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マイクロアレイ染色体検査(CMA)|臨床遺伝専門医による解析と診断|ミネルバクリニック

マイクロアレイ染色体検査(CMA)|臨床遺伝専門医による解析と診断|ミネルバクリニック

マイクロアレイ染色体検査(CMA)とは

マイクロアレイ染色体検査(Chromosomal Microarray Analysis: CMA)は、染色体の微細な欠失(マイクロ欠失)や重複(マイクロ重複)を検出する最新の遺伝学的検査です。

従来の染色体検査(Gバンド法)では、顕微鏡を使って染色体の縞模様を観察していましたが、これで見つけることができるのは比較的大きな変化に限られていました。マイクロアレイ検査は、DNAチップ技術を用いることで、Gバンド法の約100倍の解像度で染色体全域をスキャンすることが可能です。

【地図に例えると】
・Gバンド法:地図上で「国」レベルの消失や形の変化を見つける検査
・マイクロアレイ検査:地図上で「番地(家)」レベルの微細な変化を見つける検査

現在、欧米や日本の小児科学会・人類遺伝学会のガイドラインでは、原因不明の発達遅滞や先天異常が見られるお子様に対する第一選択の検査(ファーストライン)として推奨されています。

検査の対象となる方

従来の検査では原因がわからなかった以下の症状をお持ちの方に、マイクロアレイ検査は推奨されます。

主な適応

  • 原因不明の発達の遅れ(精神発達遅滞、知的障害)がある方
  • 自閉症スペクトラム障害(ASD)の傾向がある方
  • 注意欠如・多動性障害(ADHD)などの行動面の特徴がある方
  • 先天性の多発奇形(心疾患、口唇口蓋裂など)が見られる方
  • てんかん発作がある方
  • 従来の染色体検査(Gバンド法)で「異常なし」と言われたが、症状が続いている方

これらの症状の約15~20%において、マイクロアレイ検査により原因となる染色体の微細な変化が見つかると報告されています。

【重要】なぜ「臨床遺伝専門医」で受けるべきなのか

マイクロアレイ検査は非常に感度が高い検査です。そのため、病気とは関係のない個人差(良性の変化)や、現時点では医学的な意味がはっきりしていない変化(VUS:病的意義不明の変異)が見つかることが頻繁にあります。

この検査の最大の問題点は、「検査をすること」ではなく「結果を正しく解釈すること」が極めて難しい点にあります。

遺伝専門医ではない医師による誤った解釈のリスク

遺伝学に精通していない医師が検査を行った場合、以下のようなリスクが生じる可能性があります。

  • 過剰診断:病気とは無関係な良性の変化を「原因」と誤って伝えられ、家族が不要な不安を抱える。
  • 過小評価:重要な所見を見逃し、「異常なし」と判断されてしまう。
  • 説明不足:VUS(意義不明)という結果に対して、「よくわからないので様子を見ましょう」としか説明されず、検査を受けたことでかえって混乱する。

ミネルバクリニックの院長は臨床遺伝専門医です。世界中の最新のデータベースや論文知見に基づき、検出された変化が本当にお子様の症状の原因なのか、それとも心配のない変化なのかを厳密に評価・診断します。VUSが出た場合でも、ご両親の検体を確認(トリオ検査の提案)するなどして、可能な限り明確な答えを導き出すよう努めます。

検査内容と流れ

当院のマイクロアレイ染色体検査は、患者様(お子様またはご本人)の血液等からDNAを抽出し、ゲノム全域のコピー数変化(CNV)を解析します。

当院は遺伝子検査専門のクリニックとして、迅速かつ正確な検査体制を整えています。

ミネルバクリニックの特徴

1. スピード報告:
通常、大学病院などでは結果が出るまでに1ヶ月以上かかることもありますが、当院では約2~3週間で結果をお返しすることが可能です。

2. 丁寧な遺伝カウンセリング:
検査前には検査のメリット・デメリットを、検査後には結果の意味と今後の生活への影響を、専門医が時間をかけて丁寧に説明します。

検体について

血液(推奨)、または唾液・頬粘膜スワブ

※マイクロアレイ検査は高精度のDNA解析が必要なため、基本的には血液検査(採血)を推奨しておりますが、状況に応じて唾液等での検査が可能な場合もございます。
 オンライン診療も可能です。
 遠方の方でも、オンラインで遺伝カウンセリングを行った後、お近くの当院連携医療機関で採血を行っていただく流れとなります。
 まずはご相談ください。

検査の限界

詳しくはこちら

マイクロアレイ検査は万能ではありません。以下の変化は検出できない、または検出が困難です。

  • 均衡型転座:染色体の場所が入れ替わっているだけで、遺伝物質の量に増減がない変化。
  • 低頻度のモザイク:体の一部の細胞だけに異常がある場合(通常20%以下のモザイクは検出困難)。
  • 点変異:遺伝子の中の1文字だけの変化(メンデル遺伝病など)。これらを調べるには、別途「全エクソーム解析」や「遺伝子パネル検査」が必要です。

※どのような検査が最適かは、遺伝カウンセリングにて症状を伺いながら専門医がアドバイスいたします。

結果が出るまでの期間

2~3週間

料金

税込み253,000円(税抜 230,000円)
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

健康保険は適用されますか?
当院の検査はすべて自由診療(自費)となっており、健康保険は適用されません。ただし、確定診断後の療育や治療に関しては、通常の保険診療や公費助成の対象となる場合があります。
以前、病院で染色体検査をして「異常なし」と言われました。受ける意味はありますか?
はい、受ける意味は十分にあります。以前行われた検査が「Gバンド法」であれば、微細な欠失は見逃されている可能性があります。マイクロアレイ検査を行うことで、Gバンド法で異常なしとされた方の約15~20%で新たに原因が見つかっています。
全エクソーム解析(WES)とは何が違うのですか?
マイクロアレイ検査は「染色体の微細な量(数)の変化」を見るのが得意な検査です。一方、全エクソーム解析は「遺伝子の文字(配列)の細かいミス」を見るのが得意な検査です。どちらが適しているかは、患者様の症状やこれまでの検査歴によりますので、遺伝カウンセリングで専門医が最適な検査をご提案します。
何歳から検査を受けられますか?
年齢制限はありません。0歳の新生児から大人の方まで、どの年齢でも検査を受けていただけます。
検査に伴う痛みはありますか?
血液検査の場合は、通常の採血と同じ程度の痛みです。小さなお子様で採血が困難な場合は、唾液など他の採取方法が可能か検討いたしますのでご相談ください。
結果が「VUS(意義不明)」だった場合どうなりますか?
VUSとは、現時点では病気との関連がはっきりしない変化のことです。この場合、当院の専門医が最新の論文などを詳細に調査し、その変化が症状に関連する可能性を評価します。また、必要に応じてご両親の検査(トリオ検査/別料金)を追加で行い、その変化が遺伝したものか突然変異かを調べることで、病的意義を確定できる場合があります。
原因がわかった場合、治療法はありますか?
染色体や遺伝子の変化そのものを治す根本的な治療法は現時点では少ないですが、原因がわかることで「合併症の予測と予防」「効果的な療育プランの作成」「同じ疾患を持つ患者会との繋がり」などが可能になります。
大人の発達障害でも検査は受けられますか?
はい、可能です。成人の方で、ご自身の特性の原因を知りたいという理由で検査を受けられる方も増えています。



プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら