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BRAF遺伝子とは?役割や関連疾患をわかりやすく解説|NIPTで調べることも可能

BRAF遺伝子は、細胞の増殖や分化をコントロールする重要な遺伝子です。
先天的なBRAF遺伝子の変異は、CFC症候群(心臓・顔・皮膚症候群)をはじめとする遺伝性疾患の原因になることがわかっています。
また、後天的な変異は悪性黒色腫や肺がんなど、がんの発症にも関係します。
ミネルバクリニックのNIPTでは、BRAF遺伝子の先天的な変異を出生前に調べることが可能です。
妊娠中の方や、遺伝について不安のある方はぜひご参考ください。
→ ミネルバクリニックのNIPTについて詳しくはこちら

BRAF遺伝子とは?

BRAF遺伝子は、ヒトの7番染色体のq34領域に存在する遺伝子です。
このBRAF遺伝子は、細胞の増殖や分化、生存をコントロールするために必要な「セリン・スレオニンキナーゼ」という種類の酵素を作る設計図の役割を担っています。

BRAF遺伝子がコードするBRAFタンパク質は、細胞の運命を決定するシグナル伝達経路であるMAPキナーゼ経路(MAPK経路)の中で中心的な役割を担っています。
このMAPK経路は、「細胞を増やす」「役割を決める」「一定期間生き続ける」といった指令を外部から受け取って細胞に伝える重要な経路です。

BRAF遺伝子の働きは細胞の“司令塔”

私たちの体を構成する細胞は、周囲から受け取るシグナルによって「今は分裂して増える時期」「今は役割を決める時期」といった行動を決定します。
この情報を適切に受け取り、細胞核に伝える役割を果たしているのがMAPK経路であり、その中核を担うのがBRAF遺伝子が作るBRAFタンパク質です。
BRAF遺伝子が正常に機能していることで、細胞は必要なタイミングで増えたり分化したりしながら、全身の組織や臓器が正しく作られ、維持されていきます。

BRAF遺伝子は「細胞の成長スイッチ役」

BRAF遺伝子が作るBRAFタンパク質は、スイッチのように働きます。
成長や分化の合図が外から届くと、BRAFタンパク質がスイッチONとなり、次の分子へ信号を伝えていくことで、細胞の活動が調整されます。

逆に、何も指令がないときにはスイッチOFFの状態となり、不要な細胞増殖が起きないようにコントロールしています。
このON・OFFの切り替えを正常に行うためには、BRAF遺伝子の正常な構造と働きが不可欠です。

BRAF遺伝子に変異が起こると

BRAF遺伝子に変異が起こると、本来OFFになるはずのスイッチが常にONになってしまい、細胞が必要以上に増え続ける異常な状態に陥ることがあります。
この異常な信号伝達は、以下のような問題を引き起こす原因になります。

  • 本来は分裂する必要のない細胞が増殖し続ける
  • 細胞の分化(役割決め)がうまくいかず、未熟な細胞が残る
  • 異常な細胞が自滅(アポトーシス)せず、生存し続ける

このように、BRAF遺伝子に変異が生じると発達異常や腫瘍形成のリスクが高まることが、近年の研究で明らかになっています。
特にBRAF遺伝子の特定の変異(V600E変異)は、悪性黒色腫(メラノーマ)など一部のがんに高頻度で見つかることが知られています。

BRAF遺伝子は先天的にも後天的にも重要

BRAF遺伝子の変異には2種類あります。

  • 受精時から存在する先天的な変異(生まれつきのもの)
  • 生まれた後に細胞分裂時などに起こる後天的な変異(体細胞変異)

先天的なBRAF遺伝子変異は、CFC症候群(心臓・顔・皮膚症候群)などの発達障害を引き起こす原因となります。
一方、後天的なBRAF遺伝子変異は、悪性黒色腫や大腸がん、肺腺がんなどの発がんリスクと強く関連しています。

ミネルバクリニックのNIPTでBRAF遺伝子を調べることができます

ミネルバクリニックのNIPTでは、BRAF遺伝子を含む多くの遺伝子について、先天的な変異を出生前に調べることが可能です。
妊婦さんの血液を採取するだけの検査で、赤ちゃんのDNAを調べるため、母体や胎児への負担も少なく安心です。

