目次
- 1 1. チアノーゼとは?赤ちゃんの皮膚や唇が青く見える状態
- 2 2. すぐに受診・救急が必要なチアノーゼのサインは?
- 3 3. 赤ちゃんの手足が青い・紫色なのは正常?(末梢性チアノーゼ)
- 4 4. 唇・舌・体の中心が青いのは?(中枢性チアノーゼ)
- 5 5. 網状チアノーゼ(皮膚のまだら模様)は大丈夫?
- 6 6. 泣いたあとに顔色が青くなる(泣き入りひきつけ)
- 7 7. なぜ青く見えるの?還元ヘモグロビンと酸素飽和度のしくみ
- 8 8. 病院では何を調べる?チアノーゼの検査
- 9 9. チアノーゼと遺伝のつながり:先天性心疾患・22q11.2欠失症候群
- 10 よくある質問(FAQ)
- 11 まとめ
- 12 参考文献
- 13 関連記事
チアノーゼとは、皮膚や唇・舌などの粘膜が青紫色に見える状態のことです。赤ちゃん・新生児では、手足の先だけが青い「末梢性チアノーゼ」は寒さなどで起こりやすく、体が温まると戻ることが多い変化です。一方で、唇や舌など体の中心が青い「中枢性チアノーゼ」は、心臓や肺がうまく働いていないサインのことがあり、すぐに受診が必要です。この記事では、見分け方、網状チアノーゼ、いつまで続くか、病院で調べること、そして先天性心疾患と遺伝のつながりまでを臨床遺伝専門医が解説します。
⏱️ 30秒でわかる要約
👶 Q. 赤ちゃんのチアノーゼとは?手足が青いのは正常ですか?
チアノーゼとは、皮膚や粘膜が青紫色に見える状態です。手足だけが青く、温めるとピンク色に戻るなら、赤ちゃんによくある変化です。生まれた直後や寒いとき、お風呂上がりに見られることがあります。
🚨 Q. すぐに受診・救急が必要なのはどんなとき?
唇・舌・顔や体全体が青いまま戻らない、息が苦しそう(うなるような呼吸、小鼻がぴくぴく動く)、ぐったりしている、おっぱいやミルクを飲めないときは、すぐに救急(119番)や小児科を受診してください。夜間・休日に迷うときは#8000(こども医療電話相談)に電話できます。
🌡️ Q. 網状チアノーゼ(皮膚のまだら模様)や、泣いたときに青くなるのは?
寒いときに手足や体が網目のようなまだら模様になるのは、温めると消えることが多い変化です。泣いて息を止めたあとに顔色が青くなる「泣き入りひきつけ(憤怒けいれん)」は、最初の呼吸で顔色が戻るのが特徴です。どちらも、続く・くり返す・様子がいつもと違うときは小児科で相談してください。
🧬 Q. チアノーゼと遺伝は関係ありますか?
中枢性チアノーゼの原因のひとつが先天性心疾患で、その一部には22q11.2欠失症候群などの遺伝的な原因が見つかります。22q11.2欠失症候群は、当院のNIPTではすべてのプランで調べられます。
- ➤手足だけ青い → 末梢性チアノーゼ。温めて戻るなら赤ちゃんによくある変化
- ➤唇・舌・体の中心が青い → 中枢性チアノーゼ。すぐに受診
- ➤網状チアノーゼ・泣き入りひきつけ → 多くは一時的。続く・くり返すなら相談
- ➤病院で調べること → パルスオキシメーター・心エコーなど
- ➤遺伝とのつながり → 先天性心疾患と22q11.2欠失症候群・メトヘモグロビン血症

1. チアノーゼとは?赤ちゃんの皮膚や唇が青く見える状態
チアノーゼとは、皮膚や粘膜(唇・舌・口の中など)が青紫色に見える状態のことです。多くは血液中の酸素が足りないことを示すサインで、病名ではなく、体に現れた「見た目の変化(徴候)」を指す言葉です[1][4]。
チアノーゼは、青くなる場所によって2つに分けて考えます。体全体や唇・舌など体の中心の粘膜まで青くなるものを中枢性(中心性)チアノーゼ、手足の先など体の末端だけが青くなるものを末梢性チアノーゼと呼びます。末梢性は、血液の流れがゆっくりになる手足で起こりやすく、寒さや血流の低下と関係しています[1]。
赤ちゃんの場合、「手足が青い」と「唇や舌が青い」は、意味がまったく違います。検索で「チアノーゼ 赤ちゃん」と調べている方の多くが知りたいのは、目の前の青さが様子を見てよいものか、すぐに受診すべきものか、という点だと思います。そこで、この記事では最初に「すぐ受診のサイン」を示し、そのあとで種類ごとに説明します。「徴候」と「症状」の違いについては徴候と症状の違いで解説しています。
2. すぐに受診・救急が必要なチアノーゼのサインは?
