2023.08.10|院長監修のNIPT記事がyahoo newsに掲載されました
院長の監修のNIPTに関する記事(新型出生前診断(NIPT)で「陽性」が出たらどうすればいい? 偽陽性の可能性もある?)が、ヤフーニュースに掲載されましたので、引用いたします。
引用:新型出生前診断(NIPT)で「陽性」が出たらどうすればいい? 偽陽性の可能性もある?
新型出生前診断(NIPT)で「陽性」が出たらどうすればいい? 偽陽性の可能性もある?
たくさんの迷いを乗り越え、覚悟を持って「新型出生前診断(NIPT)」を受けられた方でも、いざ「陽性」と出ると、どうして良いかわからず途方に暮れてしまうのではないでしょうか。
今回は、「新型出生前診断で「陽性」が出たらどうすればいい?」と題し、臨床遺伝専門医の仲田先生(ミネルバクリニック 院長)に、お話を伺いました。
[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
新型出生前診断(NIPT)とはどのような検査なのか 検査結果の見方を併せて解説
編集部:
「新型出生前診断(NIPT)」とはどのような検査ですか?仲田先生:
「新型出生前診断(NIPT)」は「出生前検査」の一つですね。「出生前検査」とは、出生前に胎児の状態を確認する検査で、種類がいくつかあります。中でも、新型出生前診断は、母体の血液から、胎児の染色体異常、主にトリソミーの可能性について調べる検査です。通常2本で1対の染色体が、何らかの要因で、3本で1対となる状態が「トリソミー」で、何番目の染色体にトリソミーがあるかによって、出現する病気は異なります。例えば13番はパトー症候群、18番はエドワーズ症候群、21番はダウン症候群となります。
編集部:
新型出生前診断の検査結果はどのように出るのですか?仲田先生:
「陰性」「陽性」で判定されます。検査会社によりますが、陽性の場合には、陽性的中率が記載されていることもあります。また、現在の検査は基本的に、「胎児分画(胎児DNA比率)」を記載しています。胎児分画の数値は、基本的には4%ないと検査の正確性が担保出来ませんから、胎児分画は非常に重要な値です。検査会社によっては臨床試験で正確性を確認した上で、この値を2~3%にしているところもあります。
編集部:
では、「陽性」が出た場合は?仲田先生:
「陽性」の結果は、指定された病気のリスクが高いことを示しています。しかし、新型出生前診断はあくまでも「スクリーニング」であり、異常な結果は診断的なものではありません。スクリーニング検査とは、「正常な集団から、病気の疑いのある人をふるい分ける検査」という意味で、健康診断と同じと考えていただくとわかりやすいでしょう。
よって、新型出生前診断で陽性になっても、赤ちゃんが病気だと確定するためには、いわゆる「確定的検査」が必要になります。
新型出生前診断(NIPT)で陽性判定が出たら受ける「確定的検査」とは 羊水検査では何がわかる?
編集部:
「確定的検査」とはなんですか?仲田先生:
先ほど、「出生前検査には、種類がある」とお伝えしましたが、出生前検査には、胎児の病気の可能性がわかる「非確定的検査」と、胎児の病気を確定する「確定的検査」の2つに分けられます。新型出生前診断は、前者の「非確定的検査」に分類され、あくまでも「病気の可能性」を調べる検査ですので、病気を確定するには「確定的検査」を受けていただく必要があるのです。
編集部:
具体的に、どんな検査を受けるのですか?仲田先生:
厚生労働省は、「確定的検査」として、「羊水検査」と「絨毛(じゅうもう)検査」をあげています。「羊水検査」は、お腹に針を指して羊水を採取する検査で、「絨毛検査」は、胎盤の一部である「絨毛」を、同様に針をさして採取し、調べる検査です。編集部:
羊水検査では何がわかるのですか?仲田先生:
先ほどの「トリソミー」のほか、「モノソミーX(ターナー症候群)」や、「クラインフェルター症候群」などがわかります。編集部:
それぞれどんな病気なのですか?仲田先生:
「モノソミーX(ターナー症候群)」は、性染色体XXのうち、1本の一部や全体が欠けている、女性特有の病気です。低身長や不妊症が見られますが、長期的な予後に大きな問題はありません。「クラインフェルター症候群」は、性染色体XYがXXYやXXXYなど、Xが2つ以上になっている男性特有の染色体異常です。
手足が細くて長い外見的な特徴や、精巣委縮、無精子症、女性化乳房などの症状が発生することが多く、言語能力や読む力に問題を抱えることもあります。
新型出生前診断(NIPT)を受けるにあたって、私たちが考えるべきこととは
編集部:
知っておくべきことが、たくさんあるのですね。仲田先生:
そうなのです。新型出生前診断は、簡便で安全性も高く、ある程度の正確性もある検査ですが、受ける前に知っていただきたいことや、考えておいていただきたいことなどがたくさんあります。編集部:
