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AGL遺伝子と糖原病III型(コリ病)- 原因・症状・遺伝子検査

目次 []

AGL遺伝子は、体内のグリコーゲン代謝に重要な酵素をコードしており、この遺伝子の変異は主に糖原病III型(コリ病)を引き起こします。この記事では、AGL遺伝子の機能、関連する疾患、そして遺伝子検査の重要性について詳しく解説します。

AGL遺伝子とは

AGL遺伝子(正式名称:AMYLO-1,6-GLUCOSIDASE, 4-ALPHA-GLUCANOTRANSFERASE)は、グリコーゲンデブランチング酵素(GDE)をコードする重要な代謝系遺伝子です。この酵素は、体内でエネルギー源として蓄えられるグリコーゲンを分解する過程で不可欠な役割を果たしています。特に肝臓や筋肉などの組織において、エネルギー供給を調節する際に重要な機能を担っています。

AGL遺伝子は第1染色体の短腕(1p21.2)に位置しており、35のエクソンにわたって約85kbのゲノムDNAを占める大きな遺伝子です。ゲノム座標(GRCh38)では1:99,849,258-99,924,023に位置しています。この遺伝子のクローニングと発現解析により、筋肉と肝臓で異なるmRNAアイソフォームが存在することが明らかになっています。

AGL遺伝子の発見と研究の歴史

AGL遺伝子は1992年にYangらによって初めて単離され、その全長cDNAが同定されました。彼らの研究により、この遺伝子が1,532アミノ酸残基からなるタンパク質をコードし、そのタンパク質の分子量が約173kDaであることが明らかになりました。ノーザンブロット解析では、約7kbのmRNA転写物が検出されています。

後の研究では、AGL遺伝子の構造や機能、そして組織特異的な発現パターンについて詳細が解明されました。特に興味深いのは、肝臓と筋肉でのmRNA配列の違いです。これらは5’末端で異なっており、組織特異的な転写開始点の利用によって生じることが示されています。

AGL遺伝子がコードする酵素の構造と機能

AGL遺伝子がコードするグリコーゲンデブランチング酵素は、約160kDaの大きな単量体タンパク質で、グリコーゲン代謝における「分岐鎖処理」を担当しています。この酵素は以下の2つの異なる触媒活性を持つ特徴的な構造を有しています:

  • アミロ-1,6-グルコシダーゼ活性(EC 3.2.1.33):グリコーゲン分子内のα-1,6結合(分岐点)を加水分解し、グルコース単位を遊離させる活性
  • 4-アルファ-グルカノトランスフェラーゼ活性(EC 2.4.1.25):グリコーゲン分子内のα-1,4結合グルコース単位を転移する活性

これらの二つの活性はポリペプチド鎖上の別々の触媒部位で決定され、互いに独立して機能することができます。しかし、酵素が完全に機能するためには、両方の活性とグリコーゲン結合能力が必要です。この点がグリコーゲンデブランチング酵素の特徴的な性質です。

グリコーゲン代謝におけるAGL遺伝子の役割

体内でグリコーゲンが分解される際、まずホスホリラーゼという酵素がα-1,4グリコシド結合を切断していきますが、分岐点(α-1,6グリコシド結合)に近づくと停止します。ここでAGL遺伝子がコードするデブランチング酵素が活躍します:

  1. まず、トランスフェラーゼ活性により、分岐点の外側にある3つのグルコース残基を別の鎖に転移します
  2. 次に、グルコシダーゼ活性により、分岐点にあるα-1,6結合を加水分解し、単一のグルコース分子を遊離させます
  3. これによって分岐がなくなり、再びホスホリラーゼが作用できるようになります

この一連の過程により、グリコーゲンから効率的にグルコースが放出され、エネルギー源として利用可能になります。特に空腹時や運動時には、このプロセスが活発に行われ、血糖値の維持や筋肉へのエネルギー供給に貢献しています。

AGL遺伝子の調節メカニズム

研究により、AGL遺伝子の発現や酵素活性は様々な因子によって調節されていることが分かっています。例えば、2007年の研究では、E3ユビキチンリガーゼであるマリン(Lafora病の原因遺伝子産物)がAGL酵素と相互作用し、そのユビキチン化を促進することが示されました。

また、グリコーゲンの結合状態やcAMPレベルの上昇などもAGL酵素の安定性や局在に影響を与えることが報告されています。これらの調節メカニズムは、グリコーゲン代謝の適切な制御に重要な役割を果たしていると考えられています。








