InstagramInstagram

錐体杆体ジストロフィー遺伝子パネル検査

円錐杆体ジストロフィー遺伝子検査|臨床遺伝専門医による網膜疾患の原因特定 – ミネルバクリニック


円錐杆体ジストロフィーとは

円錐杆体ジストロフィー(Cone-Rod Dystrophy;CRD)は、網膜の光感受性細胞である錐体細胞と杆体細胞に影響を及ぼし、視力低下を引き起こす疾患群です。主に錐体細胞に影響しますが、一部のケースでは錐体細胞と杆体細胞の両方に同時に影響を与えることもあります。

円錐杆体ジストロフィーの症状

円錐杆体ジストロフィーの初期症状は小児期に現れることが多く、以下のような症状が見られます:

  • 視力低下
  • 色覚異常
  • 光感受性(羞明)
  • 中心視野の障害

疾患が進行すると、以下のような症状が現れることがあります:

  • 暗点(見えない部分)の出現
  • 周辺視野の喪失
  • 眼振(眼球の不随意運動)
  • 夜盲症

患者さんは中年期に法的失明に至る可能性があります。現在の治療は視力のサポートと症状の軽減に焦点を当てています。

円錐杆体ジストロフィーの遺伝要因

円錐杆体ジストロフィーは遺伝的要因が関与する疾患で、さまざまな遺伝子の変異によって引き起こされます。この疾患は非症候群性の形態が多く、様々な遺伝形式を示します。

遺伝形式

●常染色体優性遺伝
片方の親から変異遺伝子を受け継ぐだけで発症します。親のどちらかが罹患している場合、子どもが発症するリスクは50%です。
●常染色体劣性遺伝
両方の親から変異遺伝子を受け継いだ場合に発症します。両親が保因者の場合、子どもが発症するリスクは25%です。
●X連鎖遺伝
X染色体上の遺伝子変異により発症し、主に男性に影響を与えます。
●新生突然変異
両親に変異がなくても、新たに生じた遺伝子変異により発症することがあります。

円錐杆体ジストロフィーにおける遺伝子検査の重要性

  • 正確な診断の確立
  • 疾患の進行予測
  • 家族への遺伝リスク評価
  • 個別化された治療方針の決定
  • 臨床試験への参加機会の提供
  • 家族計画に関する情報提供

家族のリスクについて

円錐杆体ジストロフィーの家族歴がある場合のリスクは、遺伝形式により異なります。

重要:個人の具体的なリスクについては、実際に遺伝子検査を行わない限り正確にお答えすることはできません。これは、円錐杆体ジストロフィーの原因が多様であり、同じ家系内でも原因遺伝子や変異の有無が人によって異なるためです。

家族歴に基づくリスク評価

●両親の一方が罹患している場合(常染色体優性遺伝)
子どもが発症するリスクは50%です。
●両親が保因者の場合(常染色体劣性遺伝)
子どもが発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。
●きょうだいに罹患者がいる場合
遺伝形式により異なりますが、常染色体劣性遺伝の場合、あなたが保因者である確率は約67%です。
●X連鎖遺伝の場合
母親が保因者の場合、男児の50%が発症し、女児の50%が保因者となります。

遺伝カウンセリングの重要性

正確なリスク評価のためには、専門的な遺伝カウンセリングが不可欠です。遺伝カウンセリングでは以下を行います:

  • 詳細な家系図の作成
  • 家族歴の詳細な聴取
  • 個別のリスク計算
  • 適切な検査の提案
  • 検査結果の解釈
  • 将来の家族計画に関する選択肢の説明
  • 心理的サポートと情報提供

円錐杆体ジストロフィー遺伝子検査

円錐杆体ジストロフィー遺伝子パネル検査は、非症候群性の円錐杆体ジストロフィーに関連する29の遺伝子を包括的に分析する検査です。この検査により、疾患の原因となる遺伝子変異を特定し、より個別化された患者ケアを提供することが可能となります。

検査によって得られるメリット

  • 適切な診断の確立または確認
  • 関連する追加症状のリスク特定
  • より個別化された治療と症状管理
  • 家族のリスク要因に関する情報提供
  • 関連するリソースとサポートへの接続
  • 家族計画のための選択肢の提供
  • 臨床試験への参加機会

円錐杆体ジストロフィー遺伝子検査を受けるべき人

円錐杆体ジストロフィーと
診断された人
ご家族に円錐杆体
ジストロフィーの
診断がある人
原因不明の
視力低下がある人

上記のいずれかに当てはまるすべての人が対象です

円錐杆体ジストロフィー遺伝子検査は、円錐杆体ジストロフィーと診断された人、ご家族に同疾患の診断がある人、または原因不明の視力低下がある人すべてが対象となります。様々な遺伝形式を示すため、新生突然変異の可能性もあり、家族歴がない場合でも検査の適応となることがあります。

円錐杆体ジストロフィーは、患者さんそれぞれで病因や症状の進行が異なります。そのため、治療計画は患者さんに合わせて個別に作成されなければなりません。遺伝子検査により、現在存在する特定の病因や予後に関する情報が明確になり、個別化され効果的な治療につながる可能性があります。

円錐杆体ジストロフィー遺伝子検査に含まれる遺伝子

検査対象遺伝子(29遺伝子)
ABCA4, ADAM9, AIPL1, BEST1, C8orf37, CACNA1F, CACNA2D4, CDHR1, CERKL, CNGB3, CNNM4, CRX, DRAM2, GUCA1A, GUCY2D, KCNV2, PDE6C, PDE6H, PITPNM3, POC1B, PROM1, RAB28, RAX2, RDH5, RIMS1, RPGRIP1, SEMA4A, TTLL5, UNC119
遺伝子 疾患の特徴
ABCA4 ABCA4遺伝子変異は、スターガルト病や円錐杆体ジストロフィーの最も一般的な原因です。この遺伝子は網膜色素上皮細胞でのビタミンA代謝に重要な役割を果たします。患者は通常10-20歳代で中心視力低下、光感受性、色覚異常を発症します。黄斑部に特徴的な黄白色の斑点が現れ、徐々に網膜萎縮が進行します。疾患の進行は比較的遅く、視野の周辺部は長期間保たれることが多いですが、最終的には法的失明に至る場合があります。常染色体劣性遺伝形式を示します。
ADAM9 ADAM9遺伝子変異による円錐杆体ジストロフィーは比較的まれな疾患です。この遺伝子は細胞接着や細胞外マトリックスの分解に関与するメタロプロテアーゼをコードしています。患者は小児期から若年成人期にかけて進行性の視力低下、色覚異常、光感受性を示します。網膜電図では錐体反応の著明な低下が特徴的で、杆体機能も軽度から中等度の障害を認めます。疾患の進行は個人差が大きく、一部の患者では比較的緩徐な経過を示します。常染色体劣性遺伝形式を示すことが多いです。
AIPL1 AIPL1遺伝子変異は主にレーベル先天性黒内障(LCA)の原因として知られていますが、円錐杆体ジストロフィーも引き起こします。この遺伝子は光受容細胞の発達と維持に重要な分子シャペロンをコードしています。患者は乳幼児期から重度の視力障害を呈し、眼振、光感受性、夜盲症を伴います。網膜電図では錐体と杆体両方の機能低下が認められ、進行性の網膜変性が特徴的です。一部の患者では比較的軽症の経過を示すこともあります。常染色体劣性遺伝形式を示し、早期診断と遺伝カウンセリングが重要です。
BEST1 BEST1遺伝子変異はベスト病(Best vitelliform macular dystrophy)や成人発症黄斑変性症の原因となります。この遺伝子は網膜色素上皮細胞のクロライドチャネルをコードし、細胞の電解質バランス維持に重要です。患者は小児期から成人期にかけて中心視力の段階的な低下を示し、黄斑部に特徴的な卵黄様の病変が現れます。病変は時間とともに変化し、最終的には萎縮性変化に移行します。視野の周辺部は通常保たれますが、読書などの中心視力を必要とする作業が困難になります。常染色体優性遺伝形式を示すことが多いです。
C8orf37 C8orf37遺伝子変異による円錐杆体ジストロフィーは、光受容細胞の繊毛機能障害を特徴とします。この遺伝子は光受容細胞の繊毛構造の維持に重要な役割を果たします。患者は小児期から若年成人期にかけて進行性の視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体機能の早期低下と、その後の杆体機能障害が認められます。疾患の進行は比較的急速で、中年期までに重度の視力障害に至ることが多いです。眼底所見では黄斑部の萎縮性変化と色素沈着が特徴的です。常染色体劣性遺伝形式を示します。
CACNA1F CACNA1F遺伝子変異は不完全型先天性停止性夜盲症(incomplete congenital stationary night blindness)や円錐杆体ジストロフィーを引き起こします。この遺伝子は網膜の神経伝達に重要なカルシウムチャネルをコードしています。患者は幼児期から夜盲症、光感受性、色覚異常を示し、進行性の視力低下を呈します。網膜電図では特徴的な陰性波形を示し、杆体および錐体両方の機能異常が認められます。眼振や屈折異常を伴うことも多く、中心視力の低下は軽度から中等度のことが多いです。X連鎖劣性遺伝形式を示すため、主に男性が発症します。
