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モルフォゲン morphogen

モルフォゲン morphogen

発生段階の個体ではどの細胞が何に分化していくとどのように認識できるのだろうか?

実は、個体発生段階の多くの器官では特定の化学物質の濃度勾配を位置情報として利用していると考えられている。
このように濃度に依存して細胞が何に分化するのかという発生運命を決定している化学物質のことをモルフォゲンと呼ぶ。モルフォゲン勾配システムは複雑であるが、多くの共通点もある。

  • 1.モルフォゲンは局所的に放出され、他の分子と結合して細胞外空間を拡散する。
  • 2.勾配の形状は、放出源からのフラックス、拡散性、組織からのクリアランスによって決まる。
  • 3.モルフォゲンの濃度と持続時間は、細胞内分子に直線的に伝達され、転写因子の活動を段階的かつ比例的に制御する。
  • 4.転写因子は、既存の内在性因子を含む複雑な制御ネットワークに参加し、最終的に標的遺伝子の応答を決定する。
  • 5.フィードバック機構は、モルフォゲン産生機構に緩衝し、シグナル伝達の解釈を調整し、モルフォゲンを介したパターニングに堅実性とスケールを付与する。

モルフォゲンの勾配は、個体発生過程における空間的なポジショニングの中心的な要素である。モルフォゲンにコード化された空間情報は、正確な境界に解釈することができ、しばしば単一細胞の精度で解釈することが可能である。(文献)。
しかし、モルフォゲンの形成と解釈はどちらも本質的に動的なものであり、モルフォゲンが作用する組織は、成長、細胞の再編成、分裂、アポトーシスを通じて絶えず変化している(文献)。そのため、遺伝発現の境界がどのように正確に定義されるのかを理解するには、「どこで」も重要であるが、さらに「いつ」なのかという疑問が重要となる(文献)。

勾配形成のタイミングやモルフォゲンからの空間情報がいつ解読されるかについては、大きな議論があるところである。

  • 1. モルフォゲン勾配形成を駆動する基礎的な生物物理学的プロセスは、勾配形成の時間をどのように決定するのか?
  • 2. モルフォジェンの勾配はいつ解釈されるのか、また時間的制約は解釈のメカニズムにどのように影響するのか?

これらを解き明かすにあたり重要なのは、モルフォゲンは時間的な情報を符号化していることであり、最近の実験的・理論的研究により、システムがどのようにしてその情報を利用し、空間と時間の両方で正確に定義された領域を生成するのかが明らかになりつつある。

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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