どんなことを考えておく必要がありますか?仲田先生:
出生前検査は、胎児の状況を正確に知り、将来の予測を立て、妊婦とパートナーの意思決定を支援することを目的とする検査です。検査を受ける妊婦さん、そして家族やパートナーが、「出生前検査がどのような検査か」を正しく理解した上で、検査を受けるかどうかを判断していただきたいということですね。
先ほども説明しましたが、結果が「陽性」だったからといって、パニックになったり、妊娠の継続を望めなくなったりしてしまう方がいらっしゃいます。検査を受ける前に、十分な説明やカウンセリングを受けて、疑問や不安を解消してください。
また、検査を受ける医療機関は、陽性になったときに、しっかりとカウンセリングをしてくれるところを選んでください。
編集部:
ほかにも、考えておくことはありますか?仲田先生:
もう一つは、「検査」である以上、好ましくない結果が出る場合もあるということです。新型出生前診断の後、確定的検査においても、「異常」という結果が出る可能性も、もちろんあるのです。そうなった時、どのような判断をすべきか迷う方も少なくありません。大きな決断を迫られることにもなります。そんな時、例えば当院では、無料で何度でも相談に乗る体制を取っています。
医療というのは、身体や心が辛い方に手を差し伸べることが基本と考えているため、と言うのが一つの理由です。もう一つの理由は、産婦人科医に落ち着いて相談できない、言いたいことが言えない、というお声をたくさん頂戴しているからです。
確定的検査までの間、不安な思いで過ごす方々が、「出生前診断のトレーニングを受けた臨床遺伝専門医に、何度でも話を聞いてもらえる」ことで、患者さんの不安を取りたい、悪い状況の中でも一つ良い状況を作りたい、という想いからこのような体制にしています。
編集部:
そんな医療機関が、これから増えていくと良いですね。仲田先生:
米国産婦人科学会のガイドラインでは、「胎児染色体異数性のスクリーニング検査結果が陽性であった患者は、遺伝カウンセリングを受け、結果を確定するための診断検査の機会を持つ包括的な超音波評価を受けるべきである」とされています。日本では胎児超音波評価の技術が普及していないせいか、新型出生前診断が陽性なら羊水検査、というセオリーがありますが、「本当は羊水検査を受けたくなかった」という声も聞かれます。
羊水検査を受けられるのは妊娠16週以降であるため、大事な決断を先延ばしにしてしまうことになるからです。こうした、「望まない検査」や、「中絶時期の遅れ」は、女性たちに耐えがたいトラウマをもたらすことになります。
目の前の一人ひとりにベストプラクティスを提供したい、ベストチョイスを探したい。その過程こそが女性たちをPTSDから守ると考えています。
編集部:
最後に、読者へのメッセージをお願いします。仲田先生:
先日、出生後に「鎖肛(赤ちゃんの肛門が閉じている状態)」が判明したという方から、「有名クリニックで中期胎児ドックを受けたのに……」という相談を受けました。「鎖肛が出生前にわかる確率はとても低い」とお伝えしたら、気持ちが楽になったようです。「なぜこんなことに?」から、「仕方のないことだったのだ」と思えることは非常に重要です。私は、中立的立場で科学的根拠をきちんと提示して、患者さんのモヤモヤ感をぬぐう事で、明日への一歩を力強く踏み出していただける、そんな支援を心がけています。
1994年のカイロ会議で、自分の身体に関することを自分自身で選択し、決められる権利である「リプロダクティブ・ライツ」が提唱されました。
「私のからだは私のもの」「産む・産まないは女性の自己決定」という言葉は、当事者である女性自らが選択していけることを表しています。もっと女性の権利が守られる、女性が生きやすい社会をつくることが、少子化から日本を救うと私は信じています。
編集部まとめ
ミネルバクリニック(東京都港区)「新型出生前診断(NIPT)」について、結果の捉え方、その後の考え方などを伺いました。
検査を受ける前からパートナーと話し合い方針をある程度決めておくこと、そして、検査結果が出てからも、しっかりとカウンセリングをしてくれる医療機関がもっと増えたら良いですね。仲田先生、ありがとうございました。
【この記事の監修医師】
仲田 洋美 先生(ミネルバクリニック)
1995年高知医科大学医学部(現・高知大学医学部)卒業後、高知医科大学内科・外科、兵庫医科大学病院臨床遺伝部などで経験を積んだのち、2014年12月、「新宿ミネルバクリニック」を開院、院長となる。2018年3月、「ミネルバクリニック」を北青山に移転、現在に至る。日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
これからも、みなさまのお役に立てる情報発信をしていきたいと思います。