CACNA2D4 CACNA2D4遺伝子変異による円錐杆体ジストロフィーは、網膜のシナプス伝達異常を特徴とします。この遺伝子はカルシウムチャネルの調節サブユニットをコードし、光受容細胞と双極細胞間の神経伝達に重要です。患者は小児期から青年期にかけて進行性の視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体反応の早期低下が特徴的で、杆体機能も徐々に障害されます。黄斑部の変性が主体となり、周辺視野は比較的長期間保たれます。疾患の進行は中等度で、成人期に法的失明に至ることがあります。常染色体劣性遺伝形式を示します。
CDHR1 CDHR1遺伝子変異は円錐杆体ジストロフィーの原因の一つで、光受容細胞間の接着に関与するカドヘリンをコードしています。この遺伝子変異により、光受容細胞の構造的完全性が損なわれます。患者は小児期から若年成人期にかけて中心視力低下、色覚異常、光感受性を示します。網膜電図では錐体機能の早期かつ著明な低下が特徴的で、杆体機能も軽度から中等度の障害を認めます。黄斑部の萎縮性変化が進行し、時間とともに周辺部にも変性が及びます。疾患の進行は比較的急速で、早期からの視覚リハビリテーションが重要です。常染色体劣性遺伝形式を示します。
CERKL CERKL遺伝子変異による円錐杆体ジストロフィーは、セラミド代謝異常を背景とした網膜変性疾患です。この遺伝子はセラミドキナーゼ様タンパク質をコードし、脂質代謝と細胞の生存に重要な役割を果たします。患者は小児期から若年成人期にかけて進行性の視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体と杆体両方の機能低下が認められ、時間とともに進行します。黄斑部の萎縮性変化が特徴的で、色素沈着を伴うことがあります。疾患の進行は中等度から急速で、成人期に重度の視力障害に至ることが多いです。常染色体劣性遺伝形式を示します。
CNGB3 CNGB3遺伝子変異は全色盲(achromatopsia)や円錐杆体ジストロフィーの原因となります。この遺伝子は錐体細胞の光伝達に必要な環状ヌクレオチド依存性イオンチャネルをコードしています。患者は出生時から重度の光感受性、色覚の完全な欠如、中心視力低下、眼振を示します。明るい環境では視力が著明に低下し、暗所でも杆体機能の障害により夜盲症を呈します。網膜電図では錐体反応の完全な欠如が特徴的です。知的発達は正常で、適切な遮光眼鏡や視覚補助具により日常生活の質を改善できます。常染色体劣性遺伝形式を示します。
CNNM4 CNNM4遺伝子変異による円錐杆体ジストロフィーは、マグネシウム輸送体の機能異常を背景とした網膜変性疾患です。この遺伝子は細胞内マグネシウム恒常性の維持に重要な役割を果たします。患者は小児期から若年成人期にかけて進行性の視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体機能の早期低下と、その後の杆体機能障害が認められます。黄斑部の萎縮性変化が主体となり、色素沈着や網膜血管の狭細化を伴うことがあります。疾患の進行は中等度で、適切な視覚リハビリテーションにより日常生活の質を維持できます。常染色体劣性遺伝形式を示します。
CRX CRX遺伝子変異はレーベル先天性黒内障、円錐杆体ジストロフィー、杆体錐体ジストロフィーなど多様な網膜変性疾患を引き起こします。この遺伝子は光受容細胞の発達と維持に重要な転写因子をコードしています。患者は疾患の重症度により、出生時から重度の視力障害を示すものから、小児期から若年成人期にかけて徐々に進行するものまで様々です。網膜電図では錐体および杆体両方の機能異常が認められ、眼底所見では網膜の萎縮性変化と色素沈着が特徴的です。常染色体優性または劣性遺伝形式を示し、遺伝子型と表現型の相関が認められます。
DRAM2 DRAM2遺伝子変異による円錐杆体ジストロフィーは、オートファジー機能異常を背景とした網膜変性疾患です。この遺伝子は細胞のオートファジー経路に関与し、光受容細胞の生存と維持に重要な役割を果たします。患者は小児期から若年成人期にかけて進行性の視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体機能の早期低下が特徴的で、杆体機能も時間とともに障害されます。黄斑部の萎縮性変化が主体となり、周辺部への拡大は比較的緩徐です。疾患の進行は中等度で、早期からの視覚リハビリテーションが重要です。常染色体劣性遺伝形式を示します。
GUCA1A GUCA1A遺伝子変異は円錐ジストロフィーや円錐杆体ジストロフィーの原因となります。この遺伝子は錐体細胞の光伝達経路で重要な役割を果たすグアニル酸シクラーゼ活性化タンパク質をコードしています。患者は小児期から若年成人期にかけて中心視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体反応の選択的な低下が特徴的で、杆体機能は比較的保たれることが多いです。黄斑部の萎縮性変化が主体となり、周辺視野は長期間保たれます。疾患の進行は比較的緩徐で、適切な視覚補助により日常生活の質を維持できます。常染色体優性または劣性遺伝形式を示します。
