RNAポリメラーゼ
RNAポリメラーゼとは何か?
RNAポリメラーゼは、DNAの塩基配列をRNAの塩基配列にコピーする酵素で、転写のプロセスを担っている。RNAポリメラーゼは、タンパク質サブユニットからなる複合分子であり、DNA分子に格納された情報を新しいメッセンジャーRNA分子にコピーする転写プロセスを制御する。
RNAポリメラーゼ(RNAP)は、複数のサブユニットからなる酵素で、DNAを鋳型にしてRNAポリマーを合成する転写プロセスを触媒する。RNAポリマーの配列は、鋳型となるDNAの配列と相補的で、5’→3’の方向に合成される。
RNAポリメラーゼはすべての生物種で発見されているが、その数や構成は生物種によって異なる。例えば、バクテリアには1種類のRNAポリメラーゼしか存在しないが、真核生物(多細胞生物や酵母)には3種類の異なるRNAポリメラーゼが存在する。しかし、このような違いにもかかわらず、転写メカニズムには驚くほどの共通点がある。例えば、遺伝子の発現を時間的、空間的に変化させるためには、すべての生物種が転写を制御する仕組みを必要とする。
RNAポリメラーゼは十数種類のタンパク質で構成されている。これらのタンパクは、DNAを取り囲み、巻き戻し、DNAの情報に基づいてRNA鎖を形成する機械を形成している。酵素が動き出すと、RNAポリメラーゼはDNAに沿って進行し、何千ものヌクレオチド長のRNA鎖をコピーする。
RNAポリメラーゼは巨大なマルチサブユニット複合体である。RNAポリメラーゼは、プロモーター領域の70~90塩基対のDNAに接触してDNAの転写を開始し、転写中はDNAはポリメラーゼに巻き付いている。真核生物には、3つの異なるタイプのRNAポリメラーゼが存在する。
RNAポリメラーゼI(Pol I):リボソームサブユニットの生成に用いられる。
RNAポリメラーゼII(Pol II):タンパク質をコードするRNAとマイクロRNAの生成に使用される。
RNAポリメラーゼIII(Pol III):各tRNAと小リボソームRNAサブユニットの生成に使用される。