InstagramInstagram

メモリーT細胞

メモリーT細胞

Tリンパ球は、T細胞を介した免疫反応を必要とする細胞内病原体や腫瘍抗原からからだを守る中心的な役割をはたしている。T細胞のなかでも特にCD8+T細胞は、抗原を認識することで活性化され、がん細胞や感染細胞を殺傷する。CD8+T細胞には、ナイーブT細胞エフェクターT細胞、メモリーT細胞の3つのサブセットがある。ナイーブT細胞は、これまで病原体に出会ったことのないT細胞である。エフェクターT細胞は、抗原にさらされたときにナイーブT細胞から分化し、病原体を排除するが、その多くは病原体の排除後にアポトーシスにより除去されて、免疫バランスが保たれる。

メモリーT細胞は、感染が排除されてなくなった後も長期に残っている抗原特異的なT細胞である。メモリーT細胞は、侵入した特定の抗原に再びさらされると、速やかに大量のエフェクターT細胞に変化することで、過去に感染したことのある病原体に対して迅速に反応することができる。

皮膚、腸、肺などの末梢組織に優先的に存在するメモリーT細胞があり、抗原特異的メモリーT細胞プールとして病原体感染に対する二次的防御の第一線を担っている。

メモリーT細胞の起源は長年論じられてきたが、ナイーブT細胞、エフェクターT細胞、メモリーT細胞の遺伝子メチル化パターンを解析したRama S. AkondyらBen Youngbloodらの報告から、メモリーT細胞はエフェクターT細胞から発生することが明らかになった。

両論文とも、CD8+T細胞のプロセシング経路に着目している。

Akondyらは、DNAのアクセスパターンを解析し、メモリーT細胞はエフェクターT細胞と同等のクロマチンアクセスパターンを示すことを明らかにした。このことは、メモリーT細胞がエフェクター細胞から発生するというモデルを支持する。

YoungbloodらはDNAメチル化を解析した。DNAメチル化は遺伝子抑制に関連するエピジェネティックな変化の一種である。その結果、DNAのメチル化が、ナイーブT細胞、エフェクターT細胞、メモリーT細胞という3種類のT細胞の間で機能や状態を決定していることがわかった。エフェクターT細胞とメモリーT細胞はともに、エフェクター機能遺伝子のDNAメチル化プロファイルが似ており、ナイーブT細胞に比べてメチル化が少なく、メモリーT細胞による病原体の再接続に対する迅速な反応が有利であることが分かった。さらに、メモリーT細胞は、エフェクターT細胞から分化した後、長期間の記憶を維持するために、ナイーブ関連遺伝子のメチル化を少なくする必要があることも明らかにした。さらに、DNAメチル化を通じてT細胞の分化を制御しているDnmt3aというDNAメチル化酵素がT細胞の分化を制御していることを明らかにした。

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

お電話での受付可能
診療時間
午前 10:00~14:00
(最終受付13:30)
午後 16:00~20:00
(最終受付19:30)
休診 火曜・水曜

休診日・不定休について

クレジットカードのご利用について

publicブログバナー
 
medicalブログバナー
 
NIPTトップページへ遷移