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ADGRV1遺伝子とは?関連疾患と検査について

ADGRV1遺伝子は、内耳や中枢神経系の発達に重要な役割を果たすGタンパク質共役受容体をコードしています。この遺伝子の変異は、アッシャー症候群2C型や家族性熱性けいれん4型などの疾患を引き起こすことが知られています。本記事では、ADGRV1遺伝子の構造や機能、関連疾患について詳しく解説します。

ADGRV1遺伝子とは

ADGRV1遺伝子(Adhesion G Protein-Coupled Receptor V1)は、染色体5q14.3に位置する遺伝子で、別名GPR98やVLGR1、MASS1などとも呼ばれています。この遺伝子は90のエクソンから構成され、約600kb以上にわたる非常に大きな遺伝子です。

ADGRV1遺伝子がコードするタンパク質は、人体で最も大きな細胞表面タンパク質の一つとされており、特に内耳や中枢神経系において重要な役割を果たしています。

ADGRV1遺伝子の機能

ADGRV1遺伝子は、大型のGタンパク質共役受容体をコードしており、全身に広く発現していますが、特に感覚系と中枢神経系において重要な役割を担っています。

内耳では、ADGRV1タンパク質は他のタンパク質と共に「足首リンク複合体」(ALC:Ankle-Link Complex)を形成し、有毛細胞の発達に関与しています。また、神経前駆細胞のマーカーとして中枢神経系の発達にも重要な役割を果たしていると考えられています。

ADGRV1タンパク質には、複数のアイソフォーム(VLGR1a、VLGR1b、VLGR1c)が存在し、それぞれ異なる組織で発現パターンが異なります。

ADGRV1遺伝子関連疾患

ADGRV1遺伝子の変異は、主に以下の疾患と関連しています:

アッシャー症候群2C型(USH2C)

アッシャー症候群は、先天性の感音性難聴と網膜色素変性症を特徴とする常染色体劣性遺伝疾患です。ADGRV1遺伝子の変異によるアッシャー症候群2C型は、全アッシャー症候群の中で約6.4%を占めるとされています。

この疾患では、ADGRV1遺伝子の様々な変異(ナンセンス変異、フレームシフト変異、欠失、重複など)が報告されています。特に、VLGR1bアイソフォームに影響を与える変異が疾患と関連しています。

家族性熱性けいれん4型(FEB4)

熱性けいれんは、5歳以下の子どもの2〜5%(日本人では7%程度)に発生する比較的一般的な症状です。ADGRV1遺伝子(旧名:MASS1)の変異は、家族性熱性けいれん4型と関連しています。

特に、C末端の126アミノ酸残基を欠失させるS2652X変異や、D680G変異などが報告されています。

二遺伝子性アッシャー症候群

一部のケースでは、ADGRV1遺伝子とPDZD7遺伝子の両方に変異があることで、二遺伝子性のアッシャー症候群を引き起こすことが報告されています。

ADGRV1遺伝子の主要な変異

ADGRV1遺伝子には多数の変異が報告されていますが、以下にいくつかの代表的な変異を紹介します:

  • S2652X変異:C末端の126アミノ酸残基を欠失させる変異で、熱性けいれんと関連
  • Q2301X変異:アッシャー症候群2C型を引き起こすナンセンス変異
  • 8716_17insAACA:4塩基の挿入によるフレームシフト変異
  • 8790delC:1塩基の欠失によるフレームシフト変異
  • Y6044C変異:タンパク質の折りたたみに影響を与える可能性がある変異
  • 大規模な欠失や重複:複数のエクソンを含む大規模な構造変異も報告されている

ADGRV1遺伝子の研究動向

ADGRV1遺伝子に関する研究は、特にマウスモデルを用いた研究が進んでいます。Fringsマウスと呼ばれる音響誘発性けいれんに感受性を持つマウスでは、Adgrv1遺伝子(マウスではMass1とも呼ばれる)の変異が確認されています。

最近の研究では、Adgrv1タンパク質がALCを構成する他のタンパク質(特にUsh2aとWhrn)との相互作用を通じて内耳有毛細胞の発達と機能に重要な役割を果たしていることが明らかになっています。

特に、ADGRV1タンパク質はUsh2aタンパク質の安定化に寄与し、ユビキチン-リソソーム経路を介した分解を抑制することで、内耳の有毛細胞の正常な機能を維持していることが示唆されています。

ADGRV1遺伝子の検査について

ADGRV1遺伝子の変異を検査することは、アッシャー症候群や熱性けいれんのリスク評価に役立ちます。ミネルバクリニックでは、拡大版保因者検査を通じてADGRV1遺伝子の検査が可能です。

特に、ご家族にアッシャー症候群や熱性けいれんの方がいる場合や、お子様の将来の健康について心配されている方は、検査をご検討いただくことで、適切な対応や予防策を講じることができます。

遺伝子検査に関するご相談

ADGRV1遺伝子を含む遺伝子検査についてご不明な点がある場合は、ミネルバクリニックの臨床遺伝専門医にご相談ください。個別の状況に応じた適切なアドバイスを提供いたします。

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まとめ

ADGRV1遺伝子は、内耳や中枢神経系の発達に重要な役割を果たす大型の細胞表面タンパク質をコードしています。この遺伝子の変異は、アッシャー症候群2C型や家族性熱性けいれんなどの疾患と関連しています。

ミネルバクリニックでは、ADGRV1遺伝子を含む拡大版保因者検査を提供しており、遺伝性疾患のリスク評価に役立てることができます。ご自身やご家族の健康について心配がある方は、ぜひ当クリニックの臨床遺伝専門医にご相談ください。

参考文献

  • Guan J, et al. (2023) The mechanism of ADGRV1-mediated stabilization of USH2A in the ankle-link complex of cochlear hair cells. Nature Communications.
  • Weston MD, et al. (2004) Mutations in the VLGR1 gene implicate G-protein signaling in the pathogenesis of Usher syndrome type II. Am J Hum Genet.
  • Nakayama J, et al. (2002) A nonsense mutation of the MASS1 gene in a family with febrile and afebrile seizures. Ann Neurol.
  • McMillan DR, et al. (2002) Very large G protein-coupled receptor-1, the largest known cell surface protein, is highly expressed in the developing central nervous system. J Biol Chem.
  • Ebermann I, et al. (2010) PDZD7 is a modifier of retinal disease and a contributor to digenic Usher syndrome. J Clin Invest.
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ミネルバクリニックでは、「未来のお子さまの健康を考えるすべての方へ」という想いのもと、東京都港区青山にて保因者検査を提供しています。遺伝性疾患のリスクを事前に把握し、より安心して妊娠・出産に臨めるよう、当院では世界最先端の特許技術を活用した高精度な検査を採用しています。これにより、幅広い遺伝性疾患のリスクを確認し、ご家族の将来に向けた適切な選択をサポートします。

保因者検査は唾液または口腔粘膜の採取で行えるため、採血は不要です。 検体の採取はご自宅で簡単に行え、検査の全過程がミネルバクリニックとのオンラインでのやり取りのみで完結します。全国どこからでもご利用いただけるため、遠方にお住まいの方でも安心して検査を受けられます。

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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