BRAF遺伝子に先天的な変異があるかどうかを早期に把握することで、生まれた後の医療体制を早めに整えることができます。
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BRAF遺伝子の主な役割

BRAF遺伝子は、細胞が正常に増殖し、適切に分化し、生存を維持するために不可欠な遺伝子です。
ヒトの体は、およそ37兆個の細胞から成り立っており、それぞれの細胞は必要に応じて増殖したり、役割を変えたり、時には寿命を迎えて死んでいくサイクルを繰り返しています。
この細胞のライフサイクルを制御するために、BRAF遺伝子が重要な働きを担っています。

具体的には、BRAF遺伝子は以下の4つの役割を通じて、細胞の運命をコントロールしています。

1. 細胞の増殖を適切にコントロールする

細胞が分裂・増殖するプロセスは、体の成長や傷の修復、古くなった細胞の入れ替えなどに不可欠です。
BRAF遺伝子は、細胞に「増殖せよ」というシグナルを届けるMAPキナーゼ経路の中心に位置し、増殖のスイッチを管理する役割を担っています。

このシグナルは、必要なときだけONになるように厳密にコントロールされています。
BRAF遺伝子が正常に働くことで、必要な数の細胞を必要なタイミングで作るというバランスが保たれています。

2. 細胞の分化(役割の決定)をサポートする

細胞は単に増えるだけではなく、「どの組織・臓器の細胞になるか」という役割を決める必要があります。
この役割を決定する過程を「分化」と呼びます。

BRAF遺伝子は、分化に必要なシグナルを細胞核へ伝える役割を担っています。
分化がスムーズに進むことで、皮膚や筋肉、神経、消化管など、それぞれの器官を構成する細胞が正しい場所に配置されます。
BRAF遺伝子が正常に働くことで、全身の組織が正しく形成されるのです。

3. 細胞が生き続けるためのシグナルを送る

細胞は一定期間生存し、役割を終えると自ら死んでいく(アポトーシス)という仕組みを持っています。
しかし、必要な細胞が早すぎるタイミングで死んでしまうと、組織の形成や維持に支障をきたします。
BRAF遺伝子は、必要な細胞に「生き続けなさい」という生存シグナルを送り、細胞の健康を支えています。

このシグナルが適切に機能することで、胎児期の器官形成から成長後の体の維持に至るまで、必要な細胞を必要な期間だけ維持することが可能になります。

4. 外部からの指令を細胞内にスムーズに伝える

細胞は、体内外から届く様々なシグナルをキャッチし、適切に反応することで正常に機能しています。
このシグナル伝達経路の要となるのが、BRAF遺伝子が関わるMAPキナーゼ経路です。

BRAF遺伝子が作るBRAFタンパク質は、シグナル伝達の中継役として機能します。
この中継がスムーズに行われることで、増殖・分化・生存の全てが滞りなく進むのです。

BRAF遺伝子が果たす「細胞の司令塔」としての役割

これら4つの役割を総合的に果たすことで、BRAF遺伝子は「細胞の司令塔」として機能しています。
細胞が正常に増え、適切に役割を持ち、必要な期間だけ生き続けるという細胞のライフサイクル全体を統括する重要な遺伝子です。

BRAF遺伝子に異常が起きると

このように重要な役割を担うBRAF遺伝子に異常が生じると、次のような問題が起こるリスクがあります。

  • 不要な細胞が増え続け、腫瘍を形成する
  • 必要な細胞が正常に分化せず、発達異常を引き起こす
  • 本来死ぬべき細胞が生き残り、異常細胞が蓄積する

このため、BRAF遺伝子の変異は、先天性疾患やがんの原因となる可能性がある重要なリスク要因として注目されています。

ミネルバクリニックのNIPTでBRAF遺伝子を調べることができます

ミネルバクリニックのNIPTでは、BRAF遺伝子を含む多数の遺伝子について、先天的な変異を出生前に調べることが可能です。
BRAF遺伝子の情報を妊娠中に把握しておくことで、生まれてからの医療体制を早期に整えられるため、赤ちゃんの未来に備える大切なステップとなります。