GUCY2D GUCY2D遺伝子変異はレーベル先天性黒内障や円錐杆体ジストロフィーの原因となります。この遺伝子は光受容細胞の光伝達に必要なグアニル酸シクラーゼをコードしています。患者は出生時から重度の視力障害を示すものから、小児期から徐々に進行するものまで様々な表現型を呈します。網膜電図では錐体および杆体両方の機能低下が認められ、重症例では反応が検出できないことがあります。眼振、光感受性、夜盲症を伴い、眼底所見では網膜の萎縮性変化が特徴的です。疾患の重症度は変異の種類により異なり、常染色体劣性遺伝形式を示します。遺伝子治療の研究対象としても注目されています。
KCNV2 KCNV2遺伝子変異による円錐ジストロフィーは、錐体細胞の電気的活動異常を特徴とします。この遺伝子は錐体細胞に特異的に発現するカリウムチャネルをコードし、細胞の電気的安定性に重要です。患者は小児期から若年成人期にかけて進行性の中心視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体反応の選択的かつ著明な低下が特徴的で、杆体機能は比較的保たれます。黄斑部の萎縮性変化が主体となり、周辺視野は長期間維持されることが多いです。疾患の進行は比較的緩徐で、適切な視覚リハビリテーションにより生活の質を保つことができます。常染色体劣性遺伝形式を示します。
PDE6C PDE6C遺伝子変異は全色盲や円錐杆体ジストロフィーの原因となります。この遺伝子は錐体細胞の光伝達に必要なホスホジエステラーゼをコードしています。患者は出生時から重度の光感受性、色覚の完全な欠如、中心視力低下、眼振を示します。明るい環境では視力が著明に低下し、暗所視力は比較的保たれますが、進行例では杆体機能も障害されます。網膜電図では錐体反応の完全な欠如が特徴的です。知的発達は正常で、遮光眼鏡や視覚補助具により日常生活への適応が可能です。疾患の進行は比較的緩徐ですが、一部の患者では錐体細胞の変性が進行することがあります。常染色体劣性遺伝形式を示します。
PDE6H PDE6H遺伝子変異による全色盲は、錐体細胞の光伝達異常を特徴とします。この遺伝子は錐体細胞特異的なホスホジエステラーゼの調節サブユニットをコードしています。患者は出生時から重度の光感受性、色覚の完全な欠如、中心視力低下、眼振を示します。明るい光の下では視力が著明に低下し、日常生活に大きな支障をきたします。網膜電図では錐体反応の完全な欠如が認められますが、杆体機能は正常に保たれることが多いです。適切な遮光眼鏡の使用により症状の軽減が可能で、暗所での視機能は比較的良好です。疾患は非進行性であることが多く、常染色体劣性遺伝形式を示します。
PITPNM3 PITPNM3遺伝子変異による円錐杆体ジストロフィーは、脂質代謝異常を背景とした網膜変性疾患です。この遺伝子は細胞膜の脂質代謝に関与するホスファチジルイノシトール転移タンパク質をコードしています。患者は小児期から若年成人期にかけて進行性の視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体機能の早期低下と、その後の杆体機能障害が認められます。黄斑部の萎縮性変化が特徴的で、色素沈着や網膜血管の異常を伴うことがあります。疾患の進行は中等度で、成人期に重度の視力障害に至ることが多いです。常染色体劣性遺伝形式を示し、早期診断と遺伝カウンセリングが重要です。
POC1B POC1B遺伝子変異による円錐杆体ジストロフィーは、光受容細胞の繊毛機能障害を特徴とします。この遺伝子は繊毛の構造と機能に重要な中心体タンパク質をコードしています。患者は小児期から進行性の視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体および杆体両方の機能低下が認められ、時間とともに進行します。黄斑部の萎縮性変化と色素沈着が特徴的で、周辺部への拡大も認められます。疾患の進行は比較的急速で、中年期までに重度の視力障害に至ることが多いです。眼振や屈折異常を伴うことがあり、常染色体劣性遺伝形式を示します。繊毛病の一種として分類されることもあります。
PROM1 PROM1遺伝子変異はスターガルト病様黄斑ジストロフィーや円錐杆体ジストロフィーの原因となります。この遺伝子は光受容細胞の外節円盤膜の構造維持に重要な膜タンパク質をコードしています。患者は小児期から若年成人期にかけて中心視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体機能の早期低下が特徴的で、杆体機能も軽度から中等度の障害を認めます。黄斑部に特徴的な萎縮性変化と色素沈着が現れ、牛眼様病変を呈することがあります。疾患の進行は比較的緩徐で、周辺視野は長期間保たれることが多いです。常染色体劣性または優性遺伝形式を示します。
RAB28 RAB28遺伝子変異による円錐杆体ジストロフィーは、細胞内小胞輸送異常を背景とした網膜変性疾患です。この遺伝子は光受容細胞の繊毛における小胞輸送に重要なRabタンパク質をコードしています。患者は小児期から若年成人期にかけて進行性の視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体機能の早期低下と、その後の杆体機能障害が認められます。黄斑部の萎縮性変化が特徴的で、時間とともに周辺部にも変性が及びます。疾患の進行は中等度から急速で、成人期に重度の視力障害に至ることが多いです。繊毛病の特徴を示すことがあり、常染色体劣性遺伝形式を示します。
RAX2 RAX2遺伝子変異による円錐杆体ジストロフィーは、網膜発達異常を背景とした網膜変性疾患です。この遺伝子は網膜の発達と光受容細胞の分化に重要な転写因子をコードしています。患者は小児期から進行性の視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体および杆体両方の機能低下が認められ、重症例では早期から著明な機能障害を示します。黄斑部の萎縮性変化と色素沈着が特徴的で、網膜血管の異常を伴うことがあります。疾患の進行は比較的急速で、若年期から重度の視力障害に至ることが多いです。眼振や屈折異常を伴うことがあり、常染色体劣性遺伝形式を示します。
RDH5 RDH5遺伝子変異による網膜変性疾患は、ビタミンA代謝異常を背景とした疾患です。この遺伝子は網膜色素上皮細胞でのレチノール脱水素酵素をコードし、視覚サイクルに重要な役割を果たします。患者は通常、幼児期から夜盲症を主訴とし、その後徐々に中心視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では杆体機能の早期低下と、その後の錐体機能障害が認められます。眼底所見では網膜色素上皮の変化と色素沈着が特徴的です。疾患の進行は比較的緩徐で、適切な視覚補助により日常生活の質を維持できることが多いです。常染色体劣性遺伝形式を示します。
RIMS1 RIMS1遺伝子変異による円錐杆体ジストロフィーは、シナプス伝達異常を背景とした網膜変性疾患です。この遺伝子は光受容細胞のシナプス小胞の開口放出に重要な役割を果たすタンパク質をコードしています。患者は小児期から若年成人期にかけて進行性の視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体機能の早期低下が特徴的で、杆体機能も軽度から中等度の障害を認めます。黄斑部の萎縮性変化が主体となり、色素沈着を伴うことがあります。疾患の進行は中等度で、成人期に法的失明に至る可能性があります。常染色体劣性遺伝形式を示し、シナプス病の特徴を有します。
RPGRIP1 RPGRIP1遺伝子変異はレーベル先天性黒内障や円錐杆体ジストロフィーの原因となります。この遺伝子は光受容細胞の繊毛構造の維持に重要な役割を果たすタンパク質をコードしています。患者は出生時から重度の視力障害を示すものから、小児期から徐々に進行するものまで様々な表現型を呈します。網膜電図では錐体および杆体両方の機能低下が認められ、重症例では反応が検出できないことがあります。眼振、光感受性、夜盲症を伴い、眼底所見では網膜の萎縮性変化と色素沈着が特徴的です。疾患の進行は変異の種類により異なり、常染色体劣性遺伝形式を示します。繊毛病の一種として分類されます。
SEMA4A SEMA4A遺伝子変異による円錐杆体ジストロフィーは、軸索ガイダンス異常を背景とした網膜変性疾患です。この遺伝子は神経発達や血管新生に関与するセマフォリンファミリーのタンパク質をコードしています。患者は小児期から若年成人期にかけて進行性の視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体機能の早期低下と、その後の杆体機能障害が認められます。黄斑部の萎縮性変化が特徴的で、網膜血管の異常を伴うことがあります。疾患の進行は中等度で、成人期に重度の視力障害に至ることが多いです。眼外症状として軽度の発達遅滞を伴うことがあり、常染色体劣性遺伝形式を示します。
TTLL5 TTLL5遺伝子変異による円錐杆体ジストロフィーは、微小管の翻訳後修飾異常を背景とした網膜変性疾患です。この遺伝子は微小管のチューブリンリガーゼをコードし、光受容細胞の繊毛機能に重要な役割を果たします。患者は小児期から進行性の視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体および杆体両方の機能低下が認められ、時間とともに進行します。黄斑部の萎縮性変化と色素沈着が特徴的で、周辺部への拡大も認められます。疾患の進行は比較的急速で、中年期までに重度の視力障害に至ることが多いです。繊毛病の特徴を示し、常染色体劣性遺伝形式を示します。
UNC119 UNC119遺伝子変異による円錐杆体ジストロフィーは、光受容細胞の蛋白質輸送異常を背景とした網膜変性疾患です。この遺伝子は光受容細胞の外節における蛋白質の局在化に重要な役割を果たします。患者は小児期から若年成人期にかけて進行性の視力低下、色覚異常、光感受性を発症します。網膜電図では錐体機能の早期低下が特徴的で、杆体機能も軽度から中等度の障害を認めます。黄斑部の萎縮性変化が主体となり、色素沈着を伴うことがあります。疾患の進行は中等度で、適切な視覚リハビリテーションにより日常生活の質を維持できます。常染色体劣性遺伝形式を示し、光受容細胞の構造異常を特徴とします。

