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RR relative risk 相対リスク

RR relative risk 相対リスク

統計グラフと聴診器

相対リスク(RR; relative risk)とは、曝露群で発生する事象の確率と非曝露群で発生する事象の確率の比です。 例えば、喫煙者(曝露群)と非喫煙者(非曝露群)の肺がん発症(事象)の相対リスクは、喫煙者の肺がん発症の確率を非喫煙者の肺がん発症の確率で割ったものになります。 相対リスクは、事象が発生する絶対的なリスクに関する情報を提供するものではなく、曝露群と非曝露群との間で事象が発生する可能性の高低を示すものです。

相対リスク(RR; relative risk)の計算の仕方

相対リスク=(曝露群における事象の発生確率)/(非曝露群における事象の発生確率)。

たとえば、喫煙者の5%が肺がんを発症し、非喫煙者の1%が肺がんを発症するとすると、喫煙者と非喫煙者の肺がんの相対リスクは次のように計算できます。

相対リスク = 5% / 1% = 5

したがって、喫煙者は非喫煙者の5倍の確率で肺がんを発症することになります。

また、ある新薬を投与されたボランティアのうち20人は胃の調子が悪くなり、80人は胃の調子が悪くなりませんでした。薬を飲まなかったボランティアでは、2人が胃もたれを起こし、98人が胃もたれを起こしませんでした。

相対リスク(RR)を計算するには、まず、新しい薬にさらされて胃の調子が悪くなる確率を計算します。曝露された人の中で胃が荒れる人は20人、曝露されなかった人の中で胃が荒れる人は2人。したがって、曝露群で胃が悪くなる確率は次のようになります。

暴露グループの確率 = 20 / (20+80) = 20 / 100 = 0.20

この確率は、胃の調子が悪い人もそうでない人も含めて、暴露群のすべての人が新しい薬を飲んで胃の調子が悪くなる確率であることに注意してください。

次に、非暴露群でお腹を壊す確率を計算します。

非曝露群の確率 = 2 / (2 + 98) = 2 / 100 = 0.02

ここで、新しい薬を飲んだ後(曝露)にお腹を壊す(イベント)ことの相対リスクを計算します。

相対リスク = 0.20 / 0.02 = 10.0

このように、今回の研究で新薬を服用した後にお腹を壊す可能性は、今回の研究で新薬を服用しなかった場合の10倍になります。

相対リスクが1であれば、曝露があってもなくても事象に違いはないことを意味します。 相対リスクが1より大きい場合は、曝露があった場合に事象が発生する可能性が高いことを意味します。相対リスクが1より小さい場合は、暴露があっても事象が発生する可能性が低いことを意味します。

相対リスクを考えるにあたり懸念される事がら

相対リスクは、オッズ比や絶対リスクと混同されることがあります。

相対リスクとは、ある事象が被ばくした場合に発生する確率と、その事象に被ばくしていない場合に発生する確率の比ですので、相対リスクを算出するためには、すべての人の被ばく状況(被ばくしているか、していないか)を知る必要があります。このことから、相対リスクは、前向きコホート研究のように、曝露状況と疾患の発生率が正確に把握できる場合にのみ適していると言えます。

オッズ比

オッズ比は、曝露群におけるある事象のオッズと非曝露群におけるオッズを比較するもので、事象の数/非事象の数として計算されます。

言い換えると、ある事象の確率がPであれば、オッズ比はP / (1 – P)となります。 セルがa、b、c、dの2×2表の場合、オッズ比は、曝露群の事象のオッズ(a/b)を対照群または非曝露群の事象のオッズ(c/d)で割ったものになります。したがって、オッズ比は(a/b)/(c/d)となり、ad/bcと単純化されます。これを相対リスクと比較すると、(a / (a+b)) / (c / (c+d)) となります。/ c / (c+d))となります。病気の状態(事象)が稀であれば、オッズ比と相対リスクは同程度になるかもしれませんが、病気が一般的であれば、オッズ比はリスクを過大評価することになります。 このような場合には、オッズ比は避けるべきで、相対リスクの方がより正確にリスクを推定することができます。

絶対リスク

絶対リスクとは、ある事象が現在の暴露状態で発生する実際のリスクのことです。例えば、10人に1人が発症した場合、絶対リスクは10%(1:10)となります。一方、被ばくしていない人の100人に1人が病気を発症した場合、被ばくしていない状態で病気を発症する絶対的なリスクは1%(1:100)となります。したがって、相対的な発症リスクは0.1 / 0.01 = 10となります。したがって、曝露があれば10%の確率で発症し(絶対リスク)、曝露がなければ1%の確率で発症し(絶対リスク)、曝露があれば10倍の確率で発症する(相対リスク)ことになります。

非常に小さな数字が、相対リスクには大きな変化をもたらすが、絶対リスクには小さな変化をもたらすことがあります。
一般集団(非曝露)における発作(イベント)の年間リスクは約0.057%です。特定の薬は発作の閾値を下げ、発作の可能性を高めます。特定の薬を1つ服用すると(曝露)、発作(イベント)の年間リスクが0.16%に増加します。したがって、特定の薬を服用したときの発作の相対リスクは2.8(2.8 = 0.16 / 0.057)となります。 特定の薬を服用した場合、発作を起こす可能性は2.8倍になりますが、絶対的なリスクは0.103%の増加に過ぎません(絶対的なリスクは1000分の1です)。

相対リスクの臨床的意義

相対リスクとは、ある事象に対する曝露群のリスクと非曝露群のリスクの比です。したがって、相対リスクは、ある暴露に基づく事象の可能性の増加または減少を示します。相対リスクは、リスクの比であるため、疾病有病率が異なる集団にも適用できるという利点があります。相対的リスクは、事象が発生する絶対的なリスクを特定するものではありません。

参考文献
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26231012/

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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