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BRAF遺伝子の変異による関連疾患

BRAF遺伝子は、細胞の増殖や分化、生存をコントロールする重要な遺伝子です。
そのため、BRAF遺伝子に変異が生じると、先天的な疾患や後天的ながんなど、さまざまな病気と関連することが報告されています。
特にRAS/MAPK経路に関連する疾患では、BRAF遺伝子の異常が重要な要因となることがわかっています。

先天的なBRAF遺伝子変異による疾患

受精時からBRAF遺伝子に変異がある場合、生まれつきの体質として以下のような遺伝性疾患と関連します。

  • CFC症候群(心臓・顔・皮膚症候群)
  • LEOPARD症候群3
  • Noonan症候群7

CFC症候群(心臓・顔・皮膚症候群)とは

CFC症候群は、BRAF遺伝子の先天的な変異によって起こる代表的な疾患です。
CFCは「Cardio-Facio-Cutaneous」の頭文字を取った名称で、「心臓・顔・皮膚」に特徴的な症状が見られることから名付けられました。

具体的には、以下のような特徴があります。

  • 先天性心疾患(心室中隔欠損症や肺動脈狭窄など)
  • 特徴的な顔貌(目が離れている、鼻が低い、耳の位置が低いなど)
  • 皮膚の異常(乾燥肌、湿疹、多毛症)
  • 筋緊張低下(体がふにゃふにゃして力が入りにくい)
  • 発達遅延や知的障害

CFC症候群の多くは、新生突然変異(親からの遺伝ではなく受精後に初めて起こる変異)として発生します。
出生前にBRAF遺伝子の変異を調べることで、早期から医療的ケアを準備することが可能です。

LEOPARD症候群3とは

LEOPARD症候群3は、皮膚や心臓に特徴的な症状が現れる遺伝性疾患で、BRAF遺伝子の変異によって発症します。
LEOPARDは、以下の頭文字から取られています。

  • L:Lentigines(多発性色素斑)
  • E:Electrocardiographic conduction defects(心電図異常)
  • O:Ocular hypertelorism(目が離れている)
  • P:Pulmonary stenosis(肺動脈狭窄)
  • A:Abnormal genitalia(生殖器異常)
  • R:Retarded growth(発育遅延)
  • D:Deafness(難聴)

このように、皮膚や顔、内臓にわたる多彩な症状が現れることが特徴です。

Noonan症候群7とは

Noonan症候群は、先天性心疾患や特徴的な顔貌、発育不全を特徴とする疾患です。
BRAF遺伝子の変異は、Noonan症候群の原因遺伝子の一つとして知られており、「Noonan症候群7」と呼ばれます。

主な特徴は次の通りです。

  • 先天性心疾患
  • 低身長や発育不全
  • 特徴的な顔貌
  • 筋緊張低下
  • 学習障害

CFC症候群やLEOPARD症候群と同様に、RAS/MAPK経路の異常によって発症するため、「RASopathy(ラソパシー)」と総称されることもあります。

後天的なBRAF遺伝子変異による疾患(体細胞変異)

生まれた後にBRAF遺伝子に変異が起こるケースもあります。
このような体細胞変異は、特定のがんの発症リスクと強く関連しています。

  • 肺腺がん
  • 大腸がん
  • 悪性黒色腫(メラノーマ)

肺腺がんとBRAF遺伝子

肺腺がんは、肺がんの中でも最も多いタイプのがんです。
BRAF遺伝子の変異があると、細胞増殖のスイッチが壊れ、がん細胞が増え続ける原因になります。
特にBRAF V600E変異は、肺腺がんで高頻度に見つかる変異として知られています。

大腸がんとBRAF遺伝子

大腸がんの一部にも、BRAF遺伝子の変異が関与しています。
特にリンチ症候群(遺伝性大腸がん)ではなく、散発性大腸がんの一部でBRAF V600E変異が見られることがわかっています。
BRAF遺伝子の異常により、がん細胞の増殖スイッチが入りっぱなしになり、腫瘍が形成されます。

悪性黒色腫(メラノーマ)とBRAF遺伝子

悪性黒色腫は、皮膚の色素細胞(メラノサイト)ががん化する病気です。
BRAF V600E変異は、悪性黒色腫の約50%以上で検出される代表的な遺伝子変異です。
この変異によって、細胞が異常増殖し、がん化すると考えられています。

BRAF遺伝子の変異はNIPTで調べることができます

ミネルバクリニックのNIPTでは、BRAF遺伝子の先天的な変異を出生前に調べることができます。
妊娠中にBRAF遺伝子の変異を把握しておくことで、生まれてからの医療体制を早期に整えることが可能です。
→ NIPTについて詳しくはこちら

CD96遺伝子に関するよくある質問

CD96遺伝子の検査は誰でも受けられますか?

