NLR（NOD-like receptor）ファミリーは、細胞内パターン認識受容体（PRR）の一群で、宿主細胞が病原体や細胞内のストレスシグナルを認識する際に重要な役割を果たします。これらの受容体は、特に細菌の侵入や細胞内でのストレス応答に反応し、免疫応答の活性化や炎症反応の調節に関与しています。
NLRファミリーのメンバーは、一般的にいくつかの共通のドメインを持っています。
NACHTドメイン：ATPの結合と加水分解を行い、NLRのオリゴマー化と活性化に関与します。
LRR（Leucine-Rich Repeat）ドメイン：病原体やその他のシグナルを感知するために使用されます。
PYD（Pyrinドメイン）またはCARD（Caspase Recruitment Domain）：これらのドメインは、シグナル伝達経路において他のタンパク質との相互作用を媒介します。
NLRファミリーの中で特によく研究されているメンバーには、NOD1、NOD2、NLRC3、NLRP3などがあります。これらは、細菌成分に反応してNF-κB経路を活性化するNOD1とNOD2、インフラマソームの形成に関与するNLRP3など、さまざまな役割を果たします。
NLRP3は特にインフラマソームの形成に関与することで知られており、IL-1βやIL-18といったプロ炎症性サイトカインの産生を促進します。これにより、感染への防御や慢性炎症疾患の発症に重要な役割を担っています。
NLRファミリーは免疫系において重要な役割を果たすため、これらの受容体の機能不全は感染症の感受性の増加、自己免疫疾患、慢性炎症疾患など、多くの疾患状態と関連しています。したがって、NLRファミリーの研究は、疾患の理解と新たな治療法の開発に貢献する可能性があります。
NLR familyに属する遺伝子25
CIITA
NAIP
NOD1
NOD2
NLRC3
NLRC4
NLRC5
NLRP1
NLRP2
NLRP2B
NLRP3
NLRP3P1
NLRP4
NLRP5
NLRP6
NLRP7
NLRP8
NLRP9
NLRP9P1
NLRP10
NLRP11
NLRP12
NLRP13
NLRP14
NLRX1
この記事の著者：仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号
この記事の筆者：仲田洋美（医師）
