qPCRとは|PCRとqPCRの違い
qPCRとは何ですか?
qPCRとは、quantitative polymerase chain reaction 定量的ポリメラーゼ連鎖反応の略で、PCRを用いてDNAを測定する技術です。
PCRとqPCRの違いとは?
ポリメラーゼ連鎖反応の用途の多くは、少量のDNAを大量のDNAに変換する方法としての有用性に焦点を当てています。これは、ゲル電気泳動やほとんどのDNA配列決定に必要です。しかし、これではPCRの情報量が制限されてしまいます。PCRは、それ自体がツールであるというよりも、他の測定のためのステップであると考えられがちです。
定量的PCRは、標準的なPCRプロセスに2つの要素を加えたものです。
- 蛍光色素
- 蛍光光度計
この2つの要素により、qPCRは、PCRという他の手順の中の処理ステップから、それ自体が完結した測定技術となることができるのです。
qPCR用のサーマルサイクラーには、その蛍光を検出するための蛍光光度計が搭載されています。
蛍光光度計は、サーマルサイクラーの動作に合わせてリアルタイムに蛍光を検出し、PCRの増幅プロセス全体を読み取ることができます。
そのため、定量的PCRは、リアルタイムPCRまたはRT-PCRとも呼ばれています。
適切な標準曲線や基準値と組み合わせることで、反応速度と時間に関するリアルタイムの情報は、存在するDNAの相対的および絶対的な量に関する情報に変換されます。
qPCRによる遺伝子発現測定
qPCRの最大の強みの一つは、遺伝子発現を測定できることです。
遺伝子発現(mRNA合成)は、タンパク質合成の重要な部分です。遺伝子発現は、分子生物学者が積極的に研究している分野であり、多くの生物学的経路や疾患の理解に役立っています。研究者は、逆転写酵素を用いてサンプル中のRNAの相補的DNA(cDNA)コピーを作成し、そのcDNAを用いてqPCRを行います。
このプロセスは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応と呼ばれます。
その結果、逆転写されていないオリジナルのサンプルに含まれる、測定が困難なmRNAの量に関する情報が得られます。
qPCRで得られるデータの種類は、使用するプライマーや色素に大きく依存します。
通常、qPCRで使用される色素は非特異的であり、複数のプライマーが同じミックスで使用されている場合、複数の遺伝子を1つの読みに統合してしまうため、1回のqPCRで1つの遺伝子のデータを収集します。しかし、色素ではなく蛍光DNAプローブを用いれば、各ターゲットに対応するプローブが異なる周波数で蛍光を発する限り、qPCRを「多重化」して複数のDNAターゲットを測定することができます。
この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号