リン酸化 Phosphorylation
分子にリン酸基が結合することを「リン酸化」という。このプロセスとその逆である脱リン酸化は、生物学における多くの細胞プロセスに不可欠である。
この図はリン酸H3PO4で、このH分子が一つとれたものがリン酸基である。
タンパク質のリン酸化はタンパクの機能にとって特に重要で、酵素の約半分はこの修飾によって活性化(または不活性化)されてその機能を制御される。真核生物のプロテオームの1/3から2/3という多くのタンパク質は、多くの糖,脂質,その他の生体関連分子と同様に一時的なリン酸化を受ける。
タンパク質のリン酸化
タンパク質のリン酸化はタンパク質の可逆的な翻訳後修飾であり、プロテインキナーゼ(カイネース)によってアミノ酸残基に共有結合のリン酸基が付加されてリン酸化される。リン酸化は、タンパク質の構造的なコンフォメーションを変化させ、活性化、不活性化、あるいは機能の改変を引き起こす。ヒトでは約13000種類のタンパク質にリン酸化部位が存在する。
リン酸化の逆の反応は脱リン酸化と呼ばれ、プロテインホスファターゼによって触媒される。プロテインキナーゼとホスファターゼは、それぞれ独立してバランスよく働き、タンパク質の機能を調節している。
最もよくリン酸化されるアミノ酸は、真核生物ではセリン、スレオニン、チロシンであり、ヒスチジンもリン酸化される。これらのリン酸化は、シグナル伝達経路や代謝において重要な役割を果たしておいることがよく知られている。しかし,アルギニン,リジン,アスパラギン酸,グルタミン酸,システインなど,他のアミノ酸も翻訳後にリン酸化される可能性があり、これらのリン酸化アミノ酸は、最近の抗体を用いた分析(pHisについて)と質量分析(他のすべてのアミノ酸について)を組み合わせてみた結果、ヒト細胞の抽出液や固定したヒト細胞中に存在することが確認されている。
この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号