唇・舌・顔など体の中心が青いまま戻らないときは、心臓や肺がうまく働いていないサインのことがあるため、すぐに医療機関を受診してください。米国小児科学会(AAP)は、赤ちゃんの皮膚の青さが続くことは心臓や肺の働きの問題を示すサインで、すぐに医療を受ける必要があるとしています[2]。米国国立医学図書館の解説も、子どもの皮膚が青いときは救急に連絡するよう勧めています[4]。
🚨 すぐに救急(119番)・小児科へ
- 唇・舌・口の中・顔や体全体が青い(または紫色)のまま戻らない
- 息が苦しそう:うなるような呼吸、小鼻がぴくぴく動く、呼吸がとても速い・努力しているように見える
- ぐったりしている、いつもより明らかに元気がない
- おっぱいやミルクを飲めない
- 呼吸が止まった・戻らない、けいれんを起こしている(初めてのけいれん、呼吸や顔色の異常を伴う場合は特に)
当院(ミネルバクリニック)は遺伝医療の専門クリニックで、赤ちゃんの診察は行っていません。上のサインがあるときは、ためらわずに救急や小児科を受診してください。
上の一覧は、AAPが挙げる「皮膚の青さが続く」[2]、米国国立医学図書館が子どもで救急連絡の目安として挙げる「努力しているような呼吸・うなり声・ぐったり・小鼻の動き」[4]、および泣き入りひきつけの解説にある「呼吸の停止やけいれん」[5]をもとにまとめたものです。
夜間・休日に迷ったら:#8000(こども医療電話相談)
夜間や休日に「救急に行くべきか迷う」ときは、#8000に電話すると、小児科の医師や看護師に相談できます。厚生労働省によると、#8000は全国共通の短縮番号で、かけた人の住む都道府県の相談窓口につながります。受付時間は都道府県ごとに異なります[6]。
ただし、#8000は「迷ったときの相談先」です。唇や舌が青いまま、息が苦しそう、ぐったりしている、といった明らかなサインがあるときは、電話相談を待たずに119番に連絡してください。
3. 赤ちゃんの手足が青い・紫色なのは正常?(末梢性チアノーゼ)
赤ちゃんの手足だけが少し青い・紫色で、温めるとピンク色に戻るなら、多くは心配のいらない末梢性チアノーゼです。AAPは、赤ちゃんの手足が軽く青や紫色になるのはたいてい正常で、寒さで青くなった場合は温まればピンク色に戻るとしています[2]。
手足の先は心臓から遠く、血液の流れがゆっくりになりやすい場所です。寒さで手足の細い血管が縮むと、血液が手足にとどまる時間が長くなり、そのあいだに組織へ酸素を渡した血液(酸素の少ない血液)の色が透けて見えるようになります。これが末梢性チアノーゼのしくみで、血液そのものの酸素が足りないわけではありません[1]。新生児に見られる手足の青さは、医学用語では「先端チアノーゼ(acrocyanosis)」とも呼ばれます。
生まれた直後・寒いとき・お風呂上がりに見られる
米国国立医学図書館の新生児の皮膚についての解説では、生まれた直後の健康な赤ちゃんでも手足が青みを帯びていることがあり、寒いと唇や手足が青くなったりまだらになったりすることがある、と説明されています[3]。日本小児循環器学会も、寒いときやプールのあとに唇の色が悪くなることがあり、ふつうは体が温まれば戻ると説明しています[7]。
「お風呂上がり」「沐浴のあと」「抱っこひもで足が下がっているとき」に足先が紫色になるのも、体温が下がったり、足に血液がたまりやすくなったりして起こる末梢性の変化であることが多いです。部屋を暖かくし、靴下をはかせる、抱き方を変えるなどして、色が戻るかを見てください。
いつまで続く?様子を見てよい目安
