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予後 prognosis

予後

ある病気が進行する可能性や予想される症状、あるいは改善の可能性、ある結果や経過、回復や再発の可能性についての医師の判断を予後prognosisといいます。

主治医とのオープンで誠実なコミュニケーションを保つことは、患者ケアにおいて大変重要です。実際、主治医と良好な関係を築いている人は、自分が受ける医療に満足している傾向があります。しかし、自分や大切な人の予後に対する会話を始めるのは勇気が必要で難しい場合もあります。

重い病気の診断を受けた人が最初に心配することは、その病気がうまく治療できるかどうかということです。しかし、多くの人は自分の予後について尋ねることをためらい、医師も予後について話すことに抵抗を感じることがあります。

「予後」という言葉は、実際にはどのような意味を持つのでしょうか?

予後とは、病気の予測される経過を表す言葉です。個々の医師たちが勘を働かせて考えているわけではなく、たとえば胃がんで転移があると〇か月以内に△%の人がなくなる、というデータをもとに医師は大体の予想をすることになります。予後は一般的には、個人の余命を意味する言葉として使われます。しかし、予後とは、病気が治癒する可能性や、機能回復の見通しを意味することも全部含んでいる概念なのです。機能回復の見通しとは、仕事や娯楽への復帰の可能性や、日常生活を送るために必要な介助の程度を意味します。

医師はどのようにして患者さんの予後を判断するのですか?

一般的には、類似する状況であると診断を受けた人たちの臨床研究の経過や余命や生存などといった状態とその確率を参考にして、患者さんが治癒する可能性、機能回復の程度、余命などを医師たちは予測しています。しかし、患者の予後は常に推定値であり、大まかな推定値であることがわかっています。たとえばあるがんで遠隔転移がある状態ならば半年以内に9割の人がなくなっている、しかし5年以上生存している人が2%程度いる、というデータがあっても、目の前の患者さんがどちらの集団に入る人なのか、ということはわかりません、集団の統計を個人に適用することは常に困難です。全く同じ人はいないからです。そのため、医師は、治癒率や似たようながんを持つグループの平均生存率を見るだけでなく、個々の患者さんの健康状態や独自の病歴を考慮して余命を予測する必要があります。

がんが増殖・転移すると、医師は患者さんの体重の減り方、日常生活の送り方、たとえば歩行や階段昇降がどれくらいできているか、着替えなど日常動作に他の人の助けを必要としているかなどの機能を長期的に評価します。衰えかたのパターンを認識することで、将来の機能や寿命を予測することができるかもしれません。もちろん、これらの推定値は、新しい研究や治療の進歩によって常に変化する可能性があり、がんの分野は免疫療法などの新薬でめざましく変化しています。

予後に影響を与える他の要因はありますか?

医師は患者さんの寿命を過大評価する傾向があるようです。専門医は自分が治療している診断のことを主に考える傾向があるのに対し、患者さんは別の疾患で亡くなることがあるためです。例えば、がんの患者さんが、がんとは関係のない脳卒中で突然亡くなることがあります。また、医師が患者さんに望むことは、自分が世話をし、気にかけている人は、”平均的な患者さん “よりも長生きしてほしいと願うことも影響しているかもしれません。

医師と予後について話すことの利点は何ですか?

すべての人が疾患経過の予測や余命を知りたいわけではありません。予後を知ることで鬱になる場合もあるでしょう。死について話すことは賢明ではなく、死について話をすること自体が時には人を死に至らしめることもあると信じている文化の人たちもいます。人々の多くは、死にまつわる話が不幸を招くと感じる傾向があります。病気の母親や父親が治らないかもしれないという話をすると、「そんなことを言うな!考えるものじゃない」と非難されたりしますが、それはまるで話をすれば実現するかのようです。

予後を知りたくないのは当然のことですが、がんと共存することで、命の尊さ、そして誰もがいつかは死ぬという「誰も避けられない」事実が浮き彫りになります。

わたしも以前は患者さんに「死」を突きつけるのは悪いことだと考えていました。しかし、「何の治療もないまま死にたくない」「このままでは家に帰れない」と泣いて食事もろくにとろうとしなかった腎盂尿管がん(末期まで発見されにくいがんです)の90歳近い患者さんが余命が長くないのにこのまま病院に入院したままでいいのかと悩み、毎日ベッドで一緒に座り、いろんな話をして1週間くらいしてから切り出したことがあります。

「ところで、ちょっと考えてもらいたいんだけどね。今まで生まれてきて死ななくて済んだ人いますか?始皇帝って知ってます?いろんなお人形や生きている家来を連れてお墓に入りました。大きな国のどんな権力者でもお金があってもなくても死は誰にも平等に訪れる。突然具合が悪くなり、病院に行ったら末期がんで何もすることはありません、帰りなさい、と言われてしまい納得がいかないことについては理解します。それでもたとえばあと2か月残されているのであれば、その間をわたしとこうして過ごすのではなく、息子さんと過ごしませんか?家に帰っても痛みを取ることはできますよ。」

それから、彼女はだんだん食事をとるようになり。3日後くらいに言いました。

「先生。お世話になりました。あとは息子と家で過ごします。」

そしてしばらくわたしの外来に通ってきていました。ある朝息子さんから電話をもらいました。今朝眠るようになくなりました、家でゆっくり親子で過ごす時間を取れて本当に先生に感謝している、と。とても胸が熱くなりました。

それ以来、避けて通れない話なのだな、と思い、正直に患者さんと話をするようにしています。人生の最後の時間をどう過ごすかは、どう生きるのかと同じくらい大事なテーマであるはずだからです。

医師に予後を聞くきっかけを作るには

医師と患者さんは、お互いに正直に、そして率直に話し合うことで、最良の関係を築くことができます。医師は患者さんやご家族の治療のパートナーです。

重たい診断であればあるほど医師を信じられなくて疑心暗鬼は辛いでしょう。

がんと診断された人は、治る可能性がどれくらいあるのかを知りたいと思うものです。

がんが治らないことがわかったとき、患者さんは医師に「私はあとどれくらい生きられると思いますか」と聞くことに抵抗があるかもしれません。

わたしはいつもまずこう言ってました。「そうですねー。わたしたち医師は占い師ではないのであとどれくらい生きられるのかは神のみぞ知る、という事になるんですけどね。」ここでくすっと笑える精神状態かどうかを観察していました。そして、相手の反応を見ながら知りたい情報をどのタイミングで出していくのかを考えていました。患者さんによってはいきなり帰り道で自殺企図をする人もいるからです。

ですので、どれくらい生きられるのかという質問は医師にとっても嬉しいものではない、重たいものであることが多いのです。しかし、予後について相談したい場合は、必ず占い師や祈祷師ではなく医師に相談してください。

予後を知ることができる水晶玉があればほしいな、とわたしも思っていますが、現実にはそういう水晶玉はありません。

主治医に予後について尋ねるときは、予後の予測はあくまでも経験的な推測や統計的な数字から導かれることを忘れないでください。

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

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