胎児長骨(大腿骨、上腕骨)軽度短縮
胎児の大腿骨または上腕骨が軽度短縮しているという所見はダウン症候群(21トリソミー)のリスクを増加させる。実測値/予想値<0.9が異常と判断される。
しかし、この所見のあるとされた胎児の実に13%が、短い時間間隔でのフォローアップ超音波検査で正常になると報告されていて偽陽性が多いことに注意が必要である。
胎児の大腿骨または上腕骨が軽度短縮という所見は、トリソミー21の胎児の約28%で認められるのに対し、正常核型胎児では6%である。上腕骨(尤度比4.8)と大腿骨(尤度比3.7)とトリソミーの予測因子としては若干すぐれている。
異数性スクリーニングを受けたことがなく、上腕骨、大腿骨、またはその両方が短くなっている妊婦に対しては、母体胎児学会SMFMは、トリソミー21の確率を推定するためのカウンセリングと、セルフリーDNAを用いた非侵襲的異数性スクリーニング(NIPT)、またはコスト面等で受けられない場合はクアトロテストの選択肢について話し合うことを推奨している。
血清スクリーニングまたはNIPTの結果がすでに陰性であった場合には、それ以上の異数性評価は行わないが、再評価と成長の評価のために第3期の超音波検査を行うことを推奨している。
一方、重度な大腿骨短縮(<5パーセンタイル)や明らかな形状異常は、骨格形成不全、早期発症の胎児発育不全(fetal growth restriction: FGR)、および病的なCNVバリアントの兆候である可能性があるため別のアプローチが必要である。
この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号