検体

血液、唾液、口腔粘膜ぬぐい液

※唾液・口腔粘膜ぬぐい液の場合は、遠方の方でもクリニックへお越しにならずに検査が可能です。(オンライン診療)
その場合は、オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングをしたのち、検体を当院にお送りいただく流れとなります。

検査の限界

詳しくはこちら
全ての配列決定技術には限界があります。この検査は次世代シーケンサー(NGS)によって行われ、コード領域とスプライシングジャンクションを調べるためにデザインされています。次世代配列決定技術および我々のバイオインフォマティクス分析は、偽遺伝子配列または他の高度に相同な配列の寄与を優位に減少させますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において、病原性の対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を妨害する場合があります。

サンガー法は、低品質スコアのバリアントを確認し適用範囲の基準を満たすために用いられます。欠失/重複分析により、1つの全遺伝子(口腔ぬぐい液検体及び全血検体)を含み大きさが2つ以上の連続したエクソン(全血検体のみ)であるゲノム領域の変化を同定できます。この検査で単一エクソンの欠失または重複が時々同定されることがありますが、日常的に検出されるものではありません。

同定された推定上の欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)によって確認されます。このアッセイは、限定されるものではありませんが、転座または逆位・反復拡張(例:トリヌクレオチドまたはヘキサヌクレオチド)・大部分の調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エクソンから20bpを超える)における変化のような疾患を引き起こし得る特定のタイプのゲノム変化を検出しません。

このアッセイは、体細胞モザイク現象または体細胞突然変異の検出のためにデザインまたは妥当性が確認されていません。

カバレッジ

≥99% at 20x(リード回数20回で99%以上)

