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ABCD4遺伝子とは?ビタミンB12代謝に関わる遺伝子の働きと関連疾患

ABCD4遺伝子はビタミンB12(コバラミン)の細胞内代謝に重要な役割を担う遺伝子です。この遺伝子の変異はメチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症cblJ型などの先天代謝異常症を引き起こすことがあります。本記事では、ABCD4遺伝子の機能、関連疾患、そして遺伝子検査の重要性について解説します。

ABCD4遺伝子はもともとPXMP1L(Peroxisomal Membrane Protein 1-Like)、P70R、PMP69などの名称でも知られていました。1997年に2つの独立した研究グループによって発見され、当初はペルオキシソーム膜に存在するタンパク質として報告されていました。

ABCD4遺伝子の構造

ABCD4遺伝子は19個のエクソンから構成され、約16キロベースの長さにわたっています。この遺伝子は606個のアミノ酸からなるタンパク質をコードしており、そのタンパク質は以下の特徴的な構造を持っています:

  • 複数の膜貫通ドメイン
  • ATPase(アデノシン三リン酸分解酵素)としての機能
  • C末端側に高度に保存されたモチーフを持つ細胞質側のヌクレオチド(ATP)結合ドメイン

ABCD4タンパク質は、他のABCトランスポーターと同様に、ハーフトランスポーターとして機能します。これは、二量体(2つの分子が結合した状態)を形成することで活性型のトランスポーターとなることを意味しています。

ABCD4遺伝子の発現

ABCD4遺伝子は、ヒトの様々な組織で発現していることが確認されています。ノーザンブロット解析により、この遺伝子は調査されたすべての組織で2.6キロベースのmRNAとして発現していることが示されています。また、選択的スプライシングと選択的ポリアデニル化部位の使用により、複数の転写変異体が存在することも分かっています。

当初、ABCD4タンパク質はペルオキシソームに局在すると考えられていましたが、その後の研究により、実際には主にリソソームに存在し、ビタミンB12(コバラミン)の細胞内処理において重要な役割を果たしていることが明らかになりました。このタンパク質の正確な細胞内局在と機能の解明は、遺伝性代謝疾患の理解において大きな進展をもたらしました。

細胞内局在とパートナータンパク質

2012年の研究で、ABCD4タンパク質はリソソームマーカーであるLAMP1やLMBRD1(別名LMBRD1)と共局在していることが示されました。LMBRD1はメチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症cblF型の原因となるタンパク質です。

さらに2016年の研究では、ABCD4タンパク質がLMBRD1と直接相互作用し、この相互作用がABCD4のリソソームへの局在に不可欠であることが明らかになりました。ABCD4は最初に小胞体に合成され、その後LMBRD1依存的にリソソームへと輸送されます。LMBRD1が欠損すると、ABCD4のリソソームへの移行が妨げられることが確認されています。

ビタミンB12代謝における役割

ABCD4タンパク質の主要な機能は、リソソームからビタミンB12(コバラミン)を細胞質へ輸送することです。2021年の研究では、ABCD4がATP依存的にリソソーム内からコバラミンを細胞質側へ輸送することが確認されました。

ビタミンB12は食物から摂取された後、腸から吸収され、血液中のトランスコバラミンと結合して細胞へ運ばれます。細胞に取り込まれたビタミンB12はエンドソーム-リソソーム経路に入り、最終的にリソソーム内に到達します。ここでABCD4が、リソソーム内のビタミンB12を細胞質へ輸送する役割を担っています。

細胞質に輸送されたビタミンB12は、さらに処理されてメチオニン合成酵素やメチルマロニルCoAムターゼといった重要な酵素の補酵素として機能します。これらの酵素は、アミノ酸代謝や脂肪酸代謝に不可欠であり、神経系の正常な発達や赤血球の形成にも関与しています。

ATP結合カセットトランスポーターとしての機能

ABCD4はATP結合カセット(ABC)トランスポーターファミリーの一員として、ATPの加水分解エネルギーを利用して物質を輸送します。ABCD4タンパク質のC末端には、ATP結合に関わるWalker Aモチーフと呼ばれる高度に保存された領域があります。

遺伝的変異研究から、このATPase活性はABCD4のコバラミン輸送機能に不可欠であることが分かっています。Walker Aモチーフ近傍のR432Q変異体はATPase活性が低下し、膜貫通領域のY319C変異体はATPase活性とコバラミン輸送活性の両方が失われることが確認されています。