AGL遺伝子と糖原病III型(コリ病)- 原因・症状・遺伝子検査

AGL遺伝子は、体内のグリコーゲン代謝に重要な酵素をコードしており、この遺伝子の変異は主に糖原病III型(コリ病)を引き起こします。この記事では、AGL遺伝子の機能、関連する疾患、そして遺伝子検査の重要性について詳しく解説します。

AGL遺伝子とは

AGL遺伝子(正式名称:AMYLO-1,6-GLUCOSIDASE, 4-ALPHA-GLUCANOTRANSFERASE)は、グリコーゲンデブランチング酵素(GDE)をコードする重要な代謝系遺伝子です。この酵素は、体内でエネルギー源として蓄えられるグリコーゲンを分解する過程で不可欠な役割を果たしています。特に肝臓や筋肉などの組織において、エネルギー供給を調節する際に重要な機能を担っています。

AGL遺伝子は第1染色体の短腕(1p21.2)に位置しており、35のエクソンにわたって約85kbのゲノムDNAを占める大きな遺伝子です。ゲノム座標(GRCh38)では1:99,849,258-99,924,023に位置しています。この遺伝子のクローニングと発現解析により、筋肉と肝臓で異なるmRNAアイソフォームが存在することが明らかになっています。

AGL遺伝子の発見と研究の歴史

AGL遺伝子は1992年にYangらによって初めて単離され、その全長cDNAが同定されました。彼らの研究により、この遺伝子が1,532アミノ酸残基からなるタンパク質をコードし、そのタンパク質の分子量が約173kDaであることが明らかになりました。ノーザンブロット解析では、約7kbのmRNA転写物が検出されています。

後の研究では、AGL遺伝子の構造や機能、そして組織特異的な発現パターンについて詳細が解明されました。特に興味深いのは、肝臓と筋肉でのmRNA配列の違いです。これらは5’末端で異なっており、組織特異的な転写開始点の利用によって生じることが示されています。

AGL遺伝子がコードする酵素の構造と機能

AGL遺伝子がコードするグリコーゲンデブランチング酵素は、約160kDaの大きな単量体タンパク質で、グリコーゲン代謝における「分岐鎖処理」を担当しています。この酵素は以下の2つの異なる触媒活性を持つ特徴的な構造を有しています:

  • アミロ-1,6-グルコシダーゼ活性(EC 3.2.1.33):グリコーゲン分子内のα-1,6結合(分岐点)を加水分解し、グルコース単位を遊離させる活性
  • 4-アルファ-グルカノトランスフェラーゼ活性(EC 2.4.1.25):グリコーゲン分子内のα-1,4結合グルコース単位を転移する活性

これらの二つの活性はポリペプチド鎖上の別々の触媒部位で決定され、互いに独立して機能することができます。しかし、酵素が完全に機能するためには、両方の活性とグリコーゲン結合能力が必要です。この点がグリコーゲンデブランチング酵素の特徴的な性質です。

グリコーゲン代謝におけるAGL遺伝子の役割

体内でグリコーゲンが分解される際、まずホスホリラーゼという酵素がα-1,4グリコシド結合を切断していきますが、分岐点(α-1,6グリコシド結合)に近づくと停止します。ここでAGL遺伝子がコードするデブランチング酵素が活躍します:

  1. まず、トランスフェラーゼ活性により、分岐点の外側にある3つのグルコース残基を別の鎖に転移します
  2. 次に、グルコシダーゼ活性により、分岐点にあるα-1,6結合を加水分解し、単一のグルコース分子を遊離させます
  3. これによって分岐がなくなり、再びホスホリラーゼが作用できるようになります

この一連の過程により、グリコーゲンから効率的にグルコースが放出され、エネルギー源として利用可能になります。特に空腹時や運動時には、このプロセスが活発に行われ、血糖値の維持や筋肉へのエネルギー供給に貢献しています。

AGL遺伝子の調節メカニズム

研究により、AGL遺伝子の発現や酵素活性は様々な因子によって調節されていることが分かっています。例えば、2007年の研究では、E3ユビキチンリガーゼであるマリン(Lafora病の原因遺伝子産物)がAGL酵素と相互作用し、そのユビキチン化を促進することが示されました。

また、グリコーゲンの結合状態やcAMPレベルの上昇などもAGL酵素の安定性や局在に影響を与えることが報告されています。これらの調節メカニズムは、グリコーゲン代謝の適切な制御に重要な役割を果たしていると考えられています。