末梢性チアノーゼは、温めるとピンク色に戻ることが目安です。月齢で「何日目まで」と一律に区切れるものではなく、寒さや体勢によって、新生児期を過ぎても見られることがあります。大切なのは「いつまで続くか」よりも、次の3点です。
1つ目は、青いのが手足だけで、唇・舌・顔は赤みがあるか。2つ目は、温めると戻るか。3つ目は、呼吸・哺乳・機嫌がいつもどおりか。この3つがそろっていれば、多くは様子を見てよい末梢性の変化です。反対に、温めても戻らない、唇や舌まで青い、呼吸や哺乳がおかしい、のどれかがあれば、第2章のサインに当たるかを確かめて受診してください。
💡 用語解説:酸素飽和度(SpO₂)
酸素飽和度とは、血液中の赤い色素(ヘモグロビン)のうち、酸素と結びついているものの割合です。指や足にはさむパルスオキシメーターで測ります。日本小児循環器学会の解説では、動脈血の酸素飽和度の正常値は96〜100%とされています[7]。末梢性チアノーゼでは、手足の色が青くても、体全体の酸素飽和度は保たれていることが多いのが特徴です。
4. 唇・舌・体の中心が青いのは?(中枢性チアノーゼ)
唇・舌・口の中など体の中心が青いのは中枢性チアノーゼで、多くは血液そのものの酸素が少なくなっているサインです(ヘモグロビンの異常で起こることもあります)。新生児で唇や舌が青いまま続くのは、正常ではありません。中枢性チアノーゼでは、体全体と目に見える粘膜が青みを帯びます[1]。
中枢性チアノーゼの原因は、大きく3つに分けて考えます。心臓の中で酸素の少ない血液と多い血液が混ざってしまう心臓の病気(チアノーゼ性心疾患)、肺で血液に酸素が十分に取り込めない呼吸の病気、そしてヘモグロビンが酸素を運べない形に変わる血液の病気(メトヘモグロビン血症など)です[1]。生まれてまもなくから見られるチアノーゼは、先天的な原因を考える手がかりになります[1]。
ただし、AAPによると、赤ちゃんが激しく泣いているときに顔・舌・唇が少し青くなることはあり、落ち着けば色は戻ります[2]。「泣いている間だけ」なのか「泣きやんでも青いままか」が、見分けるポイントです。
末梢性と中枢性の見分け方
🩺 末梢性チアノーゼと中枢性チアノーゼの違い
| 項目 | 末梢性チアノーゼ | 中枢性チアノーゼ |
|---|---|---|
| 青くなる場所 | 手足の先(指先・足の裏など) | 唇・舌・口の中・顔や体全体 |
| しくみ | 手足の血流がゆっくりになる(寒さなど) | 動脈血の酸素が少ない、またはヘモグロビンの異常(メトヘモグロビン血症など) |
| 温めると | ピンク色に戻ることが多い | 戻らない |
| 主な原因 | 寒さ・お風呂上がり・体勢 | 先天性心疾患・呼吸の病気・血液の病気 |
| 対応 | 温めて様子を見る。戻らなければ相談 | すぐに受診 |
もうひとつの手がかりは「新生児の唇の色」です。生まれたばかりの赤ちゃんの唇は、ふだんは赤みのある色をしています。唇が紫色・灰色がかって見える、舌まで青い、という場合は、体の中心の粘膜に色の変化が出ている=中枢性の可能性があるので、受診してください。
中枢性チアノーゼの原因となる心臓の病気は、先天性心疾患の一部です。代表的なものに、StatPearlsが例として挙げるファロー四徴症、三尖弁閉鎖、総動脈幹症、総肺静脈還流異常などがあります[1]。

チアノーゼが長く続くと、指先が太鼓のばちのように丸くふくらむ「ばち指」になることがあります。日本小児循環器学会は、チアノーゼ性心疾患の子どもでは酸素飽和度がいつも80〜90%程度のことが多く、泣くと60%台まで下がることもあると説明しています[7]。
5. 網状チアノーゼ(皮膚のまだら模様)は大丈夫?
