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ダイニン

ダイニン

キネシンとダイニン

ダイニンは、3つの細胞骨格モータータンパク質ファミリーの1つで、その名前は「dyne」に由来する。1dyneは1グラムの質量に作用して、作用する方向に沿って毎秒1センチメートルずつ速度を増加させる力の単位である。

モータータンパク質は、ATPを燃料とし、真核細胞の運動、分裂、空間的組織化に不可欠であり、また、細胞骨格の高速道路と呼ばれる道に沿って細胞の貨物を輸送するのに十分な大きさの力を発生させている。細胞骨格モータータンパク質が機能不全に陥った場合、深刻な疾患につながる。

ダイニンは、タンパク質複合体としてその役割を果たす。ダイニンは重鎖と呼ばれるサブユニットを中心に構成され、力を発生させることができる。重鎖は、分子量が大きく、AAA+スーパーファミリーに属するモータードメインが、分岐したアミノ末端の尾部ドメインに結合していることから、この名がついた。これらのテールドメインは、オリゴマー化に関して異なる特性を持ち、様々なタイプの関連サブユニットの結合を可能にしている。これらのサブユニットは、カーゴとの相互作用や結合を媒介する。この相互作用は、直接行われる場合もあれば、アダプタータンパク質を介して行われる場合もある。

ダイニンの機能は体内の分子機械

ダイニンは、細胞質内で様々な機能を果たしている。ダイニンは、膜に結合した細管や小胞を、その内部の分子と一緒に輸送する原動力となる。この貨物は、微小管のマイナス端に向かって輸送される。

細胞骨格に沿って輸送されるオルガネラには、リソソームエンドソーム、ファゴソーム、ペルオキシソーム、メラノソーム、ミトコンドリア、脂質小滴、ゴルジ体に向かう小胞などがある。また、この輸送方法は、細胞領域を越えて特定のシグナルを伝達するためにも利用できる。

ダイニンは、分解・再利用が必要な細胞周辺のゴミの除去にも関与している。例えば、オートファゴソームは、神経細胞の遠位部でタンパク質やオルガネラを取り込み、ダイニン依存的な方法でこれらの貨物を細胞体に輸送して処理する。また、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、ダイニンに運ばれて目的の核に到達する。

ダイニンのその他の機能として、細胞内の構造物に張力を与える能力がある。微小管ネットワークを引っ張る力は、細胞皮質に繋がれたダイニンタンパク質によって生成・維持される。ダイニンは、微小管のマイナス端に向かって移動する、または、分解中の微小管のプラス端に結合するかの2つの方法でこれを達成する。このようにして、ダイニンは、微小管の細胞骨格をT細胞の免疫シナプスに向かって引っ張ったり、移動中の線維芽細胞や神経細胞の微小管の細胞骨格を最先端に向かって引っ張ったりすることができる。

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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