タンパクとは|タンパク質、たんぱく質、蛋白質、蛋白、タンパクの違いは?

タンパクとは?

タンパクは、地球上の生命の継続的な機能にとって最も重要なものです。
タンパクという名称はギリシャ語のプロテオスに由来していて、”第一の”という意味です。
タンパクはアミノ酸が結合して長い鎖を形成しています。タンパク質は、ビーズのひものようなもので、そのビーズの一つ一つがアミノ酸であると考えることができます。
体内には20種類のアミノ酸が存在し、何千種類ものタンパクを形成しています。
タンパクは、細胞内で起こる化学反応の大部分を触媒しています。タンパクは、細胞の構造要素の多くを提供し、細胞を結合して組織にするのに役立っています。タンパクの中には、細胞の運動を可能にするための収縮する要素として働くものもあります。また、細胞外から細胞内への重要な物質の輸送を担っているものもあります。タンパクは、抗体となり生物を病原性微生物から守り、インターフェロンの形になって、抗体や他の免疫系の防御によって破壊を免れたウイルスを攻撃します。また、ホルモンの多くはタンパク質です。そしてタンパクは遺伝子の活動(遺伝子発現)の制御もしています。
こうしてからだのなかでなくてはならないのがタンパクで、アミノ酸がつながって作られています。
このタンパクをつくるおおもとの設計図をコードしているのが遺伝子で、DNAからできているゲノム全体のやく2%をしめています。
DNAが読み込まれてmRNAとなり、mRNA塩基配列の3つがセットになったコドンtRNAが付着してアミノ酸をつなげていきます。遺伝暗号を解読することは、まさに遺伝子の塩基配列からコドンを読み解きアミノ酸をつなげてタンパクを作ることなのです。

タンパク質、たんぱく質、蛋白質、蛋白、タンパクの違いは?

基本的には意味するところはどれも変わりません。分子生物学の分野になるとタンパクと表現することが殆どになります。
この タンパク質、たんぱく質、蛋白質、蛋白、タンパク の違いというのも結構馬鹿馬鹿しい話で、文部科学省の学術用語では、タンパク質と書く、厚生労働省では第六次改定日本人の栄養所要量などでたんぱく質と記載している、医学会の医学用語管理委員会では、蛋白質(ひらがなでもOK)と表記する、と決めていますし、医学会は、他の用語とあわせて用いる場合は、「質」を省く場合が多いので、医学部では タンパク と表記することが多いです。これらは英語にするとすべて protein という一つの単語になります。

からだのなかのタンパクのはたらき

タンパク質は細胞の中で様々な重要なはたらきをしています。

1. タンパクはからだの成長と維持に不可欠です

組織の成長と維持のために身体はタンパクを必要としています。しかし、体のタンパクは常に作られては壊されてまたつくられるというターンオーバーの状態にあります。通常の状況では、体は組織の構築や修復に使用するのと同じ量のタンパクを分解します。病気、妊娠中、授乳中などでは、体が作ることのできる量よりも多くのタンパクを分解してタンパク摂取の必要量が増えます。
タンパク質は組織の成長と維持に必要です。体内のタンパク質の必要量は、健康状態や活動レベルによって異なります。

2. 酵素は体の中で重要な化学反応が行われるようにするタンパクです

酵素は、細胞の内外で行われる何千もの生化学反応を助けるタンパクです。酵素は基質と呼ばれる細胞内の他の分子と結合し、代謝に不可欠な反応を触媒します。酵素は、糖の消化を助けるラクターゼやスクラーゼなどの消化酵素のように、細胞外でも機能することがあります。酵素の中には、反応を起こすためにビタミンやミネラルなどの他の分子を必要とするものもあり、それらを補酵素とよびます。
酵素に依存する身体機能には、消化、エネルギー産生、血液凝固、筋収縮などがあり、これらに関係する酵素の欠乏や機能不全は、疾患を引き起こす可能性があります。

3. タンパクはメッセンジャーとしてもはたらきます

タンパク質の中にはホルモンと呼ばれるものがあり、細胞、組織、臓器間のコミュニケーションを助ける化学的なメッセンジャーです。
内分泌組織や腺によって作られ、分泌され、その後、彼らは細胞表面上のタンパク質受容体に結合するところで、彼らのターゲット組織や臓器にうけとってもらえるように血液中を輸送されます。
ホルモンは主に3つのカテゴリーに分類されます。
1.タンパク質とペプチド。これらは数個から数百個までのアミノ酸の鎖から作られている。
2.ステロイド。これらは脂肪のコレステロールから作られます。性ホルモンであるテストステロンとエストロゲンはステロイドを原料としています。
3.アミン類。これらは個々のアミノ酸であるトリプトファンやチロシンから作られ、睡眠や新陳代謝に関係するホルモンを作るのに役立ちます。
タンパク質とポリペプチドで体のホルモンのほとんどを占めています。
一例をあげると以下のようなものがあります。
インスリン:グルコースや糖の細胞内への取り込みを知らせます。
グルカゴン:肝臓に保存されているブドウ糖の分解に信号を送ります。
hGH(ヒト成長ホルモン):骨を含む様々な組織の成長を刺激する。
ADH(抗利尿ホルモン)。腎臓に水分を再吸収するように信号を送る。
ACTH(副腎皮質刺激ホルモン):代謝に重要な因子であるコルチゾールの放出を刺激します。