これらの知見は、ABCD4がリソソームからビタミンB12を細胞質へATP依存的に輸送する重要な役割を担っていることを示しており、この機能の障害が重篤な代謝疾患を引き起こす原因となります。

メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症cblJ型

メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症cblJ型(Methylmalonic Aciduria and Homocystinuria, cblJ type:MAHCJ)は、2012年に初めて報告された常染色体劣性遺伝形式をとる希少な先天代謝異常症です。この疾患はビタミンB12(コバラミン)代謝の障害により、体内でメチルマロン酸とホモシスチンが異常に蓄積することが特徴です。

この疾患では、ABCD4タンパク質の機能喪失変異により、リソソームからのビタミンB12の放出が障害されます。その結果、細胞質内でのビタミンB12を補酵素とする代謝反応が正常に進行せず、メチルマロン酸とホモシスチンが蓄積します。これらの物質の蓄積は、神経系の発達や造血機能など、体の多くの重要な機能に影響を及ぼします。

ABCD4遺伝子の主な変異

MAHCJ患者では、これまでに複数のABCD4遺伝子変異が同定されています。代表的な変異には以下のようなものがあります:

  • Y319C(チロシンからシステインへの置換):膜貫通ドメインにおける変異で、ATPase活性とコバラミン輸送機能の両方が失われます
  • 1746insCT(2塩基挿入):フレームシフトを引き起こし、タンパク質のC末端が短くなります
  • 542+1G-T(スプライス部位変異):エクソン5のスキッピングを引き起こし、膜貫通ドメインが失われます
  • 1456G-T(スプライス部位変異):エクソン13と14のスキッピングを引き起こし、ヌクレオチド結合ドメインが影響を受けます

これらの変異はいずれも、ABCD4タンパク質の機能を著しく低下させ、結果としてビタミンB12の細胞内代謝障害を引き起こします。患者の多くは、これらの変異を複合ヘテロ接合体(異なる2つの変異を持つ状態)として持っています。

副腎白質ジストロフィーとの関連

ABCD4はABCDファミリーの一員であり、X連鎖性副腎白質ジストロフィー(ALD)の原因遺伝子であるABCD1と構造的に類似しています。研究によると、ABCD4の発現レベルがALDの病態の重症度と相関する可能性が示唆されています。

2005年の研究では、小児大脳型副腎白質ジストロフィー(CCER)、副腎脊髄ニューロパチー(AMN)、脳脱髄を伴うAMNなど、ALDの主要な表現型において、ABCD4とBG1(ACSBG1)遺伝子の発現が疾患の重症度と関連する傾向が観察されました。これは、ABCD4がALDの病態初期に関与している可能性を示唆しています。

これらの知見は、ABCD4がリソソームでのビタミンB12代謝だけでなく、ペルオキシソームでの超長鎖脂肪酸(VLCFA)の代謝にも間接的に関与している可能性を示していますが、その詳細なメカニズムについてはさらなる研究が必要です。

発症時期

MAHCJ型は通常、出生後すぐに症状が現れることが多い重篤な疾患です。これまでに報告された症例では、生後間もなく症状が現れ、医学的介入を必要としています。しかし、軽度の変異を持つ場合は、症状の発現が遅れたり、症状が軽度であったりする可能性もあります。

主な症状

メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症cblJ型に関連する主な症状には以下のようなものがあります:

  • 神経学的症状:低緊張(筋肉の緊張が弱い状態)、発達の遅れ、精神運動発達遅滞、知的障害などがみられることがあります。
  • 呼吸器症状:呼吸困難や呼吸促迫などの呼吸器症状が生じることがあります。
  • 血液学的異常:骨髄機能不全の徴候として、貧血(赤血球の減少)、白血球減少、血小板減少などが見られることがあります。
  • 心臓の異常:一部の患者では、先天性心疾患などの心臓の構造的異常を伴うことがあります。
  • 顔貌の異常:軽度の異常顔貌(特徴的な顔の特徴)が観察されることもあります。
  • 成長障害:適切な治療が行われない場合、成長障害が生じることがあります。

生化学的特徴

MAHCJ型の特徴的な生化学的所見としては以下のようなものがあります:

  • 血液と尿中のメチルマロン酸の増加
  • 血中ホモシステインの増加
  • 血中メチオニンの減少
  • 尿中メチルクエン酸の増加

これらの生化学的異常は、ビタミンB12を補酵素とする二つの重要な酵素(メチルマロニルCoAムターゼとメチオニン合成酵素)の活性低下によって引き起こされます。

症状の重症度

症状の重症度は、ABCD4遺伝子変異の種類や残存酵素活性によって異なります。これまでに報告された症例の多くは重症であり、早期に診断と治療が行われなければ生命を脅かす可能性があります。