赤ちゃんの手足や体が、寒いときに網目のようなまだら模様になるのは、多くは温めると消える一時的な変化です。このまだら模様は「網状チアノーゼ」「網状皮斑」「大理石様皮膚(cutis marmorata)」などと呼ばれます。米国国立医学図書館の新生児の皮膚の解説では、寒いと唇や手足が青くなったり、まだら(mottled)になったりすることがあると説明され、大理石様皮膚の写真も示されています[3]。
しくみは末梢性チアノーゼと同じで、寒さで皮膚の細い血管が縮んだり広がったりして、血液の流れにむらができるためです。網目の部分に酸素の少ない血液がとどまり、青紫色に透けて見えます。部屋を暖かくしてしばらくたっても消えない、暖かいのにいつもまだらになっている、ぐったりしている・熱がある・哺乳が落ちているといった様子があるときは、小児科で相談してください。
6. 泣いたあとに顔色が青くなる(泣き入りひきつけ)
激しく泣いたあとに息を止め、顔色が青くなるのは「泣き入りひきつけ(憤怒けいれん・息止め発作)」のことがあり、最初の呼吸で顔色が戻るのが特徴です。米国国立医学図書館によると、泣き入りひきつけは本人の意思とは関係なく呼吸が止まるもので、生後2か月ごろから2歳ごろまでに始まることがあり、皮膚が青くなるタイプと青白くなるタイプがあります[5]。
多くの子どもは4〜8歳ごろまでに見られなくなり、ふつうは治療を必要としません。鉄欠乏性貧血があると起こりやすいことが知られており、血液検査で鉄不足を調べ、鉄剤を使うことがあります[5]。泣き入りひきつけと思われる発作があった、回数が増えた・重くなった、というときは小児科に相談してください。呼吸が戻らない、顔色が回復しない、けいれんが続くときは、ためらわずに救急に連絡してください[5]。
7. なぜ青く見えるの?還元ヘモグロビンと酸素飽和度のしくみ

チアノーゼは、酸素を手放したヘモグロビン(還元ヘモグロビン、デオキシヘモグロビン)が血液中に増え、その暗い色が皮膚や粘膜から透けて見えることで起こります。酸素と結びついたヘモグロビンは鮮やかな赤色、酸素を手放したヘモグロビンは暗い色をしています。StatPearlsでは、動脈の血液で酸素を手放したヘモグロビンが5 g/dLを超え、酸素飽和度が85%を下回るあたりで中枢性チアノーゼがはっきり見えてくると説明されています[1]。ただし、これは「見えやすくなる目安」であって診断の基準ではありません。見え方はヘモグロビンの量や皮膚の色、明るさにも左右されるため、チアノーゼが見えないからといって酸素不足がないとは言えません。
ここで大事なのは、チアノーゼが「酸素の割合」ではなく「酸素を手放したヘモグロビンの量」で決まる点です。そのため、ヘモグロビンの量そのものが影響します。重い貧血ではヘモグロビンの総量が少ないため、酸素が足りなくてもチアノーゼが目立たないことがあります。反対に、ヘモグロビンが多い状態(多血症)では、少しの酸素不足でも青く見えやすくなります[1]。
生まれたばかりの赤ちゃんは、おなかの中にいたときの名残でヘモグロビンが多めです。そのため、わずかな血流の変化でも手足が青く見えやすい、という面があります。一方で、「色の見た目」だけでは酸素の量を正確に判断できないため、病院では次の章のように数値で確かめます。
8. 病院では何を調べる?チアノーゼの検査
チアノーゼのある赤ちゃんは、まずパルスオキシメーターで酸素飽和度を測り、必要に応じて心臓の超音波検査(心エコー)や胸のレントゲン、血液検査で原因を調べます。StatPearlsは、低酸素の評価としてパルスオキシメーター・動脈血ガス・CO-オキシメトリー、心臓の評価として心エコーなど、肺の評価として胸部レントゲンやCTを挙げ、ヘモグロビンの異常が疑われる場合はヘモグロビンの検査を行うとしています[1]。