このように様々な長さのアミノ酸鎖がタンパクやペプチドを形成してホルモンとよばれる分子になり、細胞、組織、器官の間で情報を伝達します。

4. 繊維状タンパク質と呼ばれるタンパク質は、体の様々な部分に構造、強度、弾力性を与えてくれます

一部のタンパク質は繊維状であり、細胞や組織の骨格をつくっています。
これらのタンパクには、ケラチン、コラーゲン、エラスチンが含まれ、体の特定の構造物の結合フレームワークを形成するのに役立ちます。
ケラチンは、皮膚、髪、爪に見られる構造的なタンパクです。
コラーゲンは体の中で最も多いタンパクで、骨、腱、靭帯、皮膚などの構造を作るのに必須なタンパク質です。
エラスチンはコラーゲンの数百倍の柔軟性を持っています。その高い弾力性により、子宮、肺、動脈などの多くの組織が伸縮しても元の形に戻ることができます。

5. 適切なpHを維持します。

タンパクはまた、血液や他の体液中の酸と塩基の濃度を調整するために重要な役割を果たしています。
ヒトの血液はpH7.4に保たれています。
pHがわずかに変化しただけでも有害で、死に至る可能性もあるため、pHを一定に保つことは非常に重要です。
pHを調節する方法のひとつは、タンパクです。例としては、赤血球を構成するタンパク質であるヘモグロビンがあります。
ヘモグロビンは酸を結合し、血液の正常なpH値を維持するのにはたらきます。

6. 血液中のタンパク質は、血液と周囲の組織の間の流体バランスを維持しています。

タンパク質は、体液バランスを維持するための体のプロセスを調節します。
アルブミンとグロブリンは、血液中に多いタンパクで、水分を血液の中に保持したりすることで体液バランスを維持する働きをしています。
十分なタンパク質を摂取しないと、アルブミンとグロブリンの血中濃度は低下します。その結果、これらのタンパク質は血管内に血液を保つことができず、体液は細胞間の隙間に逃げていくようになります。

7. タンパクは細菌やウイルスなどの病原体から体を守るための抗体を形成します。

タンパクは、感染症と戦うために免疫グロブリン(抗体)をつくって助けます。
抗体は、細菌やウイルスのような有害な侵略者から体を保護するのに役立つあなたの血液中のタンパクです。
外界からのちいさな侵略者(病原体)がからだに入ると、体はそれらを排除するために抗体を産生します。抗体がなければ、細菌やウイルスは自由に増殖し、感染症で死んでしまうでしょう。
一旦体が特定の細菌やウイルスに対する抗体を作ってしまえば、それらを作る方法をが記憶され、次に同じ病原体が体に侵入してきたときに、抗体が迅速に反応するようになります。

8. タンパクは栄養を全身に運んだり蓄えたりします

タンパクは、血液中の物質を細胞内に、細胞内の物質を細胞外に運ぶ役割もになっています。
これらのタンパクによって運ばれる物質には、ビタミンやミネラルなどの栄養素、糖などがあります。
例えば、ヘモグロビンは、肺から体の組織に酸素を運ぶタンパク質です。グルコーストランスポーター(GLUT)は、グルコースを細胞に移動させ、リポタンパク質は、血液中のコレステロールや他の脂肪を輸送します。
タンパク輸送体は特異的であり、特定の物質にのみ結合します。言い換えれば、グルコースを移動させるタンパク質トランスポーターは、コレステロールを移動できません。
タンパク質には貯蔵の役割もあり、たとえばフェリチンは鉄を貯蔵する貯蔵タンパクです。

9. エネルギーを提供する

タンパクは体にエネルギーを供給することができます。
タンパク質は1グラムあたり4カロリーで、これは炭水化物と同じエネルギー量です。脂肪は1グラムあたり9カロリーと最も多くのエネルギーを供給します。
しかし、貴重な栄養素であるタンパクは、体全体で重要な役割を果たしているため、生体の戦略としては単なるエネルギー源として利用したくないものです。
炭水化物と脂肪は、体が燃料として使用するための蓄えを維持しているため、エネルギーを供給するのに適しています。
実際、タンパク質は通常の状況下では、必要なエネルギーのほとんどを体に供給しません。しかし、絶食状態(18~48時間の食事摂取なしの状態)では、アミノ酸がエネルギーを供給できるように骨格筋の分解がおこります。

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号