検査が出るまでの期間

2~3週間

検査費用

円錐杆体ジストロフィー遺伝子検査:275,000円(税込)

遺伝カウンセリング料金:おひとり様別途16,500円(税込)(1~30分)

  • 検査を受けなくても遺伝カウンセリング料金は診察料ですのでお支払いください
  • お二人同時の場合は242,000円(税込)で追加させていただきます
  • お二人同時に同一検査を受けられる場合は、遺伝カウンセリング料金はおひとり分サービスさせていただきます

その他の料金

  • マイページ使用料:550円
  • 検査結果作成手数料:3,300円
  • 翻訳手数料:5,500円(ご希望の場合)

よくあるご質問

円錐杆体ジストロフィーは遺伝しますか?
はい、円錐杆体ジストロフィーは遺伝性疾患です。常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X連鎖遺伝など様々な遺伝形式を示します。また、新生突然変異による場合もあります。家族歴がない場合でも発症する可能性があるため、遺伝子検査による正確な診断が重要です。
家族に円錐杆体ジストロフィーの人がいます。私のリスクはどれくらいですか?
リスクは遺伝形式と血縁関係により異なります。常染色体優性遺伝の場合、親が罹患していれば50%のリスクがあります。常染色体劣性遺伝の場合、両親が保因者なら25%のリスクです。正確なリスク評価には遺伝カウンセリングと遺伝子検査が必要です。
検査ではどのような遺伝子を調べますか?
当院の円錐杆体ジストロフィー遺伝子パネル検査では、ABCA4、AIPL1、BEST1、CRX、GUCY2Dなど、円錐杆体ジストロフィーに関連する29の遺伝子を包括的に分析します。これらの遺伝子は非症候群性の円錐杆体ジストロフィーの主要な原因遺伝子です。
検査で陽性が出た場合、治療法はありますか?
現時点で円錐杆体ジストロフィーに対する根本的な治療法は限られていますが、早期診断により以下のメリットがあります:①症状に応じた視覚補助具の適切な選択、②疾患の進行予測と生活指導、③家族への遺伝カウンセリング、④臨床試験への参加機会、⑤将来の治療法開発への貢献。
検査費用はいくらですか?
円錐杆体ジストロフィー遺伝子検査は275,000円(税込)です。遺伝カウンセリング料金は別途おひとり様16,500円(税込)となります。お二人同時の場合は検査費用を242,000円(税込)で追加でき、遺伝カウンセリング料金はおひとり分をサービスいたします。
検査結果が出るまでどのくらいかかりますか?
検査結果は2~3週間でご報告いたします。次世代シーケンサー(NGS)による高精度な解析を行うため、お時間をいただいております。結果は詳細なレポートとともにお渡しし、必要に応じて追加の遺伝カウンセリングも実施いたします。
遠方からでも検査を受けられますか?
はい、唾液または口腔粘膜ぬぐい液での検査の場合、遠方の方でもクリニックにお越しいただくことなく検査が可能です。オンライン診療で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。詳しくはお問い合わせください。
検査の精度はどの程度ですか?
当院の検査では99%以上のカバレッジ(リード回数20回)を達成しており、高い精度での解析が可能です。次世代シーケンサー(NGS)技術により、コード領域とスプライシングジャンクションを詳細に分析します。ただし、すべての遺伝子変異を検出できるわけではなく、技術的限界があります。
遺伝カウンセリングは必須ですか?
はい、遺伝カウンセリングは検査の重要な部分です。検査前に詳細な家族歴の聴取、リスク評価、検査の意義と限界についてご説明します。検査後は結果の解釈、今後の対応、家族への影響について丁寧にご説明いたします。検査を受けない場合でも、遺伝カウンセリング料金はお支払いいただきます。
新生突然変異とは何ですか?
新生突然変異とは、両親には変異がないにも関わらず、お子さんに新たに生じる遺伝子変異のことです。円錐杆体ジストロフィーでは新生突然変異による発症も報告されており、家族歴がない場合でも遺伝子検査の適応となることがあります。このような場合、次のお子さんへの再発リスクは一般的に低くなります。



プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

お電話での受付可能
診療時間
午前 10:00~14:00
(最終受付13:30)
午後 16:00~20:00
(最終受付19:30)
休診 火曜・水曜

休診日・不定休について

クレジットカードのご利用について

publicブログバナー
 
medicalブログバナー
 
NIPTトップページへ遷移