CD96遺伝子の検査は、特定の疾患リスクがある方だけが対象になるわけではなく、ご希望があればどなたでも受けることが可能です。

特に、以下のようなケースではCD96遺伝子の検査を検討される方が増えています。

  • ご家族に白血病などの血液がんの既往がある
  • 免疫不全症や自己免疫疾患の既往がある、または家族に該当する方がいる
  • 先天性疾患に関連する遺伝子変異を幅広く調べたい
  • NIPT(新型出生前診断)で、より詳細な遺伝子検査を希望する

ミネルバクリニックでは、NIPTをご希望の方を対象に、オプション検査としてCD96遺伝子を含むさまざまな遺伝子解析が可能です。

検査を受ける前には、必ず専門医による遺伝カウンセリングを実施し、検査の目的や意義、結果の見方について詳しくご説明します。

妊娠中の方はもちろん、ご自身やお子さまの健康に関する不安を抱えている方も、まずはお気軽にご相談ください。

詳しくは、NIPTについてのご案内ページをご覧ください。

CD96遺伝子の変異が見つかった場合はどうすれば良いですか?

CD96遺伝子に変異が見つかった場合でも、すぐに病気になるわけではないケースも多くあります。

CD96遺伝子は免疫機能に関わる重要な遺伝子ですが、変異の種類や位置によって、体への影響やリスクの大きさは異なります。そのため、結果を正しく読み解くことが非常に重要です。

ミネルバクリニックでは、検査結果をお渡しする際に、専門医が以下のポイントを詳しくご説明します。

  • 今回の変異がどのようなタイプか
  • 関連する疾患やリスクについて(C症候群や免疫不全、がんなど)
  • 現時点で特に気をつけるべきこと
  • 必要に応じた追加検査のご案内
  • 将来的に受けるべき定期的な検査や健康管理のポイント

また、検査結果を踏まえ、必要に応じて専門医療機関へのご紹介も可能です。

妊娠中のNIPTでCD96遺伝子の変異が見つかった場合には、出生後の医療体制を整えるために、新生児医療や小児科専門医との連携もサポートいたします。

「変異がある」と言われると不安に感じる方も多いですが、遺伝子変異=必ず病気になる、というわけではありません。大切なのは、正しい知識と適切な医療サポートを受けながら、ご自身やお子さまの未来に向けた選択肢を広げることです。

ミネルバクリニックでは、単に「検査をして終わり」ではなく、結果に基づく医療的なサポートや情報提供までをトータルで行っています。

CD96遺伝子に関するご相談やNIPTについての詳細は、NIPTページからもご確認いただけます。

NIPTと遺伝カウンセリングの重要性

BRAF遺伝子に変異が見つかった場合、その変異がどのような意味を持つのか、どんな対応が必要になるのかを正しく理解するためには、専門的な知識が必要です。
ミネルバクリニックでは、NIPTの結果について遺伝専門医が直接説明する遺伝カウンセリングも行っています。
検査結果への不安や疑問をその場で解消し、納得した上で次のステップを考えるために、ぜひご活用ください。
→ 遺伝カウンセリングについて詳しくはこちら

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BRAF遺伝子やNIPTについてのご相談は、ミネルバクリニックまでお気軽にお問い合わせください。
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ミネルバクリニックでは、「健やかなお子さまを迎えてほしい」という想いを持つ臨床遺伝専門医の院長のもと、東京都港区青山にてNIPT検査を提供しています。少子化が進む現代において、より健康なお子さまを望むのは自然なことです。そのため、当院では世界最先端の特許技術を活用し、高精度かつ多様な疾患の検査を提供できる信頼性の高い検査会社を、遺伝専門医が厳選しています。さらに、全国どこからでもオンライン診療に対応し、採血はお近くの提携医療機関で受けることも可能です。
ミネルバクリニックでは、NIPTに関する無料カウンセリングを提供しています。まずはお気軽にご相談ください。
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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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