大動脈弓 aortic arch
大動脈弓は、心臓から血液を運ぶ主動脈の最上部に位置する部分である。
大動脈弓の働き
大動脈弓は、大動脈の一部で、腕頭動脈brachiocephalic artery、左総頚動脈left common carotid artery、左鎖骨下動脈left subclavian arteryを分枝して頭部と上肢に血液を分配する役割を担っている。大動脈弓の壁には圧受容器があり、血圧の恒常性維持に役立つ。
大動脈弓の発生
jpccs.jp/10.9794/jspccs.34.88/data/index.htmlより画像を引用
動脈系の主要な部分は、腹側大動脈、背側大動脈、鰓弓（さいきゅう）動脈から発生する。
腹側大動脈は心臓から出て消化管の腹側（背中を上にしてねると上側）を上行する動脈で1本ある。
背側大動脈は消化管の背側を通る動脈で2本ある。
鰓弓動脈は消化管の両側にあり、腹側動脈と背側動脈の両大動脈をつなぐ動脈である。鰓弓動脈は6本あり、頭方から順に第1から第6と名付けられている。第1、第2鰓弓動脈は消失する。第3鰓弓動脈とその頭方の背側大動脈は内頸動脈の基部となり、頭部に血液を送る大事な血管となる。第4鰓弓動脈とその下方の背側大動脈は、左側が大動脈弓からつながる下行大動脈となり、右側は大動脈弓から分枝する鎖骨下動脈になる。第5鰓弓動脈は左右とも消失する。第6鰓弓動脈は左側が肺動脈とその基部と大動脈を連結する動脈管となり、右側は消失する。胎生期には肺呼吸しないため、右心から肺に血液が流れなくてもよいため、胎生期においては右心から左心へバイパスする経路が発達している。動脈管はその右左バイパス経路の一つであり、出生後に閉鎖して動脈管索となる。
この記事の著者：仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号
この記事の筆者：仲田洋美（医師）