🔬 チアノーゼの原因を調べる主な検査
| 検査 | わかること |
|---|---|
| パルスオキシメーター | 酸素飽和度(体の中心まで酸素が足りているか) |
| 血液ガス・CO-オキシメトリー | 血液中の酸素の量、メトヘモグロビンなどヘモグロビンの異常 |
| 胸部レントゲン | 肺の病気、心臓の大きさや形 |
| 心エコー(心臓の超音波) | 心臓の形や血液の流れ(先天性心疾患の有無) |
※StatPearls[1]をもとに作成。どの検査をするかは赤ちゃんの状態で決まります。
見た目に出ない心臓の病気を見つけるパルスオキシメーター検査
先天性心疾患のなかには、見た目のチアノーゼがはっきりしないうちに、酸素飽和度だけが下がっているものがあります。米国疾病対策センター(CDC)は、重症の先天性心疾患を見つけるために、生後24時間以降に赤ちゃんの右手と足の酸素飽和度をパルスオキシメーターで測る検査を説明しています。ただし、この検査ですべての重症心疾患が見つかるわけではなく、異常がなくても心臓の病気が否定されるわけではないとしています[9]。
CDCによると、米国では先天性心疾患が出生のおよそ1%(年間約4万人)にあり、そのうち約4人に1人が重症(生後早くに治療が必要なもの)です[8]。赤ちゃんの「青さ」を軽く見ないことが大切なのは、このためです。
9. チアノーゼと遺伝のつながり:先天性心疾患・22q11.2欠失症候群
赤ちゃんの中枢性チアノーゼの原因になる先天性心疾患の一部には、染色体や遺伝子の変化という遺伝的な原因があります。米国心臓協会(AHA)の科学的声明は、先天性心疾患の原因として、染色体の数の変化、染色体の一部が欠けたり重なったりする変化(コピー数バリアント)、単一の遺伝子の変化による症候群(RAS経路の病気=ヌーナン症候群など)を整理しています[11]。この章が、遺伝医療の専門クリニックとして当院がいちばんお伝えしたい部分です。
22q11.2欠失症候群とチアノーゼ性心疾患
遺伝的な原因でよく知られているのが、22番染色体の一部が欠ける22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)です。2025年に発表された7つの研究をまとめたメタ解析では、22q11.2欠失症候群の人のうち、ファロー四徴症が約20%、心室中隔欠損が約14%、大動脈弓離断が約10%、心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖と総動脈幹症がそれぞれ約9%でした[10]。このうちファロー四徴症や肺動脈閉鎖、総動脈幹症は、チアノーゼの原因になる心臓の病気です[1]。
同じメタ解析は、22q11.2欠失症候群の人には心臓の検査を、先天性心疾患の人には22q11.2欠失の遺伝学的検査を行うことを支持する結果だとしています[10]。心臓の病気が見つかったときに「原因が染色体にあるかどうか」を調べることは、心臓以外の合併症(免疫・カルシウム・発達など)に早く気づくこと、そして次の妊娠を考えるときの情報にもつながります。
血液が原因のチアノーゼ:先天性メトヘモグロビン血症
心臓や肺に問題がないのに唇や皮膚が青い場合、ヘモグロビンが酸素を運べない形(メトヘモグロビン)に変わる病気が隠れていることがあります。米国国立医学図書館によると、生まれつきのメトヘモグロビン血症のひとつはCYB5R3遺伝子の変化による常染色体潜性(劣性)遺伝の病気で、Ⅰ型は生まれたときからチアノーゼがあり、Ⅱ型はチアノーゼに加えて重い神経の症状を伴います[12]。パルスオキシメーターの数値と見た目が合わないときは、CO-オキシメトリーでメトヘモグロビンを調べます[1]。