AGL遺伝子の発現と構造

AGL遺伝子は、肝臓や筋肉など複数の組織で発現していますが、その発現パターンと制御メカニズムは組織ごとに異なります。この遺伝子の複雑な発現調節は、組織特異的な代謝ニーズに応じたグリコーゲン分解の精密な制御を可能にしています。

AGL遺伝子の複雑な転写構造

1992年にYangらによって行われた先駆的研究では、肝臓と筋肉のAGL mRNAの比較分析が行われました。その結果、両組織のmRNA配列は大部分で同一であるものの、5’末端領域で完全に異なることが明らかになりました。具体的には、転写開始点から翻訳開始コドンの上流9番目のヌクレオチドまでの配列が組織間で異なっています。

この発見は、AGL遺伝子の発現が単一の遺伝子から組織特異的なRNA転写と選択的な最初のエクソン使用によって生成されることを示した重要な知見です。これにより、組織ごとに異なる代謝ニーズに応じた酵素発現の調節が可能になっています。

多様なアイソフォームと選択的スプライシング

1996年のBaoらの研究では、AGL遺伝子から少なくとも6つの異なるアイソフォームが選択的スプライシングによって産生されることが報告されました。これらのアイソフォームは発現パターンや組織特異性において明確な違いを示します:

  • アイソフォーム1(主要型):エクソン1から転写を開始し、エクソン3から翻訳を開始します。このアイソフォームは肝臓で主に発現し、肝臓特異的な代謝調節に関与しています。
  • アイソフォーム2、3、4(筋肉特異的型):これらはエクソン2から転写を開始し、筋肉組織で優位に発現します。筋肉でのグリコーゲン分解に特化した調節特性を持つと考えられています。各アイソフォーム間での機能的差異についても研究が進められています。
  • アイソフォーム5、6(マイナー型):これらはさらに遺伝子内部から転写が開始される比較的発現量の少ないバリアントです。特定の生理的条件下での役割が示唆されています。

組織特異的なプロモーター制御

レポーターアッセイによる詳細な解析では、AGL遺伝子の発現制御機構に関する重要な知見が得られています。特に、少なくとも2つの異なるプロモーター領域が同定されており、これらは組織特異的な発現パターンをもたらします:

  • プロモーター領域1:アイソフォーム1の転写を制御し、肝臓、筋肉、卵巣など複数の組織で機能することが確認されています。このプロモーターには、肝臓特異的転写因子結合部位が存在し、肝臓での高発現を可能にします。
  • プロモーター領域2:アイソフォーム2、3、4の転写を制御し、筋肉細胞でのみ活性化することが示されています。筋肉特異的な転写因子(MyoDファミリーなど)による制御が想定されています。

これらのプロモーター領域には、様々な転写因子結合部位やエンハンサー・サイレンサー配列が存在し、栄養状態やホルモン刺激などの生理的条件に応じた精密な発現調節が行われていると考えられています。

エピジェネティック調節と翻訳後修飾

AGL遺伝子の発現は、転写レベルだけでなく、エピジェネティックな修飾や翻訳後修飾によっても調節されています。研究によれば、プロモーター領域のDNAメチル化状態やヒストン修飾パターンが組織特異的な発現に関与していることが示唆されています。

また、翻訳後修飾(リン酸化、ユビキチン化など)による酵素活性や安定性の調節も重要です。特に、2007年のChengらの研究では、マリン(E3ユビキチンリガーゼ)によるAGL酵素のユビキチン化がその安定性に影響を与えることが報告されています。このような翻訳後の制御メカニズムは、急速な代謝変化に対応するための重要な調節経路と考えられています。

発現調節と疾患との関連

AGL遺伝子の発現異常は、糖原病III型だけでなく、他の代謝疾患やエネルギー代謝障害とも関連している可能性があります。プロモーター領域の多型や調節配列の変異が、疾患感受性や重症度に影響を与える可能性も示唆されています。

例えば、肝特異的アイソフォームのみに影響する変異は肝型の糖原病III型(GSD IIIb)を引き起こす一方、すべてのアイソフォームに影響する変異は肝臓と筋肉の両方に症状が現れる糖原病IIIa型を引き起こすことが知られています。このことからも、組織特異的な発現調節の重要性が臨床的にも裏付けられています。