ただし、遺伝子型(genotype)と表現型(phenotype)の相関関係はまだ十分に解明されておらず、同じ変異を持つ患者でも症状に違いが見られることがあります。これは、他の遺伝的要因や環境的要因も疾患の経過に影響を与える可能性があることを示唆しています。

長期的な影響

早期に診断され適切な治療が行われた場合でも、MAHCJは長期的な健康上の問題を引き起こす可能性があります:

  • 神経発達の遅れや知的障害
  • 学習障害や行動上の問題
  • 視力障害
  • 腎機能障害
  • 血液学的問題の継続

しかし、早期診断と適切な治療により、症状の進行を遅らせたり、一部の症状を軽減したりすることが可能です。特に神経学的な発達に関しては、早期治療が良好な転帰と関連していることが示唆されています。

遺伝子検査と診断

ABCD4遺伝子に関連する疾患、特にメチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症cblJ型(MAHCJ)の診断は、臨床症状の評価、生化学的検査、遺伝子検査を組み合わせて総合的に行われます。早期診断が適切な治療と予後の改善につながるため、疑わしい症状がある場合は迅速な評価が重要です。

診断の流れ

  1. 臨床症状の評価:新生児期からの低緊張、哺乳困難、成長障害、発達遅延などの症状が見られた場合、先天代謝異常症を疑います。
  2. 一次スクリーニング検査:一部の地域では、新生児マススクリーニングでメチルマロン酸血症が検出できる場合があります。
  3. 生化学的検査
    • 血液および尿中のメチルマロン酸とホモシスチンの測定
    • 血清ビタミンB12濃度の測定
    • 血液中の総ホモシステイン濃度の測定
    • アシルカルニチンプロファイルの分析
  4. 相補性解析:患者の培養細胞を用いた生化学的相補性解析により、コバラミン代謝障害のタイプ(cblA、cblB、cblC、cblD、cblE、cblF、cblG、cblJ)を特定できる場合があります。
  5. 遺伝子検査:最終的に確定診断を行うために、ABCD4遺伝子の解析が実施されます。

遺伝子検査の重要性

ABCD4遺伝子検査は、以下の理由から非常に重要です:

  • 確定診断:臨床症状や生化学的検査だけでは、様々なコバラミン代謝障害を区別することが難しい場合があります。遺伝子検査により、ABCD4遺伝子変異の有無を直接確認できます。
  • 治療計画の最適化:正確な分子診断により、より個別化された治療アプローチが可能になります。
  • 家族計画の支援:患者家族の保因者診断や出生前診断に役立ちます。
  • 予後予測:特定の遺伝子変異のタイプが、疾患の経過や治療への反応性と関連する可能性があります。

遺伝子検査の種類と方法

ABCD4遺伝子検査には以下のような方法があります:

  • 単一遺伝子検査:ABCD4遺伝子のみを対象とした解析
  • 遺伝子パネル検査:コバラミン代謝に関連する複数の遺伝子を同時に解析
  • 全エクソーム解析:すべての遺伝子のエクソン(タンパク質をコードする領域)を解析
  • 全ゲノム解析:ゲノム全体を解析

検査は通常、血液サンプルから抽出したDNAを用いて行われます。臨床的に疑われる診断や利用可能なリソースに基づいて、最適な検査方法が選択されます。

ミネルバクリニックでの遺伝子検査

当クリニックでは、臨床遺伝専門医が常駐し、ABCD4遺伝子を含む様々な遺伝子検査を提供しています。検査の前後には、詳細な遺伝カウンセリングを実施し、検査の意義や結果の解釈、今後の対応などについて丁寧に説明します。

また、既に臨床症状や生化学的検査から代謝異常症が疑われる場合には、適切な専門医療機関と連携して、総合的な診療を支援しています。遺伝子検査に関するご相談は、遺伝カウンセリングの予約をお取りいただくことをお勧めします。

治療と管理

ABCD4遺伝子変異によるメチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症cblJ型(MAHCJ)の治療は、患者の症状や代謝異常の程度に合わせて個別化されます。現時点では完治させる方法はありませんが、適切な治療と管理によって症状の改善や合併症の予防が可能です。

ビタミンB12補充療法

MAHCJの主要な治療は、ヒドロキソコバラミン(ビタミンB12の一種)の投与です。これにより、欠乏しているビタミンB12を補充し、代謝経路の機能を部分的に回復させることを目指します。