妊娠中に調べられること:NIPTと22q11.2欠失症候群
22q11.2欠失症候群は、当院のNIPT(新型出生前診断)では、すべてのプランで調べられます。対象はスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・双子マックス・インペリアルの5プランです。ほかにどの微小欠失症候群を調べられるかは、プランによって異なります。NIPTはスクリーニング検査なので、陰性でも22q11.2欠失症候群を完全に否定できるわけではありません。また、先天性心疾患を伴うことがあるヌーナン症候群は、ダイヤモンドとインペリアルで調べる単一遺伝子の病気に含まれています。
NIPTが調べるのは、心臓の形そのものではなく、心臓の病気の原因になりうる染色体や遺伝子の変化です。また、NIPTはスクリーニング検査なので、陽性になったときは確定検査(絨毛検査・羊水検査)で本当にそうかを確かめる必要があります。当院では、確定検査まで院内で受けられます。
生まれたあとに調べる検査:先天性心疾患の遺伝子検査
お子さんに先天性心疾患があり、その原因や次のお子さんへの影響を知りたい場合、当院では先天性心疾患の遺伝子検査(115遺伝子)を行っています。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜で、唾液や頬の粘膜ならオンライン診療でも受けられます。なお、22q11.2欠失症候群のような染色体の微小欠失はこの遺伝子パネルの検査対象外で、検査ページではマイクロアレイ検査で調べると案内しています。心筋症や不整脈なども含めて心臓の病気をまとめて調べたい場合は、心血管疾患の包括的遺伝子検査(264遺伝子)もあり、生まれつきの心臓の病気・内臓の左右の異常に関わる56遺伝子が含まれています。
🩺 院長コラム【「青い」の次に考えたいこと】
赤ちゃんの青さを見たとき、まず大切なのは、その場で受診すべきかどうかを判断することです。手足だけで温めると戻るのか、唇や舌まで青いのか。この区別がつけば、多くの場合、次の行動は決まります。
そのうえで、心臓の病気が見つかったときには、「なぜ起きたのか」を染色体や遺伝子のレベルで確かめておく意味があると考えています。原因がわかると、心臓以外に注意すべきことや、次の妊娠で何ができるかが見えてくるからです。生まれる前と生まれたあとで使える検査は違うので、それぞれの検査で何がわかり、何がわからないのかを知ったうえで選ぶことが大切だと考えています。
よくある質問(FAQ)
Q1. チアノーゼとは何ですか?
チアノーゼとは、皮膚や唇・舌などの粘膜が青紫色に見える状態のことです。多くは血液中の酸素が足りないことを示すサインで、病名ではなく体に現れた徴候を指します。体の中心が青い中枢性チアノーゼと、手足の先だけが青い末梢性チアノーゼに分けて考えます。
Q2. 赤ちゃんの手足が青い・紫色なのは大丈夫ですか?
手足だけが青く、温めるとピンク色に戻り、唇や舌は赤みがあって呼吸や哺乳がいつもどおりなら、多くは心配のいらない末梢性チアノーゼです。温めても戻らない、唇や舌まで青い、呼吸や哺乳の様子がおかしいときは受診してください。
Q3. 新生児の唇が青いときはどうすればいいですか?
泣きやんでも唇や舌が青いままなら、中枢性チアノーゼの可能性があるため、すぐに救急(119番)や小児科を受診してください。激しく泣いている間だけ少し青くなり、落ち着くと色が戻る場合もありますが、迷うときは受診してください。夜間・休日に迷うときは#8000に相談できます。
Q4. 網状チアノーゼ(まだら模様)は病気ですか?