AGL遺伝子の発現と構造

AGL遺伝子は、肝臓や筋肉など複数の組織で発現していますが、その発現パターンと制御メカニズムは組織ごとに異なります。この遺伝子の複雑な発現調節は、組織特異的な代謝ニーズに応じたグリコーゲン分解の精密な制御を可能にしています。

AGL遺伝子の複雑な転写構造

1992年にYangらによって行われた先駆的研究では、肝臓と筋肉のAGL mRNAの比較分析が行われました。その結果、両組織のmRNA配列は大部分で同一であるものの、5’末端領域で完全に異なることが明らかになりました。具体的には、転写開始点から翻訳開始コドンの上流9番目のヌクレオチドまでの配列が組織間で異なっています。

この発見は、AGL遺伝子の発現が単一の遺伝子から組織特異的なRNA転写と選択的な最初のエクソン使用によって生成されることを示した重要な知見です。これにより、組織ごとに異なる代謝ニーズに応じた酵素発現の調節が可能になっています。

多様なアイソフォームと選択的スプライシング

1996年のBaoらの研究では、AGL遺伝子から少なくとも6つの異なるアイソフォームが選択的スプライシングによって産生されることが報告されました。これらのアイソフォームは発現パターンや組織特異性において明確な違いを示します:

  • アイソフォーム1(主要型):エクソン1から転写を開始し、エクソン3から翻訳を開始します。このアイソフォームは肝臓で主に発現し、肝臓特異的な代謝調節に関与しています。
  • アイソフォーム2、3、4(筋肉特異的型):これらはエクソン2から転写を開始し、筋肉組織で優位に発現します。筋肉でのグリコーゲン分解に特化した調節特性を持つと考えられています。各アイソフォーム間での機能的差異についても研究が進められています。
  • アイソフォーム5、6(マイナー型):これらはさらに遺伝子内部から転写が開始される比較的発現量の少ないバリアントです。特定の生理的条件下での役割が示唆されています。

組織特異的なプロモーター制御

レポーターアッセイによる詳細な解析では、AGL遺伝子の発現制御機構に関する重要な知見が得られています。特に、少なくとも2つの異なるプロモーター領域が同定されており、これらは組織特異的な発現パターンをもたらします:

  • プロモーター領域1:アイソフォーム1の転写を制御し、肝臓、筋肉、卵巣など複数の組織で機能することが確認されています。このプロモーターには、肝臓特異的転写因子結合部位が存在し、肝臓での高発現を可能にします。
  • プロモーター領域2:アイソフォーム2、3、4の転写を制御し、筋肉細胞でのみ活性化することが示されています。筋肉特異的な転写因子(MyoDファミリーなど)による制御が想定されています。

これらのプロモーター領域には、様々な転写因子結合部位やエンハンサー・サイレンサー配列が存在し、栄養状態やホルモン刺激などの生理的条件に応じた精密な発現調節が行われていると考えられています。

エピジェネティック調節と翻訳後修飾

AGL遺伝子の発現は、転写レベルだけでなく、エピジェネティックな修飾や翻訳後修飾によっても調節されています。研究によれば、プロモーター領域のDNAメチル化状態やヒストン修飾パターンが組織特異的な発現に関与していることが示唆されています。

また、翻訳後修飾(リン酸化、ユビキチン化など)による酵素活性や安定性の調節も重要です。特に、2007年のChengらの研究では、マリン(E3ユビキチンリガーゼ)によるAGL酵素のユビキチン化がその安定性に影響を与えることが報告されています。このような翻訳後の制御メカニズムは、急速な代謝変化に対応するための重要な調節経路と考えられています。

発現調節と疾患との関連

AGL遺伝子の発現異常は、糖原病III型だけでなく、他の代謝疾患やエネルギー代謝障害とも関連している可能性があります。プロモーター領域の多型や調節配列の変異が、疾患感受性や重症度に影響を与える可能性も示唆されています。

例えば、肝特異的アイソフォームのみに影響する変異は肝型の糖原病III型(GSD IIIb)を引き起こす一方、すべてのアイソフォームに影響する変異は肝臓と筋肉の両方に症状が現れる糖原病IIIa型を引き起こすことが知られています。このことからも、組織特異的な発現調節の重要性が臨床的にも裏付けられています。

AGL遺伝子と糖原病III型(コリ病)