  • 投与方法:通常、筋肉注射または皮下注射で投与されます。重症例では最初は毎日投与し、その後維持量に移行します。
  • 投与量:個々の患者の反応に応じて調整されます。治療効果は定期的な生化学的検査によって評価されます。
  • 効果:多くの患者では、投与によって血中および尿中のメチルマロン酸やホモシスチンのレベルが低下し、臨床症状の改善が見られます。

栄養管理

栄養管理も治療の重要な側面です:

  • タンパク質摂取:メチルマロン酸蓄積を最小限に抑えるため、タンパク質(特に分岐鎖アミノ酸)の摂取量を調整することがあります。
  • 葉酸およびベタイン:ホモシステインの代謝を促進するために、葉酸やベタインの補充が推奨される場合があります。
  • 経管栄養:重症例では、適切な栄養摂取を確保するために経管栄養が必要になることがあります。

対症療法

合併症に対する対症療法も重要です:

  • 発達支援:理学療法、作業療法、言語療法などのリハビリテーションサービス
  • 貧血などの血液学的問題:必要に応じた輸血や造血刺激因子の投与
  • てんかん発作:適切な抗てんかん薬の使用
  • 心臓異常:心臓専門医による管理

急性増悪時の管理

感染症やストレスなどをきっかけに代謝異常が悪化する「代謝クリーゼ」が起こることがあります。このような緊急時には:

  • 集中的なヒドロキソコバラミンの投与
  • 十分な水分補給と電解質管理
  • 一時的なタンパク質摂取の制限
  • 代謝性アシドーシスの補正
  • 必要に応じた解毒療法

代謝クリーゼは命に関わる状態になりうるため、早期に医療機関を受診することが重要です。

日常生活での管理

日常的な管理では以下の点に注意が必要です:

  • 定期的な医療フォローアップ:血液検査や尿検査による代謝状態のモニタリング
  • 発達評価:定期的な発達評価と必要に応じた介入
  • 栄養指導:栄養士による継続的な食事管理の支援
  • 緊急時の対応計画:体調不良時の早期受診や対応について家族と医療チームで共有
  • 予防接種:推奨される予防接種の確実な実施
  • ストレス管理:過度の身体的・精神的ストレスを避ける生活習慣

将来的な治療法

現在、以下のような新たな治療アプローチの研究が進められています:

  • 遺伝子治療:正常なABCD4遺伝子を導入する方法
  • シャペロン療法:変異タンパク質の安定化や機能改善を目指す薬物療法
  • 細胞治療:健康な細胞の移植による代謝機能の改善

これらの治療法はまだ研究段階ですが、将来的には治療選択肢が広がることが期待されています。

ABCD4遺伝子変異による疾患の治療は複雑で専門的なものとなるため、代謝疾患の専門医、栄養士、リハビリテーション専門家などの多職種チームによる包括的なアプローチが重要です。治療方針は患者の状態や最新の研究知見に基づいて定期的に見直されるべきです。

遺伝カウンセリングの重要性

ABCD4遺伝子変異に関連する疾患は、常染色体劣性遺伝形式をとる遺伝性疾患です。そのため、診断後の適切な情報提供や家族への影響の説明、今後の家族計画についての相談など、遺伝カウンセリングが非常に重要な役割を担います。

遺伝カウンセリングとは

遺伝カウンセリングは、遺伝性疾患に関する医学的情報を提供し、患者さんやご家族が自律的に意思決定できるよう支援するプロセスです。遺伝性疾患は、医学的な側面だけでなく、心理的、社会的、倫理的な側面も含んでいるため、多角的なサポートが必要となります。

ABCD4遺伝子関連疾患において、遺伝カウンセリングでは以下のような点について話し合います:

  • 疾患の原因、症状、経過に関する医学的情報
  • 遺伝形式と家族内での再発リスク
  • 利用可能な検査や治療の選択肢
  • 将来の家族計画における選択肢(出生前診断、着床前診断など)
  • 心理社会的サポートの提供
  • 患者会や社会的資源の紹介

常染色体劣性遺伝と家族計画

ABCD4遺伝子変異によるメチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症cblJ型は常染色体劣性遺伝形式をとります。つまり:

  • 患者さんは両親から各1つずつ、計2つの変異遺伝子を受け継いでいます
  • 両親はそれぞれ1つの変異遺伝子を持つ「保因者」である場合が多いです
  • 保因者同士のカップルから子どもが生まれる場合、子どもが疾患を発症するリスクは25%です
  • 同じく保因者になるリスクは50%、変異を全く受け継がないリスクは25%です

