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量感受性遺伝子(dosage-sensitive genes)とは

量感受性遺伝子(dosage-sensitive genes)とは

わずかなコピー数の増加や遺伝子発現の増加により、細胞の機能に悪影響をおよぼす遺伝子群を量感受性遺伝子(dosage-sensitive genes)といいます。
これらの遺伝子群は哺乳類においてコピー数が非常によく保たれており、つまり種による差異がないものです。
生物の生存にとって発現量の厳密なコントロールが必要であり、それができなければ疾患を発症する、という遺伝子群となります。

酵母モデル

ヒトは真核生物と言われる核と細胞質がわかれている生物ですが、その真核生物の最も単純なモデルである酵母で各遺伝子のコピー数を増やしてみたら何コピーまで細胞が生存できたか、を測定した実験系が報告されていますが、それによると、酵母の全タンパク質コーディング遺伝子(約6千個)のうちわずか10のコピー数増加で酵母細胞が死んでしまう遺伝子が115個見つかりました。その他の遺伝子は100倍以上に増やしても細胞の機能は維持されたままです。

どういう遺伝子たちが量感受性遺伝子(dosage-sensitive genes)なのでしょうか?

確認された量感受性遺伝子(dosage-sensitive genes)は、細胞内の物質の輸送を担当するタンパクをコードしていたり、細胞骨格にかかわるタンパクをコードしていたり、と細胞内のまさにインフラス構築という大事な役割を担っているものが多かったことがわかりました。
さらに、細胞内に存在する量の多いタンパクをコードしていたり、別のタンパクとくっついて複合体として機能するタンパクをコードしている、ということもわかってきました。

量感受性遺伝子(dosage-sensitive genes)のコピー数のわずかな変化が疾患発症とどう関係するのか?

どういう遺伝子たちが量感受性遺伝子(dosage-sensitive genes)なのかがわかってくると、コピー数がわずかに増えることで不必要なタンパクが合成されたり分解されたりすることが細胞の基礎的な営みに与える負荷(タンパク負荷)と、タンパク複合体の構成成分の量的バランスが乱れることで、量感受性遺伝子たちが細胞への悪影響しているのではないかと考えられるようになってきました。
2010年代から研究が進み始めた分野で、ヒトではどういう遺伝子が量感受性遺伝子(dosage-sensitive genes)なのかなどといったことは今後の研究を俟つ必要があります。

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

 

プロフィール

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科・腫瘍学を軸に、 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。 出生前診断・遺伝学的検査においては、検査結果そのものだけでなく 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年、国際誌『Global Woman Leader』および『Medical Care Review APAC』の2誌で立て続けに表紙(Cover Story)に抜擢。 「日本のヘルスケア女性リーダー10名」や「アジア太平洋地域のトップ出生前検査サービス」として、世界的な評価を確立しています。

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