AGL遺伝子の変異は、糖原病III型(GSD III、コリ病)の原因となります。この疾患は常染色体劣性遺伝形式をとり、グリコーゲンデブランチング酵素の欠損により、異常なグリコーゲン(リミットデキストリン)が肝臓や筋肉などの組織に蓄積することで症状が現れます。

糖原病III型のサブタイプ

糖原病III型は、酵素欠損が起こる組織によって、いくつかのサブタイプに分類されます:

  • GSD IIIa(GSD3A):肝臓と筋肉の両方に影響(最も一般的)
  • GSD IIIb(GSD3B):主に肝臓に影響し、筋肉は関与しない
  • GSD IIIc(GSD3C):グルコシダーゼ活性のみが欠損した稀なタイプ

症状と臨床的特徴

糖原病III型の症状は、サブタイプや重症度によって異なりますが、一般的には以下のような症状が見られます:

  • 乳幼児期からの肝腫大
  • 低血糖発作
  • 成長障害
  • GSD IIIaでは、進行性の筋力低下や心筋症が追加で見られることがある
  • CPK(クレアチンホスホキナーゼ)値の上昇

症状の重症度は幅広く、軽度の症状から生命を脅かす重症例まで様々です。適切な管理によって、多くの患者は正常な寿命を送ることができます。

糖原病III型の疑いがある場合は、遺伝カウンセリングを受けることで、疾患の理解や治療オプション、遺伝的リスクについて専門的な情報を得ることができます。ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が常駐しており、遺伝性疾患に関する相談に対応しています。

AGL遺伝子の主要な変異(バリアント)

AGL遺伝子には多数の疾患関連変異が報告されており、これらの変異は糖原病III型の発症と関連しています。いくつかの主要な変異には以下のようなものがあります:

主要なAGL遺伝子変異例

  • c.3965delT(旧表記:3964delT):アフリカ系アメリカ人で高頻度に見られる1塩基欠失で、重症の表現型と関連
  • c.4260-12A>G(旧表記:IVS32-12A>G):白人患者で確認されており、比較的軽度の臨床症状と関連
  • c.1222C>T(R408X):フェロー諸島で高頻度に見られる変異で創始者効果が示唆される
  • c.3439A>G(R1147G):グルコシダーゼ活性は欠失するがトランスフェラーゼ活性の40%は保持する変異で、GSD IIIcと関連
  • c.3980G>A(W1327X):トルコ東黒海地域の患者で見られる変異
  • c.4456delT(旧表記:4455delT):北アフリカ系ユダヤ人で見られる民族特異的変異

これらの変異は、遺伝子内の異なる領域に位置し、異なるメカニズムでグリコーゲンデブランチング酵素の機能を障害します。変異の特性によって、疾患の重症度や表現型(サブタイプ)が影響を受けることがあります。

ミネルバクリニックのNIPTでは、以下のAGL遺伝子変異を検査することが可能です:

  • c.1282A>G
  • c.1384delG
  • c.1423+1G>T
  • c.2039G>A
  • c.2590C>T
  • c.2605C>T
  • c.2681+1G>A
  • c.2681+1G>T
  • c.3363-1G>A
  • c.3439A>G
  • c.3444C>G
  • c.3589-1G>A
  • c.3613C>T
  • c.3652C>T
  • c.3682C>T
  • c.3965delT
  • c.3980G>A
  • c.4260-12A>G
  • c.4342G>C
  • c.4347+1G>A
  • c.4348G>T
  • c.4353G>T
  • c.4456delT
  • c.4459C>T
  • c.4481+1G>C
  • c.4481+2T>G

AGL遺伝子の分子遺伝学と病態メカニズム

AGL遺伝子に関する分子遺伝学研究により、糖原病III型の発症メカニズムについて理解が深まっています。

病態メカニズム

AGL遺伝子変異は様々な方法で酵素機能に影響を与えます:

  • トランスフェラーゼ活性のみを損なう変異(例:L620P)
  • グルコシダーゼ機能のみを損なう変異(例:R1147G)
  • 炭水化物結合ドメイン(CBD)の変異(例:G1448R)は、すべての酵素活性とグリコーゲン結合能力に影響し、タンパク質のプロテアソーム分解を促進

研究によれば、いずれかの酵素活性の不活性化だけでも糖原病III型を引き起こすのに十分であり、AGL遺伝子の炭水化物結合ドメインはその機能とユビキチン-プロテアソームシステムによる調節を調整する上で重要な役割を果たしていると考えられています。