寒いときに手足や体が網目のようなまだら模様になるのは、多くは温めると消える一時的な変化です。暖かくしても消えない、いつもまだらになっている、熱がある・ぐったりしているといった様子があるときは小児科で相談してください。
Q5. 泣いたあとに顔色が青くなるのはチアノーゼですか?
激しく泣いたあとに息を止めて顔色が青くなるのは、泣き入りひきつけ(憤怒けいれん)のことがあります。最初の呼吸で顔色が戻るのが特徴で、多くは4〜8歳ごろまでに見られなくなります。発作があったときは小児科に相談し、呼吸が戻らない、顔色が回復しない、けいれんが続くときは、ためらわずに救急に連絡してください。
Q6. 赤ちゃんの手足のチアノーゼはいつまで続きますか?
末梢性チアノーゼは、温めるとピンク色に戻るのが目安です。何日目までと一律に区切れるものではなく、寒さや体勢によって新生児期を過ぎても見られることがあります。温めても戻らないときや、唇・舌まで青いときは受診してください。
Q7. 病院では何を調べますか?
まずパルスオキシメーターで酸素飽和度を測り、必要に応じて心エコー(心臓の超音波)、胸部レントゲン、血液ガスやヘモグロビンの検査で原因を調べます。当院(ミネルバクリニック)は赤ちゃんの診察は行っていないため、チアノーゼがあるときは小児科・救急を受診してください。
Q8. チアノーゼの原因に遺伝は関係ありますか?
中枢性チアノーゼの原因になる先天性心疾患の一部には、22q11.2欠失症候群などの染色体の変化や、ヌーナン症候群などの単一遺伝子の変化が見つかります。生まれつきのメトヘモグロビン血症のように、遺伝する血液の病気でチアノーゼが出ることもあります。
まとめ
赤ちゃん・新生児のチアノーゼは、手足だけが青く温めると戻る末梢性チアノーゼなら、多くは心配のいらない変化です。一方、唇・舌・体の中心が青いまま戻らない中枢性チアノーゼは、心臓・肺・血液の病気のサインのことがあり、すぐに受診が必要です[1][2]。夜間・休日に迷うときは#8000に相談できます[6]。
中枢性チアノーゼの原因になる先天性心疾患の一部には、22q11.2欠失症候群などの遺伝的な原因があります[10][11]。妊娠中にはNIPTで、生まれたあとには遺伝子検査やマイクロアレイ検査で、それぞれ調べられることが異なります。
🏥 先天性心疾患と遺伝についてお考えの方へ
当院(ミネルバクリニック)は遺伝医療の専門クリニックで、赤ちゃんのチアノーゼの診察・治療は行っていません。チアノーゼがあるときは小児科・救急を受診してください。
お子さんの先天性心疾患の原因を遺伝子で調べたい方、次の妊娠でできることを知りたい方には、臨床遺伝専門医が先天性心疾患の遺伝子検査やNIPTについてご説明します。検査を受けるかどうかまだ決めていない方は、先に遺伝カウンセリングとはをご覧ください。
参考文献
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- [6] 厚生労働省. 子どもの症状は #8000. 上手な医療のかかり方. [厚生労働省]
- [7] 日本小児循環器学会. 【動画で学ぶ】チアノーゼって何? 一般の方へ. [日本小児循環器学会]
- [8] Centers for Disease Control and Prevention. Data and Statistics on Congenital Heart Defects. [CDC]
- [9] Centers for Disease Control and Prevention. Clinical Screening and Diagnosis for Critical Congenital Heart Defects. [CDC]
- [10] Sauter C, Hofbeck M, Franz P, et al. Congenital heart disease in 22q11.2 deletion syndrome: a meta-analysis and systematic review of the literature. J Med Genet. 2025;62(11):700-708. [DOI 10.1136/jmg-2025-110624]
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