これらの確率を理解し、今後の家族計画を考える際の選択肢について情報提供を受けることは、当事者家族にとって非常に重要です。

ミネルバクリニックでの遺伝カウンセリング

当クリニックでは、臨床遺伝専門医が常駐し、ABCD4遺伝子変異を含む様々な遺伝性疾患について専門的な遺伝カウンセリングを提供しています。具体的には以下のようなサポートを行っています:

  • 診断前カウンセリング:遺伝子検査の意義、限界、結果の解釈について説明し、検査を受けるかどうかの意思決定を支援します。
  • 診断後カウンセリング:検査結果の意味を丁寧に説明し、今後の医療管理や生活上の留意点についてアドバイスします。
  • 家族カウンセリング:患者さんのご家族への影響と、血縁者が検査を受ける必要性について説明します。
  • 保因者カウンセリング:パートナーや将来の子どもへのリスクについて情報提供します。
  • 出生前カウンセリング:妊娠中の検査や将来の家族計画について相談に応じます。

遺伝カウンセリングは予約制で行っており、十分な時間をかけて患者さんやご家族の疑問や不安に対応します。また、必要に応じて専門医療機関との連携も行い、総合的な医療サポートを提供しています。

遺伝性疾患に関する情報は日々更新されており、遺伝カウンセリングでは最新の医学的知見に基づいた情報提供を心がけています。疑問や不安がある場合は、ぜひ遺伝カウンセリングをご利用ください。

保因者検査について

ABCD4遺伝子関連疾患は常染色体劣性遺伝形式をとるため、家族計画を考える際に保因者検査が重要な選択肢となります。ここでは、保因者検査の概要、対象者、検査の流れについて解説します。

保因者検査とは

保因者検査とは、遺伝性疾患の症状は示していないものの、その疾患の原因となる遺伝子変異を1つ持っている(保因している)かどうかを調べる検査です。ABCD4遺伝子の場合、保因者は通常健康ですが、パートナーも同じ遺伝子の保因者である場合、お子さんが疾患を発症するリスクがあります。

保因者検査の対象者

ABCD4遺伝子の保因者検査が考慮される主な対象者には、以下のような方々が含まれます:

  • ABCD4遺伝子関連疾患患者の血縁者:特に兄弟姉妹は保因者である確率が2/3です
  • ABCD4遺伝子関連疾患患者の血縁者のパートナー:特に血縁者が保因者と確認された場合
  • 結婚前や妊娠前のカップル:将来の子どもへのリスクを知るために様々な遺伝性疾患の保因者スクリーニングを希望するカップル
  • 不妊治療を受けている方々:特に体外受精-胚移植や着床前診断を検討している場合

保因者検査の意義

ABCD4遺伝子の保因者検査を受けることで得られる主なメリットは以下の通りです:

  • リスク評価:お子さんが疾患を発症するリスクを正確に評価できます
  • 家族計画のための情報:検査結果に基づいて、より多くの選択肢を検討できます
  • 出生前診断の選択肢:両パートナーが保因者である場合、妊娠中の出生前診断を検討できます
  • 着床前診断の可能性:体外受精-胚移植の過程で、変異を持たない胚を選択することも選択肢となります

ミネルバクリニックでの保因者検査の流れ

当クリニックでは、以下のようなステップで保因者検査を実施しています:

  1. 初回遺伝カウンセリング:検査の目的、方法、結果の解釈について詳しく説明します
  2. インフォームドコンセント:検査の利点とリスクを理解した上で、同意いただけた場合に検査を実施します
  3. 検体採取:通常は血液サンプル(約5〜10ml)を採取します
  4. 遺伝子解析:専門の検査機関でABCD4遺伝子の解析を行います
  5. 結果説明:結果が出た後(通常2〜4週間)、再度遺伝カウンセリングを行い、結果の意味と今後の選択肢について説明します

検査結果の解釈と次のステップ

保因者検査の結果によって、以下のような対応が考えられます:

  • 保因者でない場合:お子さんが疾患を発症するリスクは非常に低くなります
  • 保因者である場合:パートナーの検査を検討します
  • 両パートナーが保因者の場合:お子さんが疾患を発症するリスクは25%となります。出生前診断や着床前診断などの選択肢について相談できます

