2p23.3
  • 関連疾患: 発達性てんかん性脳症50型(DEE50)
  • 遺伝形式: 常染色体劣性(潜性)

CAD遺伝子の機能

CAD遺伝子は、ピリミジンヌクレオチド合成経路の最初の3つのステップに関わる三機能性タンパク質をコードしています:

  1. カルバモイルリン酸合成酵素(CPS II)
  2. アスパラギン酸トランスカルバミラーゼ(ATCase)
  3. ジヒドロオロターゼ(DHOase)

発達性てんかん性脳症50型(DEE50)について

主な症状

  • 生後6ヶ月〜2歳頃に発症する難治性てんかん発作
  • 発達の遅れや退行
  • 重度の知的障害
  • 神経学的な異常
  • 重症例では早期死亡のリスク

CAD遺伝子の主な病的バリアント

バリアントタイプ 影響
スプライシング変異 c.1843-1G>A
c.1843-3C>T
エクソンの欠失や異常なスプライシング
ミスセンス変異 M33R
R2024Q
タンパク質機能の低下
ナンセンス変異 R1789X 早期終止コドンによるタンパク質の短縮化

保因者頻度と検査情報

対象人口 保因者頻度 検出率 検査後保因確率 残存リスク
一般集団 500人に1人未満 99% 49,901人に1人 1,000万人に1人未満

治療の可能性

現在、DEE50に対する根本的な治療法はありませんが、研究により以下のアプローチが有望視されています:

ウリジン補充療法

ウリジン補充によりUDP、UTP、CTPなどのレベルを回復させ、症状を改善させる可能性があります。研究では、一部の患者さんでこの治療法による臨床症状の改善が報告されています。

対症療法

てんかん発作のコントロールや発達支援など、症状に応じた治療が行われています。早期発見と適切な管理が重要です。

検査を検討すべき方

CAD遺伝子の保因者検査は、以下の方々に特に重要です:

  • 家族計画を考えているカップル
  • 血縁関係にある人との結婚を予定している方
  • 家族に発達性てんかん性脳症や原因不明の神経疾患がある方
  • より包括的な遺伝情報に基づいた家族計画を希望する方

保因者検査について

ミネルバクリニックでは、CAD遺伝子を含む多数の遺伝子を対象とした拡大版保因者検査を提供しています。この検査により、将来のお子さまに遺伝性疾患が発症するリスクを事前に知ることができます。

まとめ

  • CAD遺伝子は、ピリミジンヌクレオチド合成に関わる重要な遺伝子です。
  • 両アレルに病的変異がある場合、発達性てんかん性脳症50型(DEE50)という重篤な神経疾患を引き起こす可能性があります。
  • ウリジン補充療法により症状の改善が見られるケースがあります。
  • 将来のお子さまの健康を考える上で、CAD遺伝子を含む拡大版保因者検査は重要なツールとなります。
  • ミネルバクリニックでは、最新の遺伝学的知見に基づいた保因者検査と専門的な遺伝カウンセリングを提供しています。

参考文献

  1. Ng BG, Wolfe LA, Ichikawa M, et al. Biallelic mutations in CAD, impair de novo pyrimidine biosynthesis and decrease glycosylation precursors. Hum Mol Genet. 2015;24(11):3050-3057.
  2. Koch J, Mayr JA, Alhaddad B, et al. CAD mutations and uridine-responsive epileptic encephalopathy. Brain. 2017;140(2):279-286.
  3. Online Mendelian Inheritance in Man, OMIM®. Johns Hopkins University, Baltimore, MD. MIM Number: 114010: CAD gene.
  4. Online Mendelian Inheritance in Man, OMIM®. Johns Hopkins University, Baltimore, MD. MIM Number: 616457: Developmental and Epileptic Encephalopathy 50.
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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