地域特異的変異と創始者効果

いくつかの研究では、特定の地域や民族グループで高頻度に見られる特定の変異が報告されています:

  • フェロー諸島では、R408X変異のホモ接合体が多く見られ、推定保因者頻度は30人に1人
  • 北アフリカ系ユダヤ人では、4455delT変異が特異的
  • トルコ東黒海地域では、W1327X変異が複数の患者で確認されている

これらの地域特異的変異の存在は、創始者効果や集団の遺伝的背景と関連しており、特定の地域では糖原病III型の有病率が高い可能性があります。

AGL遺伝子検査の重要性と選択肢

AGL遺伝子検査は、糖原病III型の診断確定、保因者スクリーニング、および家族計画において重要な役割を果たします。

遺伝子検査の利点

  • 確定診断:臨床症状と生化学的検査で疑われる糖原病III型の確定診断
  • サブタイプの特定:GSD IIIa、IIIb、IIIcの区別に役立つ
  • 保因者スクリーニング:家族内の保因者を特定
  • 出生前診断や妊娠前診断のオプション
  • 個別化された治療や管理計画の策定

ミネルバクリニックでの検査オプション

ミネルバクリニックでは、AGL遺伝子を含む拡大版保因者検査が利用可能です。この検査では、AGL遺伝子の全配列を決定し、疾患関連変異を網羅的に検出することができます。

保因者検査は、特に以下の方々にお勧めです:

  • 糖原病III型の家族歴がある方
  • 高リスク民族グループ(北アフリカ系ユダヤ人、フェロー諸島出身者など)に属する方
  • 妊娠を計画している方や家族計画の一環として遺伝リスクを評価したい方

また、ミネルバクリニックNIPTでは、特定のAGL遺伝子変異(前述のリスト参照)の検査も可能です。

遺伝カウンセリングとサポート

糖原病III型のような遺伝性疾患に関する検査を検討する際には、適切な情報と支援を得ることが重要です。ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が常駐しており、包括的な遺伝医療サービスを提供しています。

遺伝カウンセリングでできること

  • 疾患のリスク評価と遺伝形式の説明
  • 適切な遺伝子検査のオプションについての情報提供
  • 検査結果の解釈と意味についての説明
  • 心理的・社会的サポートの提供
  • 将来の家族計画に関する選択肢の提示

特に、AGL遺伝子変異に関連する糖原病III型は、診断と管理が複雑な場合があるため、専門家による適切なガイダンスが重要です。ミネルバクリニックの臨床遺伝専門医は、患者様とそのご家族に対して、個別化された情報と支援を提供します。

遺伝子検査や遺伝カウンセリングについてご相談ください

AGL遺伝子関連疾患に関するご不安や疑問がある方は、ミネルバクリニックの臨床遺伝専門医にご相談ください。保因者検査や遺伝カウンセリングについての詳細情報をご提供いたします。

まとめ

AGL遺伝子は、グリコーゲン代謝に重要な役割を果たすグリコーゲンデブランチング酵素をコードしており、この遺伝子の変異は糖原病III型(コリ病)を引き起こします。

遺伝子検査は、診断の確定、保因者の特定、および適切な治療計画の策定に役立ちます。ミネルバクリニックでは、AGL遺伝子を含む拡大版保因者検査が利用可能であり、臨床遺伝専門医による専門的なサポートを受けることができます。

遺伝性疾患に対する理解を深め、適切な医療決定を行うために、専門家による遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。

詳細な情報や予約については、ミネルバクリニックまでお問い合わせください。

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ミネルバクリニックでは、「未来のお子さまの健康を考えるすべての方へ」という想いのもと、東京都港区青山にて保因者検査を提供しています。遺伝性疾患のリスクを事前に把握し、より安心して妊娠・出産に臨めるよう、当院では世界最先端の特許技術を活用した高精度な検査を採用しています。これにより、幅広い遺伝性疾患のリスクを確認し、ご家族の将来に向けた適切な選択をサポートします。

保因者検査は唾液または口腔粘膜の採取で行えるため、採血は不要です。 検体の採取はご自宅で簡単に行え、検査の全過程がミネルバクリニックとのオンラインでのやり取りのみで完結します。全国どこからでもご利用いただけるため、遠方にお住まいの方でも安心して検査を受けられます。

まずは、保因者検査について詳しく知りたい方のために、遺伝専門医が分かりやすく説明いたします。ぜひ一度ご相談ください。カウンセリング料金は30分16500円です。
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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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