拡張保因者スクリーニング

ABCD4遺伝子だけでなく、複数の遺伝性疾患の保因者状態を同時に調べる「拡張保因者スクリーニング」も当クリニックでは提供しています。これにより、一度の検査で数百種類もの常染色体劣性遺伝性疾患の保因者状態を確認することができます。

ミネルバクリニックの拡張保因者スクリーニングは、米国人類遺伝学会(ACMG)が2021年に推奨する113の遺伝子をすべて含んだ基準をクリアした検査です。ACMGは妊娠前または妊娠中のすべての方に「Tier 3」パネルを提供することを推奨しており、このパネルには保因者頻度が200人に1人以上の遺伝子や、特定の集団で高頻度に見られる遺伝子が含まれています。当クリニックの検査はこの国際基準に準拠した質の高いものであり、より包括的なリスク評価が可能です。

拡張保因者スクリーニングは特に妊娠前のカップルにおすすめで、詳細については拡張保因者スクリーニングのページをご覧ください。

保因者検査は完全に任意であり、検査を受けるかどうかは個人の価値観や家族計画によって異なります。当クリニックでは、一人ひとりの状況に合わせた情報提供と意思決定の支援を行っています。ご不明な点やご不安がある場合は、まずは遺伝カウンセリングでご相談ください。


まとめ

本記事では、ABCD4遺伝子の基本情報から関連疾患、診断、治療、遺伝カウンセリングまで幅広く解説しました。主なポイントを以下にまとめます:

  • ABCD4遺伝子は14番染色体上に位置し、ビタミンB12(コバラミン)の細胞内代謝において重要な役割を担っています。
  • このタンパク質は、リソソームからビタミンB12を細胞質へATP依存的に輸送する機能を持っています。
  • ABCD4遺伝子の変異は主に「メチルマロン酸血症・ホモシスチン尿症cblJ型」という常染色体劣性遺伝性疾患の原因となります。
  • 患者さんは低緊張、神経発達遅滞、血液学的異常など様々な症状を示すことがあり、早期診断と治療が重要です。
  • 診断には遺伝子検査が重要であり、治療にはヒドロキソコバラミン(ビタミンB12)の補充療法が中心となります。
  • 常染色体劣性遺伝性疾患であるため、保因者(症状はないが遺伝子変異を1つ持つ人)の検査や家族計画に関する遺伝カウンセリングが重要となります。

遺伝子検査・遺伝カウンセリングのご案内

ミネルバクリニックでは、ABCD4遺伝子を含む遺伝子検査や、それに伴う遺伝カウンセリングを提供しています。臨床遺伝専門医が常駐し、患者さんやご家族の状況に合わせた丁寧な説明と支援を行っています。

また、家族計画を考えているカップルに向けた拡張保因者スクリーニング検査も実施しています。この検査は米国人類遺伝学会(ACMG)が推奨する113の遺伝子を全て含んだ国際基準に準拠した検査であり、将来お子さんに遺伝性疾患が発症するリスクをあらかじめ知ることができます。

遺伝性疾患に関するご不安やご質問がある方は、まずは遺伝カウンセリングをご予約ください。遺伝子検査の意義やメリット・デメリットについて詳しく説明し、ご不安に寄り添いながら最適な選択をサポートいたします。

また、保因者検査や出生前診断についてご検討されている方は、拡張保因者スクリーニングのページもご参照ください。

科学の進歩により、遺伝性疾患の診断や治療の選択肢は日々広がっています。専門的な知識と最新の情報を持つ医療者と連携しながら、一人ひとりに合った医療選択ができるよう、当クリニックはサポートしてまいります。

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ミネルバクリニックでは、「未来のお子さまの健康を考えるすべての方へ」という想いのもと、東京都港区青山にて保因者検査を提供しています。遺伝性疾患のリスクを事前に把握し、より安心して妊娠・出産に臨めるよう、当院では世界最先端の特許技術を活用した高精度な検査を採用しています。これにより、幅広い遺伝性疾患のリスクを確認し、ご家族の将来に向けた適切な選択をサポートします。

保因者検査は唾液または口腔粘膜の採取で行えるため、採血は不要です。 検体の採取はご自宅で簡単に行え、検査の全過程がミネルバクリニックとのオンラインでのやり取りのみで完結します。全国どこからでもご利用いただけるため、遠方にお住まいの方でも安心して検査を受けられます。

まずは、保因者検査について詳しく知りたい方のために、遺伝専門医が分かりやすく説明いたします。ぜひ一度ご相談ください。カウンセリング料金は30分16500円です。
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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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